地球防衛軍4二次創作 2025絶滅螺旋 作:dwwyakata@2024
圧倒的超火力の蜘蛛の大群に、足が止まれば一瞬で死ぬ事になります……
破壊されたイプシロンの同型機が、幸い供与されたので。次の日の作戦も、問題なく行う事が出来た。
目的地点は、北京基地から西に五百キロほど。
そろそろ艦隊による支援射撃も難しい位置である。距離的にはどうということはないのだけれど、途中にアースイーターが多数いるのだ。勿論現在の巡航ミサイルは、敵を避けて行くくらいの知恵はあるけれど。
敵も当然、ミサイルを察知する程度の知恵はあるのだ。
ヒドラで現地に行く途中、カリンも含めて、ブリーフィングする。
「今回の作戦は、敵をおびき出しながらの引き撃ちとなる」
ペイルチームも、今回の作戦用に、キャリバンを供与されている。陸の要塞と呼ばれるキャリバンなら、生半可な攻撃ではびくともしない。
しかし今回は敵の数が数だ。
最悪の場合、ヒドラで負傷者を脱出させ。残りメンバーは、地獄の包囲から突破せざるを得なくなるだろう。
スカウトが、既に六チーム、周辺に展開。
敵凶蟲は、円形の陣形を組んで、広域に分布しているという。
数は、事前の話とは、大きく違っていた。
「おそらく、地下に隠れている連中もいたと見て良い。 敵の数は、四千五百に達するそうだ」
「よ、四千……!?」
「撃滅しなければならない」
それに加えて、良くないニュースである。
北京基地に、南部から敵の部隊が接近している。青ヘクトルを含む強力な部隊で、ペイルチームとストームチーム以外は、かかりっきりになると言う事だった。おそらく、ストームとペイルが出たのを見計らったのか、それとも此方の動きを読んだのか。
畜生。
呻いたのは、カリンだ。
「此処は引くべきかも知れないぞ」
「いや、此処で敵をたたいておかなければ、さらなる増強が行われる。 蜂もいない今、叩く好機だ」
わざと蜂を配置していないのだ。
私はそう言おうと思ったが。誰もが分かっている事なのだし、敢えて言うのも良くないとも思ったので、黙っていた。
現地に到着。
ヒドラは下がらせる。北京基地の戦況はかなり激しいようだ。陥落することはないだろうが、いずれにしても、此方に兵力的な支援が来る事は無いとみて良いだろう。
カリンの焦りも分かる。
だが、此処でカリンを死なせるわけには行かない。世界でも屈指のウィングダイバーなのだ。
人類が劣勢に明確になり始めていて。
敵が戦略を崩さず進めている状況で。
これ以上、味方を失うわけにはいかないのである。
弟が、カリンに幾つか話をする。弟の話なら、カリンは聞く。とにかく、無理はしないように、弟は言い聞かせて。
カリンも不満そうではあったけれど、納得はしてくれた。
全員、配置につく。
流石に五千近い数の敵だ。一息に殲滅するのは不可能である。無理を承知で、海軍にミサイル攻撃の支援を頼むしか無い。
先に、谷山が支援の指示。
幾つかの艦隊が、テンペストを発射してくれた。着弾までしばらく掛かる。それだけ、内陸に来ているのである。アースイーターによる邪魔もある。
テンペストの第一群が、来る。
予定では二十発ほどの筈だったが。やはり迎撃されたのだろう。十発にまで、数を減らしていた。
降り注ぐミサイル。
爆裂が連鎖し、凶蟲どもが消し飛ぶ。百匹以上が一度に吹っ飛ばされる有様は、凄まじいものがあった。
同時に、敵が動き出す。
スカウトが、連絡を入れてきた。
「数百匹が、群れを離れています! それも、何群も!」
「側面後方に廻るつもりだ。 総員、後退!」
後は、ペイルチームを援護しながら、引き撃ちを続行。敵の数はとんでもないが、作戦そのものは単純。
その筈、だった。
ペイルチームから、通信が来る。
「敵の圧力が凄まじい! 一斉に襲ってくる!」
「無理はするな、すぐに引け! 火力支援は此方で行う!」
「分かっているが、敵の動きが速くて、後方も……!」
まずい。
敵はその暴力的な数を、生かして動いてきている。これは殲滅作戦どころでは無いかも知れない。
まだ、イプシロンの射程には入らない。
ネグリングは更に先だ。
ネレイドが飛び出す。ベガルタもだ。
弟が、ヒドラに通信。
「敵の真ん中に降りて貰うかも知れない。 上空で待機を続けてくれ」
「イエッサ!」
全軍、敵の群れに突入開始。
見る間に見えてきた。
文字通り、地面を埋め尽くすほどの数だ。必死に広域攻撃武器を乱射しているペイルチームだが、敵の接近が想像以上に早い。数が多すぎて、制圧できていないのだ。
前衛に躍り出たナナコが、フュージョンブラスターを起動。
至近の敵を、まとめて焼き払う。
更にジョンソンが、零式レーザーで同じように敵を焼き払うが。焼き払われた屍を踏み越えて、次々に凶蟲が来る。
地面が見えないほどの数だ。
「負傷者を下げろ!」
突貫した弟が、フュージョンブラスターで敵を薙ぎ払うが、この超火力でも、とても足りない。
私が突撃。
ハンマーを振るって、敵をまとめて吹き飛ばす。
だが、飛んでくる糸の数があまりにも非常識すぎる。機動戦を行い続けるが、これではとてももたない。
敵は四千五百を、広域に展開しているのではない。
攻撃が始まった瞬間。
一気に密集陣形に切り替えてきたのだ。
ネレイドがナパームを放ち、彼方此方に炎の弾幕を作る。機関砲を放って、凶蟲の群れを薙ぎ払う。
ベガルタが、ウィングダイバーを庇って前に。コンバットバーナーと散弾砲で、敵を撃つ。
最後尾にいるキャリバンには涼川がタンクデサンドしていて、スタンピートからグレネードの雨を敵に降らせている。一度に多数の敵を爆破しているが。
しかし、百や二百の損害など、敵は気にもしない。
バック。
弟が叫ぶ。包み込まれたら、一瞬で全滅だ。キャリバンにタンクデサンドし、ラビットジャンプで必死に引き撃ちするウィングダイバー達を見ながら、射撃を続ける。最後尾の私は、ハンマーを振るいながら、弟に通信をいれる。
「まずいぞ、ヒドラは」
「もう少し後方だ!」
「テンペスト、支援第二波来ます!」
筅の声。
降り注ぐ巡航ミサイルが、密集した敵に襲いかかる。爆裂し、吹っ飛ぶ敵の足や胴体、頭部。
大量の鮮血がぶちまけられる。
おぞましい光景だが。
目をそらしていたら、一瞬で糸玉だ。
取り残されたウィングダイバーを発見。かっさらうようにして、掴んで下がる。意識がないが、命だけはある。
キャリバンに押し込むと、再び最後尾に躍り出る。
倒し、下がり、倒し、下がり。
後方に敵が出現と聞いて、やはりかと呻く。数百の群れが、本隊を離脱したと聞いた時点で、わかりきっていた事態だ。
飛んでくる糸で、視界が真っ白になりそうだ。
だが、私は跳ぶ。
ハンマーを振るう。
ヒドラが見えた。ヒドラにも、多数の蜘蛛が集っている。ナナコがジョンソンと一緒に、フュージョンブラスターで焼き払っているが、それもいつまでもつか。味方を次々収納させるヒドラ。
機体側面で爆発。
蜘蛛の糸は、高い運動エネルギーを持っている。連続して集中攻撃が見舞われれば、ヒドラだって落ちる。
「ヒドラ、ダメージ大! 撤退急いで!」
悲鳴に近い声が聞こえる。
ベガルタが、必死に敵を薙ぎ払いながら来た。筅が最後だ。ネレイドがナパームをばらまき、敵を蹴散らす。
私もハンマーを振るって、敵を薙ぎ払うが。全身にもう糸が巻き付いていて、何処がどうして動いているのか、よく分からなかった。
下部ハッチが閉じはじめる。
私もかろうじて飛び込むが、多数の凶蟲が、ヒドラにとりついたままだ。上昇開始。ネレイドの機関砲が、集まってくる凶蟲どもを薙ぎ払うが、ヒドラにとりついている奴らまではどうにもできない。
上昇しながら、カリンが言う。
酷い負傷をしていた。味方を庇いながら、最後尾で戦っていたからだ。戦死者も出したが、それでもペイルチームが全滅を避けたのは、カリンがいたからである。
「ハッチを開けろ。 我々で、ヒドラについている蜘蛛共を殲滅する」
「しかし、その傷で」
「このままだと、この機は落ちるぞ!」
確かにその通りだ。
私も、すぐにアーマーを張り替えようと思ったが。今更気付く。フェンサースーツそのものが、もうとっくに限界だ。
新しいフェンサースーツ。叫ぶが、先ほどまでの乱戦で、機内も修羅場だ。蜘蛛糸も飛び込んでいたし、凶蟲の死骸もある。中に飛び込んできた奴がいたのだ。
とにかく、下部ハッチが開けられる。
いきなり、凶蟲が飛び込んでくるが、冷静に弟が処置。アサルトで蜂の巣にする。無事だったペイルチームのメンバーと、三川とエミリーが、次々飛び出す。機体の外部にとりついている凶蟲を、全て叩き落としていく。
一人、迎撃してきた凶蟲に落とされるのが見えた。
アーマーを貫通されて即死だ。
くるくると廻って落ちていく。
どうしようもできない。
下部ハッチに出た弟が、アサルトを乱射。片っ端から下にいる凶蟲を薙ぎ払っていく。更にネレイドがナパームを撒くと、流石に閉口したか、凶蟲が下がりはじめる。かなりの数を倒したが、それでも味方の損害も大きい。
第四射のテンペストが来たが。
密度を再び薄くした敵陣に着弾。今までほどの効果は見込めなかった。更に、凶蟲どもは、此方に損害を充分与えたと判断したのだろう。分散して、アースイーターの方へと去って行った。
一旦ヒドラを着地させる。
スカウトからの連絡によると、まだ数百匹が、周囲に残っているという。此奴らだけでも、撃破しておかなければならない。
肉塊になったウィングダイバーの亡骸が、地面にあった。
まだナナコと同じくらいの年に見える。第三世代の戦闘特化クローンだったのは明らかだ。顔も分からないほど、悲惨な血肉の塊になっていた。
カリンが来る。
口を引き結んでいて、必死に言葉を抑えているのがよく分かった。
周囲に展開していた残存戦力を撃滅。
最終的に、敵の二割以上を削り取り、なおかつ居座っていた凶蟲は撃退には成功した。しかしペイルチームは七名を失い、大半が負傷。
北京基地に戻ると、其方も悲惨な状態だった。
煙が彼方此方から上がっている。
どうにか襲撃してきた敵部隊は撃退できたようだが。味方の損害も、相当に大きかったという事だ。
司令部に出ると、エッケマルクも負傷していた。
「敵にディロイがいてなあ」
他人事のように、エッケマルクは笑っている。プロテウスで殴り合いを行って、叩き潰したが。
奴のレーザーが、エッケマルクのいたコックピットに飛び込んできたのだとか。
「其方も大変だったそうだな。 だが、実はなあ。 まだ終わりじゃあ無いんだ」
「どういうこと、でしょうか」
「多分アースイーターを経由したんだろうな。 君らが倒し切れなかった凶蟲が、大挙して北京基地に迫っている」
数は三千を超えているという事だ。
疲弊した北京基地の防衛能力だけでは厳しいと、エッケマルクは言う。
つまり、第二幕開始と言う事である。
すぐに防衛壁の上に、味方を集める。案の定海軍は、アースイーターが繰り出してきた攻撃機と交戦中で、テンペストは撃てないという。無事だったビークル類を確認し、展開。要塞砲も、準備させた。
ネレイドは、先に出る。
護衛のファイターを連れて、可能な限り、ここに来る蜘蛛を削ると言う事だ。
城壁の上に、ベガルタも出る。筅のファイアロードはかなりダメージが深刻だが、他にもベガルタはいる。連携すれば、大丈夫だろう。
カリンは出てくる。
病院で、応急処置だけ受けてきたのだろう。
「状況は」
「先ほど撃退した敵部隊と連携して、凶蟲がくる。 ざっと三千。 青ヘクトルが敵には混じっているそうだ」
「愉快すぎて、言葉も出ないな」
隣に、カリンが立つ。
作戦については、先に話してある。だから、今更ブリーフィングも無い。
「先はすまなかった。 部下を助けてくれた事に、礼を言っていなかった」
「困ったときはお互い様だ」
「……私も、前に助けられたのにな。 どうしても貴方には素直になる事が出来ない」
敵が見え始める。
とんでも無い数だ。だが、まともに陥落させるつもりはないのかも知れない。徹底的に北京基地の戦力を痛めつけて、此方の攻勢を削ぐつもりなのだろう。餌として見せびらかしている巣にも。
簡単には近寄らせないという事だ。
要塞砲が動き始める。
轟音と共に、大威力のレールキャノンが発射。青ヘクトルを直撃。しかし、青ヘクトルは、それでも倒れない。
だが、私がガリア砲をたたき込み。
それが、青ヘクトルの胸の中央。要塞砲が直撃した場所を打ち抜くと、それがとどめとなった。
倒れる青ヘクトル。
爆裂。
開戦の合図となる。
一斉に襲いかかってくる凶蟲。
今日の夜は長くなりそうだなと、私は思った。