ポケットモンスター ビヨンド・ダイブ   作:小村・衣須

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Lv.75「襲撃者の正体」

「事が起きたのは、今日の明け方より前……具体的な時間までは覚えちゃいねぇが、まぁ3時とかそんくらいだった筈だ」

 

 

 下手な凶暴ポケモンよりもおっかない疑惑のあるピッピを、なんとか宥めすかして説得して、かれこれ数分ほど。

 ようやく1本だけ()む事を許可されたルスティカ博士は、デルビルに火をつけてもらったタバコを意気揚々と咥え出す。

 

 薬の刺激臭が充満する部屋の中に、更にタバコのむせっ返るような煙が入り混じり、なんとも言い難い強烈な空気が形成される。

 半日ぶりのタバコを楽しんだ事で精神が安定したのか、その場の誰もが見守る中、博士は徐ろに語り始めた。

 

 ……なお、普段はロコンに火をつけてもらっている為、加減の分からないデルビルの“ひのこ”によって、タバコは半分ほどが焼け焦げてしまっている。

 それでも嬉々として()んでいる辺り、彼女にとっては耐え難い半日間だったのだろう。

 

 

「あたしはこれでも研究者だからよ。今日もそんくれーの時間まで起きてて、なんやかんやとやってたんだよ。特に最近は、どっからかポケモンがガンガン送られてくるんで、研究が捗って仕方ねーんだ」

「えっと……ごめんなさい?」

「別に責めちゃいねーさ。サンプルも働き手も、多いに越したこたぁ()ぇんだからな。むしろ、これまでが滞ってたくらいだ。だからよ、あんたには感謝してんだ。……それをこんな形で返しちまったのは、申し訳なく思ってるけどな」

 

 

 ふぅー、とタバコの煙を吐き出す。

 

 奪われたポケモンたちの多くは、ソラが旅の中で捕獲し、研究の為にと送ってきた──つまり、ソラから預かった大事なポケモンたちなのだ。

 家族であるロコンを奪われたのは勿論の事、彼らを守り切れなかった博士の内心は、相当荒れ狂っている筈だろう。

 

 或いは、ピッピを説得するよう頼んでまでタバコを求めていたのは、そんな心中を隠し、また誤魔化す為なのかもしれない。

 

 

「……いえ、気にしないでください。それで……それから、何があったんですか?」

「応。でまぁ、いつも通りサンプルやらデータやらの整理とかなんだをやってた時に、いきなり研究所の入り口がぶち破られてよ。それからはドタバタしてたんで、正確には覚えちゃいねーが……少なくとも、2、3人はいたな。全員知らねぇ顔だ」

「その人たちが、ポケモンちゃんたちを奪ってったんだね?」

『我らの大義が為、貴様のポケモンは利用させてもらう!』……なんて抜かしてたな。あたしもロコンやデルビルで応戦しちゃいたが、相手のポケモンたちに囲まれて追い込まれて……後はまぁ、見ての通りさ。あたしも研究所も、ポケモンたちもな」

 

 

 すっかり火が進み、1/3ほどにまで短くなったタバコを、未練がましく咥えながらに天井を見る。

 気丈に振る舞ってはいるが、それが見てくれだけの強がりである事を、この場の誰もが理解していた。

 

 そんな中でもシェラは、ルスティカ博士の対面に座り、詳しく話を聞こうとする姿勢を崩してはいない。

 感傷に浸っている時間は無いと言いたげなその態度は、ジムリーダーとしての責務から来るものだ。

 

「襲撃者は、ルスティカちゃんが覚えてる限りでも3人。つまり、その人たちの連れてるポケモンちゃんもそのくらいの数ってワケだ。ルスティカちゃんのポケモンちゃんたちでも勝てなかったってなると、相当強いのかな?」

 

 そう呟いた彼女の分析に、首を傾げたのはソラだった。

 

 

「……? ルスティカ博士ってお強いんですか? シェラさんの話だと、博士が“リンネの儀”に挑戦していた当時は、その……」

「あー、いいっていいって。あたしがバトル得意じゃないってか下手糞なのは、とっくの昔に折り合いついてっから。ただまぁ、バトルは下手だが、育てんのは人並み程度にゃできるって自負はあるんでな。ロコンもデルビルも他の奴も、()()()()にゃ強かったんだよ」

「ウソ言っちゃって☆ ルスティカちゃん、ポケモンちゃん育てるのだけはスッゴク上手かったじゃん。アラビカちゃんとこで勉強してた時も、そこで保護されてたポケモンちゃんたち、ルスティカちゃんが出てく頃にはみーんな強くなってたよね」

「いつの話してんだよ……。あいつら皆、筋がよかっただけの話だ。“()()()”も“()()()”も上々だもんで、後は“()()()”を伸ばすだけで楽だったしな」

「どりょ……なんて?」

 

 

 聞き慣れない言葉に、リクが訝しげな表情を浮かべる。

 ソラと顔を見合わせてみれば、彼女もまたピンと来ていないようだった。

 

 話は若干脱線するが、ここまでの流れで場の雰囲気が淀んでいた事もまた確か。

 そう判断して、ルスティカ博士はタバコの煙を口の中で転がしつつ、少しだけ少年少女に教授する事とした。

 

 

「知らなくて当然だろーな。要はポケモンの能力の内、『種族ごとに存在する能力傾向』『個体ごとに存在する能力傾向』『後天的に身につけられる能力傾向』を、あたしが勝手にそう呼んでんだ。それぞれ“種族”、“個体”、“努力”によって得られる数値……って具合にな」

「そんなのがあるんですか? いえ、あって当然のものだとは思うんですが……それって、データとして数値化できるものなんですか?」

「できるも何も、あたしは()()を研究してんだよ。だからあんたにゃ、旅の中で捕まえたポケモンをサンプルとして送るよう言ったんだ。あんたに寄越したポケモン図鑑だって、そのデータあってこそ、ポケモンの能力値(ステータス)を解析できるんだしな」

 

 

 成る程、と首肯する。

 地上でも聞いた覚えの無い(或いは、単にソラの知り得る範囲に無いだけかもしれないが)話ではあるが、地上のポケモンに対しても十分に通用する画期的な概念なのは確かだろう。

 

「それじゃあ、博士のロコンたちも?」

「まーな。あいつらの能力傾向からクセまでキッチリ分析して、各々に合った訓練メニューだのメシだのは用意してたさ。おかげでロコンも、“死出の森”を追われてこっちに来た程度のはぐれポケモン相手にゃ、そうそうやられねーくらいには強いんだぜ?」

「あとはルスティカちゃん自身の、トレーナーとしての実力が高ければねぇ……」

「うっせ。どうせあたしの“個体値”はゴミクソですゥー」

 

 不貞腐れたように唇を尖らせる。

 そうして空気が若干ながら弛緩したところで「ただ、まぁ」と言葉を続けた。

 

 

「あたしの実力を抜きにしても、今回は状況が悪かった。あの研究所も、言うほど(ひろ)かないんでね。入り口から堂々入ってきた連中相手に正面突破するには、機材も資料も多すぎた。その上相手は、こっちの機材だなんだが壊れようが知ったこっちゃ無いってワケだ」

「多勢に無勢……でニャスか。そのご様子だと恐らく、トレーナーにも攻撃を仕掛けてくるような手合いであったのでニャしょう?」

「どうやら連中、『良識』なんて概念はイワンコにでも食わせちまったらしい。……流石のロコンも、あたしを守りながらってのは厳しかったようでな。そっからはもう、ズルズルとドツボに嵌まっちまった」

 

 

 サラリと話しているように見えて、その顔に後悔や苦慮が張り付いているのは、誰の目から見ても明らかだ。

 

 自分が不甲斐ないばかりに。

 そんな言葉が、今にも聞こえてくるようで。

 

 

「でまぁ、流石に激しくドンパチやってたもんで、町の連中も起きてきてな。ポケモン奪うだけ奪って、後は夜闇に紛れてトンズラよ。その後の事は、あたしも意識が朦朧としてたんで、詳しくは覚えちゃいねーが……」

「電話で聞いたよ。研究所のパソコンが壊れて使えなかったから、町人さんの1人がカロンタウンまで行って、ウチ(プルガージム)まで連絡してくれたんだ。野生のポケモンちゃんたちもそんなに強くないとはいえ、明け方前の1番エリアを走って、ね」

「……そうか。まぁ、この町(ウツシタウン)でパソコンってーとウチの研究所にしか()ぇし、パソコン使えるのもあたししかいねぇからな。一番手っ取り早く近場の神殿(ジム)へ連絡するにゃ、カロンタウンまで行くしかねーか」

 

 

 シェラの言った通り、1番エリアの野生ポケモンはそんなに強くない。

 旅立ったばかり、トレーナー初心者のソラが、びぃタロだけで渡り合えたくらいだ。

 

 しかしそれでも、野生ポケモンたちのテリトリーである事には違いない。

 その上、まだ夜も明けない内から、広い広い草原を突っ切ってカロンタウンへ向かう事になる。

 

 それがどれだけ危険な行為であるかなど、どんな愚者にも理解できるだろう。

 

 

「ともあれ、その人が無事にカロンタウンまで着いたコト、そしてシェラちゃんたちがここへ向かうまでにも特におかしな点は無かったコトから考えると……その襲撃者さんたちが逃げたのは、1番エリア方面じゃなかったカンジかな?」

「単にかち合わなかっただけ、ってのもあるかもだけどな。仮に端っこ……南北の壁面付近に隠れ家だのを作ってた場合、最短距離を突っ走ってきただろうあんたらじゃ、接敵し得ないだろうしよ」

「むぅ、それもそっか。じゃあ、他に何か気付くコトは無かった?」

「気付く事……か」

 

 

 タバコを咥え、上を向くルスティカ博士。

 暫し、何かを思案するかのように押し黙る中、やがて燃え進んだタバコが、咥えられないくらい短くなった。

 

 仕方なく頭を下げ、灰皿にタバコの吸い殻を押し付ける。

 彼女の指先は、無意識下で2本目を求め出すが……しかし、背後で腕を組みながらこちらを見ていたピッピが、無言の圧力で以てそれを制止した。

 

 小さな舌打ちとともに、皿の上のきのみ(次は“ウタンのみ”だった)を再び手に取って。

 それを齧り、咀嚼しながらに、博士は再び語り出す。

 

 

「連中が使ってたポケモンは……なんてーか、妙に凶暴な奴らばかりだった。それこそ、研究所ん中を滅茶苦茶にしたって気にしないくらいには」

「それって例えば、ギャラドスちゃんやバンギラスちゃんみたいな、凶暴な種族のポケモンちゃんだったってコト?」

「いや、そうじゃねぇ。あたしの見た限り……言っちゃあなんだが、それほど強くないポケモンばかりだった。にも拘らず、まるで我を失ってるみてーな……ただ好戦的な“せいかく”ってだけじゃ、説明できない何かがあった。それが何かまでは、分からねーけどな」

「……?」

 

 

 博士とシェラのやり取りに、ソラは眉を寄せる。

 今しがたの言葉が、妙に気になって仕方がなかった。

 

「? ソラ、どうかしたのか?」

「ううん……なんでも」

 

 だが、それをリクに問われるも、少女は首を横に振るしかできずにいた。

 

 何かが、喉に引っかかっている。まるで、小骨が刺さっているかのように。

 けれども、それが何なのかが分からない。何が引っかかっているのかを、ソラ自身が理解できていなかった。

 

 

(なんでだろう……わたしは、それを知ってるの?)

 

 

 自分の記憶の中に、類似する何かがあったのだろうか?

 その答えが見つからないまま、会話は続いていく。

 

 

「それと1匹だけ、デカブツがいたな。そいつは他のポケモンとは違って、明らかに強かった。その上、研究所に入れねーくらいデカかった」

「ふむ? おっきなポケモンちゃんって時点で、いくつか候補はあるけれど……具体的に、どんなポケモンちゃんか、っていうのは分かる?」

「うんにゃ。暗かったのもそうだが、研究所の外から攻撃されたんでな。どうにか2階から脱出しようとした矢先の事だ。あんたらも2階の有り様は見たろ? ありゃ、そのデカブツがやったんだ。それであたしも大怪我かましてぶっ倒れたんで、それ以上は分からねー」

 

 

 ゴクリ、と唾を飲んだのは、果たして誰だったか。

 少なくとも、少年少女の内の1人であった事だけは確実だろう。

 

 ポケモンは時として、人にとっての脅威となる。それは知っている。

 地上でも地下でも、野生ポケモンと人間との衝突で起きた事故や事件は、枚挙に暇がない。

 

 彼らが、ただの可愛らしい隣人ではない事くらい、ソラたちとて身に沁みて分かっている。

 それでもなお、彼らとの共存を、ともに生きる事を選んでいるのだ。

 

 だが、もしも。

 悪意を持つ人間が、悪意の下でポケモンを使役し、それを以て他者に危害を加えたのならば。

 ポケモンが人を傷つけ得る事を理解した上で、真実その為に()()を利用したのならば。

 

 そしてその結果こそが、今この場であるとするならば。

 

 

 

「……許せない」

 

 

 

 今度こそ、その呟きに誰もが意識を向けた。

 

 己の膝を掴み、ぐ、と拳を握る1人の少女。

 それは、彼女なりの義憤であり──或いは、14年の人生の中で、少女が初めて抱いた()()でもあった。

 

 

「ポケモンを、そんな事の為に使うなんて……絶対に許せない! わたし、奪われたポケモンたちを取り返したいです! 博士やほるっち、デルビルの為にも!」

「ひいさま……」

 

 

 傍らのニャースは、ソラの叫びに驚きを隠す事ができなかった。

 

 彼の知る限り、彼女がこんなに感情を露わにして荒ぶった事など、果たしてどれだけあっただろうか。

 もしもあったとしても、それは片手で数えるくらいしか無かった筈だ。

 

 そもそも、他者との触れ合い自体を厭い、恐れていた少女である。

 そんな彼女が、他者から他者への悪意に怒りを抱き、その義憤が故に立ち上がる。

 

 この世界(マハル)を来訪するより前の彼女では、決してあり得なかっただろう光景が、そこにはあった。

 

 

「……ああ、そうだな。おいらも、アネキをここまで傷つけられて、みすみす黙ってなんかいられねぇよ! ロコンたちは絶対、おいらたちの手で取り戻す! そうだろ? シェラさん!」

「……ま、そーだねぇ」

 

 

 若い。そう思った。

 

 いちジムリーダーとしては、少年少女には町で待機していてもらい、自分や後から来るだろう神官たちの手で、この事態を収拾すべきだ。

 それが“リュウジンさま”の大神官(ジムリーダー)たる自分の役割だし、まだまだ未熟な、そして将来有望な彼らに、こんな危険な事には関わって欲しくは無かった。

 

 だが、しかし。

 それがシェラという、いち個人としてであれば。

 

 今、2人を突き動かしている“義憤”という衝動を止める事はできないし、止めようとすればするほどにより燃え上がる事を、彼女は知っていた。

 

 そして何よりも、若い可能性に賭けてみるのも悪くないかな、と。

 ソラたちと出会ってからの3日間で、素直にそう思えるようになっていたのも、また事実だった。

 

 

「ホントはあんまりよくないんだろうけど……正直今は、“ねこのて”も借りたいってカンジだしね。危なくなったり、勝てそうになかったら、スグに逃げるコト。いいね?」

「おう!」

「ありがとうございます、シェラさん!」

「いいっていいって☆ 手が足りてないのは事実だし、2人なら心強いもん。特にソラちゃんは、シェラちゃんがジムリーダーとして実力を認めたトレーナーさんだからね♪ それに……」

 

 

 にこやかな目尻のまま、視線が移動する。

 ひこうタイプ専門のジムリーダー、その名に違わぬ鋭い眼光が捉えたのは──ルスティカ博士だった。

 

 

 

「まだ何か、シェラちゃんたちに隠してるコト、あるよね? ルスティカちゃん」

「……!」

 

 

 

 鼻から息を吐く音が、いやに部屋の中に響いた。

 図星。答えを聞かずとも、それは容易く理解できる事だった。

 

 他の面々の驚愕をさておいて、シェラは言葉を続ける。

 

 

「いくら夜中だったとはいえ、研究所の中なら電気はついてたハズ。人数までならともかく、()()()()()()()()()()なんて言えたくらいだから、相手の顔は見えてたんだよね? なのにルスティカちゃん、さっきからポケモンちゃんについてしか喋ってないじゃん」

「……」

「犯人の顔は見た。なのに言わなかった。ってコトは、シェラちゃんたちには話しづらい相手なのかな? ルスティカちゃんのコトだから、誰かを庇ってるというよりは……()()()()()()()()()()()、ってトコ?」

「……ハァ」

 

 

 そうして吐き出された溜め息は、いやにタバコ臭かった。

 一生分の息を吐いたのではないかと錯覚できるほどの時間が過ぎ、それから周囲を見回す。

 

 リクたち姉弟の母親は、町の大人たちと話し合う為に不在。

 ジムリーダーに事情を説明すると伝えてある為、よほどの緊急事態が無い限りは戻ってこないだろう。

 デルビルやほるっちも、今は博士の自室で休ませてある。

 

 つまりこの場には、博士、ソラ、リク、ニャース、シェラ、ピッピの4人と2匹しかいない。

 

 この内、ピッピは自分の領分がこの家の中の事だけであると分かっている為、今回の一件そのものには関わろうとしないだろう。

 残る3人と1匹は、誰もが信頼できる相手だ。ソラたちの事もまた、そのように認識していた。

 

 その事実を改めて確認してから……ルスティカ博士は、やおらに顔を上げた。

 

 

「覚えている限りで、襲撃者は3人。男2人、女1人だ。外にもいた可能性はあるが、そこまでは保証できねぇ。んで、全員が同じ装束に身を包んでいた」

「服装が統一されてるのは、探す上では有り難いかもね。で、どんなの?」

「真っ黒のローブマント。フードはあったが被っちゃいなかった。それと両手首に腕輪(バングル)だ。バングルには勾玉が1つずつついてて、まるで御守り(アミュレット)って感じだった。……それで、そんでもって……」

 

 

 唇を固く結び、口の中で何かを転がす。

 それは先ほどまで食べていたきのみか、未だ残っている煙の味か、或いは言葉そのものなのか、それは本人以外には分からない。

 

 数秒の後、再び口が開かれた。

 その舌が紡いだのは、果たして。

 

 

 

「老人みてーに白い髪。血のような赤い目。位置や意匠(イメージ)は統一されてなかったが、顔のどこかに入れ墨(タトゥー)みてーな模様が走ってた。これ全部、襲撃者全員の共通する特徴な」

 

 

 

 瞬間、室内の空気は二分される。

 

 ソラとニャースは、そういう人種か部族だろうか、と訝しむように首を傾げ。

 リクとシェラは──目を見開き、明らかな動揺で以て博士の言葉に応えた。

 

 

「それ……ホント? いや、ルスティカちゃんがウソついてないっていうのは、()で分かるけど……」

「や、やっぱそうだよな……? アネキの言ってるのって、つまり()()()()()だよな!?」

「え……? リクたちは、何か知ってるの?」

「……ソラたちが知らねぇのも無理も無いさ。“マハルの地”に来たばっかのあんたらじゃあ、知ってる筈も無い」

 

 

 そう告げたのち、ルスティカ博士は今一度、この場の面々を見た。

 自分の手元にタバコが無く、気分を誤魔化す事すらできないのが、悔やまれて仕方が無かった。

 

 

 

「──間違いない。あたしを襲った連中は全員、“ヨミの民”と同じ特徴を持っていた。敵は()()()()()どもだった……って言って、あんたら信じるか?」

 

 

 

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