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俺はナチュラルである。遺伝子操作を行う事のなかった人間―――要するに、純粋な人間だ。こんな言い方をすると、まるでコーディネイターが純粋な人間ではないみたいな感じで、良い顔する奴らは居ないだろうが、あくまでも説明なので許してほしい。
俺が生まれた世界…というか、歴史では、ナチュラルとコーディネイターの二種類の人類が存在していた。遺伝子操作を受けて誕生するのがコーディネイター、誰もが知る様なやり方で生まれるのがナチュラルだ。
コーディネイターは受精卵を摘出し遺伝子操作を加え、母親の子宮に戻し生育・誕生する。そんなもんで、高い運動能力と免疫・治癒力は持つわ、寿命は長いわ、学習能力も遥かに高いわ、さらには容姿までも親がカスタマイズを行えるため、総じて容姿が良いときたもんだ。
そんな訳で、コーディネイターっていうのはほぼ人造的に産み出される新人類だ。身も蓋もない言い方をすれば、現実世界で作り出されるアバターみたいなもんだと考えれば楽かもな。
俺達ナチュラルはそういうの持ってない訳で、そりゃもう、ねぇ? 同じ人間なのにこんなかけ離れた差が生まれたら過去の歴史の如く戦争が勃発だよ。
ナチュラルはコーディネイター憎し、コーディネイターはナチュラル憎しで、戦争に戦争に戦争。遂には核とかの戦略兵器をどっちも持ち出した始末だよ。決して少なくない犠牲が、馬鹿みたいに積み上げられたさ。
『血のバレンタイン』。プラントと呼ばれる宇宙にある国家に対して、地球の馬鹿野郎共が核を撃ち込みやがった事件だ。
これが、ナチュラルとコーディネイターの軋轢を確実なものにした。謂わば、戦争の引き金だな。そうとしか言い様がない。
この『血のバレンタイン』にブチ切れたプラントは、地球の核を禁じた。法律なんて生易しいもんじゃない、物理的に核という概念の使用を禁じたんだ。『ニュートロンジャマー』とか言う厄介なモンのお陰、で地球のエネルギー問題は深刻さを増すばかりになった。
これで火蓋は切られ、ナチュラルとコーディネイターの戦争は世界で勃発した。地球で戦争、宇宙で戦争。戦争のオンパレードだ。ナチュラルだからとかコーディネイターだからとかの差別意識の所為で民間人の被害すら思考の片隅だ。
醜い醜い戦争だよ。過去の大戦なんざ屁でもないくらいに、醜く惨たらしい戦争だ。子供すら兵士として使われる様な戦争だった訳だしな。
まぁ、そんな戦争に俺も参加していた訳なんだがな。ナチュラルの癖して、ザフト―――コーディネイター側に立ってたんだ。
ぶっちゃけた話、めっちゃビビってたよ。バレたらどうなるんだって考えてくっそビビってた。そもそもなんでナチュラルなのにザフト入れたのかが不思議で仕方なかったけど。
別に才能があったとか、ナチュラルだけど元がコーディネイター並の遺伝子だった、とかそういう話じゃないんだ。文字通り死に物狂いで頑張っただけなんだ。
それで終われば良かったんだけど、残念ながら『死に物狂いで頑張って赤服貰いましたやったー』で終われる程に甘くないし優しくないんだわ、こっちは。
だってコーディネイターしか居ない空間にナチュラル紛れ込んでんだぜ? 敵対存在が居るってなったら絶対に殺される事確定じゃんか。ビビらない方が無理な話だろ。
まぁ、
戦争な訳で、仮にも赤服っていうエースの証を貰った俺は
アスラン…ザフトのエースパイロットの一人で、プラントの最高評議会の議員たるパトリック・ザラの息子にして俺の一期下の後輩に当たる奴みたいに、GAT-Xシリーズの強奪には参加出来なかったけどな。
俺も赤服で、一応エースの身ではあったがアスランには負ける。彼奴は身体能力とかそこらも含めてめちゃくちゃ優秀だったし、それもあってザフトのトップエースであるクルーゼの部隊に居たんだし。
俺は普通にジンとかそこら辺に乗って戦ってましたね、はい。俺もガンダム乗りたかったぜチクショウめ。
まぁ、ガンダムには乗れなかったけどMS乗りとして前線に身を置いてたので、やっぱ嫌でも敵とは戦う訳で。俺もエースなんだぞ!って見栄張りたくて、右肩の部分に翼のエンブレムとか付けてたりしたけど、別に大した活躍はしてないのよね。
撃墜したのも十機程度でしかないし。というか、俺の相手は基本的にバケモンばかりで撃墜の仕様がない。
まず一人はエンデュミオンの鷹、ムウ・ラ・フラガ。コイツは普通にイカれてる。機体性能が大して良い訳じゃない上に、空間認識能力が高くなければ碌に扱う事も出来ないガンバレル搭載の宇宙用モビルアーマー『メビウスゼロ』で、平然とMSとやり合ってくる。
まずガンバレルを扱える時点で十分凄い。このガンバレル自体、空間認識能力―――空間内の物体の情報を素早く、かつ正確に認識する能力―――が異常な程に高くなければ扱えない代物だ。それを使いながら、MSと対等にやり合ってかるのは普通におかしい。どうなってんだよ。
だが、これよりも遥かに優れたバケモノも存在するんだよなぁ、これが。何なのよ連合軍。
さっきも言ったガンダム―――アスラン達が強奪しに行って、強奪する事が出来なかったガンダムの一機、GAT-X105 ストライクを駆るコーディネイター、キラ・ヤマトだ。
コイツが一番ヤバい。俺が戦ったパイロットの中でコイツが一番のバケモノだ、断言出来る。ぶっちゃけクルーゼより強いんじゃないかとも思った。まぁ、実際にクルーゼ倒したんだけどね、コイツ。
元々は連合軍が開発したナチュラル用の機体だ。OSがナチュラルのそれで、しかも未完成。それをコイツはたった数分で最適化してみせた。でも結果としてナチュラルが扱えるもんじゃなくなってしまったが、それも当然。だってコーディネイターなんだから。
そんなストライクはやっぱり強い。そんで速い。機体の性能とコーディネイターの能力頼りで、MSを使った戦闘なんて全く経験してこなかったであろう子供に、ザフトは痛い目ばかり見せられた。
俺も何度か殺され掛けた。自信無くすよね、マジで。
だってこっちは死に物狂いで頑張って、何とかザフトの中で過ごしてる中、戦闘経験全くない子供に殺され掛けてんだもん。
ちなみに俺、特技みたいなもので
そんな感じで、赤服でありながらめっちゃボロクソやられてた俺は、そんな奴らと戦いながら生き延びて、その後も戦争に巻き込まれたりして、また生き残って、そんでまた戦争に巻き込まれて、またまた生き残って、最期は病気で死んだのです。わりと若かったなぁ、うん。
機体を乗り換えて完全専用機になったキラ・ヤマトと戦ったり、専用機乗ってヤマトの味方になったアスランとも一戦交えたり、暴走し掛けた若い後輩を止めに入ったり、アコードとか言う奴らの戦いに巻き込まれたり……波乱万丈過ぎるだろ、俺の人生歴。
我ながら、凄まじい人生だったと思う。
まぁ、後輩みたいに、目の前で家族を失ったり、救えたかもしれない娘を目の前で殺されたり、自分の隊長を討ったり、友人を失ったりみたいな闇深過ぎる人生ではなかったけれど。
それでも、まぁ波乱ありきな人生だった。わりと偽り続けて生きたし、確実に地獄行きでだろう。そもそも人殺しなんだから、地獄に落ちるのは妥当と言えば妥当だが。
でもそう考えると、ヤマトとかアスランとかシンとかも地獄行きになるのか。それは嫌だな、彼奴等良い奴だったし。
ヤマトにはかなり殺され掛けたし、シンには結構生意気利かれたけど、二人共揃いも揃って普通に良い奴だったんだよなぁ……。
改めて考えても、あの世界は業が深過ぎる。なんだってあんな良い子達に戦争させるの? バカなんですか? バカなんでしょうね(自問自答)。ナチュラルとコーディネイターとかいう概念が出来るくらいだし。
でも、この二つが無かったらあの三人が戦争を経て色々な事に気付く事もなかったと考えると、やっぱあの世界はクソですね。滅びろC.E。
…さて、長くなった所で、そろそろ目の前の問題に直面すると致しましょうかね。
『あ、やっと終わった? 長話お疲れ〜』
うるせぇわ。寧ろ短く纏めた方だわ。色々言いたいこと抑え込んであれなんだわ。
『もっと能力上げた方が良いかもだね、仕事先の人も退屈しちゃうよ』
社会人ですらない奴に言われたくないよ。まぁ、俺ずっと軍人だったから一般的な社会についてあんま知らないんだけど。
…また話が逸れた。あー、俺は死にました。そこには何ら違いはない。だが、問題として―――死んだ筈の俺は、何故だか知らんが格納庫の中に居た。
そして、目の前にはすっごく見慣れた様でちょっと違う機体が待機していて、その機体から高いとも低いとも言えない様な、表現が出来ない声色の声が語り掛けてきている。
俺の目の前に佇むのは―――フリーダム。ZGMF-X20A ストライクフリーダムだ。スーパーコーディネイターであるヤマトの専用機であり、第二次オーブ防衛戦やメサイア攻防戦において一度も被弾する事なく戦い抜いた唯一の機体だ。
……その筈だ。
『いきなり自信失くすじゃん』
いや、だってちょっと見た目違うし。動力OFFにしてるから装甲色落ちてて分かりづらいけど、頭部のアンテナだったりバックパックだったり腰の武装とか色々違うぞ。
頭部はなんかストライクっぽいし、バックパックもストライクっぽいし、腰の武装に関してはレールガンがそもそも外れてる。
腹部の部分もストライクっぽいな。カリドゥス無くなってるし。
なんか、ストライクフリーダムをベースにストライクの要素を付け足して改造した様な感じの機体だ。
『実質正解だね。これは、ガンダムパーフェクトストライクフリーダム。ストライクフリーダムをベースに、パーフェクトストライクガンダムの要素を組み込んだカスタマイズ機だ』
え、何それ気持ち悪い。ヤマトがやったのかクラインさんがやったのか、アスハ代表がやったのかハインラインがやったのか知らんが普通に気持ち悪い。
ストライクフリーダムの時点でバカみたいに火力詰め合わせてたのに、それにパーフェクトストライクの火力装備詰め込んだの? バカだろ、殺す気満々じゃねぇか。
キラ・ヤマトの歴史の集大成というか、ある意味でフリーダムの最終形態じゃん。なんでそんなのあるんだよ。今度は何と戦うつもりだよ。
『いや、君がこれ駆るんだよ?』
バカじゃねぇの?
『酷くない? ねぇ酷くない? 仮にも君を転生させる立場なんだけど』
知るか、そんな事。言ってる事があまりにも理不尽過ぎてこんくらいの暴言出るわ。
言うたよね? ストライクフリーダムはヤマトの専用機だって。それにパーフェクトストライクの火力が詰め込まれてるって事は当然の事、機体本体の性能もアップしてるんだろ?
『その通り!』
尚の事バカだわ。ヤマトしか使えない様な機体を俺が駆れる訳ねぇだろうが。
俺ナチュラルなのよ? コーディネイターだったらまだしも、そもそものコーディネイターですらないのよ? 操れる訳ねぇじゃんか。
お前あれだぞ、初期OSのストライクでクルーゼが乗るプロヴィデンスに勝ってくださいって言ってる様なもんだぞ。
『わぁ無理ゲー』
だろ? お前が言ってるのはつまりそういう事なのよ?
『ところが残念、君の場合はそうもいかないんだよねー』
どういう事だよ。まさか特殊能力でも持ってましたかね、俺?
だったら当時の大戦頃に教えて欲しかったな。そしたら色々と楽出来たのに。
『まぁ教えないんだけどね。自分で気付きなよ』
死ねゴミカス。
『純粋な暴言だなぁ……。まぁまぁ、良いじゃないか。かつての敵機二機が組み合わさった機体を、それと戦った君が駆る。実にエモいシチュエーションだ』
何もエモくない。多分、いや確実に使い所を間違っている。
そもそも何故なんですかね? 俺そんな資格ないでしょ。
『単純に面白そうだからね』
くたばれ、本当にくたばれ。快不快で生きる指針決めてんじゃねぇよ。
『それは無理な話だ。まぁ、そういう訳だから、君にはこれに乗って頑張ってもらうよ。本格的に乗り始めるのは、そうだなぁ…君の世界で言う所のオーブにミサイルが沢山降ってくる頃くらいかな?』
は?
いきなり何言い出すのお前? とんでもない事を口走ったよお前?
『じゃ、いってらっしゃーい』
待て待て!!! 今のがどういう事か説明しろや! マジで洒落ならねぇぞオイ!?
『百聞は一見にしかずだぜ?』
一見するまでどんだけ掛かるんだよ! おわっ、なんか意識が薄れていく感じがする気持ち悪っ!
あ―――あァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
そうして、ナチュラルの元軍人は転生を果たす。
ナチュラル兵士(ナチュラル)
ナチュラルでありながらザフト軍に所属していたMS乗り。
元の遺伝子がコーディネイター並であるとか、スーパーナチュラルであるとかではなく、文字通り死に物狂いで努力を続けた結果として士官学校でトップクラスの成績を残して赤服の座に届いた男。
最期は病気で死んで、神と思わしき存在にパーフェクトストライクフリーダムを託されてISの世界に転生した。
空間認識能力は可もなく不可もなく。操縦の腕前は上の中くらい。
ガンダムパーフェクトストライクフリーダム
ストフリをベースに、パーフェクトストライクの要素を組み合わせたカスタマイズ機。ガンダムブレイカー バトローグに登場したガンプラ。
ビルドシリーズのガンプラの中で1位2位を争うくらい好きな機体。