クジンシーに転生! 何でだよ、災難すぎるだろ! 作:パーフェクトクローザー
俺は今、アバロン城内の玉座の間に通じる扉の前にいる。例の書簡が都合よくレオンまで通り、こうして謁見の機会が設けられたわけだ。
同席者としてヴィクトールとジェラールにアバロンの重鎮が数人、そしてなんとオアイーブまでもがいるらしい。オアイーブとも話をしたかったのでまさに好都合…と、言いたいところだが、どうやらオアイーブの方からこの謁見の参加に志願してきたそうだ。何を企んでやがる…。
とはいえ、ここまで来て今更臆する訳にもいかない。俺は意を決して目の前の扉を開けた。
まず目に飛び込んでくるのは、威厳を纏いつつ玉座に座する皇帝レオンだ。ドットでしか見た事がなかったキャラクターが現実として今目の前にいる。二児の父という事で流石に多少老いが見えるが、鋭い目つきに精悍な顔立ちはまだまだ現役を退くつもりはないという気迫がこもっている。
その両隣に佇んでいる、右にいるレオン似の精悍な顔つきに屈強な体格の若者が恐らくヴィクトール、左にいるあまりレオンには似ていない線の細い若者がジェラール…か。
そして、その後ろに控えている重鎮と思しき中年の男達に交じり、一人異質な雰囲気を放っている魔術師風のいでたちの女性…間違いない、あいつがオアイーブだ。
「お…お初にお目にかかります。クジンシーと申します。こ、この度はこのような機会を設けて頂き誠にありがとうございます。そして、事情により他人が見るには不快な姿をしているため、マントで姿を隠しながらの謁見となる事、まず初めに謝罪いたします」
そうやってレオンの周囲を確認しながらも、俺は挨拶を口にする。…とはいえ、こんな中世くらいの文明の謁見の作法など知る由も無く、そもそも以前の俺の生活的にもこんな高貴な場に居合わせる事など無かったので、喋りは慣れてなくぎこちない上、礼儀も全くなっていないかもしれない。
「―――ふむ。私がバレンヌ帝国の現皇帝、レオンだ。貴公がかの七英雄が一人…クジンシーか。………」
そんな
その視線を向けられたオアイーブも、不可解そうに
「無礼を承知で今一度尋ねるが、本当に貴方はかの七英雄が一人、クジンシーなのか? アバロンに少し前から滞在している古代人の魔術師殿の話とはだいぶ様子が違うようだが…」
その時、不意にレオン皇帝の右側に控えていたヴィクトールが尋ねてくる。のだが、その表情は非常に険しい。警戒…を通り越して敵意にすら感じるほどだ。
魔術師…とは当然オアイーブの事だろう。少し考えたあと、俺は口を開く。
「魔術師殿…とは、レオン皇帝の後ろに控えておられる重鎮の方々に交じっているそこの女…オアイーブの事ですか? なんとまあ、あれだけのことをしておきながら忘れ去られているとは、何とも嘆かわしい事だ。まあ、ノエルやワグナスの様な実力者ならともかく、私は七英雄の末席…忘れられてもそこまでおかしなことでもないですがな…」
先ほどの慣れない挨拶から打って変わって、皮肉たっぷりに憎々し気に…。確かこの女には、七英雄たちをどことも知れぬ異世界へ飛ばした者達の首謀者説もあったはず。そのカマかけも兼ねての発言だ。
そして、一瞬だが反応を示したのを見るに、首謀者…とまで行くかはわからないが少なくとも関係はありそうだ。
更に、オアイーブの名前を当てた事でレオンやジェラール、その他後ろに控えている重鎮たちも俺の答えに納得したような面持ちを見せる。俺が送った書簡に対する返答の書簡にも”古代人の魔術師”としか書かれていなかった…にもかかわらず名前を知っている=同じ古代人の図式が成り立つ…という訳だ。
「…ならば。不躾で申し訳ないが私と一戦手合わせを願えないだろうか? 七英雄とまで謳われた者の実力、確かめてみたい」
しかし、そんな中においてなおヴィクトールは食い下がって来る。こいつ…何ちゅう顔をしてやがる。先ほどまでも険しかったが、今はまさに怨敵を前にしたような表情だ。
「どうしたヴィクトール。何をそんなにいきり立っておるのだ?」
「―――分かりませぬ。分かりませぬが、なぜかこの者とは決着を付けなければならぬ…。そう、私の心が命じているのです…っ!」
「兄上…?」
明らかに様子のおかしいヴィクトールにレオンもジェラールも困惑顔だ。だが、このただならぬ様子にレオンも何かを感じ取ったのだろう。
「うむ…。唐突ではあるが、息子の後学のためにも一つ手合わせを願えないだろうか?」
遂にはレオンにまで手合わせを請われてしまう。立場上あまり相手の機嫌を損ねたくはない俺に選択肢などない。ああ、折角回避できたと思ったのに、これが因縁…もしくは運命、宿命って奴なのだろうか…。
因みに、戦闘シーンがある以上ヴィクトールにもステータスが設定されているそうですが、腕力22、その他すべてが25という最終皇帝も真っ青の総合力最強キャラ…らしいです。