世紀末『世界最強』覇王   作:むむむむむい

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レースの、書き方を、教えてください。無理そうです。


伝説の幕開け

 

ーーついに来てしまったメイクデビュー当日。

 

メイクデビューは京都レース場芝2000右回り、テイエムオペラオーにとって自身の実力が発揮しやすい中距離のレースである。そして今回出走するウマ娘たちのステータスを見てもテイエムオペラオーは頭ひとつ、いやふたつ以上は抜けていて万が一にも負けることはない、と思いたい。

 

とはいえ、ステータスがいくら勝っていても負けることはある。かの『皇帝』でさえ3度の敗北、史実のテイエムオペラオーもジュニア、クラシック期には割と負けている。特に今回のメイクデビューはこれまで模擬レースを行っていないこともあり、メンタルが不安定になっている可能性がある。ここまで来ると俺がしてやれることはほとんどないがどう声をかけたものか。

 

控え室前で頭を抱えるのも邪魔なので選手控室に入る。さて、テイエムオペラオーはどんな顔をしているだろうか。

 

「ォペラオーさっ、いや、トトトレーナーさん!?大変ですぅ!オペラオーさんがまだ来てなくてぇ…私、心配で…。」

 

そこにいたのはメイショウドトウ。先日2度目の選抜レースを終えたがスカウトは無かったらしく、もうしばらくこちらで面倒をみることになりそうである。しかしオペラオーが来ていないとはどういうことだろうか。

 

「…一旦こちらから電話してみるよ」

 

昨日確認した限りでは肉体に異常は無かった。事故か、それともメンタル面の問題だろうか。と心配していたところに笑い声が響く。

 

「はっはっは!その必要は無いよトレーナー君!待ったかい?待っただろうね!主役は最後に登場するものだからね!はーーっはっはっは!!」

 

「オペラオーさぁん!無事で良かったですぅ!」

 

そうだった、オペラオーはこんなやつだったか。心配が杞憂となったと同時に明らかに絶好調!と言わんばかりのテイエムオペラオーを見て俺は彼女にかける言葉を決めた。

 

 

 

「テイエムオペラオー、……世紀末覇王伝説の幕開け、見せつけてくれ。」

 

「当然だとも!…ボクと君のプレリュード、世界に焼き付けて見せようじゃないか!」

 

オペラオーはそう言って、にっこりと笑った。

 

 

 

ーーーー

 

「ーー同志さ〜ん!ドトウさ〜ん!こちら、空いてますよぉ〜!」

 

観客席へと向かうと、どうやらデジたんは先に最終直線付近の最前列を陣取っていたらしく、こちらにぴょんぴょんと手を振っている。145センチの体じゃジャンプしても意味が無い気がするが。

 

「いやぁ~楽しみですねぇ!今日のレース、あたしはすべてのウマ娘ちゃん推しなのでどの子も応援してるんですよぉ、例えば2番のリボンララバイちゃんとか、5番のオボロイブニングちゃんとかはライバル関係でぇ!それでもお互いに認め合ってて尊みがマックスだとか!他にも〜……でも、

 

…このレースは、オペラオーさんが勝ちますよ。」

 

「…ああ。」

 

間もなく、レースがはじまる。

 

 

《晴れ渡る空のもと行われるジュニア級メイクデビュー戦、今年もこの季節がやってきました。来年のクラシック戦線を担うウマ娘達が意気揚々とゲートインしていきます。さぁ初めての勝利を手にするのは一体誰なのか!》

《個人的に注目しているのは三番人気の8番、テイエムオペラオーですね、新人トレーナーの担当ということで少し評価を落としてはいますがこれ以上ない仕上がりのように思えます》

《さて、ここですべてのウマ娘のゲートインが完了しました》

 

 

 

 

ガコン

 

 

 

 

《スタートしました!》

 

 

 

《全員揃ってきれいなスタートを切りました、最初にハナを取ったのは2番人気5番オボロイブニング。それに続いて1番人気2番リボンララバイ》

《事前情報によると先行策が得意とのことですがこれは作戦でしょうか、ペース配分が心配です》

 

メイクデビューにしては珍しい一直線のスタート、そのまま横長の展開になるかと思いきや5番オボロイブニングが前に出る。その後ろに付く形で2番リボンララバイ、6番を挟んでテイエムオペラオーが位置取る。その後ろは露骨にスタートダッシュの加速力の差が出る形でまばらにウマ娘達が続いていく、

 

 

《逃げるオボロイブニングに引っ張られるようにレースは縦長の展開となってまいりました。》

《ここまで平均的なペースを維持していますね、オボロイブニングもかかってしまった訳ではないようです。》

 

オボロイブニング、ライバルらしいリボンララバイに対して一芝居打ったと言うことだろうか。割とお手本のような逃げの走りでレースが膠着状態に陥る。

 

《ここで前半1000メートルを通過、順位を振り返っていきます。先頭は5番オボロイブニング、1バ身離れて2番リボンララバイ、その後ろ6番ポルカステップ隠れるように8番テイエムオペラオー…》

《テイエムオペラオー、いい位置に着けていますね》

 

おそらくスリップストリームを意識しての位置取りはやはりオペラオー、レースが上手い。

 

《各ウマ娘たちが第四コーナーを迎え、レースも残り500メートルと少しとなりました。》

《ここからがラストスパートです、未だ縦長の展開が続いています後ろの子達は間に合うのか!》

 

第4コーナーも終わりに差し掛かり、レースは最終直線へと移ろうといったところで一人のウマ娘が前へ飛び出す。

 

 

 

「さぁ、はじめようか。栄光へのヴィクトリーロードを!」

 

 

 

空気が変わった。

 

 

《テイエムオペラオー!すごい加速だ!一気にハナをとって最終直線へと向かう!》

《テイエムオペラオー!後続を突き放す!リボンララバイ必死に追いすがる!しかしその差は広がっていく!》

 

レース場が一瞬やけに静かになり、どよめきが広がっていく。そしてそれはやがて大歓声へと塗り替わっていく。

 

《テイエムオペラオー!そのまま突き放してゴールイン!!メイクデビューを今大差で飾りました!!》

《圧巻の勝利ですね、これからのクラシック戦線を大いに期待させる走りでした。》

 

圧倒的な結果に、歓声が爆発した。

 

《2着はリボンララバイ、3着はポルカステップ…》

 

「お、オペラオーさぁん!すすすすすごいですぅ!!!」

「(言葉にならない叫び)〜〜!!!!!!尊み!女神ぃぃぃぃっっっ!!他のウマ娘ちゃんたちもっ!!がんばっだっ!!そしてそれを優に超える覇王!ッッッーーーーー!!!!」

 

 

 

「…やはりお前なら、最強に、『特別』になれるよ、テイエムオペラオー。」

 

メイクデビュー 京都 芝 内 2000m 右回り

 

1着 テイエムオペラオー

2着 リボンララバイ   大差

.

ーーー

 

 

ウイニングライブが終わり、勝利インタビューもそこそこに切り上げて4人で帰路につく。

公式レースへの出場はトレセン学園が無料で送迎バスを手配してくれており、基本的にはそれを使ってレース場を行き来する。今回も例に漏れずバスに乗っているが…次回からは個別にするかもしれない、なぜならーー

 

「はーっはっはっはっはっはっは!思い出したまえよトレーナー君!レース後、ボクを心待ちにするたくさんの記者、そしてファンたち!!ついにボクの輝きを世界が知ってしまったじゃないか!はーっはっはっは!」

 

「そ、その話はさっきも聞きましたぁ…もう4回目ですぅ…」

 

「そうだぞオペラオー、浮かれるのはわかるがバス内では静かにしたほうがいい。帰ったら祝勝会を挙げるからそれまでの辛抱だ。」

 

そう、このバスはトレセン学園に送迎バスなのだ。必然的に他のウマ娘も乗っている訳であり、割と車内の雰囲気は最悪に近い。

 

「ふふっ!その顔では説得力がないぞトレーナー君!…まぁどうしてもというならしょうがない!君たちにはボクの美しい寝顔を鑑賞する権利をプレゼントしようじゃないか!」

 

テイエムオペラオーはバス内の空気を最悪にするだけしてすぐ寝た。

 

「ね、寝ちゃいましたね…」

 

「…おそらく疲れていたんだろう、大差で勝ったとはいえど初めてのレース。無意識に疲労が溜まっていてもおかしくない。」

 

安らかに眠る横顔は、とても今日のレースを蹂躙した覇王には見えない。こんなところで彼女の普通の少女らしい顔が見れるとはなんだかレースの勝利以上に得した気分である。

 

ーーバスに揺られること数十分、日は落ち周りのウマ娘もほとんどが寝息を立て始めていた。

 

そんな中、正面に座るドトウが、意を決したかのように口を開いた。

 

 

「…あの、トレーナーさん、は、話があるんです。」

 

ゆっくりと彼女と目を合わせると、ぽつりぽつりと言葉が流れ出していく。

 

「その、今日のレースを見て、や、やっぱりオペラオーさんはすごいって思いました。最初から最後まで強くて、堂々としてて、私の憧れたすがたがそこにはあって。…正直、追いつけないって思っちゃったんです。」

 

「で、でも、それじゃダメだって思う私も、いたんです。ち、小さな想いですけど、ででででも、私のなかではっきりと燃えてて!」

 

……彼女なりの宣誓を、黙って聞く。

 

「きっとそれは、ダメダメな私が持つ、諦めの悪さで、諦めきれなくて頑張っても、いっつも空回りで、ドジばっかりで、私ってバカだなぁなんて思って、そんな自分が、あんまり好きじゃなかったんです。」

 

「…でも、この半年、短いですけど、オペラオーさんと、デジたんさん、そして、トレーナーさんと一緒にトレーニングしてちょっとだけ自分が好きになれたんです。…ふふ、デジたんなんて私がいくらドジ踏んでもいっつも慰めて、褒めてくれるんですよ。」

 

「…併走で一回も追いつけなくても、途中で何回もコケたり、失敗しても、オペラオーさんは私のことをライバルだって言ってくれて、トレーナーさんも、私は根性なら誰にも負けてないって言ってくれて…」

 

「…だから、私は、オペラオーさんと、並び立ちたい。今はまだ勝てないけど、もももしかしたらこの先ずぅっと、勝てないかも、しれないけど。私は私を信じる人たちを信じて、たとえ何年かかっても、オペラオーさんに、追いつきたい。…諦めの悪さは私の長所なんです、そう、教えてもらいました」

 

「…だから、今日が終わったら、私は、あなたとオペラオーさんに、全力で追いかけます。」

 

「…えへへ、まだ担当トレーナーもいないのに言っちゃいました、でも、取り消しません。」

 

…らしいよ?オペラオー。

 

「ふえっ!?オペラオーさんっ!?ききき、聞いていたんですかぁぁ!??」

 

「…バス内では静かに、だろう?トレーナー君。ふっくくくく…」

 

「はぅっ…」

 

「…期待しているよ、ボクの好敵手。」

 

「…はいっ」

 

どうにも、今日のレースは少しだけ世界を変えてしまったらしい。

 

運命は、三女神の手を離れて知らない方向へと転がっていく。伝説の綴り手は誰もわからない。だけどそれが俺達であったらいいななんて思いながら、残り少ない帰り道で俺は目を閉じていた。

 

なお、アグネスデジタルは死後硬直が始まっていた。

 




ノリと勢いで書いた、後悔は少しだけ。メイクデビューでする話じゃないだろ。
メイショウドトウのキャラがわからないので許せサスケ。
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