ラブとピースとアーカイブ   作:はみがきこな

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 そろそろ書きたいところが書けるようになってくるのでわくわくしてます
 あと政治っぽい話したくないです。殺し合いもっとしたいです。







Archive 3 召集

 

 

 

 

 

「はあ……」

 

 連邦生徒会長室、椅子の上。大量の書類の整理を終えた手を頬に持っていき、白い机に肘をつく。そうして頬杖をつきながら、これからの事に考えを巡らせる。

 

(殺人鬼……)

 

 そう、今彼女のストレスを底上げしている要因についてだ。アレのせいで書類は増え、先生とは対立する事になった。

 特に、ミレニアムの被害が大きい。死者多数、重傷を負った者もいる。更に最悪なのが、セミナーの全滅だ。彼女達のヘイローが壊れたため、今ミレニアムの管理者はいない。大惨事である。

 そのため、管理はこちらで行なっているのだが……。

 

「ビル三棟爆破……?」

 

 凄まじい。奴を殺す為とはいえ、やり過ぎているだろう。

 今までどれほどの経費を……。

 

 

 いや、今はそれどころではないか。

 

 

「さて、と……」

 

 計画のため、動かなければ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はあ……先生……」

 

 ゲヘナ風紀委員会本部、その一室にて。その白いボリュームのある髪の毛を若干地面につかせながら事務仕事をする彼女──ヒナのもとに、一通のメールが届いた。

 

「ん? 何かしら」

 

 慣れた手つきでスマホのロックを解除し、隈の出来た目でメールの内容を確かめる。

 

「これは……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うう……。雑草抜くのぐらい、ナギちゃんがやってよ……」

「これは罰ですので、私が手を出すことは出来ません」

「ナギちゃんのケチ!」

 

 病気になりそうなほど晴れた空の下、ひたすらに雑草を抜く体操服の者──ミカと、それを紅茶を飲みながら見ている制服の者──ナギサがいた。他愛のない会話をしながら作業をしている。

 そんなことを続けていると、ミカは作業をやめて、土の付いていない指でスマホを取り出した。

 

「ミカさん、何かあったのですか?」

「メールが来たの! もしかしたら先生かも……!」

 

 そう言っていそいそとメールの内容を確認すると、彼女は肩を落とした。

 

「連邦生徒会からだった……」

「──連邦生徒会?」

 

 ミカ個人になぜ送ったのか。ナギサは訝しんだ。

 

「何かまた問題を……?」

 

 思い当たるのはそれぐらいだ。ティーパーティーに連絡するのであれば、直接ホストである自分に来るはずーー途端、携帯が震えた。取り出して連絡の内容を確認する。

 

「ほら、ナギちゃんにも来たでしょ? ティーパーティーが呼ばれるなんてあんま無いよね〜☆ セイアちゃんにも来てるのかな?」

「これは……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んん?」

 

 トリニティ特有の荘厳な校舎の中、黒いセーラー服に身を包んだ少女──ツルギのスマホに、一通のメールが届いた。

 サッ、と取り出し、内容を確認する。

 

「ああ……」

 

 内容に納得した様子を見せたツルギ。暫く考えた後、ある人物に電話をかけた。

 2コール程して、すぐに電話は繋がった。

 

「はい、何でしょう、ツルギ」

「今から本部に行く。会議の準備をしてくれ」

「……何かあったのですか?」

「連邦生徒会から連絡が来た」

 

 電話の向こう側で、彼女がため息をついたのが分かる。

 

「……わかりました。すぐに準備します」

「ああ、頼む」

 

 

 廊下を歩きながら、彼女は言った。

 

「面倒なことになりそうだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん〜? うへぇ、メール? 先生かな〜?」

 

 至る所に砂が溜まる教室の机で、ヘイローを輝かせながら寝ていた少女──ホシノの元にも、一通のメールが届いた。期待を胸に秘めてメールの内容を見る。

 

「……ふ〜ん……」

 

 期待していた内容とは違かったのか、少し肩を落とした彼女は、もう一度クジラの枕に顔を埋めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「と、言う訳なのだけれど」

「少し前にも、このマコト様に同じ内容の物が来たな」

 

 珍しく神妙な面持ちで話しているマコト──彼女に神妙な面持ちなんて言う言葉は二度と使わないかもしれない──は、万魔殿(パンデモニウム・ソサエティー)の生徒会長室、その気品ある部屋にて、風紀委員長空崎ヒナと対話をしていた。

 

「全く、この忙しい時期に……」

「別に何もないでしょう」

 

 口から飛び出た適当が一瞬にして破壊された。そんなことは日常茶飯事なので、何事もなかったかのように口を動かす。

 

「アコ達も連れて行った方が良いわよね・・・」

「そうだな、補佐は必要だろう」

 

 淡々と話す彼女らの周りを静かな空気が漂い、会議を聞いている。

 

「さて、本題に移ろう」

「ええ、そうね」

 

 コーヒーを手に取り、飲む。カチャリ、とコーヒーソーサーとカップが触れる音がする。

 

「この作戦に参加すると──」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もしかしたら、ヘイローが砕ける……」

「連邦生徒会も、ひっどいね〜」

 

 一度テラスに戻り、菓子を嗜みながら会話していたナギサとミカ。ナギサの発言に、ミカは頭の後ろで手を組み、そんな意見を口にする。

 

「ミカさん、これは断って──」

「いや、やるよ?」

 

 ミカの発言に、一瞬空気が固まる。

 

「ッ、何で──」

「だって、生徒が何人か死んでるんだよ?」

「なら、尚更何でですか!?」

 

 

 

()()()()()()

 

 

 

「──ッ!」

 

 

 

 ミカの発言に、ナギサは感情を顕にする。困惑と納得、理解と不可解だ。

 

「み……ミカさんが死んでしまうのかもしれないのですよ!?」

 

 ガチャン、とカップをやや乱雑に置いた。紅茶が波打つ。

 

「そんな事、先生が死ぬことに比べれば、大したことないよ?」

「ダメですミカさん、ダメです! 私たちが動かなくても、先生が動けばきっと解決します! だから……ッ!」

 

 

 

「先生が命を賭けて戦ってるのを、指を咥えて見る、ってこと? 流石に笑えない冗談だよ、ナギちゃん」

 

 

 

「冗談ではありませんッ!」

 

 

 

 身を乗り出して両の手でテーブルを叩く。紅茶が零れる。ロールケーキが震えた。

 

「私、ナギちゃんを敵に回したく無かったなぁ……」

「それはどういう──!?」

 

 呼び掛けは虚しく、ミカは席を立った。

 虚空を掴んだ手は、暫く空中に留まった。

 階段を下りる音が響いた。

 

「ミカさん……!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌日。朝から連邦生徒会に赴いたミカは、内心激怒していた。

 

「な〜んでゲヘナの連中もいるのかな〜☆」

 

 そう怒りを少し表に出しながら頬杖をつくミカ。連邦生徒会第一会議室にて、彼女らは集まってしまった。

 

「キシシシシッ! 最高峰の戦力が呼ばれて、この最高峰の戦力、マコト様が行かないわけないだろう?」

「先輩は戦力じゃなくて情報網とかを頼りにされてるんじゃないですか……?」

「はぁ〜・・・」

 

 本を読みながらそう疑問を呈する赤髪の者──棗イロハと、盛大にため息を吐いた天雨アコ。マコトのせいで疲労が溜まっていっているのが分かる。

 

「アンタ達が大好きなイブキって子は居ないの?」

「お前みたいな奴に、イブキを会わせられるはず無いだろう! キシシシシッ!」

 

 相変わらず、これから会議をするとは思えない態度で話している彼女ら。これが普通なのだから、本当に仲が悪いのが分かる。

 

「ミカさん、貴女は一人でここに?」

 

 そう問いかけたのは、正義実現委員会副委員長、羽川ハスミ。

 

「うん? いや、ナギちゃんが口煩くてさ〜。これから護衛みたいな人が来るらしいんだよね〜」

 

 そう言って、ナギサとのモモトークの履歴を見せるミカ。不在着信が確実に5回以上。その後に、「護衛を向かわせます」と言う吹き出しがあった。

 

「ま、護衛兼監視役、みたいな感じ?」

 

 護衛が遅れてやってくるのは、彼女が話を聞かずに飛び出して行ったからだろう。ナギサの胃は紅茶でタプタプかもしれない。

 

「……そうですか」

 

 ハスミは少し驚いた顔をして言った。少し驚いた、と言っても口を少し開くくらいなのだが。

 ナギサとミカはエデン条約の混乱が収まりミカに悪質ないじめがあった時も二人でいた。だからミカが独断で来たのに疑問を抱いたのだろう。

 

 

 ゲヘナは黙って各々物思いに耽っている。頭の働く者と戦力がある者しか居ないので、三人という人数だ。

 あのマコトも黙って待っている──いや、ヘイローが消えた。居眠りしただけだった。

 

 

 その後すぐに、四人分の足音が聞こえてきた。凛とした顔の蒼森ミネと、疲れた表情で汗を流している歌住サクラコ、そしてミカの護衛になった生徒だ。ミネとサクラコ、二人は馬が合うとは言い難い。特にミネは話が全く通じない時の方が多いので、サクラコは苦労したのだろう。トリニティは政治的な問題が多い。だから各分派の長を呼んだのだろう。

 四人は無言のまま歩き、護衛はミカの後ろに立ち、ミネとサクラコは席についた。沈黙が漂う。

 

 

 そして、約束の時間だ。ヒール特有のカツカツという音が響く。ドアが開き、最後の人物を迎え入れた。

 

「皆さん、こんにちは。今日はよろしくお願いします」

 

 キッチリ時間通りに現れた行政官は、トントン、と机を使って書類を揃えた。

 会議室を見まわした後「ホシノさんは……まぁ、予想通りですね」と呟いたが、誰の耳にも入らなかった。

 

 

 全員の視線が注がれる中、彼女は一切緊張などしていない様だった。もう慣れたのだろう。彼女はしっかりとした声で話し始めた。

 

 

 

 

 

「では──始めましょう。このキヴォトスを守るための戦い、その第一歩を」

 

 

 

 

 

 ■

 

 

 

 

 

 話し合いは順風満帆に進み、そして終わった。ゲヘナとトリニティ同士の多少のいざこざはあったが(主に喧嘩をふっかけるのはトリニティだ)。

 

 

 会議の途中、様々な質問、意見が飛んだ。

 例えば、相手の身体能力はどんなものなのか、武器は何を使っているのか、雷帝の遺産は使わない方が良い──など、多岐にわたる質問だ。七神リンは、その質問、意見について、知っている事は細かく説明したし、相手の意見を優先して物を考えていた。

 

 回答の内容は、奴と唯一戦って生き延びた、ネルが情報源だ。リンは、簡潔に解説していく。

 

「身体能力は高いです。あのコールサインダブルオーと戦って互角なのですから、近接戦闘では敵わない、と考えた方が良いでしょう。遠距離からの攻撃が有効と思われます」

 

「武器は近接武器が主です。先生が取り上げた武器はナイフ、黒崎コユキさんの亡骸の近くに落ちていたのが錆びた鉄の棒、ネルさんとの戦闘では辺りに落ちていた瓦礫でした。相手の武器を取り上げるのはほぼ無駄だと思って良いでしょう」

 

「雷帝の遺産は……そうですね、出来るだけ使わない方針でいきましょうか」

 

 

 質問、意見に受け答えをし、計画をより良いものにしていく。どこかのピンク髪よりも超人だろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、会議が終わる頃には、夜の帳が下りていた。

 

()()()()()()()()()とします。参加できない場合、連邦生徒会に直接電話を下さい」

 

 皆、黙っている。その決意を胸に秘めて、吐き出さないように口を閉じている。

 

「では──これにて、第一回キヴォトス防衛会議を、終了といたします。皆さんのお陰で、有意義な会議になりました。ありがとうございました」

 

 皆んな席を立っていく。ヒナの大きな翼がマコトに当たってマコトがヒナに執拗に文句を言う。それを見ているアコとイロハがため息を吐く。欠伸と伸びをしながら歩いていくミカ。何かを話しながら歩くツルギとハスミ。終始気まずそうにしているサクラコ。それとは反対に堂々としているミネ。

 

 

 彼女らが居なくなり、静寂が漂う会議室。リンの口からは、彼女の思いが溢れた。

 

「先生が居たら……もっと良い決断を出来ていたのでしょうか……」

 

 溢れた思いは落ちていく。誰にも拾われなかった思いは、やがて静寂に呑まれていく。

 

 

 立ち上がった行政官は、会議室を後にした。

 

 

 

 

 

 ──黄色の花を残して。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*フフフ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それは、するりと地面に吸い込まれるようにして会議室から消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 









争え・・・。早く争え・・・!

あなた方が望むのは?

  • ハッピーエンド
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