地球防衛軍4二次創作 2025絶滅螺旋   作:dwwyakata@2024

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2、鳥籠の餌

撤退作業が「上手く行く」。四ヶ所のシェルターからの救助作業が無事に完了。早速東京支部では、救助した避難民の中から、隊員に志願するものを募集しているようだ。それが目的の一つだったのだから、当然だろう。

 

だが、返事は芳しくないらしい。

 

四ヶ所のシェルターのうち、二カ所で殺し合いを含む大きなトラブルが起きており。全てのシェルターで、厭戦気分が蔓延していたのだから、無理もない話である。そして、休憩をカプセルで無理矢理取って。

 

負傷者を急速医療で無理に復帰させて。

 

ストームチームは転戦を続け。ビークル類もだましだまし使いながら、何とか連戦を、死者なく乗り切った。

 

そして、次の命令が来る。

 

東海地区の一角。愛知県の中央部。

 

地区のイメージシンボルとして建てられた、八十五階建ての高層建築がある。ビルそのものが複合施設となっており、シェルターとしても機能している此処が、避難を求めてきている。

 

事情は他と同じ。

 

過剰すぎる収容人員に、内部が耐えきれなくなったのだ。ましてや、東海地区は既に放棄されているも同然の状況。残存戦力は全て東京基地に逃れ、悲鳴が上がるのも無理はなかっただろう。

 

更に言うと。

 

このビルでは、本部にとって重要な設備が地下にある。

 

強化クローンの生産設備である。

 

現状、戦力が全くと言って足りないEDFにとって。放棄したとは言え、このビルの制圧と解放は、急務だと言えた。

 

ようやく大規模避難計画が終わり、戦力も少しは集まってきたこともあり。

 

今回は、レンジャーチームだけでは無く、ウィングダイバーチームの一部隊も投入されることが決まっている。

 

「適正な数の」凶蟲が相手なら、確かにウィングダイバーは、圧倒的な破壊力を発揮できる。

 

ヒドラがこのビルの屋上に着地。

 

流石に三百メートルを超える高度は、見下ろすと壮観だ。アーマーがあるから飛び降りても死なないが。それでも、風が強いこと。

 

ビルの外壁はダメージが酷い。

 

そしてヒドラが着陸するや否や、複数の敵輸送船が、周囲に出現する。

 

やはり、そう来たか。

 

「狙撃戦用意!」

 

弟が声を張り上げる。

 

一緒に来たレンジャー部隊は、屋上の扉を解錠。内部に入って、状況を確認に向かった。ジェノサイド砲でも喰らわない限り、簡単には崩壊しない作りになっているとはいっても、内部の人間の精神が保つかは別問題。

 

それは彼らも、ここしばらくのシェルター解放戦で思い知らされているだろう。

 

ビルの下には、我が物顔の凶蟲共。

 

そして、輸送船からはき出される、飛行ドローンと、攻撃機の群れ。ただ、蜂もドラゴンもいないのは幸いだ。

 

筅はセントリーガンを周囲に設置開始。

 

ヒドラから、直接谷山がバゼラートで出る。

 

ベガルタは今回使えない。

 

前回の戦いによるダメージが大きすぎて、フルメンテナンスの最中だ。筅はセントリーガンをありったけ配置した後は、谷山が引き継いだ電子プリズンを撒きはじめる。すぐに、狙撃戦が開始された。

 

大きな的は、今回涼川と原田に任せる。

 

空間転移する輸送船といえども、高速で移動し廻るわけではない。

 

大威力火器を渡している二人なら、ゆっくり狙っても、確実に落とす事が出来るだろう。問題は、はき出される艦載機だ。

 

セントリーガンが咆哮。

 

迫り来る敵飛行兵器を迎撃開始。スナイパーライフルは、全員にハーキュリーが行き渡っている。

 

涼川と原田はカスケードロケットランチャーで、四隻いる輸送船を順番に集中攻撃。輸送船からはき出される敵兵器も、火力の雨を、ビルの屋上に投入しはじめる。電磁プリズンが消耗していく中。

 

私はガリア砲を起動して、敵を一機ずつ落としていく。

 

近寄ろうと旋回する飛行ドローンより、攻撃機を優先。

 

ただ、輸送船がかなり硬い。

 

新型と言う事もあるが、涼川が呻く。今、原田と涼川が全弾命中をさせたのだが、まだ少し傷を付けた程度だ。

 

「落とすのにかなり掛かるぞ」

 

「かまわん。 その間、敵艦載機を近づけるな」

 

「私が支援に廻ろうか」

 

「いや、艦載機の対処を続けて欲しい」

 

弟にそう言われると、戦場での事だ。従わざるを得ない。

 

黒沢と香坂夫妻が、凄い勢いで、ハーキュリーで敵を落としていっている。黒沢は覚えも飲み込みもいい。かなりの速さで、狙撃のコツを学習している様子だ。今も立て続けに、四機の攻撃機を落としてみせる。ハーキュリーの性能があるとは言え、流石である。

 

ビル内部に突入した部隊から、連絡。

 

「内部で、争った形跡があります。 物資の奪い合いをした模様。 避難民の死者も、確認しました」

 

「負傷者は」

 

「かなりの数です。 やはり閉鎖空間でおかしくなって、外に無理矢理出ようとした人間がいたようです。 指揮系統も麻痺して、通信設備の奪い合いも起きていたようですね」

 

「救助をはじめてくれ」

 

弟の声は、あくまで淡々としている。

 

そして応えながらも、ハーキュリーで次々敵を落としてみせる。

 

不意に、視界に赤い影。

 

像を残して、ビルの影に潜り込んだ。

 

あれは、精鋭か。

 

「気をつけろ、精鋭がいるぞ!」

 

私が叫ぶと同時に、敵輸送機が、一隻爆沈する。

 

黙々と、涼川と原田が、二機目の対処に取りかかった。

 

精鋭の放つビームは、桁外れの破壊力だ。接射されると、電磁プリズンは一瞬で崩壊する。

 

支援を受けながら飛び回って攻撃を続けていた谷山が、通信を入れてきた。

 

「私が精鋭に対処します」

 

「無理はするなよ。 ファイターも撃墜するような相手だ」

 

「あなた方の支援があれば大丈夫ですよ」

 

まるで獲物を狙う隼のように、剽悍な動きでバゼラートが精鋭をおう。

 

勿論単独での相手はかなり厳しい。

 

私は無言で、バゼラートを狙う攻撃機を叩き落とす。敵攻撃機は、輸送船から際限なくはき出されてきている。

 

 

 

三隻目の輸送船を撃沈したころには、陽が沈みかけていた。

 

電磁プリズンはもうもたない。

 

三度張り直したのだが、在庫がつきた。もともとかなり稀少な兵器で、再装填にも大変な手間が掛かるのだ。

 

電磁プリズンが崩壊。

 

一気に、敵の火力が、集中してきたが。

 

いきなりヒドラから、修理途中のベガルタが飛び出す。盾にしてください。筅が、通信に叫んできた。

 

「全員、残った輸送船に集中攻撃! その後、敵攻撃機を落とす!」

 

「味方の支援はまだかよ!」

 

涼川がぼやくが、もはやそれどころではない。

 

幸い敵は数を減らしている。もう少しで、一気に壊滅に追いやることも。

 

ぞくりとした。

 

至近。

 

電磁プリズンの崩壊を待っていたらしい精鋭が、姿を見せる。ベガルタを、赤い機体から放たれたビームが直撃。一瞬の抵抗の後、ベガルタは大破炎上。緊急脱出装置で、筅が排出されるが。

 

燃え上がったベガルタM3ファイアロードは、全ての役割を果たしたかのように、その場で崩壊した。

 

直後。

 

横殴りのミサイルが、精鋭を直撃。精鋭が粉々に消し飛ぶ。

 

煙を上げながら、バゼラートが姿を見せる。谷山が、死闘を制したのだ。

 

「無事ですか」

 

「筅!」

 

抱き起こすが、筅は応えない。

 

無言で日高少尉が抱えて、ヒドラに運び込む。そのヒドラも、残った敵攻撃機の猛攻で、見る間に傷ついていく。

 

輸送機が、爆沈。

 

攻撃機に対する攻撃にシフト。飛行ドローンは少し前に全滅。後は、攻撃機だけだが、まだ三十機以上が残っている。

 

不意に、下から迸る光。

 

十字砲火を浴びた攻撃機が、爆裂し、四散。

 

どうやら、ようやく援軍が来たらしい。

 

「ストームチーム、待たせたな! これより、巨大生物の駆除を開始する! ストームチームの援護も開始せよ!」

 

「イエッサ!」

 

声を張り上げる複数チーム。

 

どうやら本部は。ウィングダイバーの一部隊だけではなく、可能な限りの戦力を、このビルに投入してくれたらしい。

 

地上でも、凶蟲の群れが敗走を開始。

 

ウィングダイバーチームが、一気に追撃。数が元々それほど多くない凶蟲を、草でも刈るように打ち倒して行く。

 

数さえ適切なら、この通りだ。

 

秀爺が、最後の攻撃機を撃滅。

 

ビルの周囲から、敵影は消えた。

 

呼吸を整えながら、被害状況を確認。ベガルタはもう駄目だ。バゼラートも乱戦の中、敵の猛攻を浴びている。根本的な修理が必要になる。

 

かなりの数の負傷者が、屋上に上がってきた。

 

第一陣として、この専用機ヒドラで、東京基地に輸送して欲しいというのである。栄養状態が最悪な乳幼児や、やせこけた母親の姿が痛々しい。

 

すぐに医療スタッフが呼ばれる。

 

酷い怪我をした人員が連れ出された。内部で抗争があったという話だし、医療設備も足りていないのだろう。

 

目を背ける池口。

 

今回彼女は、慣れないハーキュリーで、必死に敵と戦っていた。命中弾は多くなかったけれど、六機の攻撃機を撃墜に成功。

 

一人、ナナコと同年代の女の子が乗ってくる。

 

EDFの制服を着ているという事は、第三世代の戦闘クローンか。いや、違う。即座に私は看破していた。

 

戦闘クローンにしては、動きが遅すぎるのだ。

 

「ストームチームの指揮官は誰ですの?」

 

「良いから、ヒドラに乗りなさい。 今は時間がありません」

 

医療スタッフに背中を押され、女の子がヒドラに詰め込まれる。

 

大破したベガルタは、残していくことに決まった。回収する余裕も無い。筅が意識を取り戻したら、なんといえば良いだろう。

 

ヒドラが発進。

 

内部は避難民でぎゅうぎゅう詰めだ。アースイーターの支配地域を抜けていくから、航路が複雑になる。

 

東京基地近郊のシェルターでも、受け入れ準備が急ピッチに進んでいた。無理に人員を積んだから、このヒドラには五百人ほどの避難民が詰め込まれている。そして、医療設備は、戻るまで使えない。

 

深刻な身体的被害を受けている人が、複数いるのだ。

 

医療設備は、彼らを優先である。

 

廊下に座る。

 

医療スタッフは大わらわだ。私はと言うと、軽く診察をした後、放置された。隣に座っている日高少尉は、相当に参っているようで、一言も喋らない。ジョンソンが来て、連れて行く。

 

訓練がこういうときには良いだろう。

 

そう、長身の黒人士官は言っていた。

 

私は再び一人になる。周囲は大勢の人が行き交っているのに。忙しい弟も遠くだから、何だか一人というのが相応しい。

 

不意に、上から声が。

 

「貴方がストームリーダー?」

 

顔を上げると、さっきの子供だ。改めて見ると、金髪の巻き毛で、とても育ちが良いと一目で分かる。

 

欧州の、財閥の子息か何かか。

 

「いや、私はサブリーダーだ」

 

「そうなると、はじめ特務少佐ですのね」

 

「そうだ」

 

一般人に知られているとは意外だった。

 

咳払いすると、名刺を出される。やはり欧州の巨大な武器製造コンテルン、フラップバースト社の令嬢だ。とはいっても、跡取りという訳では無い様子だが。

 

カトリーヌ=フラップという立派な名前も持ち合わせている様子だ。

 

「ご両親は」

 

「社を絶やさないために、両親は欧州に残り、わたくしも含めて、子供達を各地の地区に飛ばしましたの。 わたくしはこうして極東に来ていたのですわ」

 

「そうか。 大変だな」

 

まだ幼いだろうし、親から離されて色々心細いだろう。

 

ましてやこのご時世だ。

 

財閥の令嬢である事なんて、なんら役になど立たない。金でさえ、あまり多くの意味がない状態なのだ。

 

「それで、何用だ」

 

「ストームチームの補助要員に入れてくださいまし。 これでもわたくし、一通りの訓練を受けていますの」

 

「……そうかそうか」

 

「本当ですのよ!」

 

呆れた私に気付いたか、キャンキャン吼える子供。

 

ため息をつくと、弟に通信。任せることにする。

 

現在、四名いる補助要員は、全員が後方支援要員だ。オペレーターくらいなら、いても良いかもしれないが。

 

そうなると、ヒドラに住み込みになる。

 

弟が来て、女の子を連れて行く。流石に、本物の令嬢となると、邪険にも出来ない。

 

それにしても、だ。

 

機内を見て廻るが、環境は最悪だ。

 

避難民達はおそらく、洗濯もろくに出来なかったのだろう。垢だらけの服を着て、やせこけて。虚ろな目で、何も無い空を見ている。

 

低空飛行しているヒドラは、いつ巨大生物に発見されたり、攻撃機や飛行ドローンに襲われてもおかしくない。

 

彼らは本能的に知っているのかもしれない。

 

いつ死んでも、おかしくないと。

 

異臭も酷い。

 

腐敗というのでは無くて、死の臭いだ。医師が、ばたばたと走り回っている。深刻な状況の患者が、多数いるのだろう。

 

急ぐことは出来ない。

 

これでも最高速度なのだ。このストームチームの専用機になっているヒドラで負傷者を輸送している状況だ。他がどれほど悲惨な状況で輸送しているのかは、あまり考えたくも無い。

 

パイロットの負担も悲惨だろう。

 

複雑な航路を、ピストン輸送しなければならないのだから。

 

不意に、こつんと後頭部に感触。

 

後ろに涼川がいて、紙パックのコーヒーを当てていた。

 

「よう。 無事かい」

 

「いいや。 はっきり言って、良くないな」

 

廊下で並んで立ち、フェンサースーツの口の部分を開けて、コーヒーを飲む。すぐ側で、獣のように吼えている男がいたけれど、医師が来て鎮痛剤を打ち、連れて行った。医師は力仕事だなと、苦笑する。

 

涼川は気が短そうだけれど、気にもしていない。

 

それを聞くと、涼川は顔色も変えずに応えた。

 

「野戦陣地じゃ、となりで盛ったおっさん同士でヤったりしてたからなあ。 あの程度、気にもならねーよ」

 

「お前も大概に図太いな」

 

「特務少佐もな」

 

涼川には言っていないが、弟をついに特務大佐にするという話が出てきている。特務だと二階級上と同格だから、事実上の少将待遇である。

 

そして私とジョンソンは、特務中佐。

 

准将待遇である。

 

准将待遇がサブリーダーのチームなんて、聞いたこともない。特殊部隊としても、あまりにも異常だ。

 

現在の戦況が、それだけ無茶だと言う事を、よく示してもいる。

 

ちなみに、軍曹達は全員少尉に昇進させる。

 

日高少尉は、中尉にする予定だ。

 

全員の階級を上げたからと言って、何になるのだろうと言う部分もあるけれど。本部としては、多分これくらいしか、報いる手段がないのだろうと、私は見ていた。日高司令も、苦しいところだろう。

 

「戦争が終わったら、何がしたい」

 

「旦那と結婚」

 

「そうだな。 彼奴も身を固めるのがそろそろよいころだろう」

 

「何だ、認めてくれるのか」

 

本人次第だと、軽くスルー。

 

残念そうに舌打ちすると、涼川は行ってしまった。

 

不意に、通信が入ったのが、直後である。私と弟だけに、オンリー回線でつないでいる。通信の主は三島だ。

 

「重要なことが分かったわ。 他に誰もいない所に行ってくれる?」

 

「少し待っていろ」

 

悩んだ末、私はトイレに移動。

 

全て塞がっていたので、舌打ちすると、カプセルに入って、遮音モードに切り替えた。三島はそれをじっと待っていてくれた。

 

「重要なこととは」

 

「以前小原博士も話していた仮説、地球上に、ブレインとでも呼ぶべきアースイーターの制御システムがいることが、ほぼ確実になったわ。 まだ姿は捉えられていないけれど、移動したログについては、ある程度抑えられたわよ」

 

「僥倖とみるべきか?」

 

「恐らくは。 データを見せても仕方が無いから、ざっと説明するけれど。 どうやら巨大生物も含めた独自のネットワークが構成されていてその中心が常時微速移動している様子なの」

 

マザーシップではおそらく無いだろうと、三島は言う。

 

現在三隻いるマザーシップは、全てが位置を確認されている。その位置とは、一致しないという。

 

ブレインらしきものは、今の時点ではアースイーターに守られているが。

 

時々、アースイータがいない地点にも移動しているというのだ。

 

その時こそ、破壊と攻撃の好機だ。

 

三島がそう言う。

 

此奴は色々狂っているが、科学者としての手腕は満点だ。おそらく正しいとみて良いだろう。

 

既に、小原博士が、実際の状況を確認するべく動いているという。

 

今までブレインらしき存在が通った場所を調査して、監視カメラなどに映像が残されていないか、調べているそうだ。

 

希望が出てきた。

 

三島がそういうのを聞いて、末期なのだなと私は思った。此奴はいつも頭がおかしい言動で、私や弟に絡んできていたのに。こんな真面目な話ばかりしていて、どうにも余裕が無くなると、人間はおかしくなるらしい。

 

東京基地に到着。

 

避難民を下ろす。

 

ヒドラ内で消毒液が撒かれているのは、それだけシェルターが不衛生だった、ということである。

 

続々と来るヒドラ。

 

どの機体も、無理矢理避難民を詰め込んでいるから、悲惨な有様だ。負傷者の多くは、すぐに病院へ。

 

残りは、近郊の地下シェルターへ移動していく。

 

巨大生物の巣穴をそのまま利用した、シェルターに、である。

 

弟が来て、顎をしゃくる。

 

「先ほどのお嬢さんだがな」

 

「どうする」

 

「雇うつもりだ。 日高司令が、好きなようにさせてやれ、とのことだ。 何でもあのシェルタービルでも、皆が苦労する中気丈に振る舞って、本部との通信で随分と活躍したらしくてな」

 

英才教育が生きる場合は多くないが。

 

あの令嬢については、そうではなかった、ということか。

 

ため息が零れる。

 

まあ、前線に出ないのなら、別に構わないだろう。ただしストームのヒドラは、いつ墜落してもおかしくない。

 

弟は、そのまま工場に直行。

 

ベガルタが完全破壊されたのだ。代替機を何かしら見繕わないと、ストームチームの戦力は激減する。

 

私はと言うと、筅の所へ。

 

病院に収容された筅の容態を聞く。一応命に別状は無いが、無理がたたっている。ナナコやエミリー同様、しばらくは動かせないという。

 

ため息が零れる。

 

戦力は、減る一方だ。

 

戦況報道が来た。いずれも、ろくでもない戦況を伝えるものばかり。ドラゴンになすすべなくEDFが敗退を続けている事。シェルターでの暴動が深刻化しているが、外に出ても生き延びるすべは無いこと。

 

その後は、シェルターで生き延びる知恵と工夫について、報道があった。

 

「現在、各地のシェルターには、動力炉と工場が備え付けられており、物資は限りがあるとは言え生産が可能です。 皆で分け合って、苦境を凌いでください。 EDFは苦戦していますが、現在も戦闘を続行しており、勝報も少ないながらあります。 敵の司令部に対する、大胆な攻撃も予定している様子です」

 

私はバイザーを外すと、頭を振って、寮に向かう。

 

その大胆な攻撃とやらに、ストームチームが動員されるのは確実だ。やらなければ行けないことは分かっているが。

 

やはり、憂鬱な気分は、晴らしようがなかった。

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