仮面ライダーゲンムズ ~崩壊世界と神域のゲーマー~ 作:紙コップ113
私たちはハイペリオンに発信した合流ポイントへ走る。
「ハァ……ハァ……ちょっとアンタたち!私のペースにちょっとは合わせなさいよ!」
「無理ね。あの崩壊獣の大群を見ればそれぐらいわかるでしょ?」
「君は機甲開発以外にも、トレーニングに時間を割いてはどうだ?」
「グウッ……!ゲームクリエイターにだけは言われたくない……!」
「大体、そのドライバーとかどうやって作ったのよ!?物理法則なんて完全に無視してるわ!」
そう言っている間にも、崩壊獣は爆発と竜巻に吞み込まれているのを確認した。
爆発はブローニャの重砲、そして竜巻はエアリエルから繰り出されているのだろう。
「……ウェンディ!」
「しまっ……!?」
疲労困憊に陥ったウェンディを崩壊獣の槍が貫きかけたところをゲンムに変身した私が受け止め、姫子少佐が焼き尽くした。
「私がいない間、よく耐えた。褒めてやろう。」
「二人とも無事?」
「姫子少佐!」 「黎斗さん!?」
「ハァ……ハァ……敵が来ます……!」
「すぐにハイペリオンに戻って!」
「ここは私たちが引き受けよう。」
私は二人に
その時、奴の皮肉で残酷な声が私たちの耳に響く。
「あら、防がれた?台本通りに演じなきゃダメでしょ?」
空が切り裂かれ、第二律者が姿を現した。それも一度は私を敗北させた雷の力を纏って。
「やっとお前たちを見つけたよ!」
「順番が変わってしまったが、まぁいい。虫けらには変わりはない。お前たちから殺してやろう!」
「ハッ!待ってたわよ、クソッタレ律者!」
少佐はそう言い、律者に突撃した。
現在彼女の纏っている『空白の鍵』だが、何と律者コアを装着すればそのコアに対応した力を自由に行使できる代物だ。
代償に、装着者の心身がコアに侵食されるが、この戦いさえ生き延びれば私の才能で何とでもなるだろう。というかそうして貰わないと困る。何せ律者の戦闘データを取得する難易度が大幅に下がるからな。テンペストテイルズ以外にも、律者を基にしたガシャットは開発したい。
私も彼女に加勢しようとした瞬間、
『黎斗、聞こえるか?』
「何の用だ、アインシュタイン博士。」
『今から作戦内容を伝達する。君には……』
アインシュタインから、簡潔に作戦を聞かされた。
「……成る程。単純ながら、有効な作戦だな。いいだろう、今回は君にノせられようじゃないか。」
聞いた作戦は私の不死身の肉体を有効活用したものだった。私がダメージを受け、死のデータが蓄積されることについては、こちらにもメリットがある。
……っと、そろそろ本題に戻るとしよう。
ガシャコンスパローの矢を連射しながら律者に肉薄する。
「またお前か。既に結果が見えているだろう!」
以前と同じく、私に矛を突き刺し、電流を流す。
「ガァッ……グゥッ……!」
ダメージを受け、私はその場に倒れこむが……
「ヌゥゥゥゥゥン……!」 「何!?」
ゾンビゲーマーの能力で再び立ち上がる。
「フハハァ……ゲームマスターの私が同じ技を対策しないとでも思ったかァ!」
呆気に取られている間に私は既に出現していたエナジーアイテムを取得する。
”反射!”
エナジーアイテムの効果により、律者の矛はガキンと跳ね返され、いくつかは放った本人に直撃した。
「どういうことだ……?何故変身解除されない?」
「……!?ドライバーがない?」
「ブハハハハァ!これこそが私の裏技だァァァ!」
そう、撤退するウェンディには、ドライバーから外したバグヴァイザーをハイペリオンに持って行ってもらった。こうすることで、律者の攻撃によるドライバー破損の心配はなくなる。勿論、私の体に掛かる負担は相変わらずだが。
バグルドライバーを使うポッピーやクロノスと同じく、ゾンビゲーマーもバグヴァイザーを外した状態でも変身を維持できる。その分クリティカルエンドやクリティカルデッドといった、この形態特有のキメワザが使えなくなってはいるが、ガシャコンウェポンやエナジーアイテムで十分カバーできる。
「いくら不死身だろうと、お前は私に傷一つ付けられない!」
「あぁ、そうだ。お前を倒すほどのパワーが今の私にないことは認めよう。」
「だが忘れるなよ?お前の相手は私だけでないことをな!」
「ハァァァッ!」
少佐の大剣は炎を纏い、私もろとも律者を吹き飛ばした。
「なっ……何だその装甲は?」
「へぇ……そっちの神様は負傷するのね?こっちの気色悪い神様はピンピンしてるわよ?」
流石に同じ律者の力は通用したか。律者が少し悶えた様子を見たが、演技ではなさそうだな。
反撃の隙を与えない。ガシャコンソードにタドルクエストを、ガシャコンマグナムにジェットコンバットをそれぞれ装填する。
”タドルクリティカルフィニッシュ!”
”ジェットクリティカルフィニッシュ!”
ガシャコンマグナムから放たれた無数のミサイルで律者の回避を潰し、ガシャコンソードで地面ごと律者の脚を凍結させる。
「グッ……この程度で!」
当然脱出されるが問題ない。数秒でも足止めが出来れば、少佐なら攻撃を当てるのも容易だろう。
「熱炎粉塵!」
予想通り、大剣の一撃はクリーンヒット。律者はそのまま地面に倒れ伏した。
「皮肉なものね?今のアンタはにっくき人類の前で寝転がってるのよ?」
「おのれ……おのれぇぇぇ!!!」
律者は衝撃波を発生させ、少佐と距離を取って起き上がる。
”液状化!”
少佐に気を取られている間に液状化のエナジーアイテムを取得、私の体は一時的にスライム状になる。
スライムの体を活用し、律者に纏わりついて拘束した。
「貴様ァ……何故そこまで抗う!?」
「決まっているだろう!神はこの世界に二人も必要ないからなァ!」
「黙れェ!私は神として人類を裁く資格がある!」
「その才能を持つ私が神だァ!」 「私が神だァ!」 「私だ!」 「私だ!」 「人類をレベルアップさせるのは私だァ!」 「人類を滅ぼす私こそが神だァ!」
「下らないことで言い争って……私たちに神は必要ないのよ!」
「烈火!」
少佐は大剣を横に薙ぎ払い、私と律者を爆炎に送り込んだ。
「ガァァァァッ!!」
「ヴァァッ……どうしたァ……律者の力はその程度かァ!」
「不死身の怪物がァ……お前など……とうの昔に滅ぼせてたはずなのに!」
「当然だァ……私は不滅だからなァハッハッハッハァ……!」
「もういい!お前を見るだけでも虫唾が走る……!」
律者は怒りのままに私を何度も壁や地面に叩きつける。
無駄だ無駄だ!そんな八つ当たりの攻撃など通用せず…………
”混乱!”
「なっ……!?」
私に混乱のエナジーアイテムを取得させただと!?
私は平衡感覚を失い受け身を取れず、そのまま吹き飛ばされてしまった。
「死んでも復活するなら何度も殺してやる!行け!」
ポータルから騎士型崩壊獣を無数に出現させ、私を槍で何度も突き刺した。
グゥッ……!死ぬことはないが、エナジーアイテムの効果が切れるまでは碌な反撃が出来ない……!
「黎斗!」
「人類、次はお前を殺してやろう!」
「チィッ……!」
律者は少佐に標的を変えた。
私という先鋒役がいなくなったせいか、途端防戦一方となった。
「あの男とはとは違い、お前はただの虫けらだ!」
「そうかしら……?こう見えても私、結構手強いのよね!」
「無礼な人類が!」
「人類人類って、言いづらくない?」
「私にはちゃんと名前があるのよ。覚えておきなさい……アンタが今戦ってるのは……」
「
口論と共に、矛と大剣が何度も交わる。
威勢の良い少佐だが、じわじわとダメージが蓄積されている。
私も早く復帰したいのだが、デメリット系のエナジーアイテムは時間経過でしか解除できない……!
……ズシャッ!崩壊獣が私の胸部を突き刺したと同時に、エナジーアイテムの効果が切れた。
「ヌゥゥゥ…………ガァァァァァァァァッ!」
私に突き刺さった槍を掴み、崩壊獣を律者の方に投げ飛ばした。
「檀黎斗ォ……!どこまで私を苛立たせる気だ!」
崩壊獣の墜落で舞った砂埃の中で、私は一瞬だけハイペリオンにワープし、バグヴァイザーを手に取る。
「ブハハハハ!お前のモルモットが散々ダメージを与えてくれたおかげで、レベル
ドライバーにバグヴァイザーをセット。そして二つのボタンを押す。
「ゲームをもっと楽しみたいところだが、タイムアップのようだな。」
Bボタンを押し、キメワザを発動する。
”クリティカルデッド!”
「またその技か、鬱陶しいだけで大した技では……?」
「なっ!?幻影じゃないだと!?クソッ、離せ!」
「ゾンビといえば、増殖能力が付き物だろう?」
レベル
「少佐、すぐにここから離脱するぞ!」 ”高速化!”
エナジーアイテムの取得と共に、少佐を担いでこの場から離脱した。
『システム準備完了、出力準備完了、軌道照準完了。』
『目標ロックオン。距離誤差調整完了。』
『君たちが作ってくれたチャンスを無駄にはしないよ。撃て!』
ハイペリオンに搭載された砲口から、白い光線が発射された。
「グァァァァァァァッ!?」
律者の力の源である崩壊エネルギーが飛び散っていく。いや違う。厳密には別のものに変化した。
律者の体内から光と熱があふれ出し、翼や矛は形を失っていった。
「どうして……私の体が!?」
今回の強襲作戦において、ハイペリオンに搭載された秘密兵器。
アインシュタインによって提唱され、研究開発された『民用』発明。
50数年の時を経て完成したネゲントロピーの秘密兵器……『ムーンライト・スローン』である。
…………力を失い、大ダメージを受けた律者はポータルの中に逃げて行った。
「少し前に聞いていたが……どうやら私は君たちを侮っていたようだな。」
『それは光栄だ。組織が一丸となって作り上げたものだからね。』
『律者は撤退したが、すぐに反撃に出るだろう。一度、ハイペリオンに戻ってくれ。』
「了解した。」と言い、私たちはハイペリオンへ帰還した。
読んでいただきありがとうございました。
次でチャプター9ラストです。そう、数多の艦長の脳を焼いた、みんな大好きアレです。