もしもグランゼニスの神秘がいたら   作:伝説の超三毛猫

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宝の地図のボスはどいつもこいつもトラウマあるけど、個人的に印象に残っているのは黒竜丸とコイツ。


消えぬ闘争心

「それから手を離せ」

 

 元アリウス分校が存在していたアリウス自治区にて。

 錠前サオリは、鎧を着こんだ小さな人影に銃口を向けていた。

 

 サオリにとって、この場所にはいい思い出はない。むしろ辛く苦しく、忘れたいのに忘れられないことばかりが埋もれていた。

 それでもサオリが訪れたのには、訳があった。

 

 

「貴様がここを荒す元凶か」

 

 エデン条約の一件以降、アリウスの残党こそあれ治安が良くなりつつあるアリウス自治区で、異変が起こっていると耳にしたからだ。

 まず、治安の再悪化。そして……雲隠れしていた元アリウス分校の生徒が瀕死の重傷で発見されるという情報が次々と噂になって流れてきたのだ。

 忌々しい古巣の情報………サオリは元々調べるつもりは無かったが、もう一つの噂が、サオリをアリウスへと誘った。

 

 

 ―――アリウスに新たな支配者が現れたかもしれない。

 

 アリウスの支配者(ベアトリーチェ)の件で、悪しき大人に支配される苦しみは嫌と言う程味わっている身からすれば、あの地獄が繰り返されるのか、と思ってしまいいてもたってもいられなかったのだ。

 あれだけ「全ては無意味・虚しい」の教えを受け、身に染みているハズなのに滑稽な事だ、と思っていた。

 ……乱雑に建てられた小石の数々に佇むそいつを見るまでは。

 

 そいつは、サオリの半分ほどの身長しかないながら、圧倒的な強者のオーラを隠そうともしていなかった。

 そんな勝てるか怪しい人物にサオリが銃口を向けたのは、そいつが背を向けていたことと、かつての同胞の墓に勝手に触れようとしていたがゆえに身体が勝手に動いた結果である。

 

「おや。吾輩になんの用だろうか?」

 

「……仲間の墓から、離れろ」

 

 サオリはもう一度、絞り出すその声で警告した。

 その警告を受けた張本人は、銃口を突きつけられているにも関わらず、それを恐れる様子もない。それどころか、サオリの発言の意味をしっかりと理解し、伸ばしかけた手を引っ込めたのだ。

 

「そうか………これらは貴様の仲間の墓場だったのか……」

 

「………」

 

「元よりこの石を辱めるつもりはないとも。

 たとえ忘れられようとも…命尽きるまで戦った兵士はみな、我が同胞よ」

 

「知った風な口を」

 

()()()()()()()

 

 王冠を被り、黒い鎧を着こんだ彼は、粗雑な石で作られた――アリウスという土地柄、マトモに埋葬する事すら許されなかったのだろう――墓を懐かしむように一瞥して、サオリの方を見た。

 

「何故、彼ら彼女らが戦ったのか?

 ただ単に生き残る為か?

 己の命を捧げてまで守るもののためか?

 守るものとは?国か?誇りか?家族か?友か?

 理由は様々あれど、戦う理由に貴賤も善悪もないのだよ」

 

 よく分からない演説を聞きながら、サオリは目の前の存在から情報を集めようとしていた。

 まず、ヘイローがない。人型の生物に見えるが、頭にあるべきものがないのは何故か。

 更に先程から伝わってくる強者の足取り、佇まい、これは……?

 

「ここに眠る者たちは……どんな事情があったにせよ、己の命を懸けて、戦い抜いたのだろう。その点、吾輩はこやつらを尊敬するといってもいい」

 

「………そのような上等なものではない。私たちは―――」

 

「だからこそ―――()()()()()()()()()()

 

 違和感。

 眠っている仲間をよく言って貰っているハズなのに、奇妙な違和感が、この時サオリには生まれていた。

 それを気にかけることも無く、小さな鎧は話し続ける。

 

「どれだけ寝惚けた綺麗事をほざいても、傷ついても、命すら落としても!!

 心に戦いの炎ある限り……戦いが終わる事は決してない!!」

 

「な…なにを言って」

 

「平和を貪る連中とは即ち、堕落し生殺与奪の権限を放棄した家畜に過ぎん!!

 世界の真なる姿とは…即ち戦場! 戦場こそがッ! 人を人たらしめる所以なのだッ!!」

 

「…!」

 

 もしかしたら、コイツは良い大人かもしれない。

 ほんの少しでも、そう考えた自分が馬鹿だった。

 サオリは確信した。コイツは邪悪な生物だ。自分達を縛っていた支配者(おとな)と…大して違いはない!!

 

「私は」

 

「?」

 

「全て虚しいと思って生きてきた」

 

 気が付けば、そう口にしていた。

 全てが虚しいと言いながら、トリニティへの形なき憎悪に浸る日々。

 それが打ち砕かれた日。アズサから見た、「それでも」という希望。

 自分だけが諦めて、家族を巻き込んだのだという自責の念。手を差し伸べてくれた恩師。そして……ようやく手に入れた光。

 

「それでも私は、『それでも』と前を見ることが出来た。だから……」

 

 だが、しかし。……間違いない。

 コイツは、サオリがやっとの思いで手に入れたそんな光を奪う存在だ。

 こんなやつを野放しにしていたら、アリウスが地獄に戻る。否…アリウスだけの問題で済むかすら怪しい。全世界を巻き込んで、戦乱が起きるかもしれない。

 

「貴様を見過ごすことが出来なくなった」

 

「…残念だ。貴様なら、吾輩の心に灯る炎を理解するやもと思ったが」

 

 騎士が、指で作った輪を吹く。

 凄まじい速度で何かが駆け付けた。

 

「どうやら見込み違いだったようだ。

 想像の遥か下をゆく腰抜けだったようだな、貴様は」

 

 そいつは、大きく丸っこいゼリーのような生物だった。

 つぶらな瞳に赤く透き通った身体、口髭を生やし、甲冑のひさしのような部品を付け、まるで歴戦の老騎士だとでも主張するかのような謎の生物。

 黒い騎士は、その生物の上に軽々とした身のこなしで騎乗し、どこからともなく身の丈ほどある双剣を取り出した。

 

「ならばその命! 我が糧とし、世界を再び戦場に変える足掛かりにしてくれよう!!」

 

「Vanitas vanitatum et omnia vanitas……すべては虚しいのだ。貴様のいう戦いの炎とやらもな…!」

 

 そういうやいなや、弾丸と剣がぶつかり、戦いの火蓋が切られたのであった。

 

 

 ―――スライムジェネラルがあらわれた。

 

 





創世セニカ
当然ながら、アリウスの騒動時にも献身的に働いた。流石にトリニティの仲間たちを傷つけたことについては即座に許しの言葉は出ず、「これからの人生ですべて償ってください」「ひとまず償いができるようにすることが最優先です」と先送りにしたような一種の許しのような呆れのような言葉を発するのみだったという。「償いができるようにする」とは要するにベアおば倒して自由を与えること。サオリのように前線を張ったワケではないが、先生と協力してアリウスの件を知らせる為奔走した。ミカの弁護も行った。
以上の経緯から、セニカから分けられた10の魔物も、アリウスの事情をある程度知っている。

錠前サオリ
第二のベアおばが現れるかもしれないと思って古巣に戻ってきた。もしそうなった場合アツコ達が着け狙われても嫌だから。実際にはベアおばよりもタチが悪かったという事実に笑いさえ出てこないでいる。

スライムジェネラル
宝の地図のトラウマその2。痛恨の一撃で回復役が落とされたり、イオナズンで全体大ダメージを食らったり、スライムベホマズンによって回復されたりと、戦い慣れていないPTからしたら割と地獄のような相手。だがこれでも宝の地図のボスの中では下から数えた方が早い実力。
ドラクエバトルロード初登場の珍しいキャラ。『Ⅸ』では世界を戦場にする気マンマンのスライムにしては明確に「悪」とされた存在。ぷるぷる、ぼくわるいスライムだよ。
ナンバリングが進むごとに強くなり、『ウォーク』ではジェネラル・ブレイクなる超必殺技を手に入れている。俺の知っている将軍じゃない。
ちなみに拙作では、こいつはセニカの『心臓』から生まれたことにしている。


あとがき
なんとなく察したかと思いますが、本格的な戦闘描写は書きません。戦闘前か、戦闘後のセニカとの話か……
拙作のスライムジェネラルはジェネラル・ブレイクを覚えててほしい。で、サオリに大ダメージを与えるの。ピンチってところで他のスクワッドのメンバーも駆け付けてきて、援護を始めるんだよね。
でもイオナズンとかコンビネーションアタックとか、スライムベホマズンの援軍もあって押し切れずにジリ貧になっていくと思うんです。そこで2度目のジェネラル・ブレイク。
ミサキが倒れ、アツコもサオリも限界で、ヒヨリも追い詰められていく中で、先生が大人のカード片手に駆け付けるんです。そして、先生相手に「戦いの炎あるかぎり~」の下りを話そうとしたところで、きっと先生は将軍にこう言うんです。

「黙れ。うちの生徒に、要らない事を吹き込むな」ってね。

ブルアカとドラゴンクエスト、どこまで知ってる!

  • 勿論両方知ってる
  • ブルアカのみ知ってる
  • ドラゴンクエストのみ知ってる
  • どっちも知らん
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