仮面ライダーゲンムズ ~崩壊世界と神域のゲーマー~ 作:紙コップ113
「~~~。」
誰かの声で自分は目を覚ました。
目の前に映るのは小さな窓。そこから見える景色は見知らぬ天井だった。
……てかここ何処だよ!?狭くて身動き取れないし!?まさか棺桶の中じゃないだろうな!?
棺桶の蓋を開ける為に起き上がろうとしながら、気を失う前のことを思い出してみる。
確か、神が最後のライフを失い消滅したのを見届けた後、そのままブッ倒れて永夢に支えられたよな。意識が朦朧とする中永夢に白衣を着せられ、そこからの記憶がない。
確か最後に言ったことは…………
『変えろよ……運命を……。』
土砂降りの雨だったり、神との一騎打ちだったりと、あのクリスマスの日を連想することばかりだったな。
そこまで思い出せるってことは、自分はまだ生きている。冷静に考えて、死亡確認をしないまま棺桶に入れられることはないハズだ。
幽体離脱も考えてみたが、体の感覚はある。精いっぱい下を見ても、体が透けていることはない。というか、バグスターが死ぬときはピクセル状の霧のように消滅するんじゃなかったか?
このまま火葬されるのは御免だ。自分は蓋をバンバン叩きながら外のにいる人に助けを呼んだ。
「おーい!誰かいないのか!?自分まだ生きてるよ!」
「うおぁぁっ!?」
蓋は突然開き、勢い余って自分は前のめりに倒れこんだ。
「目が覚めたようだね。」
「僕の言葉が理解できるかい?出来るなら返事をくれ。」
近くにいた男の声に、反射的に返事をした。
「それはよかった。彼と違って、異常があっては困るからね。」
振り向いた先には、金髪ロングの男が立っていた。
紫のローブに各所の金の装飾。見た目の若さに似つかない、何処かの金持ちのお坊ちゃんか?それとも王子様……いや宗教のお偉いさんか?
自分は恐る恐る聞いてみた。
「ここは……あの世か?」
金髪の男は少し考える仕草を見せ、自分の問いに答えた。
「そうだね……僕にとっては『この世』かもしれないが、君にとっては『あの世』という認識で間違ってないか。」
「誰だ……アンタ……?」
「僕はオットー・アポカリプス。ここ『天命組織』の主教だ。」
アポカリプス……日本人ではなさそうだが、聞いたことない苗字だ。それに主教と言ったか?となるとここは教会とも考えたが、見回すと教会のような豪華な装飾はなく、どちらかというと金属に囲まれたSF映画に出てくる基地のようだった。
「……どうやら君はまだ状況を飲み込めていないようだね。」
「えぇまぁ。最後に見た景色とガラッと変わったものでして……。」
「そうか。だったら場所を変えよう。本部を歩きながら、この世界について教えるよ。付いてきなさい。」
オットーと名乗る男は不透明な自動ドアを開け、部屋から出て行った。
……あの男を信用していいかどうかはまだ分からないが、とにかく今は『この世』についての情報を得る必要がある。自分は棺桶から出てオットーの後を追った。
天命組織の本部、何とそれは宙に浮いていた。嘘じゃない、ガチの話だ。
ヨーロッパ上空にあり、複数の人工島で構成された浮遊城。未だにここを映画やゲームの世界だと思っている自分がいる。現実離れしすぎて理解が追い付かねぇ。
……っと、そこで重要な話を聞き逃すわけにはいかないがな。
オットーの話を聞けば、この世界は『崩壊』と呼ばれる災害に見舞われており、天命はそれに対抗するために作られた組織だそうだ。ここでは崩壊の研究、開発、更に『戦乙女』と呼ばれる対崩壊の戦士の育成を行っている。要するに、バグスターウイルスに対する『CR』、『仮面ライダー』と似たような関係だろう。
「大体わかった。で、どうしてアンタは自分をここに呼び寄せたんだ?」
「理解が早くて助かるよ。では本題に入ろう。今、この世界は二つの危機に見舞われている。」
「まず一つ、この世界に『檀黎斗』が出現した。」
……は?おいおい冗談だろ!?アイツは自分との最後の戦いでライフをすべて失い消滅したはずだ。何故当たり前のように復活しているんだ!?
困惑する自分に、証拠映像を見せて来た。
ここで働いている嬢ちゃんたちにロボットで襲撃し、ブレイブやスナイプに変身して戦乙女に攻撃するアイツが確かに映っていた。
次の映像ではゾンビゲーマーレベル
「マジかよ……!」
「信じてもらえたかな?」
「実のところ、僕は彼と仲良くなろうとしたんだ。彼の望みである幻夢コーポレーションの復活を手伝うことを約束してね。」
「でも、結果はこのザマだ。彼は敵対組織であるネゲントロピーと手を組み、僕に反旗を翻した。」
それは自業自得だ……とは口が裂けても言えないな。神を全て理解することなんか、一生をかけても無理だ。仮に出来るとしても、アイツの才能を刺激できる永夢や母親の記憶を持つポッピーぐらいだろう。
「そして二つ目は、バグスターウイルスが世界中でパンデミックを引き起こしていることだ。」
「何だと……?あの野郎、この世界でも大勢の命を奪う気か!?」
「落ち着いてくれ、彼に原因がない訳ではないが、今回は被害者だ。」
「少し長いが、経緯を説明しよう。」
「檀黎斗は従来のバグスターと同じく、人体に感染、培養を重ねて分離することで出現した。」
「しかし、彼のウイルスに感染した少女が『空の律者』に覚醒したんだ。」
律者……オットーの言葉を信じれば、それは崩壊の使者。ゲーム的に言い換えればボスキャラのような存在だ。
「空の律者は体内のウイルスを崩壊エネルギーで変異、支配下に置いた。それこそが、現在流行しているバグスターウイルスの正体だ。」
まぁ、神が直接散布していないとはいえ、誰かに感染して命を脅かしている時点で切除対象には変わりないがな。
「てか、崩壊エネルギーで変異したバグスターってどんな奴だ?」
「そうだね。感染が進行すれば、ウイルスが実体化するのは同じだ。しかし、実体化したバグスターは崩壊獣と姿をしており、崩壊病との類似点も見受けられた。天命ではこれを『崩壊バグスターウイルス』と呼んでいるよ。」
「一応、戦乙女の武器で討伐は可能だが、患者諸共消滅してしまい、研究は進まない状況だ。」
「それで、ウイルス研究をしていた自分に白羽の矢が立ったというわけか。」
「うむ。どうかこの世界をバグスターの脅威から救ってほしい。天命の長として、君が望むものを全て用意しよう。」
「………。」
どうしたものか。本来なら1人のドクターとして、二つ返事で引き受けるのが正解だ。だが、自分の監察医としての職業柄からか、どうにも彼を信用できない。割と上手く隠してはいるが、あの顔の裏にはドス黒い嘘が潜んでいる。推測だがな。
それに何というか……幻夢の社長だった頃の神と話している気分だ。同じ目的だが、その真意をのらりくらりと躱す。隠されていることが分かっているのに問い詰められないあの感覚。分かるだろ?
「どうした……?」
オットーに通信が入る。
「何……!?バグスターが実体化しただと?」
それを裏付けるかのように、遠くにある施設が爆破した。
ま、それに気付いた瞬間には自分は現地にワープしていたけど。オットーを信用するかどうかは関係ない。患者が苦しんでるのに、ドクターが立ち止まるわけにはいかねぇからな。
ワープした先は医療施設だったが、そこにはバグスターと思わしき怪物が周囲を衝動のままに破壊していた。そこにはソルティーやグラファイトのようなゲーム性など一切なく、まさに『崩壊』をもたらしている。
とにかく場所が悪すぎる。そこら辺に落ちてるものをバグスターの頭にヒットさせて注意を引く。
「オラァ!こっちだ!」
注意が自分に向いたのを確認し、施設を出る。バグスターは壁をぶち壊して追ってきやがった。
人気が少ない場所まで来た。ここでようやくゲーマドライバーとガシャットを……………
とか考えてたけど、肝心の二つが手元になかった。何でだよ!そんぐらいご都合主義な展開でいいだろ!
そう困惑してたら、バグスターが巻き起こした爆発で自分は宙を舞い、遥か上空に吹き飛ばされた。
その先に地面はなく、自分は大海原に落下して第三の死を迎えた。
G A M E O V E R
とはならなかった。
吹き飛ばされた自分を誰かがキャッチしてくれたんだ。
「怪我はありませんか?九条貴利矢さん。」
まだ理解が追い付かないので、反射的に首を縦に振った。
自分の危機を救ってくれたのは、金髪碧眼美少女の戦乙女だった。
「大主教から預かって来ました。これを使って変身してください。」
戦乙女が取り出したのは、ゲーマドライバーと爆走バイクのガシャット。
「私が援護します。共にバグスターを討伐しましょう。」
その言葉からは絶対的な自信、見た目の若さに似つかない完璧超人ぶりが溢れ出ている。
これは信頼してもよさそうだな。
仕切りなおしてオペを始めようか。いつも通りガシャットを起動!
”爆走バイク!”
背後に出現したタイトル画面からはエナジーアイテムなどのオブジェクトが設置された。
「これは……実際目で見ると圧巻ですね。」
「ヘヘッ、驚くのはこれからだぜ?」
「変身!」
ゲーマドライバーにガシャットを装填。
周囲にキャラセレクト画面が回りだし、レーザーの画面に渾身の回し蹴り!
”レッツゲーム!メッチャゲーム!ムッチャゲーム!ワッチャネーム!?アイム ア カメンライダー!”
ゆるキャラのようなずんぐりむっくり、両手にはバイクのタイヤを持つ。
仮面ライダーレーザー バイクゲーマーレベル1だ!
「さぁて、ノリノリで行っちゃうぜ~?」
読んでいただきありがとうございました。
前回のオットーの独白で分かってた人もいるかと思いますが、監察医の九条貴利矢参戦です。
レーザーターボはしばらく登場しませんので悪しからず。