おれは美少女になりたい   作:ふぁっしょん

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5000字ほどの感動的な展開、それは棄却された。


EP17「物語的VIXI」

「そして、おれは言ったんです。

 結局、おれといっしょにいたくないのかって!」

 

「なるほど。」

 

「そしたらビーチェも……

 いえ、そういうわけでは……

 っていって!」

 

「なるほど。」

 

「そしたら先生が、じゃあ帰ろうか、って言って。

 それで帰って、この件は落着したわけです。」

 

「なるほど。

 ……なるほど。」

 

「……浦和さん、大丈夫ですか?

 なんだか、顔色が……」

 

「……いえ、XXさん。

 大丈夫ですよ……ええ、本当に。」

 

 

 そうはいうけれど、浦和さんの顔色はやはり悪い、気がする……

 おれはすごく不安になってきた……

 

 

「つ、疲れてたり……脱水症状とか!?

 喉乾いてます!?」

 

 そう聞くと、浦和さんはなにやら少し考えた様子になった。

 

「いいえ、大丈夫です……

 ただ、少し……ええ。

 少し、疲れたかもしれませんね。」

 

 そして、そういって、にこりと微笑んだ。

 

「そ、そうですか……?」

 

 

 そうおれがいうと、浦和さんはまた、すこし顔色が悪くなった。

 ちょっと表情も硬くなる。

 

「……すみません、私から話を聞いたのに。

 ただ、ちょっと……

 自己け……いえ、自己啓発してまして。」

 

「じ、自己啓発、ですか?」

 

「そうです。ですから、XXさんが気にするようなことは、ありませんよ。

 ……それで、少しお願いがあります。

 ちょっと、お金を出すので、飲み物をお願いします……甘いものを。」

 

「わかりました!」

 

 そういって小銭を取り出そうとしている彼女を後ろ背に、おれは駆けだした!

 

 

 自動販売機に向けて、急ぐ!

 急いだ!

 たくさん甘いやつ買った!

 おれの財布は軽くなったが、必要経費だ!

 

 

 そして駆け戻ると、浦和さんはものすごくつらそうな表情でこちらを見て……

 すぐにそれは笑顔に戻ったが、あきらかに体調不良……!

 

「う、浦和さん、保健室いきましょう!」

 

「いえ、そこまでは……

 きゃ!?」

 

 おれはお姫様だっこをして、駆けだした。

 

「すぐ運びますよ!

 大丈夫です、最近力強いので、ほとんど揺らしません!」

 

 

 浦和さんは、こちらをみて……

 なんだか疲れたような笑顔で、いった。

 

「……はあ。

 そうですか。

 では、お言葉に、甘えて。

 ……

 ああ。」

 

 

 

 おれは浦和さんを、揺らさないよう心掛けつつ、急いで保健室へ運んだ。

 救護騎士団のひとに一声かけて、ベッドに横たわらせる。

 

「飲み物おいてきたので、とってきますね。」

 

 そう小声でいって、おれは来た道を戻ることにする。

 静かに早歩き!

 

 

 少しして、人が少なくなったあたりで、ビーチェの声が脳内に響いた。

 

(XX、あなたは気づいていないのですか?)

(気づいてないって、なにが?)

(それは当然、浦和ハナコが……

 ふむ……

 そうですね、悩んでいることについてです。)

(悩んでるって……

 ええと、さっき話してたことから?)

 

 おれは思い返す。

 さきほど、浦和さんと仲良くなるためのコミュニケーション第n回目をしていたわけだが、その最中に出た話題といえば……

 まさか!

 

(浦和さん目線で、おれがこの間したことの話って……

 ああ、めちゃくちゃ主観的だった!

 ほとんど自慢だった!?)

(そういう……いえ、そうですね……そうかもしれませんね……)

(話の後半、おれ熱が入ってたな……もっと冷静に、客観的に話さないと。)

(そういう問題では……いえ、それもある、かもしれませんが……

 ふむ……)

(ど、どういうこと?)

(浦和ハナコも、あなたも、自省に走りすぎているというだけです。

 もっと外へ視線を向けるべきです、間違いなく。)

(そ、そうなんだ……)

 

 おれは置いてあった缶とかペットボトルをまとめるため、リュックサックから袋を取り出した。

 ひとつ、ふたつ……たくさん買いすぎたな。

 でも、どれが好みなのか、いまいちはっきりしないし……

 

(ビーチェ、浦和さんの好みの飲み物ってわかる?

 おれ、いまいちわからなくて……)

 

(……そもそも、味の好みは特にない気がします。

 彼女はシチュエーションにあった飲み物を好むでしょう。)

 

(玉虫色の答えすぎる……!

 じゃあ、どうすればよかったんだ……)

 

(……まあ、考えた末選んだ一本があったほうが大変だったでしょうから、すぐに手当たり次第に選んだのは、悪くない選択だったと思いますよ。)

 

(そ、そうなの?)

 

(ええ、きっと。)

 

 

 おれは飲み物がたくさん入った袋を抱えて、保健室についた。

 静かな声で「失礼しま~す……」といって、扉を開けた。

 なにやら救護騎士団のひとと話していたらしい、浦和さんはベッドのうえで、こちらをみて……

 にこり、と微笑んだ。

 やや硬くて、顔色は悪かったけど。

 

「これ、好きなの選んで飲んでくださいね。」

 

 おれが袋を差し出すと、浦和さんは少し視線を迷わせて、その中からリンゴジュースを取り出した。

 そして、伸ばされる手。

 おれが手をだすと、小銭が握らされた。

 ……おれはその手のひらを握って、ひっくり返した。

 

「……

 この手、なんですか?」

 

「浦和さんはおれの話に付き合って、それで体調崩しちゃったわけですから、払う必要はないです。

 余ったやつは置いておくので、いらない分は救護騎士団のひとにあげちゃってください。」

 

「……はあ。

 でしたら、せめてこのお金は受け取ってください。」

 

 そういって、浦和さんはおれの手のひらを上から掴んで、ひっくり返した。

 小銭は当然おれの手のひらに落ちる。

 

「ええと、ですから……」

(大人しく受け取るべきです。)

「うう……はい。」

 

 おれが小銭を受け取って、手を外すと、浦和さんはなんだかほっとしたような表情になった。

 ビーチェはやはり、こういうとき頼れる……!

 

「じゃ、じゃあ、先に帰りますね。

 お体に気をつけてくださいね。」

 

「ええ……もちろんです。」

 

 浦和さんは、やはり硬い笑顔でいった。

 保健室を出ると、ビーチェは軽くうねる。

 

(今日、あらためて……

 XX、あなたを見ていて思ったことがあります。)

(なに?)

(帰らなくてよかったです。)

(……なんか、皮肉っぽくない!?)

(本心です。)

(本心からの皮肉!?)

(……ふふ。)

 

 おれはまた、歩き出した。




 後書きはhttps://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=314648&uid=76548に貼りました。
 これどういう設計思想なの?などと感じたなら、こちらをば。
 なぜシリアスや残酷etcを徹底的にはぶいたかという理由は、だいたい纏めました。
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