地球防衛軍4二次創作 2025絶滅螺旋   作:dwwyakata@2024

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壊滅したオーストラリアの巨大生物の巣穴から出現したそれ……ドラゴンは。

生物でありながら、戦闘機をも上回る強さを誇る、文字通りの化け物でした。

今までの巨大生物と一線を画す存在が。

文字通り世界を焼き尽くし始めます。


1、殲滅戦

尋常では無い。

 

そうとしか、言いようが無い。

 

まず、飛行速度が違う。巡航速度、およそ時速八百キロ。これは蜂と同じ。しかし瞬間的には、明らかにそれ以上の速度が出ている。マッハコーンを作っているのを視認。どうやっているのか、音速を超えているという事だ。

 

それだけじゃあない。

 

旋回、滞空、自由自在。

 

翼を自在に動かして、好き勝手に空を蹂躙している、緑の竜の群れは。此方を視認するやいなや、爆撃も同然の火球の雨を降らせてきた。

 

火力もまた凄まじい。

 

火球が着弾したビルが、ガラスを一瞬で全て粉砕され、輝く殺戮の雨が当たりに降り注ぐ。

 

迎撃開始。

 

弟が叫ぶ。

 

これでは、電磁プリズンも、長くは保ちそうにない。

 

ネグリングでの誘導弾が連射され、スナイパーライフルでの狙撃も始まる。しかし、秀爺でさえ、冷や汗を流しているのが分かった。

 

「これは、航空機を狙撃するようなものだ」

 

「とても狙いが付けられません!」

 

原田が悲鳴を上げる。

 

それでも、秀爺や弟は必中させている。私は舌打ちすると、兵装を切り替えた。

 

幸い、ライサンダーの弾が当たれば即死させられる。

 

しかし、である。

 

弟がハーキュリーで打ち抜いたドラゴンは、体制を崩して地面に落下はしたものの、死なない。

 

再び舞い上がると、常識外の機動を見せながら、炎の雨を降らせてくる。

 

しかもその火球は。

 

直撃地点で爆裂する上、命中精度が尋常ではないのだ。

 

「アーマーが保ちません!」

 

ついてきていたレンジャー部隊が、悲鳴を上げる。

 

物陰に隠れながら戦うよう指示。私もガリア砲で、一匹を落とす。耐久力も、蜂などとは比較にならない。

 

文字通りの神話の竜。

 

このような相手が敵になるなんて。

 

非常識な機動を見せながら、敵が着地。凄まじい速度で、走り寄ってくる。見ると前足は翼と一体化していて、かといって足として使う事も出来るようだ。こんな構造で、どうして音速を超えられるのか。

 

走り寄ってきた一匹が、一人に噛みつく。

 

噛まれたのは、矢島だ。

 

そのまま飛び去ろうとするドラゴンを、即応した日高少尉が打ち抜く。アサルトで弾幕を浴びせても埒があかず、結局ハーキュリーでとどめを刺した。至近からの乱打でも死なない。

 

一匹一匹が、ヘクトル並みだとでもいうのか。

 

空軍の無線が入ってくる。

 

交戦しているのは、おそらく別の基地の航空部隊。四機一組で戦っているようだが、途中から悲鳴だけが聞こえるようになってきた。

 

「α! もういい、逃げろ!」

 

「巫山戯んな、βの仇を……」

 

「何て機動だ! 速度は兎も角、追い切れない! 空中戦での機動だとは、とても思えないぞ!」

 

「それに数が多すぎる! 空が、真っ暗……!」

 

爆音。

 

通信が途切れる。

 

百対一の戦力差でも互角に戦えるコンセプトで作られたファイターが。

 

絶え間なく降り注ぐ火球。

 

此方も、非常に危険な状態だ。秀爺もイプシロンを降りるよう黒沢に指示。観測手であるほのかが、珍しく通信を入れてくる。

 

「時々ビルに張り付く瞬間があるわ。 機動しながら、敵を障害物に当たるように誘導して」

 

「なるほどな」

 

流石にあの機動を、いつまでも維持は出来ないという事か。

 

円陣を組み、四方八方から襲ってくるドラゴン共を倒し続ける。

 

地面に降りた奴が、レンジャーチームの一人に噛みつき、くわえて飛び去ろうとする。ガリア砲を叩き込み、胴体を吹っ飛ばす。

 

これは、迂闊に機動も出来ない。

 

空中にでも出ようものなら、一瞬でドラゴンに噛みつかれ、八つ裂きにされてしまうだろう。

 

敵の第一部隊を全滅させたころには。

 

既に味方も、満身創痍になっていた。すぐにアーマーを張り替えさせ、負傷者をキャリバンに収容。

 

「此方本部! ドラゴンとの戦闘記録、見せてもらった!」

 

日高司令が通信を入れてくるが。

 

正直、これは応じている余裕が無い。というのも、さっそく敵の第二波が、レーダーに現れているからだ。

 

数はまた、百。

 

やはり百を一単位として、行動している。勿論単独ではファイターほどでは無いが、飛行ドローンを遙かに超える速度と機動性、敵攻撃機を上回る火力、旧型ヘクトル並みの耐久力を兼ね備えているとみて良い。

 

そして他の巨大生物以上に、集団戦を意識した動きをしている。

 

文字通り、対処のしようが無い相手だ。

 

これは。

 

これこそが、神の肉体だというのか。フォリナの現状打開派にとっての、希望の肉。老いた種族の、知恵を移設するのに相応しい最強の生物。

 

乾いた笑いが漏れてきた。

 

これはもはや、人類には打つ手が見当たらない。

 

「凄まじい……! これが巨大生物の、最終形態なのか!」

 

小原博士が、通信の向こうで驚愕している。

 

電磁プリズンを、慌てて谷山が張り直している。次の群れが来る前に、保つか。一緒に来たレンジャー部隊には、既に戦意を失っている兵士も見受けられた。

 

冗談じゃない。

 

誰かが呟くのが聞こえる。

 

正直、同感だ。

 

「敵の火力は、重火器並だ。 ヘクトルが高速で空を飛び回っているのと同等の力があるとみて良い」

 

「正直、わらえねーよ。 しかもそれが百匹一単位だろ」

 

流石の涼川も、戦っていて楽しいとは言わない。

 

死ぬ。

 

EDFは、負ける。

 

わざわざ口にしなくても。それが、確定の未来となりつつある。

 

電磁プリズンがどうにか間に合う。弟が、声を張り上げた。

 

「アサルトで弾幕を張れ! ドラゴン共は、弾が当たりさえすれば体勢を崩す! 当てることは意識しなくて良い! 落ちてきたら、集中攻撃で仕留めろ!」

 

具体的な命令が出て、ようやく士気を取り戻す皆。

 

私は頷くと、真っ先に飛び出した。

 

前から後ろから飛んでくる酸の雨とは、訳が違う。

 

頭上から、恐ろしいほどの精密さで、とんでも無い量の火球が降ってくる。熱量も凄まじく、集中攻撃を浴びれば、多分ギガンテスでもそう時間を掛けずスクラップになるだろう。

 

だが、私が引きつける事で、敵がわずかに狙いやすくなる。

 

日高少尉が、倒れているレンジャー達を、キャリバンに引っ張り込んでいるのを横目に、私は敵を引きつける。

 

しかし、やばい。

 

即座に盾をかざすが、相当な距離を吹っ飛ばされる。この火力、やはりヘクトル並みとみて良い。

 

敵第二波も削っていくが。

 

数が減っても、敵は戦意が衰えない。

 

此処だけは、他の巨大生物と同じか。

 

第二波を撃破したころには。

 

既に疲労困憊。アーマーもかなり消耗した。後方にいたはずのヒドラにまで、戦火は及んでいた。

 

「浜松基地まで後退し、体勢を立て直す!」

 

弟が、急ぐよう、皆を促す。

 

私は、比較的状態が良いドラゴンの死骸を一つ見繕うと、キャリバンにくくりつけた。そのまま、ヒドラに運び込む。

 

重いかというと、そうでもない。

 

むしろ空を飛ぶためか、かなり軽くなっていた。

 

軽いというのに、体の中にあれだけの戦闘機能を詰め込んでいるのだ。普通遠心力で内臓が潰れるし、火球を造り出す機構だって複雑なはず。

 

悔しいが、このドラゴンは。おそらく傑作と言って良い構造をしているとみて間違いないだろう。

 

無数の戦闘が産み出した、奇蹟の生命。

 

しかし、それが敵に回ると思うと、文字通りぞっとしない。

 

 

 

各地の戦場から、悲鳴が届く。

 

いずれもが、全面攻撃を開始した、フォーリナーに対処しきれない、というものだった。特にドラゴンの猛攻は凄まじい。

 

ドラゴンの死骸を一瞥。

 

形状は、いわゆるワイバーンに近い。ただ尻尾に毒針があるようなことはない。早速、サンプルのデータを子細に分析し、小原博士へと送る。ヒドラがドラゴンにいつ追いつかれてもおかしくない。可能な限り低空で行くから、どうしても速度を落とさざるを得ないのが厳しかった。

 

手当を進める。

 

一緒に来たレンジャーチームは、後悔しているようだった。

 

無理もない。

 

迎撃すると決めたストームの面々だって、青ざめているほどだ。ミラージュでひたすら敵を阻害することに務めていたエミリーと三川だって、よりそってじっとしていた。空にでも出ようものなら、一瞬で餌にされるのが目に見えていたからである。

 

「これは、ドラゴンのいる戦場では、ヘリの出番はありませんね」

 

自嘲的に、谷山が呟く。

 

彼の呻きももっともだ。私だって、まさかこれほどの戦闘力を持つ巨大生物が誕生するとは、思っていなかったのだから。

 

その上、フォーリナーはこのドラゴン共を、長期間掛けて培養していた。

 

どれだけ増えているのか、想像も出来ない。

 

「ちょっといいかしら」

 

ドラゴンを見つめていた私の後ろから声。

 

柊だ。

 

此奴もタフな奴だ。周りがみんな青ざめている中、此奴だけは平然としている。前から壊れているという印象があったが。やはりそれは間違っていない。

 

他の部隊にも従軍記者はいるようだが。戦死する率は決して低くない。此奴は色々な意味で、特殊だと考えた方が良いはずだ。

 

柊は、死んだドラゴンを映像に収める。そして、この場で、質問をはじめた。

 

「かなり苦戦していたようだけれど。 やはり他の巨大生物とは、格が違うという事かしら」

 

「他の巨大生物十匹分以上と見て良いな。 前大戦で猛威を振るっていた旧型ヘクトルと此奴一匹で、ほぼ同等という所だ」

 

「それは怖い」

 

「……そうだな」

 

私としてみれば。もうこの時点で、人類の敗北は九割方決まっているが。それでも何かしらの方法で、この状況を打開したい。

 

しかしEDF本部はどうだろう。

 

カーキソンや幹部クラスには、この戦いの真相について話してある。だから無条件降伏なんて、相手が受け入れるはずもないと分かっている筈だ。

 

だが、それでも。

 

おかしな動きをする者は出てくるとみて良い。

 

「対抗策は何かありそうですか?」

 

「まず動きを止める。 弾が一発でも当たれば怯むようだから、何かしらの形で弾幕を張る。 その後、大威力の火器で仕留める」

 

「上手く行きますか?」

 

「簡単にはいかないな」

 

私だって、先ほどの戦いで、相当なダメージを受けたのだ。ストームのように、他の部隊だって戦えたとしても。

 

それでも、勝機は薄いとみて良い。

 

今頃、各地の基地は甚大な被害を出しているはずだ。特に空軍は、これから数日以内に、継戦能力を喪失するだろう。

 

これはほぼ確定した未来だ。

 

完全に敵に戦況をコントロールされれば、以降は人類は戦闘用奴隷に転落することになる。

 

神の肉体であるドラゴンの調整のために。

 

延々と、殺し合いだけをさせられることになるだろう。

 

柊が行くと、ため息が零れる。彼奴がどう今のを報道したところで、何かが変わるだろうか。

 

今の時点で、アースイーターをどうにかしない限り、人類に勝ち目はないし。

 

ドラゴンに対しては、もはや対抗手段がない。

 

核で密集地域を攻撃するにしても、大きな効果が見込めるかどうか。放射線程度でどうにかなる柔な生物だとは、とても思えないのだ。

 

浜松基地に到着。

 

戦況は、此処の部隊も見ていたようだ。全員が真っ青になっている。

 

メンテナンスチームに、可能な限りビークル類を補修するよう指示。そして残っている機器類は、全てオートで動かすよう設定させた。

 

「近隣に展開している部隊全てに、浜松基地に結集するように指示を」

 

「ど、どういうことでしょうか」

 

「散らばっていては、ドラゴンの餌食になる。 せめて兵力を結集させて、反撃に転じる」

 

とはいっても。

 

兵を集めても、反撃がどれだけ出来るかというと。正直、私や弟でも、明言は避けたい所だ。

 

こうしているうちにも、戦況は刻一刻と悪くなっていく。

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