ある授業で、チャペルにいて……
わたしは、ある生徒さんと、歴史上における教義解釈で口論してたんです。
その最中は気にする余裕もなかったんですが、終わってしばらくして、ず~んと後悔が襲ってきて……
言い回しとか悪かったな~って、頭を抱えてました。
すると……
「大丈夫ですか?」
桃色の長い髪をしたそのひとは、浦和ハナコと名乗ってくれました。
なんだか、全体的に綺麗なかんじがする、正統派美少女……って見た目の子。
すごい話しやすくて、だからそこから話してたんですけど。
しばらく話してて、相談する流れになったんです……
ちょうど、こんなかんじの言いだしだったかな。
「わたし、失敗ばかりで………どうすればいいのか、よくわからないんです」
「失敗、ですか?」
不思議そうな表情でした。
「つい、見せたくないところをみせちゃうんですよ………
たとえば、前にお友達と歩いているとき、流れ弾が友達のぬいぐるみを吹っ飛ばして、もう怒っちゃって、汚い言葉とかつい吐いて、やったやつに襲い掛かっちゃったんです」
「それの、なにが悪いんですか?」
同じく不思議そうな声です。
「だって、なんか……美少女っぽくないっていうか……」
「び……?」
「あ、ええと~……気にしない、っていうのは、だめですよね……」
やってしまった……
そう思って、わたしは急いで言葉を纏めました。
そして、手でちょっとジェスチャーをしながら、考えをいいました。
「美少女っていうか……わかりやすくいうなら。
自分のことを、パッと見てみていいひとだって思いたくって」
「……いいひと、ですか?」
「はい、わたし、たぶん、自信がないんですよね。
トリニティって、美少女!ってかんじのひとが多いですし、そういうひとをみてから自分をみると、なんだかダメだなって思うんです」
「……」
「もっと、ほかのひとと並べるくらいには、いいかんじになりたいなって!」
具体的にはヒフミちゃんですね。
彼女と並ぶってのは、まあ厳しいかもだけど……
「その点、浦和さんはすごいですよ。憧れちゃいます!そう……」
「あなたにみたいなひとになれたら、いいのになって……」
少しの沈黙。
なにもいわないことを不思議に思って、おれは彼女をみたんです。
「浦和さん?」
口は、笑みのように形作られていて。
けれど、それはなんだか……
「え、えと!あの……き、気にしないでください」
なんだかよくわからないまま、焦りました。
黙ったままの彼女に、
「そんな、大した悩みじゃないですから……」
っていったんですけど……
「……
………………
ぅ……」
「え?」
けれど彼女は、ことばを返さないまま、立ち上がって。
「……そろそろ、用事があるので」
「え、えと……」
「失礼しますね」
そして、こと、こと、と、足音だけが響いて……
おれは、その背中をただみているほか、なかったんです。