人形の家   作:三つ首黒虎

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初めまして!三つ首黒虎です。
初の作品で拙い点多々あると思いますが読んでいただければ幸いです。
誤字脱字、感想等あればぜひ

では、一話、どうぞ


一話

「とうとう来たのか!!」

 腰にサーベルを下げた見知らぬ男にそう叫ばれた。

 見知らぬ男はサーベルを構えてこちらに駆けてくる。

 

 

 なぜ、こんなところにいるのだろうか

 先程まで私は骨董屋にいたはずなのに

 

 なぜ?ここは何処で、この男は誰だ?

 何もわからない

 

 だが、だからこそ

 ここに至るまでを振り返ってみよう

 何かヒントがあるかもしれないから

 ――――――――――――――――――――――――

 

 私はある休日ふと外に出ようと思った。

 特に目的があったわけではない。

 意味もなく散歩をしたくなる。

 そんなことは生きている以上たまにはあるだろう。

 

 あえて理由をつけるならば、

 最近は雨が続いていた。

 だが今日は快晴である。

 それなら、こんな天気の下を歩くのもいいだろうと。

―――――――――――――――――――――――

 

 昼食を家で済ませ

 真昼の暖かい日差しの下を私は歩いていた。

 

 眩しい太陽、静かに漂う雲、風に揺れる木の葉、

 人のガヤガヤとした喧騒、空を映す水溜り。

 私はそんな景色を眺めながら当てもなく街を歩いていた。

 ―――――――――――――――――――――――――

 しばらく歩くと商店街に入った。

 覚えのない場所だ。

 近所にこんな場所はあっただろうか?

 少なくとも私の記憶にはこの商店街に関する記憶はない。

 まぁ、特に行き先も決めずに歩いていた為何処かに迷い込んでしまったんだろう。

 

 それに、まだ十三時を少し過ぎたところ、昼食は先程済ませている。

 今日は何の予定もなく時間は自由に使える。

 たまには童心に帰り知らないところを歩いていくのもいいだろうと思った私は見知らぬ商店街を興味深く観察しながら歩いていく。

 

「おかしいな、さっきまで人がもっといたと思ったが………」

  この商店街、寂れているのか先ほどまで聞こえていた人の喧騒は聞こえなくなっていた。

そのことが気になりはしたが、それでも未知の場所という好奇心には逆らえず先に進んでいく。

 

 野菜屋、果物屋、肉屋、魚屋、

 和菓子屋、靴屋、服屋、雑貨屋、喫茶店

 商店街と呼んでイメージするものは粗方あっただろうか。

しかし、何処を見ても自分以外の人はいない。

 

 流石にこれはおかしい、なんだ?どうして?

 私はだんだん不安になって大声を上げながら商店街を駆け回る。

「すいません!すいませーん!誰かいませんか!!」

 

―――――――――――――――――――――――

 

 三十分ほど走り回っていただろうか

 明るい日差しの中

「はぁ、はぁ………何で誰もいないんだ………?」

 息をきらし膝に手をつきそう呟く。

 

 走り回り疲れた為、

 少し休憩しようと先ほど見つけた喫茶店の椅子に腰掛けた。

 当然人はいないので水もなければ注文もできない。

 

「とりあえず、冷静に、落ち着いて深呼吸しよう……」

 椅子に座り深呼吸をして呼吸を落ち着つかせる。

 

 すると喫茶店の目の前、先ほど散策した際あっただろうか?

 古ぼけた看板、木でできた佇まい。

 そこに行書体で書かれた骨董屋という文字。この商店街にある他の店とは様子が違う。

「あんなところ、さっきあったか……?」

 

 先ほどまでの不安を何処かに置き忘れたように

 この骨董屋、なぜか妙に惹かれる。

 この店、普通の街ではお目にかかれないほど古い。

そして、それ以外になにか………表現できない惹かれるなにかがある。

 

 私はその骨董屋に近づくことにした。

 見れば見るほど古い、古き良き骨董屋という佇まいだ。

 それに近づいてみると中々に風情がある。

 

「すいませーん」

ダメ元で声をかけて骨董屋の戸をノックする。

 

「なにかね?」

 男の低い渋い声が奥から聞こえた。

 

 私は思いがけず返答があったことにビクッと驚いてしまった。

「あ、えと、あの、」

 人がいるとは思っていなかった為言葉が纏まらない。

 

「落ち着きたまえ、とりあえず店に入るといい」

 落ち着いた声で優しく宥められ、店に入るよう促される。

 

 私は深呼吸をした。

 声を聞くに三十代後半だろうか、

 かなり渋い落ち着いている声だった。

 

「……ありがとうございます、では失礼して」と

 そう言いながら骨董屋に入ることにする。

 

 声の主人は骨董屋のレジの前に座っていた。

 身長百八十センチ程度だろうか、かなりいい体格をしている。

 店内は暗く顔や表情はあまり見えない。

 

「さて、どうしたのかね?」

 男は優しくそう語りかける。

 

 何から話そうか、誰もいない商店街など初めての経験。そこで人に会った喜びというというと形容できないくらいには喜ばしかった。

 

私は男に今の状況を説明した。

「散歩していたら商店街に迷い込んでしまして…今まで誰にも会えなかったんですよ………」

「この歳になって大声で人を呼ぶ何てことするとは思ってませんでした」

 少し乾いた笑いを浮かべながら私は男に伝える。

 

「なるほど、そういうことだったのか」

「それは申し訳ないことをした、皆は今急用で出払っていてな」

 男は少し申し訳なさそうにそう話す。

 

「あぁ!いえいえ、そう言うことだったんですね」

「それなら良かった、変な世界に迷い込んだんじゃないかなんてそんなことも思ったり………」

 私は男にそう伝える。

 それを伝えた瞬間男の口角が一瞬上がったように見えた。

 

「あらためて、ようこそ」

「しがない骨董屋ではあるが()()()であれば好きに見ていくといい」

ゆっくりと言い聞かせるようにそう男は告げた。

 

「それでは、せっかくなのでありがたく見せていただきますね」

「実はお店見た時からなにか惹かれちゃってて……」

 私は苦笑いしながら男にそう伝える。

 

「あぁ、なにぶんこの店は古いからね」

「わたしも初めて訪れた時はそうだったから、気持ちはわかるとも」

 

「やっぱりそうですよね!」

「あ…私としたことが失礼しました。何とお呼びすれば……?」

 私は名前を聞いていないことを思い出した。

 いくら変な状況で緊張していたとて名前を聞き忘れるとは恥ずかしい。

 

「そうだな、ではカミノとでも呼んでくれ」

 男はそう名乗った。

 

「では、カミノさんと呼ばせていただきますね」

 会話をしながら私は店内を散策していく。

「こちら、手にとってもいいんでしょうか?」

 

「あぁ、好きにしたまえ。目で見て触れなければわからないものもあるだろう」

 

「ありがとうございます!それにしても珍しいものばかりですね」

「オルゴール、壺やら、お、武将が被ってたような兜もある」

 

「意外かもしれんが、オルゴールはわたしの趣味でね」

「他は私がこの店を継ぐ前から店主が集めていたもののようだ」

 

「いやいや、意外なんてことは」

「気を使わなくてもいいさ、こんな見た目でこの声でオルゴールが好きなのは少しおかしいのはわかっている」

 男は少し寂しそうにそういった。

 

「たしかに、意外っちゃ意外ですね」

「でも、私も好きですよ、オルゴール」

私はそう言いながらカミノさんの方を向く

 

 「ほう?であればこれを見てほしい。わたしが一番気に入っているオルゴールでね」

 カミノは同志を見つけたのが嬉しいのか、そう言いながらオルゴールを持って近寄ってくる。

 

 座っていてもわかってはいたが

 改めて近くで見るとやはりでかい百八十センチ程の身長がある人から見下ろされていると圧迫感を感じる。

 

「お、どんなのですか?」

 私はそう言いながらカミノに近づく

 

「これだ、台座の突き出たハンドルを回すと音楽が鳴る。少し聞いてみるといい」

 とカミノは私にオルゴールを手渡ししてきた。

 

「では失礼しまして」

 渡されたオルゴールは高さ十五センチほどのスペイン風の『人形の家』。

 飾り格子で覆われた窓から覗くと中の広間に、一組の男女が向き合っていて、台座に突き出たハンドルがあった。

 

「んー、ここかな?」

 私はそう言いながら台座から突き出たハンドルを回すとオルゴールのもの悲しいメロディに合わせて男女の人形が踊り出した。

 

「おぉ!これはすごいですね」

 オルゴールを見たことはあったがメロディが鳴るだけで人形が動くオルゴールに触れたことがなかった私は思わず見入ってしまった。

 

 ふと、こんなことを思った。

「でも、この人形たち笑ってるのに

 何でこんなに悲しいメロディ何でしょうか」

 

「ふむ、それはわたしにもわからないのだ」

「この男女の人形、笑いながら踊っている

 なら楽しい音楽なのが正常だと思う。

 だか…なぜか流れている音楽は悲しげなんだ」

 

「だから、それを知りたいのだ……わたしは」

 

 

「たしかに、そうですね………」

「私も気になります」

 そう言いながらメロディーに聴き惚れつつも笑っている人形の踊りを眺めた。

 

 どのくらいそうしていたか、オルゴールの音が途切れたところでカミノが話しかけてきた

「あぁ、そうだ。奥にもう一つお気に入りのオルゴールがあるんだが見てみないか?」

 

「そう………ですね、では最後にそれを見てからお暇させていただきますね」

 私はそう言いカミノについて行った。

 

 店の奥に入ろうと狭いドアを潜ると

 そこには先に入ったはずのカミノはおらず

 ひと組の男女が向かい合っていた。

 

 ――――――――――――――――――――――――

 

 狭いドアを潜るとそこはダンスホールだろうか。

 豪華な装飾で彩られたホールがそこにはあった。

 ひと組の男女が向かい合い、スポットライトに照らされている。

 男が女の肩に手を回し手を組もうとしたところで男と私の目が合った。

 

 男は女から手を離すと

「とうとう来たのか!!」

と大声で叫び、憤怒の形相でこちらに走ってくる。

 

 

 

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