現代無能冒険者、最強のダンジョンコアと命を共有して魔物使役スキルで迷宮災害侵攻に立ち向かうようです。   作:名無しのレイ

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第25話 ドワーフ族凍結解凍。

「むう……。ここは……?ワシらは凍結保存状態になったはず……。それが解除されたのか……?」

 

 情報凍結状態から凍結されて解放されたドワーフ族の人々は迷宮都市内部を不思議そうに見渡す。Dの情報凍結データベースには多種多様な種族や魔物などが凍結保存されており、まさに異世界からのノアの箱舟と言っても過言ではない。

 そのデータベースからドワーフ族を解凍させて自分たちの配下として働いてもらおうというのがDとシュオールの考えである。

 唐突な状態で意識が戻った彼らは、混乱状態になっていたがDたちから話を聞いて落ち着く事になった。彼らからしたら気が付いたら異世界に存在したのだから混乱するのも当然だ。だが、ここが彼らがテリトリーである地下都市に遥かに近い迷宮都市であり、現代社会の品々が欠片も存在しなかったのも幸いだったのだろう。落ち着いた彼らはDやシュオールから言葉を受ける。

 

「うむ、了解した。我らドワーフ族、ワシらはD殿とシュオール殿の指揮下に従う事を誓おう。……で、そこの者たちは?」

 

 そこでドワーフ族の長老はじろり、と瑞樹と姫奈を睨みつける。

 元々、ドワーフ族は排他的で頑固な種族だ。ただの人間であり、軽鎧などは身に着けてはいるが現代日本の服を着ている彼らは異常な存在に見えるのだろう。

 そのドワーフ族の視線に対して、Dは空気を全く読まない明るい口調できっぱりと言い切る。

 

「ん~と、この子たちは私の相棒と友達だよ!絶対に傷つけたりしないでね!!傷つけたりしたら……分かってるよね?」

 

 Dがにこり、とほほ笑んだだけで、ドワーフ族たちがレベル差による強烈な重圧がかけられて、あの強靭なドワーフたちが思わず膝をついて押しつぶされそうになりながらその威圧に対して彼らも冷や汗をかきながら何とか答える。

 

「わ、分かった!!分かったから!!そもそも契約があるからそちらに逆らえないだろうが……!!全く……!!」

 

 元々ちらりと不信感を覚えていただけでここまで過剰な反応をするとは思わなかったらしい。冷や汗をかきながらドワーフたちは立ち上がり、Dたちの指示に従って迷宮都市へと入っていく。

 

「ううむ……。確かに見た目はできておるが……。竈とかはどうするんじゃ?火を出せば当然煙が出る。多数の人数が煮炊きのための煙を出したなら地下都市はあっという間に呼吸ができなくなるぞ?」

 

「排水処理・下水処理はきちんとしなければ地下都市にあっという間に疫病が流行するぞ?後は生ごみなどの処理もせねばあっという間に害虫もわくしな……。まあ、その辺はワシらが住みやすいように改良していくか。D様にも意見を出して大規模改装しなければならないかもしれんからな……。」

 

 そんな風に言いながら、ドワーフ族たちは迷宮都市へと移動していく。

 彼らの職場になるであろう鉱石採掘階層は鉱毒などを恐れたDが瑞樹の攻略したダンジョン……実質シュオールが支配しているダンジョンに移動させたのだ。

 そして、お互いのダンジョンの移動手段として瞬時に移動できるトラポーター……ポータルを開発して迷宮都市階層から隣のダンジョンへ瞬時に移動できるようにしたのだ。ドワーフ族が外に出てノコノコと移動すればそれだけ人間社会に発見される可能性が高い。だが、ポータルを使用すればそんな心配はなく瞬時に移動できる。

 Dの支配領域でしか使えない代物ではあるが、人や物質を大量に瞬時に移動できるだけでも人智を超えていると言っても過言ではないだろう。

 ともあれ、迷宮都市にポータルで瞬時に移動してきたドワーフ族は、そこで作られた家々に入って住み心地などを確かめていく。

 

「しかし……。この家、竈がないんだがどうするか?いや竈ぐらいワシらで作れるが出る煙で迷宮都市の空気が汚染されるのはなぁ……。何かいい手段はないものか?」

 

 それに対して、瑞樹はピンと何か閃いてドワーフ族にスマホでとある物品を見せてみる。それは「クッキングヒーター」……つまり電気で料理を温める方法。そしてもう一つが「ラジエントヒーター」……つまりニクロム線自体を加熱させて料理を温める方法である。彼らから見たら板切れのような物に映し出される映像にドワーフ族は大いに驚いて瑞樹のスマホにわらわらと集まってくる。

 

「ほう……何やら変わった魔術品じゃな。こんな板切れで映像が見れるとは……!よほど高度な文明器具だと見える。ワシらにもぜひ見せてくれ。」

 

 ドワーフ族は閉鎖的な種族ではあるが、その本質は鍛冶屋などと言った技術者の集団である。そんな彼らにとって現代文明の塊であり、現代文明と繋がる品物であるスマホには興味津々で群がってくるが、とりあえず見せたいものはそこではない。

 

「ふむ……。なるほど。火を使わずに金属を温める事で鍋や食物を温める仕組みか……。「だが確かに閉鎖空間であるなら煙を出さずに直接食事を温めるというのは理想的じゃな。竈から火が出ずに食物を煮炊きできるというアイデアは中々良い。クッキングヒーターとはコイルに電流が流れると磁力線が発生し、鍋底を通過する際に「渦電流」となり、その電気抵抗によって鍋全体が発熱する……?

 つまり、電気を使ってその抵抗で調理をしようというのか……。いや、こちらの「ガスコンロ」のほうがいいのではないか?火を発生させる魔術器具を開発すれば簡単に再現できるじゃろ?」

 

「いやいや、それならこちらの「ラジエントヒーター」の方がいいじゃろ。電気抵抗を使うよりもシンプルで量産しやすい。要は何らかの合金に電気を通して加熱させればいいんじゃろ?それぐらいなら鉱物資源階層から得た金属でワシらが作り上げて、魔術で電気を通すなり直接加熱させればいい。それぐらいならできるじゃろ。」

 

こちらは、ニクロム線などの電気抵抗の小さくない導電体に、電流を通してジュール熱を発生させて高温にし、熱伝導や熱放射によって加熱するものであり、ドワーフ族でも再現が簡単な構造だといえる。

しかも食糧からある程度の煙は出たりするが、焚火のように多量の煙がでるわけではないため、迷宮都市の空気汚染を最低限にすることもできる。この世界の技術などをドワーフ族は興味深そうに調べていた。

 

 

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