悪名高き都市に転生した男の話   作:アオコクモツ

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若干リョナ描写あります


都市で生き抜くための術

ミレイから名前をもらったその後、都市についての話や、ここの地区について、そして絶対に近づいてはいけない場所などをミレイから教えてもらった。

私からは、放浪中に見た出来事や、皮を剝いでいたイカれた連中の話、そして掃除屋から逃げている途中に視界にちらりと映った掃除屋の姿かたちの話を話した。その途中、緊張の糸が切れた影響からか

 

キュウ

 

とお腹がなってしまった、思わず恥ずかしがっていた私にミレイは

 

「おなか空いてるの?じゃあさ!これはんぶんこしよ!まだ空が明るいころにひろったんだ!」

 

とパンをちぎってこちらに渡してくれた。

そのパンは所々カビていて土ぼこりも少しついていたが、そんなことは食欲の前には些細なことに過ぎなかった。

この世界に来てから何も食べていなかった私はそのパンを夢中になって、噛みしめて食べた。途中、こぼれた涙で少ししょっぱくなってしまったが、それでも今まで食べた物の中で一番においしかった。

恐らく私はこの時の味を忘れることはないだろう。

 

その後、私が身にまとっていた少し大きなぼろ布に二人寄り添って眠りについた。

この都市にきて初めての人の温かみを感じて、積み重なった疲れもあってか即座に眠ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

そうして数週間がたった。

 

色々と情報を集めていて分かったことは、ここの地区は23区の裏路地、別名”美食の街”だ。

初めてそれを知った時には絶望したが、ここはどうやら美食の街ではあるのだが他の巣の区画との緩衝地帯に近いからか、まだそこまで絶望的な治安はしてないらしい。現に私たちが生き残れているのはそのおかげだろう。

もし料理人や屠畜業者が白昼堂々と食材の”仕入れ”を行っているような地域で転生していたら、私はその日のうちに肉ジャムにでもなって店頭に並んでいたのかもしれない、そう思うと今でも寒気がする。

ただ比較的マシとはいってもここは23区、絶対に近寄ってはならない場所何かは何個もある。

そこに行ったが最後、次の日にはソーセージにでもなって店頭にぶら下がることになることだろう。

ただ、そういう場所には捨てられた貴金属品などもたまにではあるが放置されているらしい、そういうものはそこそこの金になるのだ。まあ以前そんなことを豪語していたネズミの男は次の日以降ネズミたちの溜まり場に姿を見せなかったのでその末路を想像するのは容易い。

そんな都市の中でもかなり危険な地区で私たちは、

 

 

「え、ここの事務所さ、カギ掛かってないんだけど。こんなんじゃ泥棒に入られ放題じゃん!」

 

「その泥棒には言われたくは無いと思うんだけどな...」

 

「まあ確かに。

てかここの事務所のカギ、掛かってないのもそうだけどそもそも壊れかけじゃん、カギの交換する余裕すらない貧乏事務所か...こりゃあんまり期待できそうにないかもね。」

 

「まあそういう事務所だからこそ私たちみたいなのがつけ入る隙もあるわけだし...」

 

「たしかに、まあここの事務所の人たちは運がなかったってことで、さっさと僕たちでいただくもんいただいちゃいましょ!」

 

事務所に空き巣まがいのコソ泥をしたり、スリをしたりなどして一日一日を生き抜いていた。

幸いにもミレイの親は鍵師をしていたらしく、親が殺されて路頭に迷うまではよく鍵いじりをしていたようで、ある程度までのカギなら開けられるようだった。

そして私は、足の速さや腕力だけは高かったので盗んだものを運ぶ担当だった。

正直ミレイよりも多少力が強いだけの私にはこれくらいしかすることがなく、少し焦燥感のようなものを感じていた。

そんな様子の私に、1人で行動していた時より効率が上がっているとミレイは言っていたのだが、もっと役に立ちたいと、いう思いは依然として心にくすぶっていた。

今回も、もはや慣れっこのミレイとまだ慣れない私で事務所に侵入した。

 

ただなぜだろう、今回は胸騒ぎがする。このままじゃいけないような気がする。

 

そのことをミレイに言おうとした瞬間、事務所の電気がついて

 

「お、やっぱり来たじゃん!最近噂になってるコソ泥野郎」

 

「なんだ?ガキ二人じゃねぇかよ、こんなガキに盗みに入られる奴も馬鹿だねぇ...」

 

「とりあえずこいつらどうする?さっさととっつ構えて屠畜業者にでも売っぱらうか?大した金にはならなそうだけどな」

 

「「賛成」」

 

 

子供である自分たちよりもはるかに大柄で、そして目はぎらついている3人組のフィクサーが目の前でバットや斧を持ちながら待ち構えていた。

 

 

 

 

 

 

「あのガキ共どこに逃げやがった!!!」

 

「オレはあっちを探すからお前はそっちを探せ!!!絶対に逃がすなよ!!!」

 

「ったくあのガキ共!逃げ足早すぎだろうが!!!」

 

 

私たちは今、二人で物陰に隠れている。

あの後、私はとっさに近くにあった金網の棚を倒し、ミレイの手を引きながら逃げ出した。

逃げている途中に3人組は手元にある武器を投げてきたりしていたのだが、幸いミレイにケガはなかった。だが、投げつけられたバットが私の方に直撃し鈍い痛みがじわじわと肩に響いて少しずつ気力を奪っていく。

 

「...あいつらどこかに行ったみたいだから今のうちに逃げよう」

 

「後さ...肩、大丈夫?」

 

「ちょっと痛いかも...だけど大丈夫!ほら見て、動くから!」

 

ミレイが心配そうに見ているので、私は腕を回しながら大丈夫だ、とアピールした。

本当は痛い、めちゃくちゃに痛いが、動けないほどじゃない。いまここを離れるだけなら別に支障はないと思い、ミレイの手を借りて立ち上がり逃げようとした。だが、

 

 

「探したぜガキども、俺の手を煩わせるんじゃねーよ!」

 

先ほどの3人組の中で、バットを持っていた男が目の前に居た。

 

「え...なんでここに... 「うごぇっ...!?」 ...え?」

 

震えながら呟いた直後、私の隣にいたミレイが蹴り飛ばされ、地面を転がった。

 

「え...ミ、ミレ...」

 

地面に転がるミレイを呆然と見つめていたその時、顔に強い衝撃が走った。そして私も地面に倒れ伏した。

 

 

 

 

 

 

 

 

視界が揺れる

 

平衡感覚がつかめない

 

ングエッ  ヤメデッ  ア゛ァッ

 

どこからか声がする...あれは..ミレイの声!!!

 

意識がはっきりした後に私が目にしたのは、男に殴られているミレイだった。

 

ミレイは抵抗しているが相手は大人、叶うはずもなく成すすべなくほぼ一方的にぼこぼこに殴られていた。

 

助けなきゃ...今度は私が助ける番になるんだ

 

気が付いたら私は男が放り投げていたバットを両手に持ってミレイを嬲る事に夢中になっている男の後ろに立っていた

 

だが、手が震えてそのバットを振り下ろせない。

まだ前の人生でも、今の人生でも、人を殺したことなんてなかったから。その一線をこえることがなかったから、この一線をこえたら私は、もう後戻りなんてできない。

一度人を手にかけたら、もう戻れない。その事が頭をよぎり、その手を動かすことができずに震えている。

 

その時、殴られているミレイと一瞬目が合った。

 

彼の瞳は

 

「助けて」

 

と言っていた。

 

その瞬間、わたしは

 

 

 

「う、う゛わ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!!」

 

 

 

「...!?てめぇ!なにしやがっ...オゴアッ」

 

腕に全力を込めて大きく振りかぶり、その男の頭に向かって振り下ろした。

 

私はこの瞬間、一線を超えると同時に

この世界で生きるための本当に必要な術を身につけたような気がした。

 




主人公(カイル) 実績:初めての殺人

ミレイ あともうちょっと遅かったら危なかった

バットの男 最近足に強化施術したことで慢心していた、せっかく金かけて施術しても死んだら意味なし

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なんとか今日中には書き上げることができました。

平日は厳しいので土日とかに執筆頑張りたいですね!それでは!敬礼!(自爆)
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