クジンシーに転生! 何でだよ、災難すぎるだろ!   作:パーフェクトクローザー

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ヴィクトールVSダンターグ

「ダンターグ! いるかっ!?」

 

 ノエルの報を聞いて即座にルドン高原に駆け付けた俺は、まず目についた洞穴に叫びながら突入する。ゲームではルドン高原に洞穴など一切ないが、実際に来てみると何か所か空洞らしきものがあったので、その一つ目にとりあえず飛び込んでみたのだ。

 

「―――ああ? はっ、お前か…。何の用だ虫けら」

 

 すると、その洞穴の奥から声が…。と、同時に圧倒的な巨体がぐるりとこちらに振り返った。

 

 ………で、でけえ…。こいつがダンターグ…。その巨体と本人の厳つい顔つきもあり、この二つの相乗効果で放たれる威圧感はまさしく圧倒的だ。古代人がこのダンターグを見て危機感を抱いた…なんて話を聞いた事があるが、確かにこれはそう感じてもおかしくはない。

 

「アンタがここに来た皇帝とその親族を殺したと聞いてきたが、本当なのか?」

 

「皇帝…? 豪華なマントを付けた偉そうな短命種共の事か? ああ、そいつらならぶっ殺してやったぜ。ちょっと前にオアイーブの奴が尋ねてきてよ、何でも近々ルドンにそいつらが現れるから、倒しておけばかたき討ちとしてもっと強い奴が来るって言うじゃねえか! で、この辺りまで遠征してきたんだが、そいつらの弱い事弱い事…。こりゃ奴の口車に乗せられただけかもしれねぇな…と、感じ始めたわけよ。この辺りのモンスター共もあらかた吸収したし、ネレイドって言うちょっと気になる奴らもいるが、こいつら湖から全く出て来やしねえ。なんで、そろそろ巣に帰ろうかと思ってたところよ」

 

 俺の質問に、自分の近況も交えて饒舌に語るダンターグ。こいつ…本当に強い奴を吸収する事しか考えてねぇんだな…。

 

 そして、オアイーブ…っ! あの女の所為か! にしてもここまでやるか、あの女狐っ…!

 

「あんな裏切り者の言いなりになるなんて…。あんたの信念は知っているけど、もう少しプライドを持って欲しいものだわ」

 

 憤怒に震える俺の後ろからダンターグに掛かる声。そこに立っているのはロックブーケだ。俺の見張りをするようノエルに言われてついてきたのだ。

 

「…ほう、ノエルの妹か。お前がこの虫けらと一緒にいるとは珍しいな。あれ程毛嫌いしていた筈だが」

 

「ホント、脳筋なんだから。こいつ、クジンシーじゃないわよ。見た目はまんまだけどね」

 

 ロックブーケのやれやれ…と言った感じの言葉に、ダンターグは「何ぃ?」と目を細めて俺を注視する。その状態のまま、少し間を置いてから、

 

「―――誰だてめぇ。本物のクジンシーは何処にいる?」

 

 どうやら改めて魂を見た様だ。警戒の言葉と共に俺を睨みつけてくる。オアイーブですら直ぐに分かったというのに、本当に脳筋過ぎるだろこいつ。

 

「答えてやりたいところだが、俺も何がどうなっているのかさっぱり」

 

「クジンシー! こんなところで何をしている?」

 

 ダンターグに答えている俺の言葉を遮り飛んでくる怒鳴り声。振り向くと、そこには怒髪天を衝く…とばかりの鬼神の形相を携えたヴィクトールが、複数の従者を連れて立っていたのだ。

 

「ヴィクトール!? あ、いや、お、俺は…」

 

「ここで出会うは好機! この前の試合の決着をつけたいところだが…。今の俺にはその前にやらねばならぬ事がある」

 

 予想だにしない人物の出現に驚き慌てる俺に、ヴィクトールは口惜しそうにそう言った後、洞穴の奥にいるダンターグに向かって剣を抜き放った。

 

「見つけたぞ! 貴様が七英雄が一人、ダンターグだな! 父と弟の敵、ここで討たせてもらう!!」

 

 そう宣言すると同時にヴィクトールを中心に従者たちが陣形を組む。あれは…インペリアルクロス…ダメだっ! 流石に、そんな段階でダンターグに挑むのは無謀すぎるっ!!

 

「ふーん、あいつが今の皇帝なの…。利用できるか見極めさせてもらうわ」

 

「はっはっは! 本当に敵討ちに来たぞ! 面白い、ならば今研究中の新技、試させてもらおうか!!」

 

 瞳をスッと細め、品定めの状態に入るロックブーケ。一方、ダンターグは面白そうに笑い声を上げながら、唐突に地面に向かって拳を打ち込んだ!

 

 その一撃自体は地面を抉るほどに強烈だったものの、特に何かが起こる訳ではない。が、俺は目を見開く。地面を殴って発動する技…時間差攻撃の”グランドスラム”だ!! だが、奴はまだ第一形態だぞ。グランドスラムは使えない筈だが…。

 

「何をするつもりか知らんが、隙だらけだぞダンターグ! みな、一斉に掛かれいっ!!」

 

 そして、ダンターグの行動の隙を突いて一斉に仕掛けるヴィクトール達、ヴィクトールは当然流し切り、他の面子も思い思いの得意な攻撃をダンターグに浴びせる。だが…、

 

「ぬうっ! ぬるい…ぬるすぎるぞ貴様らぁっ!!」

 

 その一斉攻撃を受けてもダンターグは怯みもしない。逆に行動後の隙を見せたヴィクトール達に向かって文字通りその巨体を”ぶちかまし”た!!

 

「ぐわっ!?」「ぎゃあっ!?」

 

 ヴィクトール達全員がぶっ飛ばされ岩壁に叩きつけられる。そして、かろうじて立ち上がったのがヴィクトールのみという絶望的な状況に一瞬でされてしまった。な、なんちゅう威力だ…っ。

 

「ぐ…う、ううっ……ま、まだだ…っ! まだ、負けたわけでは……っ!?」

 

 そのヴィクトールも、最早気力だけで立ち上がっているという有様。が、そこに追い打ちをかける様に地面が揺れる! 流石にダメージを受ける程ではないが、立っている者の足をとるには十分な揺れだ。これは…さっきのグランドスラム…? そうか、今はまだ研究中だからこの程度の揺れしか出せないという事か!

 

「終わりだっ!!!」

 

 そうして動けなくなったヴィクトールに向かって、再度ぶちかますダンターグ。この一撃を受け、今度こそヴィクトールは地に倒れ伏す事となる。

 

「ちっ、下らん。やはり短命種など吸収する価値もない。オアイーブの野郎、下らねえ嘘を言いやがって…。今度見つけたら締め上げてやる」

 

「期待外れね。こんな程度じゃ、守護者には到底かなわないわ…」

 

 足をドスッ! と苛立たし気に地面に叩きつけながら、忌々しそうに吐き捨てるダンターグと、言葉通りに落胆の溜め息を吐くロックブーケ。こ、これが七英雄か…。確かに、しっかり対策を立てないと、勝ち目はないぜ…。

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