ラブとピースとアーカイブ   作:はみがきこな

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前回投稿から三ヶ月ぐらい経ちました
許せサスケ……。


Peace 5. 子供

「”モモイとミドリが、行方不明……!?”」

 

 徹夜して、仕事がようやっとひと段落ついた時。

 アリスからかかってきた電話は、まさに寝耳に水だった。

 

「”いつ二人が行っちゃったか、分かる?”」

『ひぐっ、ぐずっ……。えっと……。昨日の、お昼、に、モモイが出ていっちゃっで……。その次に、ミドリもでず……』

 

 泣いているアリスの言葉を聞き取り、近くに落ちていたメモ帳を取り、胸ポケットからペンを出す。聞いたことを全てメモする。

 

『その頃、モモイはすごくて……。未来が見えていて、それで、ユウカの仇を取るっていって……。それで……』

「”大丈夫。無理に話さなくていいからね”」

『うう……うああああああん!!!』

 

 泣きじゃくるアリスを電話越しに宥め、励ます。

 

 しばらくするとアリスは泣き止んだ。

 

『おねがいじます、ぜんぜい……。モモイとミドリを、助けてくだざい……!』

「”もちろん。絶対助けるよ"」

 

 電話を切った。

 ふぅ、と、一息つき、シッテムの箱を手元に寄せて、液晶を見る。アロナは机に座っていて、プラナは寝ていた。

 

「”アロナ”」

『はい、なんですか?』

「”連邦生徒会のセントラルネットワークに入ること、出来る?”」

『もちろんできますが……。バレたら大変ですよ?』

「”でも、バレないようにできるでしょ? ”」

『そうですが……。リンさんが黙っているとは思えませんし……』

「”ま、怒られるだろうね……。でも、やらないわけにはいかないから"」

 

 強い決意を私は持って言う。

 子供を守る、それが私の使命なのだから。いま、連邦生徒会を怖がってたって、それは何の役にも立たない恐怖だ。

 目を閉じる。黒色の瞳を瞼に隠す。

 思いを反芻させる。

 

 守る。

守る。

 

*生徒たちを守る。

*そう思うと、ケツイがみなぎった。

 

 ゆっくり目を開ける。

 黒色の目は━━ほんの一瞬━━赤色に染まっていた。

 だれもそれを、知ることは無かったが。

 

 

 

 

 

 ■

 

 

 

 

 

 連邦生徒会のセントラルネットワークに潜入したアロナが手に入れた情報は、いたって簡単だった。

 モモイは、恐らく死亡。

 死亡。

 まただ。

 結局何も守れない。

 脳裏によぎる、あの明るい笑顔。

 手の届かないところで、また笑顔が散っていく。

 涙が頬を伝うのを感じた。

 

 ミドリは、恐らく現在交戦中。

 

「"モモイは……。でも、ミドリは、まだ……!"」 

 

 ならば、こんな所に居る必要はない。すぐ向かって、助ける。

 どこで交戦しているのだろう?

 画面をタップし、場所を確認する。

 

「”ヴァルキューレ……?”」

 

 なぜ、そんな所で。

 いや、今は考えなくていい。

 

 助けるだけだ。

 

 

 

 

 

 ■

 

 

 

 

 

 居場所を少し調べた後、すぐにミドリの居場所に向かった。

 ヴァルキューレ。

 さほどシャーレから距離があるわけでもない。さっと着くだろう。

 地下鉄等は止まっているので、徒歩で行くしかないのだが、それでも、早く着いた。

 

 着いた。

 それまでは良かった。

 

 ヴァルキューレの有り様は、酷いものだった。

 窓ガラスは銃弾で割られており、床には血がついていた。

 血を触ると、熱は無かったが、指に、液体状のまま付着した。

 戦いから、まだ暫く経っていないようだ。

 入り口付近に、割られたマグカップとコーヒーが散乱していた。

 

「”このマグカップ……。カンナの……!”」

 

 血痕は、ヴァルキューレ内をのたうち回っていた。ヴァルキューレ内で戦っていると言う事だろう。

 私は、警戒しつつ中を調査することにした。

 

 中は、外よりも酷かった。

 血の匂いが充満し、ところどころに落ちている薬莢が、戦いを示唆していた。ヴァルキューレの白い壁は弾丸によって抉られている。

 長い廊下を歩き、階段から上階に上る。

 

 そこで、彼女と出会った。

 

「”……え”」

「あ、先生。やっほ」

 

 血みどろのミドリが、立っていた。

 

「”ミドリ……? ホントに、ミドリなの……?”」

「うん。私だよ」

 

 と言って、にこりと笑うミドリ。

 その笑顔は、なんだか、狂気を含んでいた。

 

 

「久しぶりだね、先生。でも、今は再会を喜ぶ時間は無いの」

「”それってどういう……”」

 

 言った瞬間、ミドリの頬を何かが掠めた。

 それは、壁を抉った。

 

「おい。待て化け物……先生?」

 

 抉ったものは、銃弾。

 銃弾が飛んできた先を見れば、傷だらけのカンナが立っていた。 

 

「”カンナ、その傷……”」

「ああ、大したことありません」

「”何があったの?”」

 

「そうですね」とカンナは言った。「決闘、とでも言いましょうか。どちらが()()()……殺人鬼を殺すか決めていました」

「”どういうことなの……”」

 

 流れは分かったが、意味がわからない。

 

「殺人鬼を逮捕しようとした時にそいつが現れたんです。私に殺させろと、そう言ってきたんですよ」

 

 ミドリの方を見る。

 頷いていた。

 ……確かに、ミドリがモモイの死を知ってしまった可能性はある。それの復讐、というものか。

 

「”……なるほど、大体分かったけど……。本命の殺人鬼は何処にいるの?”」

 

 カンナとミドリは、互いの目を見て、頷いた。

 

「逃しました」

「”え?”」

「邪魔だったので、逃しました」

「”ええ……?”」

 

 どういうことなの……。

 

「そんな顔しないでください、先生。これ見てください」

 

 カンナが取り出した端末には、キヴォトスの地図があり、一つの点が映っており、その点は移動していた。

 

「GPSを付けておいたんです。これなら本拠地が叩けます」

「”ああ、なら……良くないね!? 先に殺してよ!?”」

「すみません」

 

 本拠地を叩く前に、主力を潰せたのなら先に潰しといて欲しかった……。

 みんな、ストレスとかで変になってるんだろう。

 はぁ、とため息を吐く。

 まあ、相手の本拠地が叩けるのなら良いんだけれど……。

「”カンナ、ちょっとそれ貸して”」と私は言う。「”一回、そいつの位置を確認させて欲しい”」

「良いですよ、どうぞ」

 

 ピッピッ、と点は動いたり止まったりを繰り返していた。

 どこに向かっているんだろう? 恐らくこのまま行くとミレニアム郊外辺りだろう……。

 よし。

 良い情報を得た。

 

「”これ、借りてっても良い?”」

「良いですよ。それだけでしか見えない訳じゃないですし」

「”ありがとね。あと、二人とも”」

 

 キョトンとする二人に言う。

 

「”もう二人で戦うのはやめてね”」

「……はい」

「……わかりました」

 

 何でこんな時に生徒同士で争わないといけないのだ?

 今は、殺人鬼のことだけを考えていればいい。

 一階に降りて、出口に向かう。

 

 よし、じゃあ後はあの殺人鬼を──

 

 

 

 揺れ。

 

 

 

「”何だ、これ”」

 

 

 

 揺れ。

 爆発。

 

 

 

 ヴァルキューレの壁が吹き飛んだ。

 

「あ、会長〜! 先生いたよ〜!」

 

 ミカ?

 何でここに……。

 会長?

 まさか──

 

「先生。お久しぶりですね」

「”……リンちゃん”」

 

 あ〜。

 バレちゃった?

 

「”ヤッホ〜……”」

「……何でそんなに怯えているのです?」

「”いや〜?”」

 

 セントラルネットワーク……。

 あちゃ〜……。

 

「……もし、セントラルネットワークの事を考えていられるのでれば、それは間違いです」

「”ふぇ?”」

 

 違うの?

 というかバレたんだ……。

 

「先生を、捕えにきたのです」

「”それは、どう言う事?”」

「貴方を動かすわけにはいかないのです。貴方はすぐに奴を捕えるために動くでしょう?」

「”大人の、責任だからね”」

「その責任を負わせるわけにはいかないのです。もし貴方が亡くなってしまったら、このキヴォトスは終わります。それに、貴方が居たら、抹殺は遂行できないでしょうし」

「”……私は、死なないよ”」

「それは、どうでしょう?」

 

 リンが指を鳴らすと、見覚えのある子たちが姿を現した。

 ヒナ、ミカ、ツルギ……。学園で『最強』と称される子たちと、それに匹敵する強さを持つ子たち。

 

「”本気っぽいね”」

「ええ。貴方に行って欲しくないので」

 

 さて、どうしようか。

 私は生徒に攻撃なんかしたくないし。

 カンナ達に戦いを頼む──いや、流石に戦力差がありすぎる。

 

 どうしようか。

 

 彼女らが私の胸中を察する訳もなく、戦い──題して、『先生捕獲戦』は幕を開けた。

 

 




更新激遅申し訳ない

あなた方が望むのは?

  • ハッピーエンド
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