地球防衛軍4二次創作 2025絶滅螺旋   作:dwwyakata@2024

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強化型の四足歩行要塞が迫り来ます。

戦闘では激しい消耗が強いられると分かっていても、対策しなければなりません。

真の恐ろしい戦略というのは、相手の打つ手を狭めていくものにあります。

フォーリナーはそれを知っているのです。


2、死闘再び

 

悠然と迫り来る四足。

 

スカウトも、報告してきている。明らかに上部の装甲が強化されていると。

 

元々空軍の支援は期待出来ない状況。グラインドバスターは試すだけ時間と労力の無駄だろう。

 

既に作戦は開始している。百機以上いたヘクトルは、陽動攻撃によって彼方此方に分散。現在、時間稼ぎに徹しているEDF部隊との戦闘を繰り返している状況だ。

 

日高司令も、プロテウスで駆けつけると言っていたが。間に合うかどうか。間に合ったところで、どれだけの戦果を出せるか、分からない。

 

いずれにしても、此処までの作戦は順調。

 

四足と、ストームの、タイマンに近い状況に持ち込むことは出来た。

 

四足の周囲にいるヘクトルは四機。

 

うち二機が、この間交戦した青いヘクトルだ。

 

しかも手には、おそらく報告があったと思われる、粒子砲を装備している。集中砲火で、一気に仕留めるしか無い。

 

私がガリア砲を構えると、弟も頷く。

 

イプシロンも、既に敵に狙いを付けていた。

 

斉射。

 

弟の声と同時に。ライサンダー二丁、MONSTER二丁、ガリア砲二門、更にイプシロンからの砲撃が、先頭にいた青ヘクトルに集中。全てが胸の中央に炸裂した。

 

流石に頑強な青ヘクトルも、これにはひとたまりも無い。

 

爆裂四散。

 

しかしながら、もう一機の青ヘクトルが、即応。飛び出した私がシールドを展開。だが、放たれた高出力ビーム砲が、一瞬にして私を吹っ飛ばしていた。

 

シールドも、瞬時に破損。

 

愕然とする。

 

これが、件の粒子砲の破壊力か。蟹のはさみのような形状をしたその砲は、今までとは桁外れの兵器とみるべきだろう。

 

幸い、キャリバンに、予備は積んできているが。凄まじいしびれが手にある。半身を起こしながら、ガリア砲の狙いを付ける。後ろにいる通常ヘクトルも、攻撃を開始すべく、砲を持ち上げていた。

 

突貫する涼川。

 

一瞬だけ、敵が気をそらした瞬間、第二射。

 

今度は、矢島のガリア砲が外れた。大きく傾ぐ青ヘクトル。だが、其処へキャリバンから飛び出した日高少尉が、渡されているハーキュリーで射撃。

 

平凡な腕だった日高だが。

 

一撃は見事命中。

 

致命打寸前まで追い込まれていた青ヘクトルが、腰砕けになり、倒れながら爆裂。突貫した涼川が、高笑いしながら、グレネードを残り二機のヘクトルに、たたき込みはじめた。

 

時間は、驚くほど無いとみて良い。

 

「掃射砲への射撃開始! ヘクトルは涼川に任せろ!」

 

全員が散開。

 

四足への猛攻を開始する。

 

圧倒的な火力の滝を浴びる四足とヘクトル二機。だが、ヘクトルはともかく、四足は小揺るぎもしない。四足が、早速新しいヘクトルを投下。次々現れるヘクトルが、その程度の火力が何だと言わんばかりに、前進してくる。

 

空軍の支援が得られないのが、大きい。

 

艦隊も、引きつけられているヘクトルに対する攻撃で手一杯。

 

そんな中、弟が突貫。

 

路を無理矢理、私とジョンソンが作る。路を塞ごうとしたヘクトルには、ベガルタがタックルを浴びせて、無理矢理進路から引きはがした。

 

四足の弱点は。

 

機体下部にあるハッチだ。

 

此処ばかりは、装甲をどれだけ強化しようとも、どうしようもない。どれだけ強力な装甲を作っても。

 

内部から攻撃されてしまえば、どうにもならないものなのだ。

 

四足が向きを変える。

 

驚くほど動きは速く、旋回半径は小さい。

 

まだ無傷の掃射砲が多数見える。それが一斉に攻撃を開始。舌打ちして、弟がハーキュリーを連射しながら後退。

 

しかも、四足は飛行ドローンを多数ハッチからはき出しはじめる。

 

まずい。

 

これでは近づけない。

 

飛行ドローンの数も相当に多い。ネグリングがミサイルを多数連射しはじめる。空中で炸裂して、一気に多数の飛行ドローンを撃墜する事が出来るが。それでもミサイルの火力そのものは、それほど大きくは無い。

 

飛行ドローンの群れを一気に叩き伏せるには充分だが。

 

ヘクトルはどうにもならない。

 

余った飛行ドローンを、必死にバゼラートが防ぐ。

 

既に十機近くまで増えているヘクトルは。

 

火力にものを言わせながら、迫ってくる。

 

押し返すのが精一杯か。

 

弟が、冷静に攻撃対象を指示。

 

だが、ガトリングと長距離砲を装備したヘクトルばかりでは無い。青ヘクトル同様の、粒子砲を装備した機体まで出てくる。

 

それに、ガトリングも、決して劣悪な兵器では無い。

 

至近で撃たれると、一気に装甲を持って行かれることに変わりは無いのだ。今までのヘクトルも、充分に脅威になることに、変わりは無いのである。

 

以前の四足とは。

 

搭載している戦力も違う。

 

数も多いし、装備も更新されている。

 

アースイーターだけでは無い。

 

今までの兵器も、充分以上に凶悪な存在なのだと。戦っていると、思い知らされる。それが更に強化されているのだから、たまったものではない。

 

ヘクトルが三機、立て続けに爆発。

 

攻撃を集中した結果だ。

 

幸い、通常のヘクトルは、青ヘクトルほどの凄まじい頑強さは無い。再び、弟が突貫。同時に皆で火力を集中。MONSTERのエネルギービームが、一機のヘクトルを融解させる。

 

阻もうとするヘクトルの至近から、飛び込んだ私がガリア砲を叩き込んで、胸に大穴を開けてやる。

 

倒れ、爆発するヘクトル。

 

しかし、四足が冷静に掃射砲を放ってくる。

 

膨大な火力の網が、弾幕を作り上げて、此方が近づくのを防ぐ。

 

だが。

 

その時には。此方も既に準備を整え終えていた。

 

影から飛び出したナナコが、フュージョンブラスターを起動。超高温の熱線が、横殴りに、掃射砲を薙ぎ払う。

 

爆裂が連鎖。

 

流石に四足の装甲は抜けないが、それでも弾幕がかき消える。

 

勿論敵も黙っていない。ヘクトルがナナコを踏みつぶしに掛かるが、ベガルタが飛び込んで、至近から散弾砲をうち込み、蜂の巣にした。爆裂するヘクトルから庇うように、飛び込んだベガルタが破片と熱を引き受ける。

 

四足が旋回しようとする。

 

しかし、その時には。

 

弟が、四足の足下に潜り込んでいた。

 

そして、フュージョンブラスターを起動させる。

 

ハッチに直接、圧倒的な熱量が叩き込まれる。掃射砲で必死の抵抗を試みる四足だが、しかし。

 

ハッチから投下されようとしていたヘクトルが、誘爆したのが決め手となった。

 

「退避!」

 

弟が叫び、全員が四足から離れる。

 

痙攣するように、全身を震わせる四足。

 

その装甲が、内側から何度も爆発する。四足の主力兵器である二連大威力キャノンが内側からの爆発で無惨な姿になる。

 

四足が、足を折る。

 

崩れ落ちる巨体が、側にいたヘクトルを巻き添えにする。

 

軋みながら、爆発しながら、崩れていく巨体。

 

爆裂。

 

キノコ雲が上がる。

 

苛烈なまでの熱が吹き付け、至近で戦っていた飛行ドローンを多数巻き込んだ。ヘクトルは耐え抜くが、もはや四足無しでは、耐え抜ける戦況では無い。

 

悪夢のような灼熱が収まった。

 

残りのヘクトルを、全員で集中攻撃し、一気に打ち倒す。

 

最後のヘクトルを葬ったとき。

 

横倒しになった敵の要塞が、煙を上げながら、其処にあった。

 

だが、全員。

 

限界近くまで、傷ついていた。攻撃を受け続けたキャリバンも、機体から煙を上げている。倒れているのは原田だ。

 

息はしているが、意識が無い。

 

ベガルタの損傷も酷い。最後まで、ヘクトルと殴り合いをしていたのだから、当然だろう。

 

弟が、損害を確認するように、周囲に叫んでいる。

 

私も、アーマーは全損。

 

フェンサースーツのダメージも、ほぼ限界近かった。

 

よくしたもので、矢島も似たようなものである。何度か味方に降り注ごうとしたガトリングを、シールドで防いで。

 

それで、味方の死者はどうにか出ずに済んだ。

 

「畜生、無理な作戦だったな」

 

ぼやく涼川。

 

黒沢が倒れているヘクトルの残骸を一瞥。眼鏡を直しながら言う。

 

「相当に強化されていますね。 これでは他の陽動部隊が心配です」

 

「つまり休む暇はないと言う事だ。 負傷者を全員ヒドラに後送。 軽傷者は、装備を変えて、苦戦中の他の部隊を救援に向かうぞ」

 

「イエッサ……」

 

げっそりした様子で、日高少尉がいう。元気な彼女でさえこうなのだ。他の隊員の疲弊は、言わずとも知れた。

 

ヘクトルは撤退を開始したという話だが、少なくとも青ヘクトルは此処で潰しておかないと。後でどれだけの損害が出るか分からない。

 

通常のヘクトルも強化されていることが分かったほどなのである。

 

まだ、戦いは終わっていないのだ。

 

 

 

かなりの被害は出したが。

 

四足は、どうにか撃破に成功した。

 

陽動に出た部隊も被害は出したが、海軍との連携もあって、致命傷はどうにか食い止めることが出来た。

 

山梨の防衛ラインまで一度後退。

 

一時期は静岡の南端まで追い詰めた敵の防衛ラインなのに。

 

今では、四足の再攻略作戦さえ、目処が立たない状況だ。東南アジアの巣穴を潰したときに、一緒に叩いておくべきだったかも知れないが。それはもう、いわゆる後の祭りという奴だった。

 

日高司令が、通信を入れてくる。

 

「無理な作戦を頼んでしまって、済まなかったな」

 

「ビークルの損害が小さくありません。 出来るだけ、急いで修復をしてください」

 

「分かっている……」

 

日高司令が明言を避ける。

 

今でも、各地で色々な部隊が、蜂の大群を相手に苦戦しているのだ。巨大生物も、アースイーターを拠点にヒットアンドアウェイを繰り返してきていて、この間の山中での戦いのように、蜂もそれに連携している。

 

EDFの戦線は縮小する一方だ。

 

更に、通信妨害の恐怖もある。

 

アースイーターの支配地域では、通信がほぼ完全に遮断されている。既にアースイーターから逃れられず、封じ込められてしまったシェルターもある。そういったシェルターとは連絡が取れない状況だ。

 

全滅してしまったシェルターもあるのでは。

 

そうささやかれてもいる。

 

それは噂では無いだろう。おそらく、敵によってジェノサイド砲を叩き込まれ、装甲を貫かれて中の人間を丸焼きにされてしまったシェルターも、ある筈だ。

 

絶滅はさせない。

 

巨大生物の進化促進のために、人間は必要なのだから。

 

だが、間引きはする。

 

それが、フォーリナーの戦略。

 

これ以上、好き勝手にさせるわけにはいかないのに。対抗するための手段が無いのが、口惜しい。

 

東京基地に移動。

 

大活躍はしたが、自身も意識不明の状態に陥った原田は早速病院へ。

 

私も、激烈な戦闘の結果か、疲労が強く出ていた。医師に休むように言われたので、そうする。

 

ただでさえ、休息をしないと弟にがみがみ言われるのだ。

 

カプセルに入って、ぼんやりしていると。

 

呼び出し音が聞こえる。

 

五時間ほど眠ったか。体のリフレッシュは充分なところである。カプセルを這い出して、呼び出し音を立てているバイザーを付けて、スイッチを入れる。

 

呼び出してきていたのは、日高司令だった。

 

「急に呼び出して済まないな」

 

「今度は何処での戦いですか」

 

「北海道だ。 アースイータがとうとう北海道にまで出現してな。 しかも偵察に行ったスカウトが一チーム、孤立しているという報告がある」

 

頷くと、着替える。

 

外では、既に弟が待っていた。

 

問題は負傷者達だ。

 

原田は命には別状が無いが、数日は絶対安静と言われている。また、今回の戦いには、三川も連れて行かないようにと、医師に言われていた。PTSDの検診をするというのだ。今のところ問題は出ていないが、PTSDは再発する可能性がどうしても出てくる。現在でも、回復手段はあっても、再発を完全に防ぐ方法はない。

 

更に言うと、ベガルタファイアロードも、今回はフルメンテナンスをする。

 

ヒドラの中にいる整備員達が、全体を徹底的にメンテナンスすると言う事だ。無理な使い方をしてきたのだし、仕方が無い。

 

ヘクトルと肉弾戦をし。

 

多数の蟻と戦い。

 

そして、連戦に次ぐ連戦だ。筅は今では、すっかりエースパイロットの一角。他の部隊でも、充分にやっていける。

 

しかし、今回は、そのメインウェポンであるベガルタを封じられた形になる。

 

敵の狙い通りだなと、私は舌打ちする。

 

敵はとにかく、此方が対処せざるを得ない攻撃を繰り返すことで、消耗させることを目的とした作戦を矢継ぎ早に繰り出している。

 

損害などどうでもいい。

 

文字通り無限に近い物量を誇るアースイーターが前線に投入されたことで、敵は単純な平押しが可能になったからだ。

 

アースイーターの支配地域は小揺るぎもしないし。

 

更に敵は、人類の戦力を効果的に削るカードを、いくらでも有している。EDFが継戦能力を無くしたら、奴らは本格的に、人類を戦闘奴隷化していくことだろう。

 

皮肉な話だが。

 

家畜は、野生の状況から比べて、著しく繁栄している。

 

地下の彼奴の情報を鑑みるに、人類は現在宇宙での特定動物扱いだが。フォーリナーに戦闘用奴隷として管理され、ある程度年月が経過したら。宇宙への進出権を、認められるかも知れない。

 

今の人類よりも、遙かに優れた文明と、精神的な進歩を得た上で。

 

しかし、それは。

 

少なくとも、フォーリナーが決める事では無い。

 

現時点では、まだ人類は抗戦の意思を捨てていない。もし、人類が、フォーリナーを神として考え。

 

全面降伏するのであれば、私も戦いの意思を捨てるしか無くなるだろう。

 

そうはさせない。

 

させてはならないのだ。

 

ヒドラが北海道に向かう途中。秀爺が、不意に言い出す。

 

弟と私に、オンリー回線でつないできて、その内部での会話だ。

 

「黒沢を儂に預けろ」

 

「もう、かなりの腕前だと思いますが」

 

「いや、黒沢は見ていて感じたが、スナイパーとしての素質がある。 今はまだ一人前の兵士程度だ。 儂がしっかり仕込んでやる」

 

「……お願いします」

 

確かに、そろそろそれぞれの長所を伸ばしていく事を、考えるべき時期だ。

 

自力でエースになった筅のように、誰もがなれるわけではない。ベテランそれぞれが、自分が得意とする技を、仕込んでいく時期に来たのかも知れない。

 

弟が、黒沢の所に話しに行く。

 

私はそれを見届けると。自分が鍛えるなら、矢島と原田かなと、ぼんやり思った。

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