仮面ライダーゲンムズ ~崩壊世界と神域のゲーマー~ 作:紙コップ113
嘘だ……僕を騙そうとしてる……!(いつもの)
最悪の事態に陥った。助けようとしていたキアナさんが第二律者に覚醒した。
以前の天真爛漫な姿はなく、ただ殺意に満ちた冷酷な瞳で私たちを見つめている。
それと同時に、芽衣さんの方からの空気がピリピリする。おそらく、第三律者の力を開放したからだろう。戦乙女の私は普通に居られるが、一般の人間だとそうはいかない。二人の律者からの膨大な崩壊エネルギーで、最悪の場合死に至る。
救うも何も、まずはダメージを与えて無力化する方が先だ。私のように、話し合いで通用するような相手ではない。
ガシャコンスパローを装備し、Bボタンを数回押して高威力の矢を撃つ。
全弾命中。その隙に続けてキメワザだ。ガシャットを装填する。
”ギリギリクリティカルフィニッシュ!”
無数の矢が律者目掛けて発射される。撃破とまではいかなくとも、大ダメージを与えられる……!?
直撃する瞬間、律者の前に謎のポータルが出現し、キメワザの矢がすべて吸い込まれた。
遠距離攻撃はもう通用しないか……!だったら鎌モードに変形させ、律者に斬りかかる。
しかし、背後にあった槍で防がれた。
「やっぱりダメか……!」
「そんなおもちゃが私に通用するとでも?」
次の瞬間、私の背後にポータルが再び出現、さっき吸い込まれたキメワザの矢が私に直撃した。
「ガァッ……グゥッ……!」
あのポータル、矢を吸収するだけでなく、そのまま転送されるなんて……キメワザを食らった私はその場で倒れてしまった。
「ウェンディちゃん!」
芽衣さんが第三律者の力を駆使した高速移動で律者に肉薄する。
そのまま斬りかかるが、律者は指をパチン!と鳴らし、芽衣さんを中心とした空間の時空が歪む。『全時空断裂』だ。
時空断裂のドームの周囲に、何本もの槍が出現し、芽衣さんの体を何度も切り裂く。
「アァァァァッ!」
芽衣さんが甲高い悲鳴を上げ、そのまま倒れかかるが、首を鷲掴みにされて受け止められた。
律者はそのまま首を締め上げ、芽衣さんはか弱い呻き声を上げる。
「き、キアナちゃん……目を……覚まして……」
まずい。カスラナの血を引いたキアナさんの肉体なら、首の骨をへし折ることは容易だ。
律者に攻撃したいけど、さっきの反撃のせいで体が起こせない……
「キャアアアアアア!!」
律者が急に叫び、手から芽衣さん離して苦しみだした。
「ウゥ…ウアァァァァァッ!!」
この叫び声……まさかキアナさん!?もしかして、まだ彼女の意識は残っている!?
私はダメージを負った体に鞭打って立ち上がり、キアナさんに向けて叫んだ。
「キアナさん!自分を見失わないで!頑張って!」
「グゥッ…………フハハハハハハハハ!」
「ああっ…………」
私の声は届かず、律者から黒い雷が出て、ポータルが開く。
そこから現れたのは……聖殿崩壊獣だ。
崩壊獣の手にある槍が私たちを貫こうとした瞬間、動きが止まった……?
いや違う。その答えを示すかのように、崩壊獣にしがみついた機甲が光学迷彩を解いて現れた。
機甲はそのまま槍をへし折り、数発のミサイルが別の機甲から撃ち込まれて、崩壊獣は跡形もなく消滅した。
ネゲントロピーの機甲集団が律者へ突撃する。
それに対抗してか、律者は無数のポータルを開き、大量の崩壊獣を召喚した。
空が赤黒くなり、律者は腰から白い帯を伸ばす。
さっきまでは互角だった機甲と崩壊獣の戦いも旗色が悪くなっている。
理由は単純、物量で勝てないからだ。
資金や資材の影響で数に限りがある機甲と違い、召喚される崩壊獣はおそらく無限。
それでも負けじと抵抗するが、いくつかの機甲は、生きたまま獲物を食らう肉食動物の如くめった刺しにする崩壊獣に破壊された。
律者は空を”歩き”、独白する。
「人類……存在そのものが間違っている。」
「戦争……欺き……嫉妬……貪欲……。」
「人類のせいで、私はすべてを失った。」
「でも今日、私はすべてを呑み込む……私が崩壊なのだ……!」
崩壊獣の猛攻に機甲たちはシールドを展開する。
槍がシールドに侵食しているため、単なる時間稼ぎにしかならないが、後方の砲撃型機甲がレールキャノンの発射体制を取る。
ロックオンが完了し……発射された。
これだけの砲撃、遠目から見れば流星群のように見える。並の崩壊獣はもちろん帝王型も跡形もなく消滅するだろう。律者にも当たれば大ダメージだ。そう、当たればの話だけど……
「フッ……」 パチン!
人類の抵抗を嘲笑うかの如くポータルを展開し、砲弾をすべて呑み込む。
律者は微笑みながら、吸収したエネルギー球を握る。
次の瞬間、機甲を包囲するかのようにポータルが展開され、さっき吸収した砲撃を浴びせられた。
確認できた範囲でも機甲は全滅した。
上空からドラゴンのような生物が飛来する。アレもまさか崩壊獣?見たことがない。
ドラゴンは律者の背後を守るかのように着陸し、その場で鎮座した。
アレが……第二次崩壊を引き起こした『空の律者』……
「…………」
律者は満身創痍の私たちを無言で見つめる。キアナさんが絶対にしない目つきで。
「何だ……まだ生きていたのか。」
「デザイアジェムのない空っぽのお前に用はない……死ね。」
律者が私に手を伸ばし、槍が私に向けられる。
……ここで終わりか。折角復活して、ブローニャお姉ちゃんとも再会できたのに。
今思えば、死んだ人間が蘇るなんて禁忌もいいところだ。ある意味当然かもしれない。
せめて芽衣さんだけでも守ってから死のう。私は立ち上がって、ガシャコンスパローを構えようとする。
バチィッ!
律者に数発のビームが命中した。
「……誰だ?」
ビームが発射された方に視線を向ける。
そこには紫の機会を手に持ち黒いジャケットを着た男が歩いていた。
「随分楽しそうじゃないかキアナ・カスラナァ!ゲームマスターの私を差し置いてェ!」
「……檀黎斗。」
読んでいただきありがとうございました。
一時期よんこまさーどでイジられまくった空の律者が降臨です。
今回でチャプター8は終了、次からはみんな大好きチャプター9ですので、お楽しみに!