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「うーん図形は死ねだよねくそったれ。おい、しのちゃんよ。お前ワークどこまで進んだ?」
「渾名で呼ぶな。あんなのやってないよ、やる必要もない」
「またそれかよ。どうせ、呆気なく終わるだろ? 中学生としてそれはやっとこうぜ」
「お前と違って担任からやらなくて良いって言われてるんだよ、バーカ」
「は? 何その理不尽極まりない扱いの差。キレそう」
中学生に上がりました、どうも元ザフト所属のナチュラルです。
現在、中学生の数学ワークにうんざりしている所です。ぶっちゃけた話、元赤服の俺氏、実を言うと座学はあんま得意じゃないのである。
赤服に関しては、完全に射撃とか格闘とか爆弾処理とか、そういう実際に体動かす奴とMS操縦に全振りしたお陰で成れた様なものだし。
座学もそりゃ真面目に取り組みはしたけど、成績としては6位ぐらい。座学はやっぱり中々キツかったよね、ナチュラルでも座学ぐらいなら余裕やろと思ってた俺の常識をぶち壊してきやがった。
そりゃそうだよ、だってザフトの士官学校にはコーディネイターだらけなんだから、基本的に『コーディネイターならこれくらい出来て当然だろJK』の難易度で設定されてるに決まってるよ。
座学すら地獄、流石はコーディネイターだらけの士官学校。もう行動における全てがコーディネイター基準だよ、くそったれが。
それはそれとして、篠ノ之の好待遇にはかなり腹が立つ。教師よ、お前はそれで良いのか? 良いんでしょうね、ふざけやがって。
何処に行っても篠ノ之だけ特別扱いですかそうですか、相変わらず臆病なこって。
あまりの腹立たしさに頭の中で、ピキッ―――音が走ってるよ。
「なに、その程度の問題も分かんないの?」
「分かるが? めっちゃ理解してるが? 図形なんか楽勝だが?」
「じゃあ問題。一辺が2cmの立方体が積み重ねられています。総体積を求めなさい」
「めっちゃ範囲外の問題出してくるじゃん。つかそれ中学生でやるやつじゃないよね? んでもって図面がない状態でどうしろと? なに、頭の中で積み重ねられた立方体を全て想像しろと?」
「なんだ、話分かるじゃん。ほら、早く解きなよ」
「バカかお前は。もしくは阿呆か。図面が必要な問題に図面無しでどう求めろってんだよ。公式覚えてても、公式使う為の積み重ねられた立方体の図面がないんじゃ無用の長物なんだわ」
図があってようやく成り立つ問題に図を用意してくれないとはこれ如何に。
俺の空間認識能力を甘く見るなよ、別に高くねぇんだぞ。低い訳でもないけど。可もなく不可もなくって感じのつまらん性能だ。
そんで、そんな性能であの世界を生きてきた俺よ。本当よくやったよ。
「はぁ……あー、やめやめ。頭がパンクするわ」
「ふっ、やっぱお前には無理だったね」
「うっせ。つかよ、なんでお前居んの?」
「はぁ?」
言い忘れたけど、別に今日は学校がある訳ではない。
既に夏休みに入り、基本的に皆家に籠るか外で遊ぶかしかやっていない中、俺は特にこれと言ってやる事もないので適当に登校してワークをやってるだけ。
だが、篠ノ之が居るのは訳が分からない。なんで居るのコイツ?
俺がそう質問すると、篠ノ之は顰めっ面でそっぽ向いた。
「……なにさ。居ちゃ悪い?」
「いや、そういう訳じゃねぇけど。単純に不思議だと思ってよ。お前の事だから、家で研究しっぱなしかと思ってたんだよ」
「してない訳じゃないよ。これは単なる暇潰し、お前をイジメたくて来てるだけ」
「腹黒いなー、お前。そんな理由で来てんのかよ?」
「そーだよ! そんだけ、そんだけなんだよっ! 勘違いすんなよ!」
「何を勘違いすんだよ……」
偶に様子がおかしくなるの何だろう。暑さで頭イカれたか?
まぁ、天才はだいたい変な奴が多いと言うし、此奴もそうなんだろうな。ウサ耳型の機械付けてるし。
ワークを閉じて、背筋を伸ばす。勉強おしまいです、もうやりたくないわ。ただでさえ暑さでどうにかなりそうなのに、そんな中で勉強なんざしてたら頭バグるわ。
「帰るか。コンビニ寄ってこうぜ」
「アイス」
「言うと思ったわ。いいぜ、奢ってやるよ。そういや、今日は織斑居ねぇの?」
「ちーちゃんはバイトだよ」
「はぁ? 彼奴バイトしてんの?」
「そーだよ。ちーちゃんは親居ないし、弟が居るんだ。だから頑張ってんの」
「弟居んのかよ、初めて知ったわ。そっか…じゃ織斑にも差し入れ買っとくか。スーパーカップ」
「は? いや、爽でしょ。何考えてんの?」
「んだよ、過激派かよ。別に爽もスーパーカップも大して変わんねぇだろ…」
「言ったな、お前。お前は禁句を口にしたぞ。座れ、私が一から全部説明してやる!」
「勘弁してくれ。お前天才のくせして説明下手くそだから」
「はぁぁぁぁぁぁ!?!?!?!?」
丸1時間はだらだらと説明を続けられ、文句を言われ続けました。
解せぬ。