地球防衛軍4二次創作 2025絶滅螺旋   作:dwwyakata@2024

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新人を加えたとは言え、歴戦の猛者達が集う上、「ストーム1」二人を要するストームチーム。

苦戦するEDF隊員達を救援しながら、火消しに回ります。

しかし状況は、初日の攻撃としては苛烈すぎる展開を見せることになります。


2、一進一退の攻防

予想はしていたが。

 

かなり敵の抵抗が激しい。猛烈な射撃を浴びせても、すぐに体勢を立て直し、反撃に出てくる。

 

グレイプをバックさせて、引き撃ちに掛かる。サイドから身を乗り出した私が射撃して敵を打ち抜いていくが。

 

蟻は基本に忠実に動いてくる。

 

正面からは派手な動きをする数体のみ。

 

残りは側面などの死角に潜り込み、併走しながら好機を狙ってくる。

 

しかも動きが速い。

 

時速六十キロでバックしているグレイプと、ほぼ同等の速度だ。

 

「次、バックしながら左折します」

 

「一気に間合いを詰めてくるぞ、気をつけろ」

 

「お任せを」

 

此奴は、本当に新兵か。

 

まあ、黒沢は第三世代のクローン兵だ。優秀な遺伝子を掛け合わせて作られた存在である。

 

此奴は家庭のことは殆ど言わないけれど。

 

ひょっとすると、将来はEDFに入るようにと言われて、教育を受け続けていたのかも知れない。

 

案の定、蟻が一気に加速。

 

路を見て、曲がらざるを得ない場所を読んだのだ。この辺り、奴らが前回の大戦で、人間をよく学習していたことがよく分かる。

 

曲がる瞬間を狙って、建ち並ぶビルの間から姿を見せ、酸を放ってくる蟻。

 

ジグザグに走行しながら、かろうじて直撃は回避。

 

だが、私もグレイプも、かなりの酸を浴びた。

 

今までの戦闘での蓄積ダメージを考えると、メンテナンスが必要になる。しかし、まだまだ、戦場の手が足りている状況では無い。

 

「あー、此方涼川」

 

涼川組から通信が来る。

 

彼奴の所には、新兵の大半を預けてある。弟以上の破壊力を持つ涼川だ。新兵を死なせるようなことは無いだろうと思ってのことだが。

 

この戦況は、私が思っていたより、遙かに悪い。

 

「敵の数が多くてなあ。 あたしとしては楽しくて仕方が無いんだが、すぐに殲滅はできそうにないわ。 悪いな」

 

「かまわない。 味方の被害を出さないように、確実に殲滅しろ」

 

「イエッサ。 ヒャッハア! もっとこい! 皆殺しだ!」

 

楽しそうな涼川の声に、弟が割り込んでくる。

 

弟はと言うと、一人で敵が制圧している地域に乗り込んで、今戦っている筈だ。それで通信までしてくるのだから、恐れ入る。

 

本部が怖れるのも、仕方が無い部分はある。

 

ある意味、弟は涼川以上の危険人物だ。もし弟が心変わりしてフォーリナーについたら、その瞬間人類は終わるとさえ言われているくらいなのだから。

 

蟻は中々振り切れないが、顔を見せたものからガトリングで叩いていく。ガトリングが弾切れすると、今度は速射砲に交代。

 

最新鋭のグレイプは流石だ。

 

簡単には敵の浸透を許さない。昔の歩兵戦闘車だったら、先の曲がり角でおだぶつだっただろう。

 

蟻がぴたりと止まり、姿を見せなくなる。

 

追撃不能とみたからか。

 

速度は落とさず、レーダーを確認。

 

敵が引き上げていくのが分かった。今度はグレイプを前進させるが、家やビルを盾にして、陣地にしていた場所へ戻っていく。

 

それだけではない。

 

此方の動きを見ながら陣形を変えていく。まるで、三日月の様な形状に。

 

これはもう一度来たら、袋包みにするつもりだ。

 

戦力が少ないのを見切って、時間を稼ぐ手に出ている。しかし、此方も戦力の増強は見込めるのだ。

 

本部から連絡が来ている。

 

蟻の巣穴が発見された地域は、全世界で十二カ所。

 

逆に言えば、それ以外の地域から、蟻による攻撃を受けている場所へ、今増援が急行している。

 

それくらいは分かっている筈。

 

蟻は何を狙っている。

 

「危険ですが、強行突破を狙いますか」

 

「……待て」

 

本部に通信を入れる。

 

現在、ウィングダイバー隊が此方に向かっているとある。千日手になれば、此方が有利になる。

 

だが、何かが引っかかる。

 

一体蟻共は。本当に何を狙っているのか。

 

これ以上後手には回れない。通信は阿鼻叫喚。味方の被害は想像以上に大きい。民間人にも被害がかなり出ている。

 

巨大生物に後手に回り続けたら。フォーリナーのマザーシップが攻めこんできたときには、既にEDFはぼろぼろになってしまう。

 

「秀爺、状況は」

 

「今、狙撃地点を変えた。 これより狙撃に入る」

 

「支援が必要だ」

 

「優先度は他が高い。 谷山隊もそうだし、此処から見える範囲でも、二つのレンジャーチームが苦戦している」

 

秀爺の判断は正しい。

 

勿論支援の後で良い。

 

そういうと、少しだけ悩んだ末、ほのかが通話に入ってきた。

 

「敵の動きがおかしいので、発破を掛けたい、という事ね」

 

「そう言うことだ。 今も敵は縦深陣を敷いて、此方の突撃に備えてきている。 次の引き撃ちは確実に失敗する」

 

「しばらく、敵の動きを見ながら、攻撃を仕掛けてくれるかしら。 貴方が失敗するとは思わないけれど」

 

「分かった。 とにかく、後回しで良いから支援を頼むぞ」

 

嫌な予感が、先ほどからびりびりするのだ。

 

何か大きな罠が仕掛けられているようにしか思えない。

 

今の時点で、敵の侵攻は止まっている。

 

現状では、市民の救助を空路で行い、後は合流してきた援軍とともに敵をたたくべきだと、私も思うのだが。

 

それでは、何かを。決定的な何かを逃す様な気がしてならない。

 

軽く黒沢と打ち合わせをする。そして、私は動いた。

 

 

 

タイミングを合わせる。

 

そして、グレイプを突入させた。

 

黒蟻は、グレイプの動きを冷静に見ていた。速射砲が稼働を開始すると、即座に反撃。さっと、罠を閉じるように、縦深陣を動かすが。

 

その先端部分に。

 

飛び出した私が、ガトリングの砲撃を。

 

そして、涼川の部隊から此方に来るように指示しておいた三川の、中距離射撃用武器、イクシオンが稼働を開始したのだ。

 

私は家の影から飛び出すと、蟻の群れの戦闘にそれを。

 

三川はビルの屋上に跳び上がると、イクシオンで目立つ蟻を撃ち始めた。

 

イクシオンは牽制だ。

 

殆ど初陣に等しい三川に、其処までの期待はしていない。陣を乱した蟻に、下がりながら黒沢は速射砲を撃ち込み続ける。

 

「三川、少し下がれ」

 

「い、イエッサ!」

 

三川は大人しそうな雰囲気の女で、体力もあまりなかった。

 

適正が認められたからウイングダイバーに配属されたけれど。本当は後方支援を希望していたようだ。

 

だが、ウイングダイバーは対巨大生物の要ともなる兵種である。

 

ウイングを用いての飛翔。

 

背中にあるプラズマジェネレーターの大火力による、主にフォーリナーの技術を応用して作られた兵器の運用。

 

ヘリと地上戦力の中間となる、人間としての大火力対地制圧能力。

 

それがウイングダイバーに要求されている仕様だ。

 

更に、武器の換装によって、こういった運用も出来る。

 

私もスラスターをふかして、少し下がる。

 

蟻が怒濤のように押し寄せてくる。

 

速射砲とガトリングで処理しきれない。そう、見せている。

 

蟻に勝てると思わせて。

 

一気に間合いを詰めさせる。

 

そして私は、スピアに切り替え。むしろ前に突進した。

 

先頭の蟻の顔面にスピアを叩き込むと、スラスターをふかして、地面に急降下。一気に右に加速。

 

大量の酸が降ってくるが、そこにもう私はいない。

 

建ち並ぶ家々。

 

ビルの群れ。

 

蟻にとっても、自在に動き回れるコンクリートジャングルも。バイザーに映る情報を把握している私にとっては、庭に等しい。

 

新兵には、此処まで出来ない。

 

横を向いている蟻の土手っ腹にスピアを叩き込み、一撃離脱。

 

スラスターをふかして跳躍。またたくさん飛んできた酸は、空を斬った。少し足に掛かったが、このくらいはどうと言うことも無い。

 

ビルの屋上に着地。

 

少し距離を取った三川がイクシオンを連射している。プラズマジェネレーターの消耗が、少し激しくなってきているはずだ。

 

「三川、少し攻撃を鈍化させろ。 後、もう少し下がれ」

 

今私が叩いているのは、蟻の縦深陣右翼だが。左翼はまるで鎌が降り下ろされるように、グレイプに迫っている。速射砲だけでは処理し切れていない。

 

更に言えば、グレイプを空振りすれば。

 

蟻の群れ左翼は、私のいるところを強襲してくるだろう。

 

中空から数匹を蜂の巣にしながら、私は冷静に、倒した蟻。まだ残っている蟻を、カウントしていく。

 

蟻の一匹の背中に着地。

 

蟻が吃驚した様子で、ロデオのように跳ね回ろうとしたが。その前にスピアを叩き込んで、串刺しにした。

 

甲高い悲鳴が上がる。

 

蟻は悲鳴を上げるのだ。

 

昆虫としての蟻と違って。

 

「黒沢、拾え。 後は全力で後退」

 

「イエッサ」

 

「三川は砲撃を中止。 全力で下がれ」

 

「も、もう少しで弱った蟻を仕留められそうですけれど」

 

下がれ。

 

ぴしゃりと言うと、口を引き結んだ三川はラビットジャンプで後方に下がる。三川は見えていない。

 

三十匹ほどの蟻が、音もなく至近に迫っていたことに。

 

グレイプの上に飛び乗ると、私は追いすがってくる蟻にガトリングを浴びせる。

 

さて、どうでる。

 

今ので右翼に甚大な被害を与えてやった。まだ此処の地域の制圧を続けるか。それとも一旦不利とみて下がるか。

 

蟻が下がりはじめる。

 

それが奴らの考え方だ。確保している地域の他の蟻と合流するか、それとも一旦巣に戻って、次の攻撃に備えるか。どちらかは分からないが、一旦まずは距離を取ることを考える。

 

群れで一つの頭脳ならば。

 

そうするのが自然なのだ。

 

ほどなく、通信が入る。

 

先行していた谷山隊が、別地域の制圧に成功。

 

これで、狭いながら退路が確保できた。

 

急いで本部に通信を入れ、撤退のための車両を突入させる。後は退路に陣取って、蟻による襲撃を牽制する。

 

「谷山、孤立している住民の上空へ移動してくれ。 蟻が動いたら制圧射撃に移って欲しい」

 

「イエッサ、ストームリーダー姉」

 

「だからそれは止めろというに」

 

さて、次の手はどうでる。

 

いずれにしても、未だ予断は許さない。

 

本部は、迅速に動いてくれた。

 

この辺り、無能を揶揄された日高も、かなり対応能力を上げている。すぐに、車列が見えた。

 

キャリバンが逃げ遅れた民間人を、ピストン輸送していく。

 

更に、様々な型式のグレイプが、それを護衛しつつ。やはり同じように、民間人を救助し、輸送していった。

 

昔の時代。

 

コンボイという車列を組んで、物資を輸送することがあったらしいけれど。

 

これはそのコンボイに近いかも知れない。

 

私は他地域の戦況を見ながら、ビルの上に立ち、ガトリングを構えたまま。他地域に展開していたり、地下に潜った蟻が、いつ動くか分からないからだ。

 

嫌な予感が、消えてくれない。

 

弟が、他の地域で転戦しながら、通信を入れてきた。

 

「姉貴、どうした」

 

「嫌な予感がする。 全体を俯瞰して、何か大きな罠が無いか、調べている所だ」

 

「姉貴も感じ始めたか」

 

具体的な解析はしていないのだけれど。

 

この予感、当たるのだ。

 

超能力の類では無いと、私は思っている。強化人間だからこそ、そういう力は無いと、判断できるのだ。

 

多分。戦況を全体的に見た上で感じる、違和感がその正体だろう。弟は私より更に一枚上手だから、感じるのも早かった、という事だ。

 

弟がまた一地域を制圧。

 

ただ、弟を手強いと判断した蟻が率先して引いている、というのが大きい。あまり抵抗も激しくなかったそうだ。

 

それでも、流石にアーマーの負担が大きいという事で、その場で後続部隊を待つという。また、赤く塗りつぶされている地域が消えた。

 

蟻の侵攻は止まっている。

 

今の時点では、少なくとも。増援の部隊が、東北や中部からも間もなく駆けつけてくるはず。

 

ウイングダイバー隊も、間もなく到着するはずだ。

 

負ける要素はない筈なのに。

 

何がこうも引っかかっている。

 

三川が近くに降りてきた。

 

性格の割に背が高い三川は、露出度が高いウイングダイバーの戦闘服が、恥ずかしくて仕方が無いようだった。

 

「はじめ特務大尉。 その、いつまで戦闘状態が続くんですか」

 

「わからん。 今は待機していて構わない」

 

「分かりました。 少し、あのビルの屋上影で横になります」

 

新兵には、これだけの戦いはきつかっただろう。

 

ましてやあの涼川と一緒に戦っていたのだ。連戦の疲弊もあるし、何よりフレンドリファイヤの恐怖もある。

 

爆発で敵を吹き飛ばすタイプの武器を好んで用いる涼川の側で戦えば、それだけ恐怖も募るというものだ。

 

間もなく、涼川もまた一区画を制圧。

 

流石の彼女も、少し疲れた様子だ。一旦休憩すると通信を入れてきて、それきり黙った。

 

寝たのかも知れない。

 

タフな奴である。

 

バイザーにはオート機能を付けることも出来る。敵がある程度接近したらブザーを鳴らすものである。

 

それを稼働して、その上で奇襲を受けにくい場所で横になったのだろう。

 

暴れるだけ暴れて、落ちるようにして寝る。

 

この辺りは、見かけが変わっても、中身は全く変わっていない。涼川らしいと思って、私は安心した。

 

念のためだ。

 

やれることは、全てやっておかなければならない。

 

本部に通信を時々入れて、避難状況を確認。順調だという答えが返ってくる。やはり変だ。蟻の動きが、鈍すぎる。

 

モグラ叩きも、ストップしているようだ。

 

敵の戦力を、ストームが削いだから、というのは考えにくい。確かに今日、戦闘開始からストームチームのみで二百程度の蟻は葬った。だが敵の数を考えると、その程度で怯むとは思えない。

 

私は休まず、分析を続ける。

 

フェンサースーツが受けているダメージは、イエローゾーンに達している。さっきの激しい戦いが原因だ。

 

だが、東京基地にまで戻って、修復を受けている暇も、時間も無かった。

 

急造の前線基地に出向いて、応急処置をするしかない。

 

民間人の退避作戦が終了。膠着状態になった前線から下がると、私は一度前線基地に出向いた。

 

悲惨な状況の中、メンテナンスは後回しになるのは分かっている。負傷者が多数出ていて、キャリバンは何台あっても足りないほどなのだ。救護スタッフの殆どが民間人であり、こういうときのためにマニュアルで集められた医療関係者も、忙しく働いていた。人間が先。機械は後回し。

 

そう、視線で何度も釘を刺された。

 

それでも、専門の技師は来ていた。

 

何台か、滅茶苦茶にやられた戦闘車両が来ている。中には、半ば溶けかけたギガンテスもいた。この状況で、よく戻ってこられたものだ。

 

忙しそうに走り回っている技師に声を掛ける。応急処置だけで良いと言うと、頷かれた。

 

グレイプも、応急処置をして貰う。

 

阿鼻叫喚の前線基地でしばらく、私は歯がゆい思いをする事になった。

 

通信が入る。

 

嫌な予感が、適中したのだと、その時私は知った。

 

「姉貴、ウィングダイバー隊が来た。 景気よく蟻共を叩いているが、しかし一部の部隊が、おかしな通信をしてきている」

 

「何だと」

 

「すぐに救援に向かおう。 全員をまとめて欲しい。 恐らくは、未知の相手との戦いになる筈だ」

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