ポケモンなんて有名どころの二次創作はレッドオーシャンもいいとこですが、書きてぇから書くんだ。
憧れは止められねぇし人の夢は終わらねぇし進めば2つなんだ。
「ポケットモンスターのせかいへようこそ!」
……
…………
………………
……………………
よっ、と……これ、ちゃんと映ってる? 撮れてるよね? おーい?
……ああ、よかった。撮れてるみたいだね。いやぁ、最近のスマホはよく分かんなくてさぁ。
ちょっと奮発して、ロトムのサポート付きのやつにしてよかったよ。じゃなかったら、こんなコトできないしねぇ……。
……ん? って、そうじゃん! これもう撮影始まってるんだった!
早く用意しないと……えーっと、資料はこれで、スライドと指示棒とそれと……よし! 準備オッケー!
ロトム、撮影頼んだよ!
「ケテー!」
うん、いい返事。高いの買った甲斐があったよ。
っとと、そんな事言ってる場合じゃないね。えー、ゴホン……。
──はじめまして! ポケット モンスターの せかいへ ようこそ!
ぼくの名前はクレオメ。みんなからは「ポケモン博士」と呼ばれているよ。
……まぁ、まだまだ勉強中の新米なんだけどね。こないだもナナカマド博士から論文のダメ出しがさぁ……。
とと、いけない。それはともかく。
この世界には、ポケットモンスター……つまり「ポケモン」と呼ばれる、不思議な生き物が色んなところに住んでるんだ。
ぼくたち人間は、そんなポケモンたちと一緒に遊んだり、協力して仕事をしたり、そして──
「ルルー!」
うわっ!? ……っと、ごめんねキルリア。今、大事な動画を撮ってるからカメラの前から退いてもらえるかい?
また後で遊んであげるから。ねっ?
「ルゥ……」
ごめんね、ありがとう。
で、えっと……どこまで話したっけな……。あっ、そうだ! ポケモン勝負!
ぼくたちはポケモンたちと一緒に暮らすだけじゃなくて、鍛えたポケモン同士を戦わせて、その戦いの中で、お互いに絆を育んだりしているんだね。
そして、ポケモンの育成と対戦を生業とする人たちをポケモントレーナーと呼びます。
……って、この動画を見てるみんなはもう知ってるよね。
でも、ポケモンの謎は今なお完全には分かっていないんだ。
彼らはどこから来て、どこへ行くのか? 進化とは何か? 彼らの可能性は?
そして、ぼくたち人間は、
その秘密を少しでも知る事ができるよう、ぼくはポケモンの研究をしているんだ。
中でも、ぼくが特に研究を進めているのは……この世界の地下について。
ぼくたち人間は、ポケモンの事だけじゃなくて、この世界の事すら知らない。
“ハナダのどうくつ”に始まり、トクサネシティの底にある“かいていどうくつ”、閉ざされた“おくりのいずみ”に、“ジャイアントホール”、最近では“エリアゼロ”もそうだね。
未だ人知の及ばぬ秘境の果てにも、ポケモンは住んでいる。
彼らはどこからやってきて、何故
ぼくたちが今いる場所──その、更に地下。普通の手段ではとても行けないような、地底深くの、そのまた奥底。
そこに、誰も知らないポケモンたちの楽園があるのではないか、ってね。
……アッ、今画面の向こうで笑ったでしょ!? 分かってるんだよ。
なんせぼくは、実際に学会の皆からもそうやって笑われたからね!
けど、何も根拠が無いわけじゃない。ぼくの専攻は地質学に古生物学だからね。
色んな地方を飛んで回って、発掘作業をして、各地の伝承を調べて……。
そうしている内に、色んな地方の色んな伝承の中に、微かな共通点と、類似性がある事に気付いたんだ。
この世と分け隔てられたあの世、
大昔の人々は、地面の下にあの世か、地獄か、はたまた悪魔の住処を見出していた。
伝承やおとぎ話には、必ず
どんなに荒唐無稽な話でも、無から生まれたわけじゃない。だから、今ぼくが掴んでいる手がかりも、決してガラクタじゃないと信じたい。
今これを見ているきみは、男の子かな? それとも、女の子かな? 名前はなんて言うんだろう?
その答えがどうであれ、ぼくは、きみだけの物語の始まりが、この動画である事を祈っているよ。
様々なポケモン、多くの人々、たくさんの景色。色んなものと出会って、いつかは、ぼくの夢見る世界を見つけてくれると嬉しいな。
……じゃ、そろそろいいかな。
夢と冒険に満ちたポケットモンスターの世界へ、きみも今から飛び込むんだ。
そして──
──未だ誰も知らない世界の果て、“マハルの地”を目指す旅へ、レッツゴー!