みんなグレイナル大好きだな!
俺もそう。
光竜のうでだめし
ゲヘナ学園のヒノム火山で竜を見た。
フォロボスの騒動から暫くして、そのような噂が流れ始めた。
竜なんてそんなばかな、と思うだろうが、目撃情報が多い上、写真も出回る始末。
その事も相まって、その噂が本当なのか嘘なのか更に分からなくなり、情報が交錯した。
調査しようにも、ヒノム火山は危険な地帯。麓は兎も角、山頂まで調べるなど無謀過ぎる。
もはや、誰にも真実など分からない。そう思っていた。
―――ある人物が、写真に写った竜の姿を見るまでは。
「先生!各学園に連絡してください!!」
「え、なに!?」
「この竜に会いに行くための人員を募ります!」
「ま、待って!?
セニカ、この竜知ってるの!!?」
「えぇ、とてもよく……!」
「…まさか、グランゼニス関係?」
「そうです。
前の世界にいた、光の竜。
名を―――グレイナル。グレイナルといいます」
竜の事をよく知っていると言ったセニカは、シャーレの先生を通じて各方面に声をかけ、ヒノム火山に出かける事となった。
ゲヘナ学園からは、案内人として風紀委員会の面々が。トリニティ総合学園からは、シスターフッドの伊落マリーと補習授業部が。ミレニアムサイエンススクールからは、ゲーム開発部の才羽姉妹とアリスが。
それぞれ、要請を受けて参加し、火山内部への強行軍となった。
火山の過酷な道なき道を抜け、山頂に辿り着いた一行は、そこで目撃することになる―――大きな翼をはためかせた、若々しく雄々しい巨大な竜を。
「お久しぶりです、グレイナル。
私の事は、分かりますか?」
「おぉ…! もちろんです、グランゼニス様。
貴方の事を、ずっと探しておりました。まさか、別の世界に飛んでいらっしゃったとは…!」
セニカの言葉に、敬意の籠った、しかし親しみのある声で答える白竜。
その様子に、セニカに同行した生徒達は驚きを隠せない。たとえ、セニカ本人から事前に話を聞いていたとしても、である。
「しゃ、喋った…!?」
「本当に、セニカの知り合いなのね……」
「すっげーすっげー!ドラゴンだ!ドラゴンだぁぁ!!」
「アリス、知ってます! このタイプのドラゴンは、勇者たちにレアアイテムをくれるいいドラゴンです!」
「で、でかい…!」
「こんな生き物が実在するなんて……」
存在しないハズの生き物に出会った現実味のなさ。ゲームでしか出会えない存在への憧憬と興奮。巨大な姿にただ圧倒される者もいた。
十人十色な生徒の反応を見ながら、グレイナルは笑った。
「ふふふ、十分に馴染んだご様子で」
「ええ。こんな私を友と呼んでくれる人ばかりです」
「これは…元の世界へは連れて帰れませんな」
「その為に来たの? 貴方」
セニカを元の世界に連れて帰る。
その目的が発覚したことで、生徒全員に緊張が走った。
だが、グレイナルにその気はないのか、セニカに対して何かをしようという気配を一切出す事は無い。
「ご存じかもしれませんが、セレシア様が復活いたしました」
「そう、でしょうね。前の戦いの時に、助けてくれましたから」
「そのセレシア様が、多くの天使たちが、あなた様の御帰還をお待ちしております」
「はい」
「あなた様がお望みでしたら、すぐにでも天使界へ戻り、もとの姿で復活できますが」
「そうですか」
「ちょ、ちょっと待って!
セニカ、まさかここでお別れとか言わないよね!!?」
話の流れを聞いたモモイが、無視できないことを言い出した。
せっかく、元の姿に戻れたというのに、友達もたくさん出来たのに……急すぎる別れが訪れるかも知れない。
そんな事を想像したモモイに、セニカは目を見てこう答えた。
「言うわけないじゃないですか。
私はもう、この世界の住人なんですから」
そうなのだ。
セニカは、アビドスの事件から始まり、フォロボスによる分裂事件まで、当事者…或いは関係者だったのだ。その過程で得た絆もある。それを否定できるハズなど、なかったのだ。
「そういうわけですから、グレイナル。
申し訳ないのですが、もうしばらく………あと100年近く、待ってもらえますか?
この人たちと一緒に生き抜いて、全員を見送って………天使界に帰るのは、それからでも遅くはないと思うのですが」
セニカは、その意志をハッキリとグレイナルに告げた。
キヴォトスで得た友と、先生と、最後まで生き抜く事。
全員が、グレイナルの言葉を待つ。やがて………グレイナルは、やや困ったような声色で、
「分かりました。セレシア様への説明は、お任せください。
言伝などがあれば、教えていただければ必ず伝えます」
「……ありがとう、グレイナル」
ひとしきり笑いあう。
こうして、かつての旧知の仲の再開は、心温まるものとなったのであった。
―――その後、グレイナルと生徒達との交流の時間になったのである、が。
「グレイナル!お願いがあります!」
「なんだ? 申してみよ」
「アリス、グレイナルと戦ってみたいです!」
きっかけは、この一言であった。
アリス以外の全員が、凍り付く。セニカも流石に突然のアリスの宣戦布告に戸惑った様子で、アリスを止めようとする。
「あ、アリス? ちょっと、それは…」
「アリス、確信しました!
グレイナルは、良いドラゴンです!」
「ええ、ですから戦う必要は…」
「アリス、知ってます! 『ドラテス』の神龍は、戦いに勝ったら願いを叶えてくれる存在です!
グレイナルもそのタイプのドラゴンに違いありません!」
「え、えぇぇぇぇぇぇぇっ!!?」
どうやら、ゲームのように戦って勝ったらすごいご褒美が得られるものと思っているらしく、アリスは頑なに譲らない。
どうしたものかとセニカが悩んでいると、その場一帯の空気を揺るがすような、大きな笑い声が聞こえてきた。
グレイナルだ。彼は、まるで遊びをせがまれた孫に答える祖父のように、豪快な笑い声をあげて、こう言った。
「はっはっはっは! あい分かった!
そこまで言うのなら、このグレイナルが相手になろう!」
目を見開く生徒達と先生。セニカが「良いんですか?」との小声に、「我も光の竜であるから、ある程度の願いを叶えられる力は持っています」とグレイナル。
アリス以外の生徒がいまだ困惑する中、グレイナルは優しい口調でこう言った。
「なに、難しく考える必要はない。
我との交流戦…試合だと考えれば良いのだ。
そこのアリスなる少女風に言うのなら……そうだな。
『ここまで来た褒美に、そなたの願いをひとつだけ叶えてやろう。ただし!この我を打ち負かすことができたらだ』……といったところかな?」
「!! これは紛れもなく裏ボス戦です!」
「あーーーー! アリスが乗せられちゃった!!」
「………良いんですか?」
「加減はするぞ『先生』。勝ったら願いを叶えるのもホントだ」
「分かりました。
アリス、ケガのないようにね」
「大丈夫です! モモイやセニカ達も一緒に戦いますので!」
「え!!!? 私も戦うの!?」
「ちょ、流石にあの竜相手は…」
急に巻き込まれたモモイとミドリは、グレイナル相手であることに尻込みする。
だが、アリスの純真無垢な「一緒に戦ってくれますよね?」という瞳に対して、それはちょっと、とは言いづらい。
更に、アリスの言葉に乗った者がいた。
「いいですかアリス。
あの姿のグレイナルは強いです。
回復には私が専念しますので、攻め続けて下さいね」
「セニカ…! はい、アリス、頑張ります!」
セニカである。
グレイナルと戦うのを止めると誰もが思っていただけに、モモイとミドリだけでなく、同行した全員にとっても衝撃的であった。
「せ、セニカ先輩、それは流石に…!」
「大丈夫です、マリー。
グレイナルが良いと言っているのですから」
「他の者たちも、参戦したくばいつでも参加して良いぞ。
だが言っておくが我は強い。加減はするが、油断していたらすぐさま勝負を頂くぞ?」
「先生!アリスたちの指揮をお願いします」
「わ、分かった!」
光竜の腕試し。
そうとしか言えないような、まるで宴のような戦いが、ここで始まった。
「フォロボスをも打ち負かした、絆の力……わが光の前に見せてみよ!」
―――グレイナルがあらわれた。
創世セニカ
グレイナルがキヴォトスに来ていたことを知り、何事かと思ったが、緊急事態とかじゃなくて普通に安心した元創造神。キヴォトスの生徒として普通に暮らしているが、やや血の気が多くなったのは、キヴォトスに良くも悪くも馴染んだ証拠なのだろうか。
回復役を称したが、その気になればベホマラーとかザオラルとか普通に使える。キヴォトスの世界観に会わないし反動もあるから使わないだけで。
天童アリス
グレイナルと神竜を勘違いしたゲーム脳少女。ゲームでは父を生き返らせたいという願いがあるのを知っているが、そもそも自分の生まれを詳しく知らない為、勝ったらグレイナルに聞きたいと思っている。
グレイナル
ドラクエⅨ世界でガナン帝国と闇竜バルボロスを滅ぼした英雄として祭り上げられている竜。Ⅸストーリーではご隠居ドラゴンとして登場し、復活したバルボロスと戦って、里を守るために散る。だがED後に生存が示唆され、宝の地図の洞窟で復活していたことが明らかになる。というのもあの世界の竜は基本的に不死身で、歳を取ったのもグランゼニスが自身の心の闇を切り捨てたことによって闇が消えたからだと言う。本格的に復活した若グレイナルは超おたけび、荒れ狂う稲妻、マダンテなどを使う超強敵。
拙作では若グレイナルの要素を取り入れつつ、神竜の要素も取り入れたやりこみ要素兼デモンストレーション的な感じで戦いになる。グレイナル本人が善良な性格であるが故に、先生や生徒達とは敵対しづらいから、こんな感じになった。ドラクエでいう、クリア後に出てきて戦った後に「まさか私を○○ターンで倒すとは」とか「私を倒すのに○○ターンもかかっているようではまだ最強の極致に至ったとは言えないな」的な事を言うヤツです。
ちなみに、キヴォトスよりも元の世界の方が好きだそう。理由は「竜の火酒のような上等な酒造技術が、見たところキヴォトスにはないから」とのこと。空の英雄さんさぁ…
欲しいオマケは?
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