ポケットモンスター ビヨンド・ダイブ   作:小村・衣須

11 / 125
Lv.9「ポケモン捕獲大作戦!」

──前回の描写に、重大な誤りと虚偽があった事を、伏してお詫び申し上げたい。

 

 

 前回、3匹のポケットを提示し、高揚冷めやらぬ少年少女の姿を見守っていたルスティカ博士。

 彼女は、さも威厳ある先達のような台詞で以て締め括っていたが、実情は大きく事なるものだった。

 

 何故なら──

 

 

 

「さぁ──どいつを選ぶぼっふぁ!?

「むしっきゅー!」

 

 

 

 カッコいい台詞を言い切る刹那、全力の垂直ジャンプをかましたウェボムの“たいあたり”が、彼女の顎をかち上げたからだ。

 

「「……は?」」

「ニャ?」

「ふにゃお?」

「ロト?」

「ろこぉ!?」

 

 ポカンと口を開ける一同と、驚きの声を上げるロコン(パートナー)

 彼らが見守る中、綺麗なアッパーカットを食らった博士は、グルっと後ろにひっくり返ってしまう。

 

 

「むしっし!」

 

 

 一方、現行犯のウェボムはと言えば、そのままぴょこぴょこ飛び跳ねて、研究室の壁や天井を這い回り出した。

 まるで、ようやくモンスターボールから出られたと言わんばかりのはしゃぎっぷりだ。

 

 

「りーりーん!」

 

 

 そしてそれを皮切りに、フルスリもまた勢いよく羽ばたき出して、研究室の中を自由自在に飛び回る。

 あんまりにもやたらめったらに飛ぶものだから、本棚にぶつかった拍子にいくつかの本がバサバサと落ちる。

 

 

「び、びぃ……っ!?」

 

 

 残ったデシエビと言えば、他2匹の暴れっぷりに怯えながら右往左往。

 びくびく縮こまったかと思えば、近くに本が落ちてきた事に驚くあまり、とうとう研究室を飛び出してしまった。

 

「びっ、びびぃ~~~~~!?」

「きゃっ!? な、何が起きて……」

「りりー!」

「ししきゅー!」

「あっ!? おい、待てって!」

 

 デシエビの遁走に呼応するかのようにして、フルスリやウェボムもまた、研究室の外へフライアウェイ。

 後には、再びぐちゃぐちゃになった研究室と、呆気に取られたままの一同、そして伸びたルスティカ博士だけが残る。

 

 ……旅立ちにあたって、博士からもらえる筈だった3匹のポケモンたち。

 彼らは綺麗さっぱり、この場からいなくなってしまった。

 

 

「……え、ええー……?」

 

 

 流石のソラも、これには困惑を隠せない。

 あまりの急展開に、「追いかける」という選択肢すら、“1、2のポカン”と忘れてしまっている。

 

 ようやっとの事で一番最初に我に返ったのは、自身の姉へと慌てて駆け寄るリクだった。

 その後ろを、マハルニャースとロコンが追っている。

 

 

「アネキ!? おい、アネキ! しっかりしろ!」

「にゃおはに!」

「こぉん!!」

「づっ……っせーな……。博士やってんだから、こんくらい都会での勉強中に嫌でも食らいまくったわ……」

 

 

 気を取り戻したらしく、むくりと起き上がるルスティカ博士。

 見たところ、重篤なダメージも特に無いようで、“たいあたり”のショックで取り零したタバコを拾い上げ、再び咥え始めている。

 

「あ、あの……大丈夫、ですか……?」

「大丈夫だっつってんだろ……。あいやしかし、師匠が送ってくるだけあって曲者ばっかだなぁ、オイ」

 

 すっかり散らかり尽くした部屋の中を見回し、それから研究室の入り口へ目を向ける。

 その刹那、小さく「やっぱこんくらい散らかってる方が落ち着くわ」と呟いていたのを、ニャースは聞き逃さなかった。

 

 

「あー……あたしの師匠な、都会行った時に初めて会って、色々勉強とか教えてもらったんだが……これが大層な“かわりもの”でよ」

「アネキが言うの?」

 

 

 どつかれた。

 

 

「今回も『“リンネの儀”に挑戦したいってガキがいるから、そいつの初めてのパートナーにできるようなポケモンくれ』って言ったら、あいつらを送ってきたんだよ」

「それは……その、えと」

「言わんでもいい。ありゃ最初のパートナーどころか、“ベテラントレーナー”でも手を焼きそうなくらいのじゃじゃ馬だわ。あんのクソ師匠め、分かっちゃいたけど、初心者(ニュービー)相手でも手心なしかよ……」

 

 うざったそうに頭を掻く姉へ向けて、リクが首を傾げる。

 

 

「手心……って、どういう事だ?」

「決まってんだろ。大方、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()って言いてぇんだろうよ。ったく、相変わらず無茶苦茶言いやがって……。いっつも人を振り回しやがる」

「アネキみたいに?」

 

 

 どつかれた。(2分ぶり2回目)

 

 

「ともかく……まずは逃げ出した連中を連れ戻さなきゃな。何するにしても、そっからだ。この町は他所から来たポケモンも多いから、そうそう騒ぎにゃならんと思うが……」

「……」

 

 

 じっと。

 フルスリが、ウェボムが、デシエビが出ていったドアを、じーっと見つめる。

 

 脳裏によぎるのは、かつて父が語っていたという言葉。

 彼の信念であるとともに、動画を通して父と娘を繋ぐ記憶。

 

 

 

『ポケモンは、嘘をつかない。彼らはとても正直で、善意も悪意も、正しく表現する事ができるんだ』

 

 

 

 彼らは。溌剌にはしゃぎ回り、窮屈だと言わんばかりに出ていった彼らは。

 何を思い、どんな感情を主張していたのだろう?

 

 

「待ってろ。あたしとロコン、そんで愚弟とニャースとであいつら全員捕まえてくる。流石に、あんなじゃじゃ馬どもを任すのは荷が重いだろうし、パートナーポケモンは追って別のを……」

「わたし、やります」

 

 

 その一言に、周りの視線が集中する。

 主の言葉の意味をいち早く理解して、ニャースが目を見開きながらに問いを返す。

 

「ひいさま、まさか……」

「うん」

 

 強い頷きだった。

 

 理由なんて、今更語るまでもない。

 1歩を踏み出すと、そう決めたのだから。

 

 

 

「わたしの手持ち(パートナー)は、あの子たちの中から──わたしの手で捕まえて、選びます」

 

 

 

 

 

 

「……いたぞ、あそこだ」

 

 

 ところ変わってウツシタウンのとある一角。

 建物の陰に隠れて身を潜めた一行は、目的のポケモン、その1匹目を発見した。

 

 

「りー……?」

「おっ? おまえさん、見ない顔だなぁ。新顔かい? ほれ、食ってけ食ってけ」

「りり~♪」

 

 

 ちっちゃな翼をパタパタとはためかせて飛ぶのは、こうもりポケモンのフルスリ。

 大きな鼻を震わせ、甘い匂いの漂うきのみ屋に近付いたところを、店主から“モモンのみ”をもらい、嬉しそうに食べ始めていた。

 

「フルスリって、きのみを食べるんですね。こうもりポケモンなのに」

「多分ズバット辺りを想像してるんだろうが、フルスリ系の種は基本的に果実食だぞ。目が弱ぇ代わりに、鼻で食い物を探して飛ぶんだ」

「しかし人に慣れてんなー。アネキの師匠んとこで暮らしてたからかな?」

「人を()()()()、の間違いかもしれんけどな」

 

 相手に気付かれないよう、物陰でひそひそと“ないしょばなし”をする一同。

 視線の先のフルスリはと言えば、自分の顔と同じくらいの“モモンのみ”を大事そうに抱え、ムシャムシャと齧りついている。

 

 

「それにしても、随分とおおらかなんですね。初めて見るポケモンが近付いてきても、躊躇いなく売り物のきのみをあげるなんて」

「昔っからそういうとこなんだよ、この町は。もしこの町が排他的なら、はぐれポケモンどもの駆け込み寺なんかにはならなかったろうし、とっくの昔に焼かれて終わってたろうさ」

 

 

 成る程と、納得を得た。

 

 “死出の森”という危険な場所に隣接する町だからこそ、他所者を積極的に受け入れ、保護する。

 そうする事で「何かあれば、ここに逃げ込めば受け入れてもらえるぞ」と、野生ポケモンたちも本能的に理解しているのだ。

 

 それもまた、ひとつの知恵。

 そう納得していた矢先の事である。

 

 

「ケー!」

「りっ? りりー!」

 

 

 美味しそうにきのみを齧っていたフルスリの下へ、1匹のポケモンが近寄ってきた。

 

 それは、ソラが見た事の無い新種のポケモンだった。

 大きさはフルスリと同じくらいだろうか。見た目はストライクを小さくデフォルメしたような感じだが、羽根はなく、1対のカマを前脚として歩いているらしい。

 

「あのポケモンは……」

「ありゃ『ピッケリ』、かまきりポケモンだ。見ての通りのむしタイプで、気性はそこそこってトコだな」

「おいアレ、フルスリに絡みに来てんじゃねぇか……? きのみを奪おうとしてんじゃ……」

 

 勇み足から飛び出そうとしたリクをルスティカ博士が止め、まぁもう少し見てみようという事になる。

 一応、すぐにでも介入できるよう、ロコンもマハルニャースも態勢は整っている。

 

 

「り? りり、りー?」

「ケリ! ケリリリ、ケリー!」

「りー……?」

 

 

 やはり予想通り、フルスリが食べているきのみの横取りに来たらしい。

 前脚のカマを振りかざし、力いっぱいに威嚇している。

 

 如何にポケモンたちの集まる町とは言えど、この程度の小競り合いはよくある事。

 また、周りに被害が出ない程度なら静観するのが普通の事だ。

 

 それを知っているのか、ピッケリは目一杯の“こわいかお”でフルスリを脅かしにかかっている。

 振り上げられたカマは小さなものだが、それでもこのレベル帯では十分な脅威である。

 

 

「ん、ちょっと剣呑になってきた。割り込むぞ、用意しろ」

「えっ、いいのか? アネキ」

「その辺の野良の小競り合いならともかく、片方はパートナー候補に取り寄せたポケモンだからな。変なトラブルを起こされても──?」

 

 

 そうして介入しようとした矢先、事態は動く。

 

「ケリリリッ、ケ──」

「すりっ、りりーりー!!」

 

 

《フルスリの たいあたり!》

 

 

 カマを振るって襲いかからんとした野生のピッケリ。

 その懐へ飛び込み、フルスリ渾身のぶつかり攻撃がクリーンヒットした。

 

「あっ」

「へっ?」

「うおっ」

 

 予想だにしなかった一撃をまともに喰らい、宙を舞うかまきりポケモン。

 それを為したこうもりポケモンは、ちっちゃな翼で小さく飛び跳ね、キャイキャイと喜んでいる。

 

 

「りりー♪ りりっ、りーりー♪」

「ケリッ……ケシャーッ!」

 

 

 見事に転がされながらも態勢を立て直し、牙を大きく剥いて叫ぶ姿は、明らかに怒っている。

 対するフルスリの側と言えば、ぴょんこぴょんこと跳ねていて、見るからに楽しそう。

 

 接敵とともに振り下ろされたカマを避け、跳躍した勢いでちっちゃな足を振り、相手を蹴り返す。

 もんどり打ったところへ、更に足のツメによる猛攻が加わった。

 

 

「あーあーあー、本来くさタイプにとって不利な筈のむしタイプ相手に、あーんな圧倒しちまって……」

「あれ、大丈夫なのか……? あんなちっさい見た目して、随分と凶暴で気性のキツい奴っぽいな……」

「……ううん」

 

 

 微かな呟きが、リクの推測を否定する。

 声の主を辿ってみれば、それは物陰から2匹の諍いを静かに観察する、ソラの呟いたものだった。

 

「多分……絡まれてる事を理解してないんだと思う。“あばれるのがすき”なの自体は素なんだろうけど……ピッケリから喧嘩を売られて、きのみを取られようとしてるって、分かってないんだ」

「それは……そうか、視力が弱いからか。ピッケリの威嚇行為を、正確に視認できていないってワケだ」

「うん。だからあの子は、ピッケリが自分を脅かしに来てるんじゃなくて、()()()()()()()()んだと思ってる。だから、喧嘩してるつもりも、攻撃してるつもりも無いんだ」

 

 淡々と、そう話す。

 表で行われている諍いからは、決して目を離す事無く。

 

 顔色ひとつ変えず、物陰からじっと動く事なく、ただ観察に徹し、状況を正確に汲み取り、推察する。

 大した観察力に分析力だと、ルスティカ博士は内心で舌を巻いた。

 

 

「“むじゃき”な性格なのかな……。まだ分別も無さそうだから、早く捕まえた方がいいのは確かね」

「その考察の答え合わせをしてぇところだが……確かに、そろそろ状況が動くな。見ろ」

 

 

 博士が指し示す先では、とうとう涙目になったピッケリが尻尾を巻いて逃げていく姿があった。

 

 

「ケ、ケリ~~~~~!」

「りっ? りりー……?」

 

 

 結局、相手が自分のきのみを盗ろうとしていた事すら理解しないまま、フルスリは不思議そうに首を傾げている。

 とはいえ、ここまでの()()()()()で多少は疲労したようで、ふぅと息を零し、喫飯を再開しようとしていた。

 

「よし……捕まえんなら今だ。あいつのモンスターボールは持ってんな?」

「はい。全員分のボールは事前にもらって、この通り」

「オーケー。あたしの方で、あいつら3匹とボールとの紐付けはリセットしてある。ボールを投げて、あいつを改めて捕まえ直すんだ。行け!」

「はい!」

 

 背中をバシンと叩き押され、弾かれるようにして物陰から飛び出す。

 その勢いと気配に、きのみを食べる手を止め、フルスリがソラの方を見た。

 

 

「り?」

「行くわよ……! モンスターボールっ!」

 

 

 手に持ったモンスターボールを強く、強く握り締め。

 そのまま、目の前のポケモンに向かって、思いっ切り投げ放つ。

 

 くるくると宙を舞う赤と白のボールが、フルスリ目がけて真っ直ぐに──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《しかし なにもおこらない》

 

 

 

「……り?」

「……え?」

 

 

──向かうなんて事はなく、全然まったく見当違いの場所に落ちた。

 

 

 目の前で起きた事実を上手く認識できず、“こんらん”する少女。

 その背後で、物陰から見守っていた者たちが、一斉にずっこける音がした。

 

「なっ……!? どうしちまったんだよ!? ソラ!」

「そうか、考えれば当たり前の事でニャした……! ひいさまは生まれてこの方、手持ちポケモンを保有しておらず、バトルなんて1度もした事がありニャせん……!」

 

 ぺしん、とニャースが自分で自分の額を叩く。

 そう。これは、考えればすぐにでも分かるような、単純な事実だった。

 

 

 

「──ひいさまは、実技に関してはまったくの素人で御座いニャス!」

 

 

 

 額から頬へ。

 一筋の汗が伝ったのは、果たして誰だったか。

 

 1つ、確かな事実を上げるとするならば。

 

 

「あ、ぁ……」

 

 

 見るからに顔を青褪めさせて、立ち尽くしている。

 それが誰の事かと問われれば、間違いなくソラである、という事だけだ。

 

 そして、アクシデントは連鎖する。

 

 

「りー……? ……! りりー!」

 

 

 たった今のボール投擲がなんだったのか、正確には理解できていないにせよ。

 “むじゃき”で“あばれるのがすき”なフルスリは、ソラの事を「次の遊び相手」と認識した。

 

 ちっちゃな翼がはためいて、その小柄な体躯が宙に浮く。

 ()()()()()()()()へのキラキラとした目線が、真っ直ぐ真正面から、少女の目に飛び込んでくる。

 

 

「ひ……!?」

 

 

 昨日、森で遭遇したガチゴラスよりはずっと小さく、ずっと弱く、ずっと凶暴でない存在。

 けれども、そんな存在がいきなりこちらへ突っ込んできては、バトル素人の少女に咄嗟の対処ができないのも、また事実。

 

「ち……あたしも油断し過ぎてたか! ロコン、“でんこうせっか”!」

「こぉんぬ!」

 

 

《ロコンの でんこうせっか!》

 

 

 ルスティカ博士の指示に従って、ソラの頭上を飛び越え現れるロコン。

 どんなに素早いポケモン相手でも先手を取れるわざは、果たしてフルスリに対しても的確に作用した。

 

「りりっす!?」

「よし、今だ!」

 

 体重の軽さが故に、高速の一撃を食らって吹っ飛ぶ矮躯。

 博士はその隙をついて駆け出し、先ほど投擲に失敗して転がったボールを回収するや否や、すぐさま投げ放った。

 

 流石に年の功か、今度はきちんと捕獲対象へ命中し、その小さな体がボールの中へ吸い込まれていく。

 そうしてその場に落ちたモンスターボールは、1度震え、2度震え、3度震えて──

 

 

 

《やったー! フルスリを つかまえたぞ!》

 

 

 

 パチン、と音が鳴り、そのまま静止したボールを拾い上げる。

 それを見届けた直後、ソラは全身の力が抜けて、地べたに腰を落としてしまった。

 

 

「悪いな。あのままだと、あんたが危ないと判断して、咄嗟に投げちまった」

「い、え……。……ごめん、なさい」

「あ? 何がだ。誰だって最初は素人だろうがよ。あたしもそうだったし、そこの愚弟もそうだ」

 

 

 フルスリの入ったボールを白衣のポケットに突っ込んで、乱暴な歩みで以て近付く。

 そうした後、すれ違う間際だけ背を屈めて高さを合わせ、少女の肩をぶっきらぼうに叩いてやる。

 

「次行くぞ、次。こいつは預かっとく。あんたらの力量以前に、こいつの気質が向いてねぇ。あたしがしっかり躾けとくわ」

 

 そうして立ち去っていく背中を、振り返る事すらできず、茫然自失の少女。

 そこへリクが歩み寄り、偏屈な姉の背中に向かって溜め息を飛ばした。

 

 

「……アネキ、あれで慰めてるつもりなんだよ。そうは見えねーけどさ、本当は自分のミスでポケモンたちを逃がしちまったんだって、責任も感じてんだ」

「……うん。ちゃんと、分かってる」

「それに、アネキの言う通り、おいらだって最初は酷かったんだぜ? なんせニャースを捕まえようとボール投げたらさ、投げ損ねちまってよ。おいらの後ろに飛んでったボールが、たまたまそこにいたルガルガンの頭に当たって、怒らせちゃったんだ」

「ごめん、それは分かんない……」

「だよな。おいらもそう思う」

 

 

 頭の後ろで手を組んで、ケラケラ笑う。

 笑い方まで一緒なんだから、まさしく姉弟である。

 

「……」

「ひいさま……」

 

 そっと傍まで来たニャースを他所に、自分の手を見やる。

 タコなんてロクに無い、ずっと引き籠もり続けてきたが故の、綺麗な手だ。

 

 

 

「──ッ!!」

 

 

 

 その両手で、ソラは自分の両頬をゼンリョクで引っ叩いた。

 ギョッとする一同など預かり知らず、頬をジンジンと焼く真っ赤な痛みに涙を堪え、立ち上がる。

 

「……よし。次、行こう」

「お、おう……」

「ニャス……」

 

 困惑する男衆。

 そんな訝しみの視線なんかには構う事なく、ズカズカと博士を追って歩き出す。

 

 その時こそ唖然としていたリクだったが、しかし頭の後ろで腕を組み、楽しそうに笑った。

 

 

(なんだ。結構つえーじゃん、あんた)

 

 




マハル図鑑 No.029
【ピッケリ】
ぶんるい:かまきりポケモン
 タイプ:むし
とくせい:いかく/ふくがん(あまのじゃく)
ビヨンド版
 腕の カマが ピッケルの ように なっている。岩肌 程度は 楽に 登る 事が できる。
ダイブ版
 垂直の 壁でも 登って しまう。崖に 生えている きのみや むしポケモンを 食べる。



この後【15:00】より1回目の追加投稿を行います。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。