仮面ライダーゲンムズ ~崩壊世界と神域のゲーマー~ 作:紙コップ113
容易くエボルトのクローンなんか作ってんじゃねぇよ。
エボルXチョーコエーイ
ハイペリオンが天命本部に到着すると同時に、ブローニャお姉ちゃんの手術が完了した。
「…………ここは?」
「ハイペリオンの中だよ、ブローニャお姉ちゃん。」
「ウェンディ?どうしてあなたがここに?」
「……少し話が長くなるけど、いい?」
私が黎斗さんに助けられたこと、キアナさんと黎斗さんが天命本部に連れ去られたこと。そして極東支部がネゲントロピーと結託して本部に襲撃したことを伝えた。そして……。
「キアナが……第二律者?」
「うん……覚醒はしてなかっただけで、律者コアは以前から埋め込まれていたって、艦長が言ってた。」
艦長が病室に入って来た。
「少し前に彼女が
「……そんなことより、お前たちにいいニュースと悪いニュースがある。どっちから聞きたい?」
「じゃあ、いいニュースから。」
「ゲームマスターが自力で脱出していた。さっきまで俺の所にいたが、バグヴァイザーとガシャットを持って反撃に出た。」
「……まぁ、ワープができるみたいですし、黎斗については心配していませんでしたが。」
「じゃあ、悪いニュースは?」
「……奴が余計なことを言って、学園長の仲が最悪になった。」
「……黎斗さんは何と言ったのですか?」
「ウェンディを助けられなかった無能は口出しするな、とな。これは関係修復に時間がかかるぞ。」
「……あのバカ、言っていいことと悪いことの区別がつかないのですか!?」
「すみません艦長、黎斗のところに……クッ!」
「駄目だ。その体で戦場に出れば、結果は火を見るよりも明らかだ。」
「今回の作戦、お前は参加せずにここに待機しろ。いいな?」
「……分かりました。」
そう言うと艦長はブリッジに戻っていった。
「ブローニャお姉ちゃん……」
「ごめんなさい、ウェンディ。彼があなたを助けてくれたのは理解していますが……」
「ううん、気にしないで。私もちょっとカチンと来たから。」
「……私は黎斗さんに命を助け……いや、蘇ったからこそ、彼をもっと知る必要がある。」
「蘇った……ウェンディ、それはどういう?」
「あ、そうだった。今の私、黎斗さんと同じバグスターみたい。」
「は?」
ブローニャお姉ちゃんの頭上に重装ウサギが現れ、私の方をじっと見る。
「物体認証の結果、黎斗と同じバグスターウイルスでした。」
「……バグスターになったということは、まさか!」
「……うん。私は体内のデザイアジェムを摘出されて、死んだ。」
「黎斗さんはジェムから私のデータを採取して、ゲームの中で私を再構築したの。」
「…………」
お姉ちゃんの顔は歪み、俯いてしまった。
「……勘違いしないで、私が死んだのはお姉ちゃんのせいじゃない。」
「ですが、いくら操られていたとはいえ、黎斗たちが間に合わなかったのは彼らをブローニャが攻撃して!」
「違う!」
「……過ぎたことを悔やんでも意味ないよ。リセットなんてこの世界にはないからさ。」
ブローニャお姉ちゃんの目には一粒の涙が頬を伝った。
……もうすぐ任務の時間だ。
「私はそろそろ行くね。キアナさんを助けるためにもここを守らなきゃいけないから。」
「ウェンディ。」
「どうしたの?」
「この戦いが終わったら、ブローニャと一緒にゲームでもしませんか?」
「うん、いいね。約束だよ?」
えへへ、また一つ、生きていく理由ができたな。
私は病室を出た。
「ハイペリオン、準備完了よ。少佐たちの信号が来たらすぐに始めるわよ。」
ハイペリオン甲板にはテレサさん、芽衣さん、そして私。
テレサさん曰く、芽衣さんの心臓に取り付けられた爆弾の誘爆システムが解除された。これはつまり、彼女の中に眠る第三律者の意識が覚醒し始めることを意味する。
律者の力を使うことを視野に入れるなんて……控えめそうな雰囲気をしてながら、すごい覚悟だ。
「テレサさん、大丈夫ですか?黎斗さんとひと悶着あったみたいですけど?」
「……別に大したことじゃないわ。あんなことは今までにもあったから。」
「それより、自分が力不足だってことは、あたくしが一番わかってるわよ。」
「テレサさん……」
私たちの話を遮るように、ネゲントロピー幹部のアインシュタイン博士からの通信が来た。
『話の途中で申し訳ないが、シールドに反応があったようだ。が、テスラ博士からの通信が途絶えてしまった。』
姫子さんとテスラ博士は、黎斗さんが提供してくれた本部のデータを元に、各所の崩壊炉(崩壊エネルギーを電力に変換する装置のこと)を破壊しに出撃した。通信が途絶えたってことは……まぁそういうこと。
「分かったわ。芽衣、ウェンディ、出撃の準備よ。作戦開始!」
「「了解!」」
私たちはハイペリオンの各地に分かれ、天命の機甲や崩壊獣の迎撃を始めた。
私はギリギリチャンバラガシャットを起動し、ガシャコンスパローを装備する。
……うん、実体がある。当たり前のように使っているけど、現実空間でも前と同じように機能した。やっぱりおかしい。確実に何かがおかしい。
っと、そんな考えは置いといて。私は空高く飛翔し、弓モードで砲撃型機甲の頭上を撃ち抜く。
機甲をエネルギー弾が容易く貫通し、爆発した。
相変わらずすさまじい威力だ。データ空間では帝王型とかアシュヴィンが相手だったため、分かりづらかったところがあったけど。雑魚相手だと、これだけでいいんじゃないかと思った。
今度は格闘型だ。私の方にジャンプで肉薄するが、鎌モードに変形させて斬撃をガードする。
自由落下する機甲を追いかけるために地面へ加速し、そのまま切り裂いた。
今度は悪夢ブロックの大群か。
弓モードに変形した後にガシャットを装填、キメワザの構えを取る。
”ギリギリクリティカルフィニッシュ!”
高エネルギーの矢が機甲の大群を蹴散らした。
私たちのターゲットはA級やS級の戦乙女、最悪の場合、律者を相手にする可能性がある。今更機甲相手に苦戦するわけにはいかない。
『ハイペリオン周辺に大量の崩壊エネルギー反応が!』
『シールドが解除された影響で、崩壊獣がこちらに集まっています!』
チッ、こんな時に限って崩壊獣か。
『芽衣、ウェンディ、あなたたちは崩壊獣の相手をして!機甲はあたくしが対処するわ!』
「分かりました!」
『急げ。下部に崩壊獣が集中している。ネゲントロピーのガラクタが相手をしてるが、そろそろヤバい。オペレーターが避難する時間を稼いでくれ。』
非戦闘員がやられるのは非常にまずい。芽衣さんは下部に、私は上部の崩壊獣を対処することにした。
「船内に崩壊獣が!?」
「すぐに人員を避難させてください!時間は私たちが稼ぎます!」
船内に侵入した崩壊獣を、私は太刀で切り裂いていく。
苦しい……頭がくらくらする……
これが私の精神によるものなのか、私の体内にある第三律者の力が沸き上がっているのかなのかは分からない。
でも、敵に刃を振るう度に、キアナちゃんの姿が浮かび上がる。
任務を終えて帰って来た時、決まって学寮のドアを蹴り破って「芽衣先輩ただいま!」と言うあなたが好き……
私に抱き着いて、耳元で「お腹空いた」と言うあなたが好き……
そして、そんなあなたの頭を撫でて、「お帰りなさい」と言うのが好き……
「……キアナちゃん。必ず助け出すわ……!」
「私にとって、あなたはカスラナの英雄でも、第二律者のレプリカでもない……!」
「私にとってあなたは……優しいいい子、手を離したくないバカな子よ……」
……オペレーターの避難が完了した。しかし、
『さらに大量の崩壊獣が近づいています!』
まだ終わらないの!?このまま戦い続けると、さすがの私でももう限界が……
”フッ、無様だね。まったく歯が立たないではないか。”
頭の中に、ある声が響き渡る。もう一人の私、第三律者の声だ。
”口だけ達者なこと。お前に何ができる?”
”私の力を貸してやろう。”
その瞬間、私の体中に溢れんばかりのエネルギーが充填される。
心臓にある爆弾のシステムは既に解除されてある。つまり、律者の力をすべて出し切ることができる。
律者の力を受けた私は、無数の崩壊獣を撃破した。
「これが、律者の力?」
”アイツとは決着がついていない。ここで死なれては困る。”
”ハッ、まさかお前みたいな臆病者と目的が一致する日が来るとは。”
『崩壊獣の反応が消えました!』
『よし、これからシールドを突破する!芽衣、ウェンディ、学園長は艦橋に戻れ!』
艦長の通信を聞き、私は艦内に走った。
実験室を覆うシールドが解除された。もうすぐハイペリオンは実験室の上空に到達する。
「おかしいわ、守備が薄くなってる。わざとそうしてるみたいに……」
次の瞬間、艦全体に強い衝撃が走り、警報が鳴り響いた。
「何が起こってるの!?」
「強烈な波動が感知されました!」
……!?
「芽衣!」 「芽衣さん!?」
私は謎の闇に包まれ、地面の感覚が消えた。
「芽衣先輩……」
「キアナちゃん……?」
目を開けるとそこは、
「……無事なの!?」
「私は大丈夫だよ……無事だし……生まれ変わったみたいなの。」
「キアナちゃん……!?」
彼女の青い瞳は黄色く染まり、装甲が変化し、背後には槍のような物体が形成されていく。
「うれしいなぁ……目を覚ました時にあなたがいてくれるなんて。」
「さぁ、もう一度私と一つになりましょう……
「芽衣さん!」
ウェンディちゃんがキアナちゃんを撃ち抜き、その隙に私を連れ去った。
「キアナさん……あの姿、まさか!?」
”遅かったか……”
”意識は既に、崩壊に支配されている。今のアイツは危ないぞ。”
ウェンディちゃんともう一人の私の予測から考えるに、今のキアナちゃんは既に、第二律者として覚醒している。でも、
「……いいえ、危ないからこそ、放っておけないの!」
私はキアナちゃんを見捨てたくない。その決意を伝えると、彼女はフッと笑った。
”いいだろう。敵が律者なら、こっちも律者の力で対抗するとしよう。”
”幸いなことに、こっちには風の律者もいる。役に立つかどうかは分からないが。”
”行くぞ……がっかりさせるなよ。”
律者との意識を共鳴させ、力を開放する。
……キアナちゃん、あなたはずっと私のそばにいてくれた……
私も、あなたを一人にはしない!
読んでいただきありがとうございました。
空の律者のセリフの表現、どうでしたか?
今回は前半をウェンディ、後半を芽衣の視点でやってみました。
次でおそらくチャプター8は終了です。
もしよければ感想と評価もよろしくお願いします。今後の創作の励みになります。