悪堕ち王子の快楽ダンジョン、女冒険者を帰さない ~エロゲの悪役に転生した俺、ひっそりスローライフを送りたいだけなのに美少女たちが集まってくるんですけど!?~   作:タイフーンの目

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第32話 都合のよいときだけ呼び出されて、この女体を差し出す存在じゃ!

 

 ■ ■ ■

 

 

「アルト社長、すみませんっっっ!」

 

 俺はマインからの報告を受けて、例の建設現場にやって来ていた。

 

「私たち……ついハリキリすぎちゃいまして……!」

 

 キリリとした眉にたれ目が特徴の元気印なマインだが、今日は申し訳なさそうに顔を歪めている。

 

「これか――」

 

 マインたちの失敗。

 それは、敷地を広げようと掘りすぎて、ダンジョンの外まで貫通させてしまった事故だった。幸い、山中で人通りなんてあるはずもない場所だったので、目撃はされていなさそうだ。

 

 人ひとりが通れるくらいの穴は、今はその辺の土砂を使って応急処置されている。

 

「大変申し訳ございません……この罰は何なりと……」 

 

 平身低頭のマイン。

 

「いや構わないよ。それよりちゃんと報告してくれてありがとうな」

「へ?」

 

 報告されずに、誤魔化されていたほうが面倒だった。適当に塞いだだけじゃあ、その不自然さで、誰かにダンジョンの存在がバレてしまう可能性だってある。ここが文字どおりの『穴』になって、余計な侵入者を増やしてしまってからでは遅い。

 

 叱られると思いながらも、すぐに連絡をくれたのはナイスなリカバリーだ。

 

「《クリエイト》」

 

 しっかりと、外から見ても元通りになるよう復元する。

 

「お、おお、こんなにあっさりと、とても綺麗に……! これが社長の建設力……!」

「それを言うならマインたちもだろ。もうこんなに出来てるなんてな」

 

 穴を塞いでから周りを見渡す。

 ノームたちの街づくりは、この事故を除けば順調すぎるほど順調だった。

 

 3日ほどで整地はすっかり終わり、建物がいくつも形になってきている。道路の原型らしきものまで出来ていて――

 

「やるな。俺みたいなスキルも使わずにここまで。マインたちは体もちっさいのに」

 

 心底感心しながら、一方で、別のことにも思考を巡らせていた。先日から考えていた新しい侵入者対策のことだ。

 

(穴……、外に繋がる穴。そしてこの建設現場か……)

 

 そうして頭の中で、あるアイデアが固まったんだが、

 

「――って、どうした!?」

 

 見ると、マインがだばだばと涙を流していた。

 

「いいえっっ! 私たちの失敗を許してくださったうえに、そんなお褒めの言葉をいただけるなんて……うぅ、ひぐっ、ひっく!」

「泣きすぎ泣きすぎ。水分がなくなるぞ? ほらエナドリ飲め」

 

 小瓶を手渡すと、ひぐひぐ言いながらもマインは飲み干した。

 そうこうするうちに、メディたちが俺に追いついてきた。今日は一緒に視察をしようと誘っていたからだ。

 

 泣いてるマインと、背中をさする俺を見て、

 

「わー、アルト様って女泣かせ~」

「むむ!? お団子頭の小娘よ、近いぞ? もそっと離れよ」

 

 ズレた2人とは対照的に、メディはマインに寄り添って俺と一緒に背中をさする。ええ子や。

 

「朧、マインが落ち着くまではいいだろ」

「いいやあるじ殿! 序列はハッキリさせねば!」

「そのとおりです……、社長、ありがとうございました」

 

 マインはぐいっと頬を拭って、

 

「もう立ち直りました! 気を引き締めなおして、社長のご期待に応えられるよう誠心誠意がんばります!!」

 

 この子はこの子で過剰だが、やっといつものテンションを取り戻してほっとする。

 

「さあ【銀級】のノームよ。あるじ殿から離れぬか」

「ええ。ヒラ社員が社長に親しくするのは示しがつきませんからね!」

「じゃろう!……ふむ、しかし意外に物わかりが良いではないか」

「上下関係をきっちりさせる――さすがは()()()()です!」

「……へ?」

 

 朧が固まる。

 マインはきょとんとした顔で、

 

「ちがったのですか?」

 

 と、俺たちのことを見渡して、

 

「てっきり、貴女様が社長の奥方なのかと」

「っっっ!! ノームよ……なんという優秀なモンスターなのじゃ! 見所がある、ありすぎるぞ!?」

 

 震えてるんじゃねぇよ。なに感動してんだ。

 ふと横を見ると、メディはよく分かっていない顔をしていて、ニューは殺意の籠もった目で朧を見据えている。

 

 調子に乗った朧は、

 

「しかぁし! お団子娘よ、あるじ殿の一番はメディ殿じゃ! こちらのお方は【神級】、わらわたちなど及びも付かぬ存在!」

「!? これは失礼しました、そちらが奥方でしたか」

「左様。わらわはそうじゃな……さしずめ、第2夫人といったところかのぅ? 都合のよいときだけ呼び出されて、この女体を差し出す存在じゃ!」

「おい俺の好感度を下げるなよ」

 

 しかもなんで誇らしげなんだ。

 すると、ニューが俺の腕にがっしりと抱きついてきて、

 

「じゃあ私は愛人ー。第2夫人より呼び出し頻度の高い、オキニの女~♡」

「ぐぬっ、そっちの黒髪娘は本当に……!」

 

 朧は拳を握って震えるが、すぐに居直って、

 

「まあよい、銅級の言うことなど無視して……見所のあるお団子娘よ。おぬしには第2夫人のこのわらわが! 直々に教育を施してやろうぞ」

「本当ですか!? 社長夫人からのご指導、大変うれしいです!」

「素直でヨシ! おぬしが重要ポストに就けるよう、わらわが進言しておこう」

 

 絶対に権力を与えちゃダメなタイプだなこいつは。

 ともかく、ほとんど正反対なのになぜか意気投合している2人は街づくりに戻っていった。

 

 

「さて。メディとニュー。俺はちょっと行きたいところが出来たんだが、付き合ってくれるか?」

「えっ、デート? いくいく♡」

「アルトさまとおさんぽ!♡」

 

 両手に花。

 冒険者スタイルのむちむちメディと、ミニスカートなメイド服のニューと、それぞれ手を繋いで散策を開始する。

 

 本当はメディたちにも街づくりのリクエストを出してもらって一緒に建築する気でいたんだが、さっきの事故現場で思いついたアイデアを早速実行してみたくなった。

 

「どこ行くのアルト様?」

「このダンジョンは山脈の内部にある」

 

 ノームの街からさらに、別方向へとトンネルを掘る。《クリエイト》で岩壁をえぐって土砂を除去しながら、

 

「入口は1つ。いつものあの場所な。……あそこを塞げればベストなんだが」

 

 ダンジョンは人間を――人間の女を誘い込むために存在している。その存在を否定することはダンジョンマスターの俺にも不可能らしい。

 

「人間なんて、敵じゃないでしょ? こないだの盗賊みたいにヤっちゃえばいいじゃん」

「女はな。ただ、入口を見つけた男どもが騒ぎ出したら厄介だ」

 

 盗賊団はイメルダが抑えてくれるとして、別の連中にかぎつけられないとも限らない。

 

「だから、入口をなくせないなら――()()()()()()

 

 

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