モンハン×ブラボ 検索結果 (おそらく)一件
え?
誇りなさい。
狩人たる事に。
保ちなさい。
自己を、意思を。
誰1人として間違ってはいない。
そう、君もだ。誰1人として皆同様に、
…
……
………
………青ざめた血を求めよ………
これは……随分と懐かしい単語ではないか。あの夜、ヤーナムの夜に目覚め、そして目にした身に覚えの無い、しかし直筆と言うことは分かる走り書き。
…それがなんであるか、何故求めていたのか、何故自身が書いたことがわかるのか……。今となっては分かり得ないが…。
………血を……貴きかの血を………
脳内に木霊する声はひたすらに嘯く。……血…至極単純な単語一つに、一体どれ程の物語が詰まっているのだろうか。自分に高等な知識などあるはずもなく、悪夢に渦巻く思惑など理解もできなかった。
ただ、ただ、狩人として、狩りを全うした。
………似通うその血を…貴き……を…
“声”などと形容したが実際の所、それが声と呼んで良いものかは見当も付かない。ただ響くのだ。淡々と、霧の様に掴みどころ無く。
…………………を求めよ………
もう目が覚めるのか…。……しかし目覚め…私はいつ
…
………
……………
心地の良い風が肌を撫で、背中にはこそばゆい様な感覚を覚える。
「………。」
澄んだ光が瞳に届く。朝露に濡れた草花は瑞々しく、鳥が、虫が、朝を鳴く。
「……?……?」
目覚めた。言葉のままに、陽が昇る朝に。そう、目覚めた。
空は青く、清々しい程に晴れ渡り、されど生い茂る緑が遮り、木漏れ日として我が身に降り注いでいる。
ヤーナムにて、かのヨセフカの診療所にて目覚めてより、ほとんどの記憶を持ち合わせていない自身ではあるが、ただわかるのは、ここは古都ヤーナムでも、その他の場でも無い。……或いは私の知る目覚めた世界でも無い可能性もあると言う事に。
「………。」
どれほどの時間を立ち尽くし、過ごしていたのだろう。余りにもそれは懐かしく、暖かく、穏やか。
思えば狩りに明け暮れ……いや、明ける事などあるのだろうか?
とにかく街を駆け、森を抜け、時に地下へと潜り、とにかく獣を、狩り続けた。
「…。……?」
ふと気になった。診療所で目覚めた時は走り書きがあった。果たして今回も何かあるのだろうか?……やはり、ちょうど自身が寝ていた場所、人型に窪む後、緑生い茂るそこに、明らかに浮いた物がある。
「………。」
それは二つのヒモで構成されていた。赤黒く、細く長いヒモと、青白く、太く短いヒモが、互いに絡み合い、捻り合い、しかし形の相違か酷く歪な形態と言えるだろう。
手に持てば大きさはそこまでであり、何か乾き切ったと言える感触がする。果たして今の状況に関わりがあるのか……。
「…。……?」
取り敢えずポケットに入れておこう。そんなことよりもまずはここが何処かだ。ここは素晴らしい場所だが、人間の居ていい場所ではない事はそこはかと無く感じ……ん?
「………!?!?」
!?!?!?…ない!?
「……っ(身元を弄る。)」
ない、何もない!?文字通り命を賭けて手に入れて来た数々のアイテム達が無くなっている!?…いや待て、輸血液が6個と水銀弾が…17発ある。……少し待つんだ。
「………ッ!………ッ!」
何処だ!?何処だ!?アイテムはこの際どうでもいい……いや、全然良くないがとにかく置いておいていい問題だ。だが武器、銃すらなくては水銀弾はゴミに成り果てる。
「…………ッ。」
焦りが止まらない。心の中のエミーリアが絶叫を上げようとしているのが分かる。
「!!!……。」
あった!!!
危ない危ない、危うくローレンスが炎を吐き散らすところだった。
この様なわけのわからない事態。一見平和そのものの空間ではあるが、何が起きてもおかしくは無い。突如としてその容態が切り替わる可能性も十分ある。
…切り替わると言うよりは見えてなかったものが見える様になったと言うべきか?
この様な事象は事実、ヤーナムではよく起きたものだ。
…しかし、やはり武器のあるなしは違うものだ。
「………。」
そして襲う喪失感。……そうか……無くなってしまったのか…。……仕方が無い、暫くは引きずりそうだがそうは言っても居られない。
探している時に気づいたが、ここには灯りがない。と、言う事は狩人の夢に戻ることも叶わないと言う事だ。これはつまり、自分が本当に目覚めたと取れる。別世界に飛ばされるとは夢にも思わなかったが。
ただし、反論もある。夢から覚めたならば何故武器等を持ち合わせているのだ、とか。
………。いろいろ考えたが、結果は今まで以上に慎重に事を成さなければならないと言う事だ。
「………。」
そう例えば、徐々に近づく気配に対して、己から斬りかからないと言う事、などが当てはまる。
「……………。」
ゆったりとした警戒心のある動き。理性なき獣ではない。戦える人間だろう。
「………。」
まだだ。
「……。」
どの道この様な場所にいる人間など、碌なわけがない。
「…。」
来る。
「まてまてまて!たたかうつもりはないほんとだ!」
…?何を言っているのだこの男は?身なりは上等とは言い難いが、少なくとも自身の装備よりは、森での行動に向いているだろう格好だと言う事は、なんとなく分かる。
「ん?な、なんだよ。」
狩人として生業を受けたからにはやはり、相手の得物に目を引かれるのも“さが”と言うもの。
見たところ左手の剣、刀身は分厚く、幅広いそれは如何にも強度を求めた形であり、切れ味も良好そうだ。形は湾曲こそしているが、癖もなさそうだ。
そして右手の盾、鉄製である事は見て取れるが……。左手の剣は獣に対しても十分な攻撃力を持っているだろうが、それに反して、獣にさしたる意味のない盾を、それも右に持つなど。
…いや、左利きの可能性もある。…しかし盾を持つならば銃を持つ方が良い事には変わらないはずだが…。
「みたところどうぎょうしゃか?いや〜、みつりょうしゃどうし、ここはなかよくおんびんにすまそうぜ!」
急に馴れ馴れしい態度を取り始めた。しかし友好的ならばそれに越した事はない。
場所は違えど、来訪者という立場は何一つとして変わってはいないのだから。
「よ、めしくうか?おちかずきのしるしにってやつだ。」
……何か差し出して来た。見たところ男が食しているのと同様、干し肉の類ではあるだろうが……。
ぐぅ〜……
「なんだよへってんじゃねえか、ほらほらどうぞ。」
……思えば思うほど、碌な食事を取ったことはない。夢だからと言われればそれで終いだが……やはり此処は現実であるのだろうか。取り敢えずその干し肉は頂いておこう。
………美味い!!?
「そ、そんなにか?…ならいくつかやるよ。」
………
……
…
「………これは…もくひょうはちかい、ひとりよりはふたり。どうせおなじもくひょうだやまわけといこう!」
男は目の前に飛び散る、うずらと乾いた紫の液体を見て何かを言っている。……単語一つにしてもやはり、その発音からして異なる場所に来たと言う実感が湧く。
恐らくは粘液の主?を求めてここに来ているのだろう。…そしてこれは、自身も同類と思われているという事か。……ここで別れたとて出来ることもない、一つこの男におぶって貰うとしよう。
……早速、おぶらせて貰う事になりそうだ。
「くるぞ!」
GYRAAAoooAッ!
まるで乾き切った喉に水を打ち込み、間髪入れずに叫び声を挙げたかの様な奇怪な声と共に……これまた奇怪極まりない様子の獣…、いや怪物が現れた。
枯れた丸太の様なトサカが鼻先に、額には槌の様な角が生え、紫色の体皮の質感はまるでゴムの様。
血走った黄色い目に理性は見出せず、されど狂気と言うには力に満ち溢れ、その全体像はまるで御伽話の竜の様。
しかしこれを竜とは言い難く、その行動はむしろ鳥の様で…。
「ここまでこうせんてきだったか?まあいい、はじめるぞ!」
相変わらずわからないが、一応頷いておく。
GDBoa!
凄まじく粘性の高そうな音を響かせながら、吐き出されたのは液体の量は凄まじく、紫色のそれは着弾後も飛び散り、しつこくその場に残り続ける。
明らかに毒。解毒手段がない今、決して貰ってはいけない一撃だ。
……幸いにも男の方へとそれは向かって行ったが、それも軽々と避け反撃へと向かう余裕もある様で。
毒を吐く怪しき鳥。うむ、仮に毒怪鳥と呼称しよう。
ともかく毒怪鳥による毒液の牽制を躱し、そのままに切り掛かる男は素早く脚に切り掛かれば、堪らず毒怪鳥は迎撃として啄みを…ッ!?
あろう事か、盾を顔面に叩きつけ無理矢理その軌道を逸らしたではないか!?
あの盾の頑強さは確かなものだと言うことはわかるが、あの怪物の体格は聖職者の獣にも引けを取らない。……並大抵の人間ではない様だ…。
「……。」
GYRAAAoo!?
驚きはしたがそれはそれ、晒した隙を見逃すわけもなく、折り畳まれた両刃を展開する。
ガチャンと言う音と共に、その武器は武器としてのもう一面を展開させる。
「なんだそのぶき!?」
力を込めて、一撃を振り下ろ…?!!……なんだと!?
GYRAAAGaoooAッ!
ノコ刃が体皮に食い込んだままに引き裂けない!?いくらゴム質と言えど、自身の筋力や、獣を引き裂くには十分過ぎる武器と言う事を考慮してもこれは異常…いやもしや……?
……今はそれは雑念か。ともあれノコは悪手か、押し抜いて離脱する。
今回はナタで対応する他ないようだ。
また一つ武器を払えば、ガシャンと音一つと共に刃と柄の接続部からくっきりと折れ、もう片刃であるナタとしての側面を見せる。
仕掛け武器。その二面性を持って柔軟な対応を可能にする。これを目的として数多の仕掛け武器が、多くの派閥から製造された。
丁度この狩人の様な立ち回りの為だ。
そしてこの『ノコギリ鉈』。片刃はノコギリ、片刃はナタ。刃と柄には薄汚れた布切れが何重にも巻きつけられている。
それは元々は農具として使われていたとされ、獣狩り最初期からの武器でありながら、その所出故か扱い易く、初心者から上級者まで幅広い支持を集めた武器だ。
「きをつけろ!つっぱしってくるぞ!!」
男が伝えたい事はなんとなくわかる。その焦った表情と声色からもそうであるが、しかしああも、見るからに事を起こそうと言う体勢を取られれば、警戒するのは当たり前だ。
GYABa!GYABa!GYABa!
繰り出すその技は単純ながらも、なかなかに狂っていた。
激しく首を左右に振り回しながら毒を吐き散らし、縦横無尽に走りまわる。成る程確かに我々を近づかさせずに、一方的な攻撃が可能。
正直なところ、ひたすらに単純なこの攻撃を避ける事は容易い。ただ疲れるのを待てばいい。疲れ果てたところを…と、そう思っていたのだが……。
GYABa!GYABa!GYABa!
実にその往復回数は10を超え、疲れ知らずに衰えを知らず。言葉に表すならば『狂走』か?
これは…、受け身の姿勢では限界が来た様だ。……どうやらいつもの如く、こちらから攻めて行かなければならない。
「………。」
「はやくよけるんだ!」
先ほど会ったばかりなのに気を掛けてくれるとは、さては貴公、なかなか育ちがいいな?少なくとも自分よりは。
さて、やることは単純、奴の攻撃に合わせて銃弾を撃ち込み、体勢を崩させた上で一撃を見舞う。
狙うべきは切り返し、次の狂走に移るその瞬間。ノコをものともしないゴム質の体表だ、今までは当たればそれでよかったが……今回は部位まで限定しなければならない。
撃ち込むべき瞬間はわかる。先程からいやと言うほど見せつけられた。
GyoaAッ!!?
バーンッ。乾いた音と同時に、その横面に銃弾をめり込まされては敵わない。
力を貯めたその脚が、毒を溜めたその喉が、不意のそれはその堰を、問答無用でこじ開けられ、制御の効かない巨体は最も容易く崩れ落ちる。
「なんてこった……。」
GYRRAAAoooAAAA!?!!
世界の半分が、光を失った。
想像を絶する一撃に、電撃など効かないはずのその肉体は万雷を受けたかの如く。
全筋肉を持ってして全力で飛び退けば、ずるりと何かが眼孔から抜けていく。
GyOoorrraaA!?!!
それは絶叫。それは発狂。狙いなど有りはしない。
やたらめったらに走り回り、木々を、岩石をその身で持って薙ぎ、砕き、そして遂には下敷きとなりそして、静かに、静かに、まるで糸の切れた人形の様に静かになった。
「………。」
全身がゴム質の怪物とは…、血肉骨皮の魑魅魍魎を相手取って来た今までと比べ、また随分と毛色が違う。…しかしながらあの狂乱の最中、よく伸びたピンクの尻尾は鞭のようで、予想外の所まで伸びた為に肝が冷えた。
そんな事を思いながら、倒れ込む怪物に一歩、一歩と近づいていく。
気になる事があるのだ。奴の血液を浴びた時、僅かながらに違和感を感じた。
…いや、そもそもこの血はヤーナムに蔓延る血とはそもそもが違う。悪い訳ではない、より生きる活力を得られる良き血ではあるのだが…それとは別に何か違和感が……ッ!?
「なにをしている!? 近づくな !!!」
ドスン。誰かにその身を押された。
GYRAAoAッ!!!!!
先ほど居たところには、血に濡れた怪物の尾が空気を切り裂いて叩きつけられていた。
やけに響く、瑞々しくもよく籠る粉砕音。樹木に叩きつけられた
「……貴公…。」
片目を潰されてはいるが、その動きは更に活発なものへと変化している。
カチン
成る程、死んだフリと言うわけか。
カタン
無闇に近付くなど、手負の獣が凶暴だと言う事くらいわかる話だろうに。
カチン
槌の如くトサカを角に叩きつけるごとに、トサカは眩く煌めき始める。
世界の全てが、光に包まれた。
GVOorrrra!?
「………?」
追撃は、来ない。ボヤけた視界が輪郭を取り戻していくと同時に、状況を把握していく。
毒怪鳥の眼孔には新たな傷が付けられている。足元には見覚えのある金属の盾。
「へっ、らしくねえ。ほらおぜんだてはしたぞ。」
言わば円盤投げの要領か?……あれほどの衝撃を受けて尚、原型を保ち反撃にも転じれるとは…。よく機転を効かせるものだ。
ただ。
「……貴公、感謝する。」
しなる尾を掻い潜り、振り様にナタを合わせて切り裂く。
打ち付けるトサカに目を付け、盾を拾い右腕に装備する。
貴公が見せた真なる盾の使い方。しかと操って見せよう。
GVOorrrraRA!
カタン、カタタン
パターンが違うが、関係ない。その前に叩く。
今まさに閃光を放つ為に、額を天へと掲げんとしたその瞬間、揚げた頭部を抑え付け、或いは叩きつける様な衝撃、そして遅れて響く破砕音。
GYorrrrrr!?……A?
大量の涎を吐き散らしながら大きく仰け反れば、額に走る喪失感に理解は追いつかず……気付けばその喉元には。
「………。」
巨体が地に臥す。絶え間なく流れる血に鼓動は感じられず、ただ無常に、命亡き流体を演じ続ける。
「……貴公…。今一度、感謝を…。」
「…なんだ…よ、…喋れ…るじゃねえかよ…。」
あぁ…やはりダメであったか。
狩人とは想いを、意思を継ぐ者でもある。貴公の盾を受け取った時も例外なく、故にまた、自身は託された。
恩人の名もわからないとあっては、そこまで血に狂った記憶はない。
「……カハサム…だ。ただの…カハ…サム。」
「……すきに…漁れ、わかってんだろ、どの道…こりゃ、無理だ…。へっ、そんな目、すんなよ。…あったばかりじゃねえか…。お前は不思議な…奴だ……。この……人…………たらし……め……へへっ………。」
「……。」
彼の為の墓はない。手向ける花も、言葉もない。しかしその形だけでも、彼の行く末に、良き眠りがある事を。
狩人の一礼を、受け継いだ意思に、挨拶を。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
【狩人の一礼】
狩人の一礼。何故か、初めから知っていたそれは事あるごとに使用し、いつしかそれは軽々しい物へと変わってしまうと言う。
果たして気付けたのだろうか。最も大切なモノは、初めからそこにあったと言う事に。
はじめまして。そしてようこそ。
【捻れた相似たヒモ】
青白く太く短いヒモと、赤黒く細く長いヒモが互いに絡み合うそれはヒモということ以外に共通点は無く、故に歪な容体を表している。
相似、或いは類似、それがなんであるかなど関係なく、ただ揃う事のみに意味があり、故に望まずして唐突に、結果は出されてしまう。
しかし、其れはあくまでも似ているだけであり、必ずしも元に沿う訳でもない。
故に人々は嫌うのだ。似通うことを不気味に思い、避けるのだ。それはまた無知故に、また未知故に。
最初の狩人が色々教えてくれる……これは…。
ただ、続くかどうかは……蒸発するかも知れないし、誰かが継いでくれるかもしれない。