ラブとピースとアーカイブ   作:はみがきこな

6 / 16
*一部の言動が 変かも


Peace2 合図

 

 

 

 

 

 風が吹き抜ける音。

 

 全てを包み込んでいく闇。

 

 伸び切った雑草。

 

 ひび割れたコンクリートの壁。

 

 

 まさに廃墟。

 そんなところにただ一人佇んでいた。

 

 なぜここに居たのだろうか。

 恐らくあの怪物がここまで逃げたのだろう。

 

 

 服にこびりついた返り血は、「お前は人を殺した」と語りかけてくる。

 

 

 窓があったであろう場所から差し込む月明かり。

 こんな綺麗な場所だ。気持ちよく死ねるだろう。

 

 

 

 

 

*思い通りに いくと思うなよ

 

 

 

 

 

 まただ。ノイズが流れてきた。

 十中八九、あの怪物───「Chara(キャラ)」の思念だ。

 

 

 そして、()()は殺人をしたのだろう。服に付着した血が、それを無理やり理解させる。

 

 さらに、自身の中で()()が力をつけているのを感じる。

 自我が完全に消えるまで、そう時間はないだろう。

 

 

 そうだ。死ぬ前に、先生に謝罪をしなくてはならない。

 こんなにLOVEが溜まってしまった自身の言葉など届かないと思うが。

 

 

 

 

 

 まず、月明かりを頼りに外に出ることにした。

 鬱蒼とした雑草を掻き分け、土の地面からコンクリートの地面へと足を踏み出す。

 外は少し肌寒く、マフラーが欲しくなる。

 

 煌めく星々は、光源に邪魔されずに輝いている。

 つまり都市部ではない。

 乾いた土の上を歩いていく。

 

 

 近くに看板が立っていたので確認すると、

 

ミレニアムサイエンススクール 2.1km →

 

 と書かれていた。

 

 

 足がバカみたいに痛かった原因はこれか。

 ……2.1kmなんて歩いてきた理由がよく分からないが、必死に逃げたのだろうか。

 それとも見慣れない景色に興奮してたのだろうか。

 

 

 

*……。

 

 

 

 図星だ。

 絶対にそうだ。

 到底人を殺した後とは思えない。

 

 

 こんな距離どうやって帰ればいいのだ。

 さっきまでのように親切な人はいないだろう。いたとしても通報されるだろう。いや、通報されても別にいいのだが。というかしてくれた方がいい。 

 

 

 

 数分間どうにか楽に帰る方法を模索していたが、自分の頭脳では無理だと理解できたので、歩くことにした。

 

 いやしかし、2kmは長い。本当に自分の足で歩いたのかと思えるほどだ。

 

 ため息をついて、看板が指していた方向へ歩み始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ■

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 途中途中ベンチに座って休憩しながら、やっとビルが聳え立つところに来た。長かった。

 ヒイヒイ言いながら歩いて来たのだ。

 先生にさっさと謝らせて死なせてくれと、そんな気持ちを抱いている。

 

 

 しばらく歩いたところで、ニンゲンは街の異変に気づいた。

 そう、人が全くいないのだ。

 全く、だ。

 

 

 前、最初に人を殺した時の夜。

 その時は、少しやんちゃな生徒がエナジードリンクを飲んでバイクで爆走していた。その後爆発音がした。

 死んだ目で「妖怪MAX……妖怪MAX……」と言いながらうろついていた人がいたことも思い出した。あれは怖かった。

 

 

 だからここまで街を静寂が包むのは、何か違和感を感じる。

 

 

 ……まぁ、こんな日もあるのかもしれない。

 夜に外を歩いたことがないのでよく分からないが。

 

 

 

 

 それよりも、だ。

 先生は一体どこにいるのだろう。

 前は奇跡的に出会えたが、今回もそうとは限らない。

 また看板探しをしなくてはいけないのだろうか。だとしたら非常にまずい。

 またkm単位の道を歩かされることになったら足が折れてしまう。ほんとに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 冷たい風が肌を刺すビルの屋上で、しゃがんで考え込む。

 双眼鏡越しに確認したあの子供の顔は、まだ純粋だ。

 殺人鬼の顔をしていない。

 

 キョロキョロと周りを見渡している。

 推測に過ぎないが───多分、人を探しているのだろう。

 殺すためだろうか? 

 

 だが、ミレニアムの生徒たちには、『要塞都市エリドゥ』に籠ってもらっている。あそこまでたどり着くのは至難の業だろう。

 残っているのは派遣したC&Cのみ。

 トキにはアビ・エシュフで警備をしてもらっている。今夜だけなので、許してほしい。

 私にはアロナとプラナがいる。安全は保証済みだ。

 

 

 ふと、ネルが口を開いた。

 

 

「なあ、先生よお。あんなガキをあたし達で相手すんのか? あたし一人でもやれるぜ?」

「”ダメだよ、ネル。あの子は人を殺めているんだ。ユウカたちと真正面で戦って勝ってる。戦闘力は高いはず”」

 

 セミナーのみんなは、弱くなかった。

 数日前まで、共に任務をこなしていたのだ。

 

「会計か……。書記も、だったか?」

 

 ネルは、舌打ちしてこう言い放った。

 

「チッ、クソ野郎が」

 

 

 同感だ。

 未来ある子供達の命を四つも奪った。大人のカードを使うことも視野に入れよう。

 ユウカたちは、きっと苦しかったろう。

 

 

 彼女たちの仇を討ってみせる。

 そう思うと、少し力がみなぎった気がした。

 

 

「せんせ〜! 戦闘開始っていつだっけ? もうすぐ?」

 

 アスナが背中に飛びついてきて、問いかけた。

 

「”夜明けだね。四時半からかな。今は───”」

「だいたい四時だな」

 

 と、カリンが近づいてきて言った。

 

「え〜!? まだ三十分もあるの!? やだ〜!」

 

 アスナが喚き始めた。

 彼女の性格だ、待ちきれないのだろう。

 

「アスナ先輩、正確には残り二十三分ですよ」

 

 と、懐中時計を見てそう言うアカネ。

 

「ほぼ変わんないじゃ〜ん……」

 

 

 そんなやりとりを聞きつつ、頭の中で作戦を磨いていく。

 作戦、と言っても、数時間で立てたもの。

 だが、アロナたちのサポートもあり、勝率はほぼ100%だ。

 

 

 

 だんだんと黒が薄まっていく空を見ながら、想いに耽る。

 

 あの時。

 あの時私があの子供を問答無用で処刑していれば。

 あの時。

 あの時私が最初に拾っていたら。

 こんなことにはならなかったのかもしれない。

 

 過去は変えられない。

 死んだ人を蘇らせることもできない。

 

 なんて無力なんだろう。

 でも───

 

 

「先生、もう十分前だ。さっさといくぞ」

 

 私には、この子たちがついてる。

 

「”そうだね、行こうか”」

 

 

 

 

 

「”まず、先制攻撃だ”」

「”やってくれ、カリン! ”」

 

「了解だ。」

 

 

 

 火薬が爆発した音が、背後から鳴り響いた。

 

 輝いたマズルフラッシュが、夜明け直前の夜空を切り裂く。

 

 銃口から放たれた弾丸は、目標に向かい真っ直ぐ飛び立って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




C&C&先生VSCharaVSダークライ
ファイッ!!!!!

あなた方が望むのは?

  • ハッピーエンド
  • バッドエンド
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。