仮面ライダーゲンムズ ~崩壊世界と神域のゲーマー~   作:紙コップ113

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長かった……これにてチャプター6終了です。


心を砕く真実

第二律者を追い、私たちは培養カプセルが並ぶ廊下を通る。

その一つを、ウェンディが近づいて観察する。

 

「このカプセルの中に入ってるのは……まさか人?しかも生きてる!?」

 

「どうして……この子たちは監獄に閉じ込められていた子供たちなの?」

 

「バビロン実験室で、こんなにも残酷な実験が行われていたなんて……。」

 

良かったなウェンディ、君はここのモルモットより遥かに恵まれていたようだ。

彼女たちが傷心する中、別のカプセルにヒビが入り、中のモルモットが飛び出してきた。

 

「死にぞこないのモルモットがァ……変身!」

 

「黎斗さん、さっき聞き捨てならないこと言わなかった?」

 

ちなみに、モルモットは上級のゾンビに毛が生えたぐらいの強さだった。

 

 

 

「セシリア様、見て。空のカプセルに”051 Sirin”って書かれてるよ。」

 

「そう……第二律者もここの被害者だったのね。」

 

シーリン。この名前を聞いて、私は大部分の真実が繋がった。

バビロン実験室にて、大量のモルモットを消費し、崩壊に対抗するための技術開発。その最中に第二律者”シーリン”が覚醒。テレサやジークフリート、セシリアの奮闘の末、シーリンを討伐できた。

だが、第二律者の力を天命が放っておくはずがない。私も第四律者のデータを使い、ガシャットを開発したようにね。

律者の力を解析、それを技術として構築したのがシーリン計画だろう。

 

「ねぇみんな、私の夢を聞いてくれる?」

 

「何だ、セシリア。」

 

「この世界には、生まれながら崩壊エネルギー耐性を持っている子供が多くいるわ。」

「その子たちの学園を作りたいの。戦乙女もここの子供たちも、戦争の犠牲者となるのではなく、普通の人のように成長してほしいの。」

「……この塔で起こった悲劇を繰り返してはならないわ!」

 

「フッ、崩壊がこの星で続く限り、その夢は幻で終わるかもしれないぞ?」

 

聖フレイヤがある以上、彼女の夢はテレサの手で叶えられる。だが、ここは肯定しない方が面白そうじゃないか。

 

「ええ、分かってる。だからこそ、あなたたちに手伝ってほしいなって。駄目かしら?」

 

「セシリア様……もちろん!一緒にいさせて!」

 

「フフッ、よかった!まずは、学園の場所は何処にしようかしら!」

 

「なら、極東はどうだ。景観もよく、近い未来、世界を掴み取るゲーム会社が設立される。」

 

「ゲーム会社?そんなの聞いたことないけど……。」

「あっ、もしかして黎斗さん会社を立ち上げる気なの!?」

 

「私にとって、天命は居心地が悪くてな。将来的には独立したい。」

「私にはそれを実現させる才能がある。少なくとも、君の夢よりかは現実的さ。」

 

「へぇ、言ってくれるじゃない。」

 

「あー、お二人方?みっともない争いはやめて早く律者の下へ向かいますよ?」

 

ウェンディに制止され、塔の頂上へ再び歩き出した。

 

 

 

 

 

ザシュッ!!

律者の体は深く切り裂かれ、傷から体が崩壊していく。

 

「なんで……嘘でしょ……!?」

 

「安らかに眠れ。第二律者。」

「いいえ、シーリンさん。」

 

律者……いや、シーリンとの決戦は意外にも呆気なく終わった。

以前、私たちが彼女に奇襲を仕掛けた際にセシリアが一撃を入れただろう?どうやらそれがクリティカルヒットだったようで、私たちが見つけた時には既に虫の息だった。

勿論、私も見るだけではなく、シャカリキスポーツで可能な限りの支援をした。キアナとウェンディも彼女なりのやり方で戦っていた。

 

私がデータ空間での出来事を振り返ってると、キアナがセシリアに抱き着いた。

 

「やったよ!私たち第二律者を倒したよ!」

 

「ほんとに子供みたいね……。」

 

「セシリア様………このままいさせて?もう少しでいいから。」

 

空間を見上げると、少しずつバグが走っている。

 

「これは………」

 

「ゲームクリア、という訳さ。」

「私はこの辺りで帰らせてもらうよ。今回のデータは今後の開発に活かせそうだ。」

 

「そう、分かったわ。またどこかで会いましょう、黎斗さん。」

 

また会いましょう、か。

 

「ああ。またいつか、な。」

 

もし、このデータ空間をゲーム化できれば嘘にはならない。

私はセシリアにハンドサインを送りつつ、データ空間の外へワープした。

 

 

 

 

 

さて、現実に戻ってきたわけだが、辺りを見回すと灰色のタイルで構成された部屋だった。

後ろのキアナはまだ突っ立っている状況だが、置いていこう。これはあくまでキアナの独断行動として、彼女に責任をすべて擦り付けるとし

 

「いた!黎斗、今までどこ行ってたの?」

 

あ、まずい。一番会いたくないヤツに見つかった。

 

「ふぅ、ようやく帰ってこれました。」

 

……最悪だ。ウェンディが戻ってきた。

 

「……ウェンディ!?な、な、なんであなたが!?」

 

「あー。学園長、説明を考える時間が欲しい。」

 

データ空間に入り込んだのはキアナに脅されたということにして、ウェンディのこと、どう説明しようか。テンペストテイルズのゲームキャラ扱いにするか?包み隠さず話すか?それとも話を逸らすか?

 

私が考えている最中、突然煙幕が発生し、テレサを包み込む。

 

「離して!ううっ……」

 

「我々の任務が邪魔されないために一時的に退いていただきましょう、学園長。」

 

纏う装甲は見たことないが、彼女のことならよく知っている。ブローニャの次点となる天才ゲーマーだ。

 

「何の真似だ……フカァ!」

 

「黎斗さん、ここにはセシリアは最初からいません。」

 

「そんなことを聞いてどうする。私はゲームクリエイターだぞ?後ろのバカと一緒にしないでくれるか。」

 

「……最初からこのデータ空間には仮想環境もAIもいません。」

 

「何だと!?」

「だったら私が先ほど体験したデータは何だ。説明しろ!」

 

「第二律者、シーリンがキアナに見せた幻想です。」

「彼女はあなたのウイルスに感染している。これだけ言えば、もうわかりますよね?」

 

何故律者の幻想がキアナに?そういえば、あのデータ空間はどうにも彼女の都合のいいように作り変えられた。仮に彼女の体内に律者コアがあるとすれば……バグスターウイルスは抑制されている?道中で、時間の進みを遅らせる”全時空断裂”は第二律者によるものと、ウェンディに教えられた。可能性はある……つまり、第二律者がバグスターを扱えるとしたら、あの空間は……

 

「ゲームエリア?」

 

ゲームエリア……私の開発したガシャットを起動した瞬間に展開される空間のことだ。そこではチョコブロックや宝箱、エナジーアイテムが設置され、仮面ライダーの戦いを有利に進めるシステムだ。

 

「理解していただけましたか?ならキアナをこちらに引き渡してください。」

 

私はガシャットを起動する。

 

「……まさか、フカさんと戦うつもりですか!?」

 

「……その通りだ。変身!」

 

スポーツアクションゲーマーレベル3に変身し、ホイールを投擲する。

予想通り、フカの拳に難なく弾かれる。弾く隙を見て、私は彼女の懐に潜り込み、パンチを叩きこもうとしたが、これも脛で防がれてしまった。さらには重い拳を顔面にねじ込まれた。

 

「君の装甲、最新型だな?」

 

軽口を言ってるが、相当まずい状況だ。

理由は単純、すべてのスペックがフカに劣るからだ。

……落ち着け、レベル差があろうとも、戦略次第では打ち消せるはずだ。

私は周囲を観察し、エナジーアイテムを確認する。そこからバグヴァイザーで数個のアイテムを撃ち抜く。

 

”マッスル化!”

”鋼鉄化!”

”幸運!”

 

マッスル化、鋼鉄化で攻撃と防御を引き上げ、幸運は…保険だ。

ガシャットをキメワザスロットに装填し、

 

”キメワザ!”

 

時間を掛ければ私が不利だ。一気に決める!

 

”シャカリキクリティカルストライク!”

 

エネルギーを充填させた右足でフカに飛び蹴りをかます。

フカは回避しようとするが、幸運のエナジーアイテムで命中率は大幅に上がっている。ほぼ直撃といっていいほどに。

 

”会心の一発!”

 

キメワザをもろに食らったフカの体は吹き飛ばされた。

 

「すごい…神殺し装甲相手にここまで戦えるなんて。」

 

「感心してる場合かウェンディ。まだゲームは終わってないぞ。」

 

煙が消えたと同時に、フカが立ち上がる。

 

「なるほど。オットーが興味を引くのも納得できる……」

「……こちらも全力で対処しましょう。」

 

フカの装甲がオレンジ色に染まり、顔が覆いかぶさる。仮面ライダーの真似事か?

そう思った矢先、奴が一気に距離を詰める。

私はすかさず鋼鉄化のエナジーアイテムを再び取得し、守りを固める。

 

「ハァァァァァァァッ!!」

 

「グ、グゥッ!」

 

鋼鉄化込みでも衝撃が伝わる。減ってないよな、ライダーゲージ?

 

「タァッ!」

 

「グハァッ!」

 

まずい、あまりの猛攻によって鋼鉄化が切れ、そして上空へ打ち上げられた。

 

「ヌォォォォッ!?」

 

「ハァァァァァ……」

 

私が地面に着地しようとした瞬間、フカの渾身の一撃が私の腹部へ直撃した。

 

「タァァァァ!」

 

「ガァァァァッ!?」

 

私は壁に激突し、強制変身解除された。

 

「障害排除、目標の確保に移ります。」

 

「……君は何故あの男に従う。」

 

「私は崩壊に勝利する。昔の友人と約束した使命があります。誰と手を組もうとも。」

 

「そうか…」

 

私はバグヴァイザーでウェンディを収納する。

 

『…!?黎斗さん、一体何を!?』

 

「ここから先は君には入れない領域だ。」

 

ジェットコンバットを起動し、コンバットゲーマにバグヴァイザーを持たせ、ある場所に運ばせる。

 

「……委員長、黎斗?」

「……ママは何処?」

 

「崩壊に勝利する。君はそう言った……」

「私に歯向かった罰だ……その使命を……断つ。」

 

「キアナ・カスラナァ!」

 

「!?」

 

「何故君が、長空市で第三律者を止められたのか!」

 

「何故父親が君のそばから離れたのか!」

 

「何故日記を読むと頭が痛んだのかァ!」

 

「……それ以上言うな!」 フカが走る。

 

「その答えはただ一つ……」

 

「やめなさい!」 テレサも声を荒げる。

 

「……キアナ・カスラナァ!」

 

「君が、天命によって生み出された……」

 

「第二律者だからだァァァァァハハハハハハハハ!」

「ヴェアーーハハハハハハハハァー!!」

 

「私が……律者……?」

 

律者がバグスターを抑制する?だったらそれ以上のストレスを与えればいいだけだ。

ここで彼女を消滅させれば、奴の望みは果たされず、そして何よりも私が完全体となる、一石二鳥という訳さ。

 

「嘘だ、だってママと一緒に倒したじゃん!」

 

私も感じるぞ……彼女の頭には、心を砕くほどの”真実”が紡がれていることを。

 

「そうだ、あの魔法の呪文が…!」

「Ich☆liebe☆dich……Ich☆liebe☆dich……Ich☆liebe……」

 

真実はどんな呪文があろうともかき消すことは出来ない……

キアナの体にバグが生じる。

 

「グァァァァァァァァァァァァァァ!」

 

ゲーム病での消滅が近い。

 

「アァァァァァァァァァァァァ!!!」

 

「ハハハハッハハハハ!!」

「ブェーァッハッハハハハハ!!!」

 

この歓喜極まる状況に、私の笑い声で空間が満たされた。




読んでいただきありがとうございました。
いやぁ……投稿を初めて早2ヵ月。時間の流れは早いですね。
さて次は物語が加速し始めるチャプター7。
黎斗は?キアナは?そして禁断の復活を遂げたウェンディはどうなる?

もしよければ評価と感想もよろしくお願いします。今後の創作の励みになります。

再序盤のリメイク、欲しい?

  • フッ、いいだろう。
  • 興味ないな。
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