仮面ライダーゲンムズ ~崩壊世界と神域のゲーマー~ 作:紙コップ113
あと艦長が滅茶苦茶喋ります。
話はキアナと黎斗が拉致された少し後に遡る…………………
ガシャットから出現したロボット(正式名称が分からないため今はこう呼ぶ)が私が入っているバグヴァイザーを運んだ先は、極東支部が所有する戦艦ハイペリオンの甲板の上だった。
私を甲板にそっと乗せ、ロボットは消えた。もう少し思考ルーチンが単純で、空中から雑に落としてくれれば、バグヴァイザーが破損して脱出できた可能性があったけど、黎斗さんの作ったものだから絶対にないと思う。それは私がこうして考えて話せることが、何よりの証明となっているから。
助けを呼ぶ私を最初に見つけたのはハイペリオンの艦長だった。
バグヴァイザーから脱出した私を見て、艦長は驚いた顔をしたけど、すぐに落ち着きを取り戻して私の話を聞いてくれた。
私がバグスターとして蘇ったこと、あのデータ空間での出来事、フカさんと黎斗さんが戦ったことを話したけど、「大体わかった」の一言で、特に質問とかはされなかった。あまりにも冷静過ぎて逆に怖くなったのは内緒。
その直後にテレサさんからの通信が艦長に入った。
『艦長……少佐に直ちに出撃の準備をするよう伝えて……!目的地は天命本部よ……』
『それと、ブローニャをハイペリオンに移して……』
『すぐに手術を始めて頂戴……もう時間がないわ!』
そこからの行動は早かった。
まず、昏睡状態にあったブローニャお姉ちゃんはハイペリオンに搬送され、テレサさんがデータベースで入手した情報を基に手術が始まった。
その後テレサさんと姫子さんが先にヘリオス号で本部に突入。私と芽衣さんは学園で待機。
ハイペリオンにあるものを組み込むための改修を終え次第、出発する。
待機中、艦内の手術室前で、芽衣さんに会った。
「ウェンディちゃん!?」
「あ、芽衣さん。」
「……よかった。無事に救出されたんですね。」
「あなたこそどうして!?だって……あなたは、デザイアジェムを取り出されて……!」
「黎斗さんと同じバグスターとして復活できたみたいなんです。私もうまく説明できませんが、デザイアジェムのデータを基に私を復元したようですが……?」
復活直後に説明を受けた覚えがあるがあの時は状況に頭が追い付いていなかったので、あまり覚えていない。
多分飲み込んではくれないだろうなと思っていたら、後ろから艦長が追加の説明をしてくれた。
「あのゲームマスターはお前を『テンペストテイルズ』の『風の精霊』としてプログラムしている。今手元にあるかは分からないが、お前の生体データに紐付けされているガシャットは既に開発済みだろう。」
ガシャット……その言葉を聞いて、黎斗さんから渡されたものを取り出す。
「ギリギリチャンバラ……どうやら手元にあるのはそれだけのようだな。」
「はい。これにゲーマドライバーさえあったら、私がライダーに変身して……」
「いや、無理だな。そのガシャットはレベル3用、変身用との併用が前提とされている。今できるのはせいぜいガシャコンウェポンやゲーマを召喚するぐらいだろう。」
「そうですか……。ていうか艦長、どうしてそこまでガシャットに詳しいのですか?」
「ゲームマスターとはそれなりに交流を積んでてな。仕事の合間を見て、奴のゲームをプレイさせてもらったついでにいろいろ聞いた。」
「艦長……最近学園長や姫子先生に引き摺られるのをよく見ていたのは、そういう理由なのですね。せめて仕事をちゃんと終えてからにしてください……。」
「何だ?別に期限までに終わらせればいい話だろう?」
「そういう問題じゃありません!」
芽衣さんが呆れながら艦長に苦情を言った。
艦長から得た情報を足して、データ空間内での出来事を振り返ることにした。
キアナさんと黎斗さんは、ブローニャお姉ちゃんを治療するための手掛かりを探るため、中央教会のデータベースに潜り込んだ。それも『第二律者』が創り出した『ゲームエリア』だったようだけど。
黎斗さんは、『テンペストテイルズ』というゲームを、デザイアジェムから採取した私のデータを用いて開発し、私を復元した。
そこからはガシャットを渡されて、データ内の第二律者を当時のテレサさんやセシリア様と協力して追跡した。
律者を討伐し、私は黎斗さんに続く形でデータから脱出した。そこで本人のテレサさんと鉢合わせ。
だけど、フカさんがテレサさんを急襲。黎斗さんは彼女の真意を問うために戦ったけど、神殺し装甲相手には敵わず敗北。
そのあと私をバグヴァイザーに入れて……今に至る。
「黎斗さん……私を逃がした後、一体どうなったんですか?」
「あぁ。キアナに第二律者だということを暴露して殺そうとしたぞ?まぁ失敗したけどな。」
「……!?」
「そんな……キアナちゃんが……律者?」
「何だ、知らなかったのか?キアナ・カスラナはゲームマスターのバグスターウイルスに感染している。」
「ウイルスに感染すればゲーム病を発症する。もし、耐え難いストレスを受ければ肉体は消滅する。正体をバラしたのも、それ狙いだろう。」
その言葉を聞いて、私と芽衣さんは言葉を失った。
「これは俺の推測だが、仮にあの場でキアナが消滅すれば、第二律者も道連れになり、得られたデータでまた復活させることもできただろうな。」
「そんな……私は納得できません!いくら取り返しがつくからって、キアナちゃんを苦しめて殺すだなんて!」
「俺に言われても困る。文句は奴に行ってくれ。」
「……治療法はあるのですか?」
「あるにはある。『仮面ライダー』に変身し、元となるウイルスを撃破する。生憎ウイルス側も仮面ライダーだというのが厄介だが。」
「やはりそう簡単にはいきませんか……。」
黎斗さんを倒すかどうかはともかく、仮面ライダーについてもっと知る必要がある。
腰に装着した装置、ゲーマドライバーに「マイティアクションX」と書かれた黒いガシャットを装填、そのあとレバーを引くと、キャラクターセレクトのようなパネルが周囲に展開する。黎斗さんは黒いキャラクターのパネルにタッチし、黒の仮面ライダー、ゲンムに変身する。
ときどきキアナさんに制裁を加えることがあったが、彼の身体能力はおそらく一般の人とはそこまで変わっていない。しかし変身すればどうなる?
一般崩壊獣や機甲は簡単に撃破できるようになる。さらにレベル3にレベルアップすれば、帝王型も撃破可能になる。
戦乙女の名誉を守るために言わせてもらうけど、帝王型は戦乙女小隊が束になってギリギリ勝てるかどうかの相手だからね?あんな中ボスみたいに対処できてる仮面ライダーの方がおかしいからね本当は?
規格外の戦闘能力も気になるが、それと同時にドライバーを使う条件も気になる。黎斗さんは、
『”適合手術”を受けた人間か、それとも人間の遺伝子を持つバグスターだけだ。』
と言っていた。
そこで引っかかるのが私の存在。『テンペストテイルズ』で使用している私の生体データ、そこには『私が人間だった頃の遺伝子』が含まれているのかどうか。仮にそうであれば、私はドライバーの条件を満たしていることとなる。
「ハイペリオンの改修が終わった。出発するぞ。」
「は、早いですね……。もう少しかかると思ってましたが。」
「そりゃ、ネゲントロピーの技術者が介入しているからな。」
「「ネゲントロピー!?」」
「言い忘れてたな。極東支部は利害の一致でネゲントロピーと手を組むこととなった。」
「……余計な心配はしなくていい。お前たちが煮え湯を飲まされたカカリアの派閥ではないから安心しろ。」
「ネゲントロピーも一枚岩ではないってことか……」
展開に付いて行けないところはあるが、今はキアナさんと黎斗さんを救出することに専念しよう。
「行くぞキャベツ!どこも異常はないな?」
『キャベツじゃなくてAIちゃんだよ艦長!』
『……ムーンライトスローンも異常なし、いつでもいけるよ!』
「よし、お前たちも持ち場に着け。」
艦長はブリッジに戻る。その数分後にメインエンジンが起動、ハイペリオンは離陸した。
バグスターウイルス……第二律者……二人には話してほしい秘密が沢山ある。そのためにも、必ず助け出さなければならない。
「ウェンディちゃん……。」
「心配しないでください。気持ちの整理は二人を助けてからにしましょう。」
私が再び蘇ったのは、きっとこの世界に使命が与えられたからだ。必ずそれを果たす、手元のガシャットを握りしめ、心に誓った。
読んでいただきありがとうございました。
艦長のモチーフは……某世界の破壊者です。
イベントの艦長時空の話、また続きだしてほしいです。
もしよければ感想と評価もよろしくお願いします。今後の創作の励みになります。
追記:そういえば20話到達です。祝え!
再序盤のリメイク、欲しい?
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フッ、いいだろう。
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興味ないな。