ナホビノちゃんin異世界 作:名無しのナホビノ
一方その頃カルデア御一行はというと……
「奴等が居ないうちに早急に撤退するべきだ!姿こそ現代OLぽかったが、あれはまごう事無き神霊だったぞ」
「彼女が俺達の敵なら、あのサーヴァントを嗾けるだけで事は済んだはずです。その彼女に対話の意思が有るのなら向かうべきだと思います。幸いにもエネミーに遭遇しなかっただけで、今後はどうなるのかも分かりません。なら!少しでも情報を得るべきです」
「貴様の言い分も理解出来る……だが、危険地帯に行かせている私が言うべきでは無いが、貴様が倒れると我々は終わりなのだぞ!」
(先輩の言い分も、新所長の言い分も理解できます。今まで攻略して来た特異点も異聞帯も、異様な物が数多く有りました。ですが……ここは違う、根本的な物が致命的に違ってしまっている。先輩の案と新所長の案どちらを支持すれば……)
「うんうん、君たちの立場からしたらじっくりと吟味するべき案件なのは察するが、不毛・無駄な時間を使うのも使わせるのを私は好まない。先程ゆっくりおいでと言ったばかりで恐縮だが、話の場にお招きしよう」
確かに、この少女は先程この場から去ったはずだった、この場唯一のサーヴァントである、マシュも一切の油断なく警戒をしていたはずだった。
にも関わらず、この少女はさも当然の様にこの場に居る。
「え!」
「な!」
「二人共下がって!」
「まぁ、何度警戒の必要は無いと、私が口にした所で無理なのは仕方ない事ではあると思っているさ」
パチンと少女が指を鳴らすと、まるで空間が組み変わるかのように変わっていき、昇降口から会議室へと変わった。
「さて、ノウム・カルデアの諸君!話し合いの席に着く気が有るのなら、幾らかの質問にも答えよう。席に着かないのなら一方的に必要事項だけを告げて、私の仕事に取り掛かるだけだが、如何とする?」
「な、これは転移魔術!?たった一工程で我々を移動させたと言うのか!」
「転移魔術?いや、空間を作り変えただけだが」
「固有結界……」
「固有結界?ああ、君達が言う所の術者の心象風景を現実に塗り替える術か。これから、話し合おうという相手にそんな事をしたりしないさ」
「所長!ここ、本当にただの会議室ですよ!」
真っ先に、藤丸立香が適当に席に着き、それに習い藤丸の隣にマシュが着いた。
そして、それを見たゴルドルフがため息を着き席に着いた。
「いやぁ、良かった良かった。何も知らずにそこらをぶらぶらして無為に時間を過ごして、成す術も無くタイムアップだったしね」
「それはいったい、どういう意味だね」
一旦決めたこと、決まった事には意外と胆力を発揮させるゴルドルフは、半ばやけになりつつ、こうなってしまった以上聞ける事は全て聞いてやると覚悟を決めていた。
「そりゃ、君達が来るまで、このボルテクス界の人間は一人たりとも生き残りは居なかったのだからね。頼みの綱にしているであろうサーヴァントもこの地に居ない」
「な、何を言っておるのだ!目の前のき、貴様も人間ではないのか!」
「いや、非人間だよ。薄々察しているんじゃないの?いやぁ、まだまだ現役JKで通じるって褒め言葉として受け取ろうかな!」
(どう聞いたら、そうなるんだろう?)
(え、今の私の発言のどこにそんな要素があるんだ?)
(ここって、高校だったんですね!)
「あの……サーヴァントが居ないと仰りましたが、先程の女性はサーヴァントでは無いのですか?」
「アーちゃんの事?アーちゃんはサーヴァントでは無いよ。そもそもの話、この地ではサーヴァント召喚の術式は通らない、エラーを吐くんだよ。これはついさっき君達がサーヴァントを呼んでいなかったから、ちょっと疑問だったんだ。だから、ちょっと調べたんだけど、君たちが使役しているサーヴァントってクラスという入れ物にサーヴァントの情報を入れて出来ているという事は知っているだろ?それで、サーヴァントの肉体に当たるクラスは、エーテルで構成されるのだけどね。この地は君達が真エーテルと呼ぶものと似ているようで違うモノが充満している、だからそれを使って構築した仮初の肉体と、それを前提とした英霊の情報では齟齬が生じてエラーとなって召喚は確定で失敗する。だから、サーヴァントを召喚したいのなら、その齟齬を解決する為のコンバーターが必要なんだ」
「という事は、召喚陣から現れた粘性の怪物は……!」
「あ、やっぱり、呼んでいたんだ。そうだね、スライムは召喚失敗したり顕現に失敗した結果だねぇ。まぁ、安心しするといいさ、その解決策も構築済みだ!」
「ちょっと待て!先程からこちら側ばかりが利する展開ばかりでは無いか、一体何を企んでいる。そして、そうだ、貴様は一体何者なのだ、名を名乗れ!」
ゴルドルフ・ムジークは問う。
この少女は、知り過ぎている。
カルデアの事も、カルデアの使う召喚術も。
そして、恐らくは、この地にやって来た三人のパーソナルデータさえ、知っている感を漂わせている。
それなのに、自分達はこの地の事も、眼前の少女の事も何も知らないのだ。
それが、どうにも気味が悪い。
だから、名前を問う。
彼女が言っている事が正しく、非人間が正体なのだとすれば、名前は重要な情報足り得る。
今までの流れからして、名前位ならすんなりと教えてくれるだろう、という打算もある。
「え、名前を教えろって?それは、嫌だね」
長くなりそうなので、後半に続く!