地球防衛軍4二次創作 2025絶滅螺旋   作:dwwyakata@2024

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精鋭、ペイルチームとの連携で必死の戦闘を行うも、それも殆ど焼け石に水。

怒濤の猛攻を続けるフォーリナーは、手を休めず、確実に体力と精神力……それに命を刈り取っていきます。


2、孤立

丸二日の戦闘で、どうにか凶蟲の大部隊を撃破。しかし、北京基地の損害も、洒落にならないものとなっていた。

 

エッケマルクは本部に増援を頼んでいるが、来るかどうか。

 

海上での戦闘も散発的に続いているし、今後は更に厳しくなるだろう。しかも、ろくでもない事態が、更に続く。

 

沿岸部の補給基地が、敵新型輸送船に急襲されたのである。

 

即座に護衛部隊は指示を受けて撤退。その結果、物資の多くが敵中に取り残されたまま。ストームチームは、即時の奪回を命令されて、動く事になった。

 

放置すれば、また北京基地が孤立することになる。

 

そうなれば、敵巣穴の攻略どころではなくなるのだ。

 

現地に到着。

 

極東に戻れるのはいつになる事か。北京基地から進むどころか、敵の巧妙な戦略に振り回されてばかり。

 

そしてオーストラリアにいる本命は、確実に今も、力を付けているのだ。

 

敵の輸送船はいずれもが新型。

 

かなりの数の黒蟻と凶蟲が、既に展開している。問題は、今回は大威力火器で、倉庫を傷つけるなと言う指令が出ていることだ。

 

勿論、火薬類は厳重に保管されている。

 

しかしそれでも、引火の恐れが無いとはいえないのだ。

 

故に、以前三島が開発したビーコンを輸送船にうち込んだ後、狙撃戦で敵を撃破する事になる。

 

そして近づいてくる敵は、可能な限りの短時間で撃滅。

 

作戦は以上だ。

 

戦いは淡々と始まり、淡々と続く。

 

多数の飛行ドローンもいるが、特に問題も無い。輸送船が二機落ちた時点で、もう三機現れるが。

 

今回は味方の支援戦力もいる。

 

親城准将が部隊を連れて来ていて、大体の黒蟻と凶蟲は引きつけてくれていたので、輸送船の撃破に専念することが出来た。

 

四隻目を落としたところで、敵が撤退開始。

 

あっというまに引き上げる。巨大生物もそれに合わせて、影も形も無くなった。

 

「クリア。 だが、釈然としないな」

 

涼川が不機嫌そうに言う。

 

この間の凶蟲の群れと戦ったときは、本当に楽しそうにしていたのに。今回は、敵に戦意が露骨に無かったのが、気に入らないのだろう。何より爆発物の使用が禁じられていたので、余計ストレスが溜まっていた、という事もあるに違いない。

 

すぐにスカウトが、倉庫を確認。

 

幸い、武器弾薬は無事だ。

 

中には、ベガルタファイアロード用の火器や、換装部品もある。最前線はもはや世界中に拡がっているから、こういった最新鋭兵器の部品も、彼方此方にとっちらかってしまっているのだ。

 

「ヒドラですぐに北京基地に輸送します」

 

「制空権がいつまであるか分からない。 すぐに取りかかって欲しい」

 

「イエッサ!」

 

スカウトが、ヒドラを使って、物資の輸送を開始。

 

調査を続けていた親城准将が戻ってくる。皆の前だから、硬い口調だ。

 

「良くないことが分かった」

 

「何か問題が」

 

「此方だ。 来て欲しい」

 

言われるまま、弟と一緒についていく。

 

たしかに、それはどうしようも無い状況と言わざるを得なかった。この基地は港湾施設の一種だが。

 

一部の基礎が、砕かれているのだ。

 

巨大生物たちが、よってたかって破壊したのだろう。酸を散々浴びせられて、いつ崩れてもおかしくない状況だ。

 

もうこの施設は使えない。

 

だから敵は、あっさり引いたのだ。やはり連中は、ただでは引いてくれない。港湾施設が使えない状態になったからこそ、誘引が終わった時点で、さっさと引く選択を採ったのである。

 

勿論修復すれば使えるが。今のEDFにその力は無いし。大半が地下シェルターに潜んでいる人々に、危険を冒して出てこいと強制することも不可能だ。

 

親城准将が嘆息する。

 

「敵の方が相も変わらず戦略的な手腕が数段上だ。 前大戦でも、人類は本当に勝つことができたのが、奇蹟も同然だった」

 

彼には、真相は知らされていない。

 

前大戦から良くしてくれている彼に真相を話す事が出来ないのは、とてもつらいことなのだけれど。

 

ほいほい誰にでも、話せることでは無い。

 

心苦しい。

 

北京基地へと戻る。周辺から敵を排除した事に代わりは無いので、急ピッチに修復は進んでいる。

 

だが、誰もの顔が暗い。

 

少し前に、三千超の巨大生物に襲撃されたこともある。いつ、アレを超える戦力が襲ってきてもおかしくないし、なによりアースイーターが来たらひとたまりも無いと、皆知っているのだ。

 

怒号が聞こえた。

 

殺気だった兵士が、喧嘩しているのだ。

 

弟がすぐに出向く。喧嘩しているのは、赤毛の白色人種の大男と、黒色人種の細い男だった。細いと言っても軍で訓練されているから、筋肉質である。

 

喧嘩の理由は、些細な事だった。

 

ただ、肩がぶつかったとか、そう言う内容である。弟が姿を見せても、二人はとっくみあいをやめない。

 

喧嘩では無い。

 

とっくみあいだ。

 

普段だったら、気性が荒い軍人達は、周囲でやんややんやとはやし立てたりするのだが。この状況である。誰もが無視していた。

 

弟が介入。

 

ひょいと赤毛を掴みあげると、地面にバックブリーカー。

 

それを見て、かなり顔に痣を作っていた黒人が流石に黙り込んだ。

 

「ス、ストームリーダー」

 

「二人とも頭を冷やせ。 すぐに高ストレス解消モードで、カプセルに入れ」

 

「しかし、哨戒任務が」

 

私がスケジュールを確認すると、確かに入っているが、それはもうよい。私と弟が、代わりに出る。

 

そう聞くと、申し訳なさそうに、二人とも視線を背けた。

 

「良いんだ。 余裕がある者が、代わりにやればいい。 私も弟も、今は過分な地位を貰っているが、戦っている点では君達と対等のつもりだ」

 

「すみません、ストームサブリーダー」

 

「すぐに休め。 それも仕事のうちだ」

 

二人が消える。

 

流石に、申し訳ないと思ったのだろう。凶蟲の襲撃でも、私と弟は、圧倒的大群に対して一歩も引かず、多大な戦果を上げたのだから。

 

原田が来る。

 

ジープの運転をさせて欲しいというのである。矢島も。何かの役に立てるかも知れないと。

 

「良いだろう。 ただし哨戒任務は、休憩を削ってのものとなるぞ」

 

「イエッサ!」

 

原田がすぐにジープを引っ張り出してくる。基地の正門から、出撃。周囲には回収し切れていない凶蟲の死骸が点々としている。パワーがある軍用ジープだ。多少の瓦礫はものともしない。

 

不発弾が多数ある状況だが。

 

ジープに掛けられているアーマーは強力で、生半可な爆弾なら、一発二発は耐え抜ける。それを分かっていても、ひやりとする場面は多い。

 

不発弾を見つけた。

 

スピアをうち込んで、爆破処理する。

 

基地は既に、かなり後方になっていた。この辺りには街があったのだが、もはや残骸すらまばら。

 

作り直すとしたら、一からになるだろう。

 

「工場のラインが焼け付きそうだと、さっき民間協力者がぼやいていました」

 

「まだしばらく無理をして貰う事になるだろう。 大変だが、仕方が無い。 それよりも、周囲に警戒を続けろ」

 

「イエッサ」

 

街の絶対防空圏を抜ける。

 

敵の偵察部隊といつ鉢合わせてもおかしくない。通信も、以前に比べて、かなり悪くなっている。

 

アースイーターの影響だ。

 

不意に、通信が飛び込んでくる。

 

「此方スカウト3!」

 

「どうした」

 

「巨大生物です! 北京基地に向かっています! 前回の、凶蟲の群れが、増援を引き連れて戻ってきたようです! 数は二千を超えています!」

 

また、二千以上か。

 

しかも、である。

 

ろくでもない報告が、更に続く。

 

「凶蟲の中に、ひときわ巨大な個体がいます! あれは、報告にあった蜘蛛王かと思われます! しかも、三体です!」

 

「蜘蛛王が三体だと!」

 

「間違いありません!」

 

「すぐに距離を取れ。 奴の攻撃能力は、戦車を瞬時にスクラップにするほどのものだ」

 

スカウト3が、慌ただしく敵部隊と距離を取るのが分かった。

 

どうやらこれは、任務延長で確定だろう。

 

ジープを繰って、敵部隊に接近する。敵は空爆を警戒して、広範囲に散らばりながら、此方に迫っている様子だ。つまりスカウトが確認した数は、氷山の一角である可能性が高い。

 

小高い丘に出る。

 

其処から、望遠レンズで敵陣を確認。

 

凶蟲が多数。

 

報告通り、まっすぐ北京基地へと向かっている。

 

まだまだ此方の戦力を削るつもりと言うわけだ。ただ、報告にあった蜘蛛王の姿はない。これは、ひょっとすると。

 

再び、通信が入る。

 

スカウト3ではない。別方面に展開している、スカウト5からだ。

 

内容はスカウト3と近い。巨大な凶蟲を確認というものだ。ひょっとすると、此方を幻惑でもするつもりなのか、或いは。

 

実際には、三体以上の蜘蛛王がいるのか。

 

すぐに撤退するよう指示。

 

代わりに、谷山を呼び出す。

 

「すぐにネレイドで出てきて欲しい。 ファイターも護衛に出して貰った方が良いだろうな」

 

「分かりました。 それにしても、蜘蛛王が前線に出てくるとは」

 

「前大戦では、お前が撃破一番乗りだったか」

 

「いえいえ、アシストがあっての事ですよ」

 

前大戦でも、足を広げると全長八十メートルに達する蜘蛛王は交戦の記録が殆ど無い。私と弟は何度か戦ったが、とにかく手強い相手だった。

 

巨大生物の生態はまだ不明な部分が多い。

 

女王蟻がメスで、蜘蛛王がオスだという説もあるのだけれど。それが本当かどうかは、分かっていない。

 

ただ、蜘蛛王が圧倒的な攻撃能力を持つ怪物である事は事実。しかも巨体の上に身軽で、凶蟲同様に軽々と跳躍。数百メートルを音も無く、一瞬で詰めてくる。その上放ってくる糸の凶悪さは、凶蟲を束にしたよりも凄まじいほどだ。凶蟲と違って装甲も強固で、多少の対戦車ロケットランチャー程度の直撃では、びくともしない。

 

前大戦よりも、更に手強いとみて良いだろう相手。

 

敵の動きを見ながら、ジープで下がる。途中、先発隊らしい凶蟲の群れを発見。背後から近づいて、ハンマーで一撃。吹っ飛んだ連中を、弟がアサルトでとどめを刺す。音が大きいため、迫撃砲は使わない。

 

十匹ほどの小集団は、これで撃滅できた。

 

スカウトと連携を取りながら、基地へと撤退する。この様子だと、北京基地まで到達するまで、二時間ほど。

 

兵士達の不安と恐怖は、この様子では間もなくピークに達するだろう。

 

ネレイドが数機、編隊を組んで出てくる。ファイターも護衛についてくれている。

 

敵の高空戦力を、前回の戦いで壊滅させたけれど。

 

中国地区は既に敵の掌握下にある。その上アースイーターが彼方此方にいるのだ。五月蠅いと感じたら、すぐにでも迎撃部隊を出してきてもおかしくない。

 

ネレイドが、重機関銃で攻撃を開始。

 

凶蟲の軍勢を駆除しはじめる。低空飛行を避けているのは、相手の数が数だからだ。攻撃が開始されると、やはり凶蟲が、一斉に動き始める。

 

スカウトは、既に基地に戻っているはずだ。

 

此方も、急いで戻った方が良いだろう。

 

途中で、何度か斥候の敵部隊を片付けながら、基地へ急ぐ。

 

出来るだけ急いで、準備は整えなければならない。

 

 

 

基地に戻ると、更に兵士達が殺気立っていた。

 

隅っこで頭を抱えて、ぶつぶつ言っている兵士。PTSDに掛かってしまったのかも知れない。

 

病院は負傷者で満員状態。

 

急速医療で治してはいるけれど。それにも限界がある。

 

基地のダメージも、回復しきっていない状況。ネレイド部隊が出て行ったが、どれだけ敵の数を削れるかどうか。

 

エッケマルクが来る。

 

軽く幹部を集めて話をするが。幹部の中には、疲労で顔を青くしている者も、少なくなかった。

 

「早期での発見を今は喜ぶべきだろう。 だが、敵も旺盛な戦意だ。 少しは休めばいいものを」

 

皮肉混じりに、エッケマルクが言うが。

 

彼にしても、疲労の色は隠せない。皮肉屋である陣頭の猛将は、スカウトと、私と弟がまとめた敵の進行状況と、おおよその戦力を見て、高笑いした。

 

「また、馬鹿馬鹿しいほどの数だな」

 

「もう、攻略作戦は諦めるべきでは」

 

挙手したのは、准将の一人、グエン=サム。東南アジア地区から援軍として来た、レンジャー部隊を率いている人物だ。

 

親城准将とは口も利かない。

 

かなりの堅物らしく、軍人同士でなれ合うのは良くないと、考えた末での行動らしい。部下達からも怖がられていて、鬼のグエンと呼ばれているのを、何度か見かけた。

 

「今まではどうにか迎撃できていますが、ストームがいてさえ、なおもこの戦況なのですよ。 敵の巣穴に接近するのがそもそも無謀ですし、大軍が接近した所で、周囲から包囲攻撃を受けて壊滅でもしたら」

 

「オーストラリアの巣穴を叩く戦力が残らない、か」

 

「そうだ」

 

弟に、肩肘を張って接するグエン准将。

 

准将以上の人間は、全体的な戦線の様子が知らされている。だからオーストラリアが超危険地帯だと、幹部は皆知っている。

 

だが、此処で撤退するのは、敵の高空戦力。つまり蜂が、多数生産され続ける事を、傍観するも同じだ。

 

蜂による被害は世界中で拡がり続けている。

 

幸い、今では対策も少しずつ出来るようになってきてはいるが。脅威である事に、代わりは無い。

 

今の時点で、新たな巣が確認されている様子は無いが。

 

それでも、叩けるときに、叩かなければならないことに、代わりは無いのだ。

 

いずれにしても、今は迎撃だ。

 

配置が決められて、幹部が解散。

 

既に厭戦気分が広まりはじめている。幹部でさえこれだ。末端の兵士達が、殺気立つのも無理はない。

 

銃撃の音。

 

外壁に上がってみると、もう凶蟲の姿が点々と見え始めていた。

 

早すぎる。

 

セントリーガンは既に稼働して、敵に対する攻撃を開始している。ばらばらと上がってくるストームチーム。

 

筅と谷山だけはいない。二人とも、ネレイドで出ているからだ。

 

「話は聞いていると思うが、凶蟲がまた来る。 先以上の規模で、三体の蜘蛛王が混じっている」

 

「ハ、上等だぜ」

 

凶暴に笑っている涼川が、スタンピートを取り出す。

 

だが、弟が、咳払いした。

 

「しばらくは狙撃戦に徹して欲しい。 敵の狙いは、この基地の疲弊を狙うことだとみて良いだろう」

 

「本当にそうだろうか」

 

ジョンソンが呟く。

 

そういえば。

 

巨大生物がこのように使い捨て同然の特攻を仕掛けてきたことが、確か前にもあったような気がする。

 

その時の、奴らの狙いは。

 

ふと、思い当たる事があるが、黙り込む。いずれにしても、今は此処を、死守する必要があるのだから。

 

総員戦闘開始。

 

他のチームも、外壁の上に来る。

 

おのおのスナイパーライフルを構え、射撃開始。凶蟲は一度に百メートル以上を、音も無く跳躍して来るのだ。下手に近づけると、一気に外壁を飛び越えられ、基地内に侵入される。

 

勿論その時に備えて、基地内にも多数の兵士が残っているが。

 

それは、外壁に全戦力を集められないことも意味していた。

 

私は迫撃砲を持ち出すと、敵陣に叩き込みはじめる。

 

まだ敵陣の密度は薄く、効果は小さいが。今の時点では、確実に敵を削る事が肝要なのだ。

 

射撃戦を行いながら、バイザーを使って、三島に連絡を入れる。

 

彼奴は確か、今回の作戦の肝となる、衛星兵器からの射撃管制を預かっているはずだ。

 

「三島、少し調べて欲しい事がある」

 

「どうしたのー? 今、四徹の最中なのだけど。 いくらはじめちゃんでも、用件次第じゃ、流石に怒るわよー?」

 

「はじめちゃん言うな。 気になる事がある。 衛星兵器の照準は、既に敵の巣穴に合わせているな?」

 

「そうだけれど、何」

 

全力で、射撃をぶち込んで欲しい。

 

そう言うと、流石に三島も押し黙った。

 

弟も驚いて、此方を見る。ハーキュリーの装填を続けながら、バイザーに通信を入れてくる。

 

「どういうことだ、姉貴」

 

「敵のやり口を考えると、どうもおかしい。 ひょっとすると、敵の主力、といっても蜂どもの主力だが、とっくの昔に東南アジアとの境にある巣に移ったのでは無いかと思ってな」

 

そうなれば、此処にEDFの大戦力を引きつければ引きつけるほど、敵にとっては有利になる。

 

その攻勢戦力を消耗させれば、なおさらだ。

 

ジョンソンの疑念は、確かにもっともだ。巨大生物は、基本的に極めて戦略的に動くのである。

 

どうもこの攻撃には無駄が多いと感じていた。

 

奴らが、わざわざ無駄など作ると言う事は。

 

残される結論は、意図的にやっている、だ。

 

問題はその意図だった訳だが。もしそれが、大規模陽動だったとしたら。

 

そもそも敵の根本戦略は、オーストラリアの本命を培養することだ。フォリナ内の現状打開派にとって、夢とも希望ともなる最高の肉体。それがどういうものなのかは分からないが、それ以外の巨大生物は完全に贄となると見て良い。

 

北京基地西の敵巣穴は。

 

最も効率よく活用されて。

 

既に捨てられていると、みるべきなのではあるまいか。

 

「おそらく敵は、此方の戦力を削ぎつつ、攻撃の隙を見せてくるはずだ。 だが、此方が先手を打てば」

 

「なるほど、考えたわねえ」

 

「やってもらえるか」

 

カーキソンに直接言う事も考えたのだが、此方が恐らくは早い。

 

実験として敵巣穴に大火力戦略爆撃をすることは、損にはならないはず。カーキソンも、納得するはずだ。

 

三島はこれから対応すると言い残すと、通信を切る。

 

外壁の下に現れる凶蟲が、少しずつ、だが確実に増えている。陽動だからと言って、手は抜かないと言っているかのようだ。

 

ハーキュリーで、立て続けに黒沢と秀爺が、凶蟲を撃ち抜く。

 

ほのかは秀爺の観測手を続け。黒沢はそれを聞きながら、参考にしつつ射撃をしているようである。

 

流石に秀爺ほどの腕前では無いが。

 

黒沢の狙撃が、確実に上手くなっているのが見て取れる。

 

「此方谷山」

 

「どうした、何か起きたか」

 

「処理しきれないほどの大群が、其方に向かっています。 総力戦の体勢を。 テンペストは先ほどから要請して叩き込んではいますが、これでは埒があきませんね」

 

「分かった。 どうにかする」

 

矢島。

 

呼ぶと、矢島は顔を上げる。

 

「私がこれから、敵陣に切り込む。 お前は私が暴れている以外の地域に、迫撃砲を撃ち込み続けろ」

 

「俺も、出たいです」

 

「今は我慢しろ。 お前が機動戦をやるのはまだ早い。 もう少し私の動きを見て、学習しろ」

 

今回は本格的な見稽古だ。

 

頷くと、矢島が迫撃砲を構える。私は外壁を飛び降りると、ブースターを全開。飛んでくる凶蟲の糸を左右にステップして避けながら、ハンマーを振るい上げた。

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