みんな、すまないな。今日の主役は僕がやらせてもらおう、と言っても執務官の何気ない日常なんだがね。
『くっ、そんな所に質量兵器を設置するとは…!卑怯な!』
魔法少女 リリカル おわた orz
第三一話 幕間4 執務官とは。
「では、行って来る。はやて?最近ユーノの奴が大人しくなったからと言って気を抜くんじゃないぞ?いったい奴は何を仕出かすかわかったもんじゃないからな?」
「あはは、わかっとるってクロノさん。ほな、お仕事頑張ってぇや!わたしも今日から聖祥に編入やし…大丈夫やろか…」
「まったく、いつもの元気はどこに行ってしまったんだい?聖祥にはなのは達もいる、君は分け隔てなく人と接することが出来るんだから嫌われることなどないさ。僕が保証する。だからそんなにビクビクする必要はないと思うがね。僕の好きないつもどおりの元気な笑顔でいればきっと大丈夫さ。」
「………あかんよクロノさん、こんな朝っぱらからなに女の子口説いてんねん…。そや!にっしっし…」
「ん?どうしたんだい?独り言しゃべってたと思ったらへんな笑い方をしだして…」
「なんでもないで!ほら、仕事遅れるで?行ってらっしゃいダーリン♡こうしていると新婚さんみたいやな」
「…! その割には随分とまぁ幼い妻だことだ。夕飯までに帰れないときは一度連絡する。もう11月だ、帰りに寄り道して風邪ひいたりしないようにな。フッ、では行って来るよ嫁さん」
「ふぎゅ!!はぅはぅ…いってらっはい…」
「自分で言い出して照れないでくれよ…」
執務官の朝は早い。職場であるアースラまでは転移で一瞬なのだが、地球時間でいう午前6時には仕事を始めなくては片付かない。僕が八神家で暮らし始めてもうすぐ4カ月が過ぎようとするが、相変わらずはやては毎日朝起きて僕が家を出るのを見送ってくれる。まぁ…毎朝のはやてとのやり取りが結構気に入ってるのは僕だけの秘密だ。
「副艦長!!もう6時ですよ!!いい加減起きてください!!朝御飯食べないと仕事に間に合いませんよ!!」
「ぐごー!すぴー!むにゃむにゃ…お?クロノか………。おやすみ…」
「こんの…ダメ親父がぁぁぁぁ!!!!」
だからといって毎朝の仕事が父さんを起こすことだなんて絶対はやてには言えない…。
「む、この案件は局に資料の請求をしなければいけないな…。そういえばこのあいだ起きたジュエルシード事件の報告書の追加資料を纏めて報告しなければいけないんだった。あと…はやてを聖王教会に連れて行く日は…来週か」
ジュエルシード事件…嫌な思い出だ。次元震の反応を感知してあわてて飛び出したものの、まさか半泣きになって逃げまわっている金髪少女を白い悪魔から助けることとなるとは夢にも思わなかった。うぅ…しばらくピンクのものは見たくないな、思い出してしまった。
「っと、どこにしまったんだったかな…たしかフォルダ名は『フェイト、散る』だったはず……あれ?『なのは、大地に立つ』だったっけ……。あった、『すれ違い、空』のフォルダか。これと…このファイルを送信っと」
ビービービー!
「クロノ執務官!仕事です。今すぐブリッジへ!」
「艦長!?了解しました!」
「第38無人世界に魔力反応をサーチ。どうもきな臭いわね…あの世界にはカエルみたいな生物のピョンキチ君以外は生息していないはずよ。魔力反応を持つ生物なんているはずがないのに…。渡航禁止区域だから一般人もいないはず…」
「たしかに怪しいな。魔力量からいって推定AAランクか…俺かクロノがいけばなんとかなるな。どうすんだクロノ?」
「副艦長は残っていてください、僕一人で行きます。最近このあたりの次元世界に次元犯罪者が逃亡した可能性があるらしいので、真偽のほどを確かめてきます」
「わかりました。ですがクロノ執務官、危険と判断したら速やかに帰還すること」
「了解です、艦長」
「たしか反応があったのはこのあたりだったはず…地上には一切魔力痕跡がない…」
どういうことだ?このあたりを少し回ってみたものの、辺りに住んでるピョンキチ君にはおかしな行動は見られなかった……ということはやはり地下か。
「ふむ、なら…S4U。金属反応探知、半径2km」
【Scanning Start】
やはり地下になにか研究施設があるという訳か。こんなところにあるということは違法研究施設の可能性が非常に高い……。ん?東に700mのところに出入口か…少し中を調べる必要があるな…。蛇が出るか鬼が出るか死神が出るか魔王が出るか…もしかしたら美少女(笑)かも…
「フフッ。我ながらアホなことを考えてしまうとは…。いかん、ツボにはまってしまった…ククク…」
「だから(笑)つけんなやぁぁぁぁ!!!!」
「ふぇっ!どうしたのはやて?突然叫びだして?」
「いや、今な?誰かわたしのこと美少女(笑)って言った気がしたんや…。わたし、美少女(笑)やないやろ?な?」
「………」フェイッ
「………」ナノッ
「………キラッ」
「……神は言っている、ここで泣く運命ではないと…。わたし、負けへん…ぐすん」
「結構前に廃棄された場所のようだな…このぶんだと半年以上前だろうか…」
なになに…細胞をもとに元となった人物の再生を試みる…こっちは、戦闘に特化した機人を作り出すためのデザインベイビー…
「ちっ…完全に黒って訳だな。命を冒涜した研究がおこなわれていたってことか!」
いったいこの研究を行う為にどれだけの命が犠牲になったんだ!許さないぞ、絶対に首謀者を暴き出してやる!…ん!?声が聞こえる、例の魔力反応だな!
「クックック…ハアッハッハッハッハ!!!!実に愉快だ!ここまで愉快なものは久しぶりだ!ハッハッハッハ!どうだい?吾輩に命を握られている気分は…ねぇ、どんな気分どんな気分!?ハッハッハ!」
「や…やめてください!ひっ、そこは!あ、あれは…爆弾!?」
「クックック、さよならだ!爆弾に燃やされるか、吾輩のガトリングガンで蜂の巣にされるか選ぶがいい!そして潔く死ぬがいい!ハッハッハ!」
「そこまでだ!次元管理局執務官!クロノ・ハラオウンだ!武装解除しておとなしく……」
ドッカーン!ウワァァ!
「あぁ!ドクター!私の質量兵器マンが死んじゃったじゃないですかー!」
「クックック、君が防弾チョッキに穴をあけてしまったのが敗因だよ。それじゃあ装備できないじゃないか。おや?お客さんかい?いらっしゃい、君も一緒に質量兵器マン4でもしないかい?」
「えっと…次元管理局執務官のクロノ・ハラオウンです。少しお話聞かせてもらってもいいですか?」
「あぁ…今日も疲れた…。もう夜の10時か…、仕事で夜遅くに帰るって…まだ20歳にもなってないのに…がんばれ僕。がんばれサラリーマン。がんばれ世界中のお父さん……。はぁ…今帰ってもはやては寝てしまっているだろうな…。ただいまー」キィ
「おかえりクロノさん!待っとったでー!あんな、今日いろいろ楽しいことやら、なんやらかんやらがあったんやで!ご飯食べながらでえぇから聞いてぇな!」
「………! あぁ、もちろんだとも。僕も今日、なかなか愉快な人たちと出会ってね…まったく、何も玄関で待ってなくてもいいだろうに…」
この笑顔があるからこそ…僕は執務官を続けられるのだろう。きっと。
「つまり執務官とは…今ミッドでもっともなりたくない仕事ナンバー1に輝いている悲しい仕事だ」
「そんなのって…ないよ!私将来どうすればいいの!?」
「笑えばいいと思うで」
「むしろ笑うしかないの」