現代無能冒険者、最強のダンジョンコアと命を共有して魔物使役スキルで迷宮災害侵攻に立ち向かうようです。   作:名無しのレイ

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第8話 D,お化粧をする。

とりあえずこんにちわ~。」

 

 

 

 一回家に帰ってきた姫奈と瑞樹は、こっそりと人払いの結界や幻覚結界を潜り抜けて再びDのダンジョンに帰ってきたのだ。

 

 D的にはずっとこのダンジョンに住んでいてほしいらしいが、まだこのダンジョンでは人間がずっと住むためには居住環境が良くないらしい、と気づいたDは急遽改造はしているが、それはすぐにできることではない。

 

 一旦家に帰って休息してきた彼らは、後日再びDの青木ヶ原樹海にまでやってきたのだ。

 

 

 

「とりあえずDちゃんそのままじゃダメだよ。私が服と下着を買ってきてあげたからこれを着なさい!そんな服もどきじゃダメ!!」

 

 

 

 姫奈はわざわざ自費を切ってD用の服やら下着を買ってきたらしい。Dがつけているのは服とも言えない布切れ程度の物でしかない。彼女からしてみたら「服は有機生命体の体温調節のために着るもの、私には必要ない」という意見なのだが、それでも人間が驚くと思ったのか服もどきを着る程度の判断はできるらしい。彼女自身は服はどうでもいいと考えているか、わざわざ彼女が自分のために服を買ってくれたということが高評価になったらしい。

 

 

 

「おお~!プリちゃんもいい子じゃん!!相棒ほどじゃないけど私の好感度が上がったよ!!人間っていうのは服とかいう布切れつけておかないと変に見られるんでしょ?郷に入れば郷に従えっていうし、まあ仕方ないか~。

 

 ……で?このブラ?とかスカート?とかってどういう風につけるの?」

 

 

 

「えぇ~。Dちゃんそこからなの~?よし分かった。私がDちゃんにきっちりファッションの楽しさを教えてあげるね!!私に任せておけばダンジョンコアファッションリーダー間違いなしだよ!イエーイ!!」

 

 

 

 まー確かに胸が揺れて邪魔にはならないよね、それだけでも進歩かぁ、とDは自分の服装を見たり、スカートを翻したりしながら自分の体を見渡す。

 

 だが、ダンジョンコアであり人間とはかけ離れた感性であるDは、そもそも「衣服を着る」という概念自体が極めて薄い。

 

 彼女からしたら衣服は「着る」のではなく、「布切れを体につける」という概念にしか見えないのである。

 

 彼女が初めて瑞樹と接触した際も「人間は布切れをつけておかないと不審者に見られる変な生き物らしい」というあやふやな知識を元に適当に作った物である。

 

 

 

「ほら!オタクくんはさっさと出ていく!女の子の着替えを見るとか悪趣味半端ないし!行っておくけど、覗きもアウト!!最近はそーいうのコンプラ的にアウトなんだからね!私の中のオタクくんの好感度ガタ下がりだよ!!」

 

 

 

 もちろん、そんなことなどするはずもない。今は事実上孤立無援にも等しい瑞樹にとって、彼女たちは数少ない全面的に信じられる味方である。

 

 そんな味方をこんな馬鹿らしい事で失うわけにはいかない。しばらく待っていると入ってもいいよ~という彼女たちの声が聞こえてくるので、瑞樹はそのまま部屋の中へと入っていく。

 

 そして、そこに目にしたのは、清楚なワンピースを身に着けて、髪も綺麗に整え、簡単な化粧などを行ったDの姿だった。

 

 

 

「うう~。この化粧とかいうの顔がベタベタするぅ~。おまけに爪もペタペタ塗られるし髪も梳かれるしぃ~。相棒。私変じゃないかなぁ~?」

 

 

 

 どうも落ち着かない様子の彼女ではあるが、それでもそこにいたのはまさに「清楚なお嬢様」を絵にかいたような清楚で綺麗な雰囲気を持つ美少女そのものだった。

 

 ワンピースにスカートを身に纏い、流れるような銀髪を綺麗なロングヘアーにした彼女は、不思議そうに首を傾げながら自分の体を見渡す。思わず見惚れてしまう瑞樹に対して、ふうと姫奈は満足そうな笑みを浮かべる。

 

 

 

「ふふん、やっぱりこういうのはオタクくん好きそうだよね~と思いながらやってみました。というかDちゃんきちんと下着つけないとダメ!今度私がきちんとした綺麗な服も下着もどんどん持ってきてあげるから!綺麗な顔とスタイルしてるんだからそれを生かさなきゃダメでしょ!!それとオタクくんはきちんとDちゃんを褒めてあげなくちゃ!!ほらさっさとする!!」

 

 

 

「え、ええと、その恰好とってもよく似合ってるし素敵だと思うよ。」

 

 

 

「む、むう……。そ、そんなもの?服なんて適当な布切れでもいいと思うんだけど……。相棒とプリちゃんが言うならまぁ仕方ないか……。こ、これは相棒のためなんだからね!私の好みじゃないんだからね!そこは勘違いしないでよね!!」

 

 

 

 可憐な美少女と化して瑞樹の誉め言葉に対して顔を赤くしたDは、ぺしぺしと自分の頬を叩く。今までやった事のない化粧などやった事のない彼女にとっては、化粧など顔がベタベタして変な感覚であまりやりたくない、と言った感じらしい。

 

 自分の姿を見て、良くわからない、と首を傾げながら言葉を放つ。

 

 

 

「ん~、何でこんな布切れつけて人間はわーきゃーと騒ぐのかよくわかんないなぁ……。まあ仕方ないかぁ。人間っていうのは見た目十割な生き物だしね。外見を整えた外部探索用擬態を作って、こんな布切れをつければ受け入れるとかやっぱり人間はチョロ雑魚生物だよね~。」

 

 

 

 ぽりぽりと自分の頭を掻いて独り言をいうDは、ふとある事に気づく。

 

 

 

「あ!そうだ!プリちゃんにお金渡してないじゃん!!貨幣?とかないから金でいいかな?はいドーン!!」

 

 

 

Dはそう言いながら、自分の身長ぐらいの大量の黄金をドン!と瞬間転移させてくる。それを見て、流石の姫奈も瑞樹も驚いた顔を見せる。ダンジョンマスターである彼女にとってこれぐらいの財宝など簡単に産み出せる程度でしかない。

 

 

 

「た、確かに冒険校を通せば換金はできるけどさぁ……あんまり多いと絶対不審者に見られるから……!それなりでいいよそれなりで!!」

 

 

 

えぇー。こんな金色の石なんていくら持っていってもいいのにーというDのふくれっ面を見つつ、姫奈は恐る恐る自分の取り分だけをもらうことにした。

 

 

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