仮面ライダーゲンムズ ~崩壊世界と神域のゲーマー~   作:紙コップ113

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スカルの肖像見に行きたかったけど……近所の映画館でやってねぇよ。


作り上げる希望

バグヴァイザーの修理が完了し、私は律者の捜索とガシャットの回収の為に天命本部へ戻った。

片手間にバグスターを倒し、回収しながら探索を進めていたのだが……

 

「ムムム……モゴゴゴゴゴゴォッ!」

 

愉快なことに、テスラ博士が椅子に拘束されていた。何故か良い香りがする。彼女に香水を使う習慣があるとは思えないが。

 

「ムゴッ、ムゴォー!」

 

とりあえず口に巻き付いたシルクのスカーフを外そうか。経緯と事情を知りたい。

 

「プハッ!あのメイド、覚えてなさいよ!」

 

「メイド……あぁ成る程、リタの仕業か。彼女に何かされたのか?」

 

「アイツ私を侮辱したのよ!」

 

「は?」

 

おっと、両手も椅子に縛り付けてあったか。まるで工芸品と見間違えるほどに美しい吉祥結びになっていた。

 

「私に縄を掛けながらペコペコ謝り続けたの!『少し窮屈かもしれません。お気分を害してすみません。』って!だったら解きなさい!」

「しかも最低なことに、わざわざ縄に香水まで付けたのよ!馬鹿にしてるでしょ!」

 

「ブフッ……クックックック……!」

「そんな愉快な趣味が彼女にあったとはな。ぜひとも私も誘ってくれればよかったものを。」

 

「笑うな!」

 

とりあえず、彼女の縄を解く。それと同時に姫子少佐もやって来た。

 

「テスラ!黎斗!」

 

「いいタイミングだ少佐。君も自力で脱出できたとはやるじゃないか。」

 

二人に今の状況を説明する。

 

「第二律者、それにバグスターウイルスのパンデミックって……私が寝ていた間に状況が悪化しているわね……。」

 

「それもそうだけど、ボサ頭たちが心配ね。ハイペリオンはどうなってるの?」

 

「心配無用だ。テレサ含めた数名のオペレーターがバグスターに感染するアクシデントがあったが、すでに治療が済んでいる。」

「それにブローニャも戦線復帰し、ウェンディにはゲーマドライバーを渡してある。そう簡単に撃墜はされないだろう。」

 

「ウェンディって、確か元第四律者の子よね?まさか仮面ライダーになるなんて……。」

 

「あとそれから、フカからの情報なんだけど、見張り塔の向こうにある実験室に向かえって言ってたわ。」

 

「まさか少佐、あの裏切り者の言う事を信用するのか?罠かもしれないぞ?」

 

「たとえ罠だとしても、ここで何もしないよりかはマシよ。」

「それにアンタも彼女の助けがあって、律者の前から撤退できたんでしょ?だったら私は彼女の言葉を信じてみるわ。」

 

一理あるか。仮に彼女が待ち伏せていたとしても、レベルX(テン)の力を得た私なら負けはしないだろう。

とりあえず、近くの端末を操作し、エレベーターの起動を試みる。

 

『エラー警告11037 対象がみつかりま……』

 

エラー如きで私の道を阻めるとでも思ったか。

指先からバグスターウイルスを流し込み、メインネットへ強引に接続する。

 

「急に話が変わるけどさ……姫子、アンタの武器ボロ過ぎない?」

 

「仕方ないでしょ、道中で落ちていたものを使ってるだけなんだから。」

「アンタなら他の武器を入手できるわけ!?」

 

現在少佐が背負っている大剣は『クレイモア』。すでに旧式であり、ベテランの戦乙女である彼女にとっては物足りない性能だろう。

 

「だったらこれを使うか?」

 

この場でやられては困るため、ガシャコンソードを少佐に渡してみた。

 

「なにこれ、ただのおもちゃじゃないの!?」

 

「おもちゃかどうかは、君が身をもって実験してみるか、テスラ博士?」

 

「あー、遠慮しておくわ。性能はともかく、私のスタイルに合わない気がするの。」

 

なら仕方ないか。実験室にマシな武器が転がっていることを願うとしよう。エレベーターを起動し、実験室のある階層に登った。

 

 

 

 

 

エレベーターを降りて飛び込んだ先は、精密機械だらけの部屋だった。

機械がそれぞれ繋がっており、実験室というよりかは工場と言った方が正しいのだろうか。

……耳に響く警報が鳴り、私たちの捜索を遮った。

 

「どうやらお出迎えのようね。」

 

「テスラ博士、君は捜索を続けろ。護衛の機甲は私たちが対処する。」

 

少佐が道中で見つけた大剣『バルムンク』を手にするのと同時に、バグルドライバーにガシャットを装填する。

 

「変身。」

 

”デンジャー!デンジャー!ジェノサイド!デス・ザ・クライシス!デンジャラスゾンビ!Woooo!”

 

「アンタ、また姿が変わったわね。そのガシャット、いつから作ってたの?」

 

「開発は聖フレイヤにいた時から極秘に進めていた。もっとも、天命に身を置く限り使う予定はなかったがな。」

 

「ふーん。」と、少佐は軽く流し、両手に握る大剣で機甲を斬り潰す。

フッ、これ以上の詮索は無駄だと悟ったか。私としても、不用意に技術を話すのは避けたいので助かる。

私も彼女に続いて機甲をガシャコンスパローで両断していった。

 

 

 

私たちが大半の機甲を破壊した時には、テスラ博士がとあるデータを発見した。

彼女曰く、実験室のメインコントロールシステムのようだ。

 

「10分頂戴、じっくり研究するから。」

 

「丁度いいわ。私も上で少し休むわね。」

 

少佐が端に座り込んだのを確認し、メインコントロールシステム内を確認すると、オットーが残したとされるとある音声記録が見つかった。

 

内容を要約する。

『マーキ博士』と呼ばれる人物が開発した『HSN-b46血清』と、セシリアから採取した『聖なる血』を混ぜた液体は、帝王型崩壊獣を瞬時に消滅させるほどの『神殺しの槍』と呼ばれること。そして、K-423か聖フレイヤに入学して、準備が整ったという言及もされていた。

 

「チッ、私がこの世界に来る前より奴は準備していたのか。」

 

オットーの口車に乗せられるのは癪だが、その神殺しの槍を作らなければ私たちに勝ち目はないだろう。リプログラミングを叩き込めばまた変わるかもしれないが、残念なことに時間がない。開発している間に世界は滅んでいることだ。

 

「テスラ博士、コイツを製作を頼めるか。」

 

「素材さえあれば今すぐ作れるわ。シャニアテの聖血はここのサンプルを使えばいいけど、肝心の血清の調達が厄介なのよね……。」

 

HSN-b46血清は、製作に大量の資源を要する。更には開発者のマーキ博士は既に死亡している。設計図を見るとしても、現時点で閲覧したデータにはなかった。

 

「だったら、これは使えるかしら?」

 

いつの間にか私の背後にいた姫子少佐の手には、赤い液体の入った容器が握られていた。それには『HSN-b46』と書かれている。

 

「どこで手に入れた。」

 

「……フカよ。遠く離れた安全な場所で使えって。」

 

またフカか。今更私たちに味方するのなら、最初から裏切るなと言ってやりたいところだ。

 

「いいのか?それを使わなかったら、君は……。」

 

「あら?神様が私の命を心配するなんて、ずいぶん優しいのね。」

「大丈夫よ。私、ここで死ぬつもりはないから。」

 

……姫子少佐は戦乙女の適合率が低く、残された寿命はわずかだ。仮に血清を使えば、戦乙女の力と引き換えに、その命を繋ぐことができる。

 

「……君も、この世界のヒーローなんだな。」

 

彼女の決意を前に、これ以上の詮索は止めておこう。

私は血清を受け取り、テスラ博士に渡す。

 

「これで十分だな?」

 

博士はコクリと頷き、血清を握りしめる。

 

「私の護衛は黎斗に任せるわ。姫子、アンタは最下層に行きなさい。ほら、コレ!」

 

博士は少佐に小さな機械の装置を投げつけた。

 

「これは?」

 

「戦乙女装甲の予備パーツよ。実験室で見つけた。」

「アンタの装甲、もうボロボロでしょ?向こうで修理して来て頂戴。」

 

少佐は「分かったわ。」と言い、下に降りて行った。

それと同時に警報が鳴り、機甲が私たちを私たちを包囲する。

 

「私が対処しよう。君は実験を始めるといい。」

 

私はゲンムに変身して機甲を相手取りつつ、実験を脇見する。

 

「今は15時44分ね。手順通りにサンプルも出来たし、実験を始めるわよ。」

 

彼女は手袋を付け、紫の液体が入った注射器を自身の右腕に打ち込んだ。

右腕の皮膚からは血の気が一気に失せ、青白くなる。撃ち込んだ場所からおぞましい赤光が現れ、腕中に広がっていく。

おそらくだが、あの液体は崩壊エネルギー溶液だろう。彼女の腕は崩壊エネルギーの侵食、つまりゾンビになりかけているという訳だ。

……随分体を張るものだ。表情は見えないが、頬や首には冷や汗が伝っている。

私で実験をすればいいとも今更ながら考えたが、私の体は純粋な人間ではない。神殺しの槍の効果を試すのは人間じゃなければ証明できないのだろう。それに姫子少佐は論外だ。

 

続いて、血清と聖血を混ぜた液体をゾンビ化した右腕に打ち込んだ。

一秒、二秒、三秒、四秒目に到達した瞬間、赤い光は消え去り、右腕はもとに戻った。

 

実験は終了したようだな。だったらフィニッシュと行こうか。

 

”クリティカルデッド!”

 

ゾンビの幻影を機甲に纏わりつかせ、爆破した。

 

「ひゃあああああ!?」

 

爆音に驚いたのか、博士はバランスを崩し尻餅をついた。

変身解除し、もう一度彼女の右腕を確認する。

 

「どうやら、実験は成功したようだな。」

 

「え?あっ、ホントだ!」

 

いや気付いていなかったのか。

博士は出遅れたように興奮して、右腕をブンブン振り回していた。それもクリスマスプレゼントを貰った子供のように。

 

 

 

 

同時刻……

 

最下層に置いてあった装甲「空白の鍵」を身に纏った姫子は機甲ヘイムダルを灰燼に帰した。

 

「……ありがとう、フカ!」

 

彼女はこれまで導いてくれた生徒に感謝の言葉を言い、黎斗とテスラの下に戻った。




読んでいただきありがとうございました。
未だにオリジナルライダーの描写が違和感なくできているかの自信がないです。

何か違和感があったり、他のアイデアがあったら感想で教えてほしいです。
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