地球防衛軍4二次創作 2025絶滅螺旋   作:dwwyakata@2024

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4、喰らうモノの力

ヒドラは岐阜のアースイーターに最も近い、琵琶湖基地に泊まった。

 

琵琶湖基地は元々それほど大規模では無く、大阪基地のサテライト支部という意味合いが強かったのだけれど。

 

前大戦では最後まで交戦を続けていた基地で、マザーシップとストームチームの殴り合いの際、此処から出た部隊が敵の一部を食い止め、決戦の勝利にわずかながら貢献している。

 

そう言う意味もあって、名誉な基地だ。

 

故にサテライト基地でありながら、指揮官には経験豊富な人物が当てられている。今回も、集結しつつある戦力を見事に統率して、隙無くまとめていた。

 

出来る人物だなと、黒沢兵司は思う。

 

ここのところ、自分以外のメンバーが、何か秘密を共有した空気があった。それはつまり、柊と自分がつるんでいて。なおかつジョンソン大佐とも裏で情報を共有していることが、ばれているという事だ。

 

しかし、だからなんだというのか。

 

おそらく秘密は、フォーリナーという存在について。

 

そしてある程度、もう推察は出来ている。

 

奴らは単純な侵略宇宙人などではなく、何かしらの目的で地球に来ている。多分人間と交戦することそのものが、目的であろう。

 

推察できたのは、他でもない。

 

今まで得られたデータを分析する機会があったからだ。柊が提供してくれたデータを独自に解析して、その結果を出したのである。

 

戦いは、毎日続いているわけではない。

 

時間は、時々生じる。

 

最近は香坂夫妻に連れられて、食事に誘われることもあって。時間が取られて煩わしいと思う事もあったが。

 

それでも、調査の時間そのものは、確保できていた。

 

ストームリーダーははじめ特務少佐とジョンソン大佐と一緒に、幹部会議に出る。その間。黒沢は香坂夫妻に連れられて、ジープで偵察に出る事になった。

 

秀爺と呼ばれている香坂秀夫氏は、ライサンダースナイパーライフルを持つ事を許されている、世界屈指の狙撃手の一人。黒沢もハーキュリーを渡されているが、ライサンダーはその三倍近い破壊力を持つ、携行式艦砲とさえ言われる圧倒的な代物。使いこなせば、ハーキュリーよりもより強い。何度か黒沢も実戦で触らせて貰ったが、使いこなすのはまだまだ無理だ。

 

運転をしているのは、香坂ほのか。

 

これまた、世界有数の観測手。

 

数字により独自の高速観測補助をこなし、夫婦で連携して高密度高精度の狙撃をこなす。やり方は習ったけれど、とんでもない名人芸だ。機械で出来たスナイパーでも、此処まで上手くは行かないだろう。

 

岐阜近くに到着。

 

望遠レンズで覗く。

 

アースイーターはまだそれほど拡がっていないが、それでも二キロ四方ほどの空を覆っている。

 

極東には、現在八カ所アースイーターが展開しているのだが。

 

その中で、最小規模のものだ。

 

「砲台の位置を確認」

 

「イエッサ」

 

言われるままに、見て覚える。

 

記憶力が良い黒沢は、この程度の記憶は、すんなりこなすことも出来る。勿論バイザーには記憶機能もついているので、後で記憶とすりあわせもする。そうしないと、間違いはどうしでも出るからだ。

 

ジープで廻りながら、確認。

 

今の時点でディロイはいないけれど。航空機がかなりの数巡回している。あれは多分、新型の攻撃機だろう。

 

今の時点でEDFは、飛行ビークルと名付けることを予定している様子だ。飛行ドローンと区別するためだろう。

 

迂闊に攻撃すれば、即座に反撃してくる。

 

手を出せないのが口惜しい。

 

しばらく周囲を回って観察を行った後、引き上げた。琵琶湖基地では、既にストームリーダーが待っていた。

 

全員でヒドラに移動。

 

作戦のブリーフィングが行われる。

 

「このヒドラが、今後はストームの専用機となる」

 

最初に、それが告げられた。

 

なるほど、以前から話は出ていた。ようやく、実行に移されるというわけだ。黒沢からしてみれば、どうして今までそうしなかったのか、不思議でならない。世の中はもっと合理的に動くべきである。

 

作戦について、詳細が告げられる。

 

今回は敵地に突入するストームチームを、幾つかのレンジャーチームが支援する。アースイーターは破壊してもお代わりが来る事が幾つもの戦場で確認されており、それがどれだけで根負けするか、つまり破壊しきれるか、今回は測る。

 

当然、ディロイや攻撃機の猛攻に晒されることになる。

 

故にスナイパー部隊を周辺に配置。

 

なおかつネグリングを十両以上配置して、支援砲撃に努める。また、砲兵隊も、出てきている様子だ。

 

水平射撃で、敵の砲台を狙うのである。

 

とにかく、ストームチームは、敵と真正面からやり合う。こればかりは、ストームチームにしか出来ない。

 

幸い、ビークル類は整備も完璧。

 

物資も北京基地や、周辺補給基地に備蓄していたものが廻されてきていて、ある程度は豊富だ。

 

そして今回から、幾つかのバージョンアップも行われる。

 

まず配備されるバイク。

 

大型バイクはサイドカーになっており、武装も据え付けられている。最新のモデルは、以前より更に頑強で、スピードも出る。

 

渡されるスティングレイロケットランチャーも、今回からM99と呼ばれるタイプに変更。

 

更に火力が上がり、連射も効く強力なものだ。

 

ネグリングに加えて、グレイプも改装された。速射砲に誘導機能がつき、かなりおおざっぱな狙撃でも当てられるようになっている。

 

全体的な改良強化が行われているという事だ。

 

「狙撃武器を中心に、全員でアースイーターに集中攻撃を行う。 ディロイには、精鋭で集中攻撃を加える」

 

具体的には、はじめ特務少佐、涼川中佐、それに香坂夫妻。

 

ストームリーダーはハーキュリーを使って、マルチに対応。主に攻撃機の撃破に注力することになる。

 

後のメンバーは、アースイーターへの攻撃。

 

順序についても、指示が出る。

 

まず敵コアを叩く。その次がハッチ。最後に、多数ついている砲台。この順番を守る事によって、効率よく敵を破壊できる。

 

敵コアを破壊できれば、周りのブロックを一緒に粉砕できるのも、大きい。

 

ただ、敵は物量を圧倒的に投入してくる。戦えば当然消耗は大きくなっていく。継戦能力を考えると、キャリバンを中心にやっていくしかない。

 

しかし、此処で新しい作戦が試される。

 

挙手したのは谷山。少し前に、彼も中佐になった。世界最強のヘリパイロットと名高い彼は、今回は地上戦を担当するという。

 

そして、彼が持ち出したのは、通称電磁プリズン。

 

強力な防御シールドを発生させる兵器である。ただし、制約が大きい。いうまでもなくシールドベアラーを解析して造り出されたものだが、あれほどの圧倒的な防御力はないし、しかも壁のようにシールドを張るのが限界だ。

 

「今回は、私がこの電磁プリズンの管理を担当します」

 

「ヘリで出ないんですか?」

 

「アースイーター相手には相性が悪いですからね」

 

無邪気に聞く日高少尉に、笑いながら応える谷山中佐。黒沢は、面白くもないと、心中で呟く。

 

柊が会議の様子をずっと取材していた。

 

此奴と組んだのは、失敗だったかも知れない。

 

 

 

作戦が、開始されたのは、早朝。

 

ストームチームのビークル類が陣形を組んで出撃。今回は、琵琶湖基地にあったギガンテス戦車がその中にいる。本当はタイタンをと言う声もあったのだけれど、流石にそれは許可されなかった。

 

ギガンテスに乗っているのは谷山中佐だ。

 

黒沢は、いつものようにキャリバンで出撃。隣には、香坂夫妻が座っている。

 

昨晩は、考えをまとめようと思ったのだけれど。二人にすき焼きに誘われて、ついていった。

 

とても美味しいすき焼きで、つい食べ過ぎてしまったのは不覚だ。人に弱みなど、見せたくはないのに。

 

レンジャーチーム7つが、遅れて出撃。

 

更に補助として、フェンサーチームとウィングダイバーチームも出る。フェンサーチームはいざというときに、盾を並べて負傷者を庇う。ウィングダイバーチームは遠距離からミラージュを用いて、攻撃機の動きを鈍らせる。

 

レンジャーチームは、救援用に予備のキャリバンを管理するほか、スナイパーライフルで攻撃機を狙撃。

 

狙えるところにある砲台も落とす。

 

勿論、敵が巨大生物を繰り出してきた場合の対処も担当する事になる。

 

ギガンテス戦車十二両、キャリバン二十両、ネグリング五両、イプシロン八両も、続々と琵琶湖基地を出撃。

 

基地の殆ど全戦力だ。

 

基地司令官は、指揮車両であるタイタンに乗って、最前衛に出てきている。タイタンだったら滅多な攻撃には倒されないし、広域攻撃も出来るからだ。動きが鈍い特大の戦車も、指揮車両としては使いやすい。

 

「間もなく攻撃範囲に入ります」

 

「一旦停止。 狙撃班、イプシロンに」

 

「イエッサ」

 

グレイプを出て、イプシロンに移る。

 

イプシロンを用いるのは香坂夫妻。黒沢はタンクデサンドして、ハーキュリーで小物を狙う。

 

すぐに、射撃戦が開始された。

 

グレイプにタンクデサンドしているストームリーダーが、突入を命令。同時に、目につく砲台を打ち始めた。

 

すぐにアースイーターも反撃開始するが。開始七秒で、コアブロックがイプシロンのレールガンから放たれた高速弾の直撃を貰う。更に其処へ、はじめ特務少佐の新型ガリア砲の弾がとどめを刺す。

 

爆裂。

 

膨大な破片が降り注いでくる。

 

更に二つ目のコアを狙うが、攻撃機が来る。

 

ばらばらと出てきた皆が、車両と並行に走りながら射撃。アースイーターの中心部に移動しながら、射撃戦を続ける。

 

規模としては小さいはずなのに。

 

砲撃が凄まじい。アーマーが削られていくのが、目に見えて分かる。黒沢も幾つもの敵砲台を撃ちおとすけれど。

 

とても手が足りない。

 

中心部に到達。ギガンテスを飛び出した谷山中佐が、電磁プリズンを展開。幾つかの装置から、壁状のシールドが浮き上がる。これで、多少は砲撃を緩和できるはず。

 

二つ目のコアが叩き落とされたのは、直後。

 

流石に早い。

 

香坂ほのかは、ずっと数字を呟き続けている。幾つかのルールがあり、黒沢への指示も含まれている。

 

数字に合わせて狙いを付け、射撃。

 

攻撃機は、遠距離からのミラージュと、アースイーターの外側に展開しているレンジャーチームが次々落としてくれている。後は頭上に来る奴を、即座に迎撃して、叩き落としてやればいい。

 

ハッチが開く。

 

ディロイが来る。

 

しかし、させない。

 

レールガンの弾が開いたハッチを直撃し、同時にガリア砲とライサンダーの巨弾が飛び込む。

 

ライサンダーを使っているのは、ジョンソン大佐だ。

 

出ようとした攻撃機が、ハッチごと爆裂。

 

「そろそろだな」

 

ストームリーダーが呟いてから、五秒もしないうちに。一旦、何も最初からいなかったかのように、アースイーターが消え失せ。

 

そして空の向こうから、代わりが来る。

 

即座にコアに集中攻撃が行われ、その中の数ブロックが粉砕されるが。しかし、お代わりは次から次へと来る。

 

此処からは、持久戦だ。

 

 

 

地面に投下されたディロイが、レーザーの束を放ちながら、迫ってくる。

 

無言で零式レーザーを機動したジョンソン大佐。それに、今回フュージョンブラスターを渡されている日高少尉。

 

二人の大火力攻撃が集中し、さしものディロイも苦しそうに身を捻る。

 

其処へ、突貫したはじめ特務少佐が、下をくぐり抜けながらディスラプターの火力を浴びせる。

 

ついに爆裂し、ふっとぶディロイ。

 

ハッチも傷ついていて、イプシロンからの射撃で、粉々に消し飛んでいた。

 

ストームリーダーは、可能な限りの速度で、誤射もほぼせず。確実に敵を落としながら、なおも言う。

 

「次が来るぞ、備えろ」

 

攻撃機は、増える一方。

 

アースイーターの外側に展開している部隊がつるべ打ちにしているはずなのに、次から次へと現れる高空戦力。

 

そしてアースイーターは。

 

何度破壊されても。

 

どれだけ砲台を壊されても。

 

平然と、次を投入してくる。絶対に、一度確保した地域は、渡さないと言うかのように。

 

破壊した後、お代わりが来るまでのタイムラグを利用して、スカウトが突貫。破壊された破片などを回収して、すぐに脱出するが。しかし攻撃機が増えてきていて、それも難しくなってきている。

 

外部の狙撃チームは良くやってくれているが。

 

攻撃機は、広域に散らばって、攻撃を展開。

 

被害は増える一方だ。

 

「また次が来ます!」

 

黒沢は、警告も兼ねて叫んでいた。

 

既に電磁プリズンも、怒濤の猛攻で相当に傷ついている。管理は丁寧に谷山中佐がやってくれているが、それも限界が近い。

 

筅のベガルタも、射撃を繰り返して相当数の敵を落としてくれているが。元々、ファイアロードは対空戦に向いていない。

 

電磁プリズンがなければ、もうとっくに限界を超えている。

 

「そろそろ引き上げ時では」

 

「……そう、だな」

 

バイザー越しに通信を入れると、ストームリーダーは言葉を濁す。

 

既に敵は増援を投入してくること七回。

 

破壊したコアの数は三十四。撃墜したアースイーターブロックの数は、二百と五十を超えている。

 

にもかかわらず、全く動じることもなく。気にする事もない敵の圧倒的な力は、既に証明されているとも言えた。

 

「次の増援を撃破し次第撤退する」

 

ストームリーダーの言葉に、少しほっとしてしまう。

 

それならば、ラストスパートだ。敵も損害は相当に出しているのだ。此処で打撃を与えておくことに、決して損は無い。

 

将来の勝利に、大きな布石となる筈だ。

 

そう言い聞かせる。

 

本当かどうかは分からない。星を覆うほどの相手だ。此処で多少破壊したところで、何になるだろう。

 

そう考えている自分も、確かにいるのだ。

 

コアが打ち抜かれ、破壊されたアースイーターが落ちてくる。砲台を破壊し、ハッチを打ち抜く。

 

攻撃機まで、手が回らない。

 

レーザーが浴びせられ、ついに電磁プリズンが吹き飛んだ。

 

此処までだ。

 

「撤退!」

 

陣形を組んだまま、整然とストームチームが下がる。下がりながらも、イプシロンが射撃し、コアを落としていくのは流石だ。香坂夫妻が、世界最高クラスのスナイパーだと、黒沢にも一目瞭然である。

 

アースイーターの攻撃圏から逃れる。だが、まだ攻撃機が追ってくる。支援部隊と合流、一目散に後退開始。

 

支援狙撃部隊も、かなりの損害を受けていた。電磁プリズンも展開されていたのだが、それでも、である。

 

下がりながらスナイパーライフルで猛攻を加え、攻撃機を全て叩き落としてしまう。

 

それから、帰路につく。

 

アースイーターは、再び完璧に元の勢力を維持。

 

結局、サンプルは入手できたが。アースイーターへの攻撃作戦は、失敗に終わった。

 

 

 

琵琶湖基地に逃げ帰ってきて、それから損害を確認。

 

私はストームチーム最後尾のキャリバンにタンクデサンドして盾を構えていた。矢島もとなりで同じようにしていた。

 

それで被害を減らすことは出来たけれど。

 

勝敗を覆すことは出来なかった。

 

「はじめ特務少佐、おけがはありませんか?」

 

キャリバンの下から、池口が声を掛けてくる。此奴は結局無事だった。なんだかんだで、怪我が少ない奴である。

 

三川とエミリーはどちらも負傷して、病院に。まあ、重傷では無いから、今日中に出てこられるだろう。

 

味方はさんさんたる有様だ。

 

電磁プリズンが破壊されたときには、かなりの被害が出ていたし。その後の砲撃で、相当にビークル類の破損も出ていた。

 

基地司令官は最後尾に残って撤退を支援したので、帰還は最後。

 

アースイーターは威圧的に攻撃機を侍らせて、次に来たら叩き潰すと脅しているかのようだった。

 

合計八回のお代わりをさせたのは、今回が初めてだが。

 

逆に言えばアースイーターは、八回全損しても、代わりを出す事を躊躇わないという事も意味している。

 

日高司令から連絡が来る。

 

最近はアースイーターによる通信妨害のせいで、声が聞き取りづらくなることも多かった。

 

「作戦内容は見たが、残念だった。 この件について、これから会議を行う。 すぐに出て欲しい」

 

「イエッサ」

 

弟と一緒に、琵琶湖基地の司令部に。

 

黒沢が憮然とした様子で、アースイーターを見つめていた。彼奴にも、そろそろ真相を話してやるころか。

 

ただ、問題は柊だ。

 

柊に安易に情報を流さないというのなら。ジョンソンとエミリーも含めて、話をしてやりたいところだ。

 

黒沢は何というか、生き急いでいる様に見える。

 

私としても、それは痛々しいと思えた。

 

司令部に入ると、殆どの幹部がボイスオンリーである。准将が一人いない。遅刻では無いなと、私は思った。

 

案の定、彼のいた基地が巨大生物と攻撃機の攻撃を受け、壊滅。戦死したと知らされる。極東でも、被害は加速度的に大きくなってきていた。

 

会議に出ているのも、極東の面子だけ。

 

カーキソンが出るような総会議は、もうしばらく開けないかも知れない。北米の戦況も、著しく悪いと聞いている。

 

日高司令が、話し始めた。

 

「アースイーター攻略作戦が失敗に終わったことは皆も聞いていることと思う。 八回にわたって完全破壊したにもかかわらず、増援を投入してきた。 まともに殴り合って、倒せる相手ではないとはっきりした」

 

「何しろ地球を覆うほどの相手です。 真正面からやり合っても、力尽きるのは目に見えています」

 

補足したのは、彼の参謀だ。

 

嘆息が漏れる。今回の作戦で、アースイーターを撃滅できれば、他の地点でも、と誰もが考えていたのだ。

 

気持ちは良く分かるが。

 

相手の戦略を考えると、アースイーターによって制圧した地域を抑えるのは、絶対なのだろう。

 

「小原博士、どう思う」

 

「幾つかのデータを確認しました。 今回の戦いで、サンプルをスカウトが相当量持ち帰ってくれたので、研究が進んでいます。 ええと、それによると、ですな。 どうやらアースイーターは、極端に並列化した管理をしているようなのです」

 

「並列化管理というと」

 

「管理が複数階層になっているのではなく、中心点があって、其処から命令を出していると見て良いはずです」

 

要するに、だ。

 

小隊長の役割を果たすコアがある。そのコアはたくさんあるが、どれも同格。そして、小隊長の上が、いきなり元帥という訳だ。

 

「つまり、総合管理をしている何かがあると」

 

「そう考えて間違いないかと思います。 ただし、もう少し調べた上で、結論を出すつもりですが」

 

つまり、それさえ叩けば、まとめて破壊できるという事か。

 

しかしそれがどのような姿をしているのか。

 

どのようなサイズなのか。

 

何しろ星を覆うほどの大規模艦隊。それこそ、月ほどのサイズがあっても、全く不思議ではない。

 

それにしても、敵がこのような欠陥システムを使っているのも、条約などが関係しているのだろう。

 

強力すぎる兵器は持ち込めないのだ。

 

勿論、相手が本気になって此方を全滅させようとしたら、もはやなすすべがない。しかし、アースイーターに関しては、一縷の希望が出てきた。

 

問題は、そこでは無い。

 

「オーストラリアはどうなっていますか」

 

「今の時点では、防備を固めている。 敵の動きは見えていない」

 

ならば良いのだが。

 

しかし、もうそろそろ時間切れになってもおかしくない。

 

嫌な予感が、膨らむのを、私は感じていた。

 

 

 

会議が終わって、部下達を解散させて、休ませて。

 

私が一休みして、そして。

 

その報告が来た。

 

来るべくして、来た。

 

カプセルを開けて、私があくびをしていると、弟が血相を変えてくる。それを見て、私は時が来たことを悟っていた。

 

「姉貴」

 

「どうした」

 

「シドニー基地が壊滅した。 どうにか脱出できた一部を除き、全滅状態という事だ」

 

彼処には精鋭が詰めていたはずだ。ファイターも相当数がいたと聞いている。

 

それが、一晩で全滅。

 

いよいよ、来たと見るべきだろう。

 

「敵の姿は確認されているか」

 

「今解析中らしいが、何でも蜥蜴のような姿をしているとか」

 

「蜥蜴……」

 

今まで、巨大生物は昆虫型が主体だった。

 

なぜなら、フォリナの先祖が、昆虫に近い生物だったからである。

 

地球で巨大生物が進化を重ねた結果、蜂やレタリウスのような地球の昆虫に似た姿になったのも、それが理由。

 

しかし、今回は蜥蜴。

 

昆虫から爬虫類というのは、あまりにも突飛な進化だ。一体何が起きた。そして、最大限に嫌な予感がする。

 

すぐにEDF総司令部も動くはずだ。

 

だが、敵はもはや、オーストラリアを守備する必要もない。後は戦況をコントロールするために、今までに無い苛烈な攻撃を仕掛けてきてもおかしくは無い。

 

早速、通信が来る。

 

山梨の北部に、敵旧型輸送船が出現。多数の巨大生物を投下しはじめたという。

 

撃破して欲しいと言う命令を受けて、ヒドラに向かう。

 

通信によると、案の定。フォーリナーは各地で、極めて大胆な攻勢に出始めている。これはおそらく、予定の品が完成したと見て良い。

 

北欧神話の最終戦争ラグナロクでは、開始時に角笛が吹き鳴らされるという。

 

勿論そんなものは聞こえない。

 

しかし、アラーム音と、各地での戦闘開始の報告は。終末の角笛に等しいのでは無いかと、私は思った。

 

「姉貴、今はやれることをやろう」

 

促され、ヒドラに乗り込む。

 

琵琶湖基地を離れ、アースイーターを迂回して、ヒドラで山梨に向かう。

 

もはや、希望は尽きたのだろうか。

 

中国地区に続いて、オーストラリア地区も陥落。

 

そして極東でも。

 

今までに無い激しい戦闘が開始されようとしていることを、私は悟っていた。

 

 

 

(続)




フォーリナーにとっての最終目的である、例の存在がついに姿をちらつかせ始めました。

ラグナロクが、始まろうとしています。

次々と陥落する各地。

極東にも、その日が迫ろうとしています。
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