異世界転移した男性Vtuberが、現実の有名女性V達からモテる話。   作:梯子田カハシ

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第6話 ようこそ王都フィリーアへ‼

 

「ほえ~、あの塔マジで高いな」

 

 

馬車に揺られながら遠くに見える王都の象徴を眺める。俺の両隣にはサラとリアも並んで座っている。

 

 

「あれが世界最大のダンジョンってやつか。なんかバベルの塔ってあんな感じだったのかもな」

 

「あら? なんでハルがダンジョンの名前を知ってるの?」

 

「え?」

 

「え?だって“バベル”って言ったじゃない。それがあそこにそびえるダンジョンの名前よ」

 

「ふーん、そうなんだ」

 

「いや、反応薄いわね。というかリアは寝ちゃったの?」

 

「ああ、さっき寝落ちしてた。」

 

「そう」

 

 

サラは妹の寝顔をみて優しく微笑む。

とっさにウィンクしてサラの笑顔の写真を撮る。あとで来栖に送っとこ。てか、なんでこの姉妹は俺を挟んで座ってるんだ?

 

 

ガラガラというかいう車輪の振動が心地良い。

晴れ渡った青空に朗らかな陽気。リアが眠くなるのも分かる。

 

 

«〜♪»

 

 

通知音が脳内に響く。ディスコの通知音だ。

ステータスを開くと来栖から連絡が来ていた。時間は12時07分。

 

 

「ちょうど昼休憩か。」

 

 

例え今日が月曜日でも異世界に出勤日などない。

今頃、遥か現代日本で汗をかいているであろう同期を想像する。

 

 

---------------------------来栖桃太---------------------------

 

‹[朝霞、今日付の辞令でお前の休職扱いが告示されたぞ。一応PDF送っとくからな。異世界でそんなんみても意味無いだろうけど、確認しとけ。約束通り、籍は残したからな。]

 

 

[まさか異世界で辞令を見るとは思わなんだ。添付ありがと。江崎さんに相談したのか? なんか申し訳なってくるわ。マジでありがとう。]›

 

 

‹[こうして弱みを握るのも人事の仕事やで。まあ、俺も社長室に入るっていうエグイ経験できたから、それでチャラにしたるわ。江崎さんに社長室まで連れてかれた笑]

 

 

[マジか笑。それはエグイな。出世が早まったんじゃねーの?]›

 

 

‹[うるせ。それより天音ちゃん、マジで落ち込んでたぞ。営業フロアでクソでか溜息ついてた。というか特販第一の人達が午前中お通夜モードだった。ちょっと怖くて声掛けれんかったもん。]

 

 

[それはマジで申し訳なく思ってるよ。仕事も引き継いでもらわなきゃだし、空のOJTも全うできなかったしな。空はとっくに戦力だからOJTなんていらないんだけどね。]›

 

 

‹[いや、マジで朝霞ロスって感じだったわ。何なら黒田部長から江崎取締役の所に電話かかってきてたからな。朝霞に何があったんだって。普通に夢空ハルChannelのこと言おうかと思ったわ。]

 

 

[それだけはやめてくれ。申し訳なくは思ってるんだけど、マジで恥ずかしい。]›

 

 

‹[はいはい。それで、そっちは何してるんだ?]

 

 

[まだ馬車の中にいるわ。あと1時間くらいで着くっぽい]›

 

 

‹[そうか。王都に着いたら配信するんだろ? てか、配信しろ。とりあえず昼休憩のうちにAXに告知ツイートしとく。モデレーターはAsari氏に依頼のDM入れとくわ。んじゃ、昼飯食ってくる。]

 

 

[配信は決定事項なのね笑。モデレーターは俺の方から依頼しとくよ。俺が連絡取れるもう1人の友達ってAsariママだから。安心してたらふく飯食ってこい、マネージャー]›

 

 

‹[誰がマネージャーだ]

 

 

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 (メッセージを入力)

-----------------------------------------

 

 

 

来栖《マネージャー》との連絡を終えてステータスを閉じる。

改めて、会社の人達には迷惑をかけたと思う。特に期待して案件を任せてくれた黒田部長や上長達には本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだ。

 

 

「終わった?」

 

 

下を向いた俺の顔をサラが覗き込んでくる。

いきなりなんだよ、カワイイじゃねーか。俺じゃなきゃ惚れてたな。

 

 

「ニヤニヤしてて気持ち悪かったわよ。」

 

 

前言撤回。このケモミミ娘、大人を舐めてやがる。

 

というか、よくよく考えるとサラもリアも年下と思っていたが2人ともいくつなんだ?

 

「なによ、今度は」

 

俺がサラを見ていると、サラもこっちを向いてくる。比較的低めの身長に大きな赤い瞳。赤髪のショートヘアにネコミミ。

 

「いや、サラって多分だけど実年齢より子供っぽい見た目してるよな。」

 

「それって貶してる? 確かにリアよりも背は低いし、年齢下に見られることは多いけど。これでも一応は19歳のレディなんだからね。丁重に扱いなさいな。」

 

あっちから年齢カミングアウトしてくれるのはありがたい。

サラが19歳ってことは2個下のリアは17歳か。どちらかと言えばリアが大人びているんだな。

 

それはそれとして、わざと低い声でサラに囁く。

 

 

「それはレディ、失礼いたしました。」

 

「…やっぱ止めて。普通でいいわ。」

 

 

たわいもない会話をして馬車に揺られる。

徐々に王都の外観も見えてきた。明里ちゃんにチャットだけ入れとこう。

 

 

 

 

 

 

「こんちゃー‼ 王都に向かっている異世界系Vtuber、夢空ハルです。もうすぐ王都に着くので視聴者さんと一緒に王都観光をしようと思います‼ 案内人はもちろんこの2人、サラさん&リアちゃんです‼」

 

「…あんた、ホント、急に元気出すわよね。」

 

「リアでーす。見てるー?」

 

 

【きちゃ‼】

 

【いちこめ】

 

【こんちゃー‼】

 

【サラリア姉妹もいる‼】

 

【リアちゃーん‼ みえてるよー‼】

 

 

…まさかこんなにコメントがあるとは。

告知しているとはいえ、流石に多くないか? いや、ありがたいんだけど。

 

 

「そういえば、昨日の晩飯の写真は見ましたか? 多分AXにアップしてると思うんだけど。いや、マジで美味かった。ダンジョン産の魔物のドロップ肉なんて、現実じゃ有り得ないもん。」

 

 

【あれは美味そうだった】

 

【あのサイズの骨付き肉なんて漫画でしか見ないもんな】

 

【ケバブに噛みつくみたいな感じだよな】

 

【私も食べたい…】@Asari

 

【Asariママww】

 

【夢空ハルの配信にAsariあり】

 

【絶対いるよねw Asariママもよう見とる】

 

 

「Asariママ、乙です。今日はスタッフくんがいないのでモデレーターはアナタだけです‼よろしくお願いします‼ それにしてもマジであの肉旨かったな。サラさん、食材提供ありがとうございました。」

 

「あんたが食べたことないって言うから出しただけよ。」

 

「あれって結構な高級食材だよな? ありがと」

 

「気に入ったなら良かったわ。今度狩場を教えるわ」

 

「お姉ちゃん、急に素直じゃない。なんで? 昨日3人で一緒に寝たのに」

 

「うるさい。ほら、もうすぐ着くわよ」

 

 

サラの指さす先には王都の城壁が見えている。

…ああ、視聴者は見逃してはくれないか。まあ、やましいことなど微塵もないが。

 

 

【一緒に寝た?】

 

【おっと、これは審議ですねえ】

 

【夢空…お前まさか…】

 

【こいつら交尾したんだ‼】

 

【…エッチ】@Asari

 

【今日の切り抜きネタGET】

 

 

「いや、なんもないからな?普通に馬車で川の字になって寝ただけだからな。おい、急にコメント欄盛り上がるなよ。マジで何も起きなかったからな?てか今コメントした奴、お前絶対切り抜くんじゃねーぞ‼ 炎上する未来しか見えん。てか、ユニコーンは異世界の住人に角を生やすな‼」

 

 

【安心しろ。もう燃えてるから】

 

【夢空、許すまじ。俺達のサラちゃんの純情を‼】

 

【夢空よ、年貢の納め時だ】

 

【…エッチ】@Asari

 

【異世界の住人のユニコーンは草】

 

【ユニコーンって異世界の生き物だから】

 

【たしかにww】

 

 

…いや、ホントに何もしてないからね?

さっきから、なんで火はあることになってんだ。

 

 

「ほら、着いたわよ。ハル、さっさと降りなさい」

 

「ハル、ちんたらしない。あと、衛兵に盗賊を突き出す」

 

俺が悪ノリを続けるコメント欄と悪戦苦闘をしているとサラとリアが声を掛けてくる。助かった。というか、今の今まで昨日捕まえた盗賊たちが後ろの馬車に乗ってるのを忘れてた。

 

俺達は馬車を降りると、盗賊たちを回収して街の門に向かう。

街は城壁に覆われており、門の辺りは割と混雑している。

 

 

「ハル、こっちよ」

 

サラとリアはいつの間にか灰色に赤のロゴの入ったジャケットを着ている。

スタスタと歩くサラの前から人が避けるように道を作っていく。…どうしたんだ?

 

 

「このジャケットはクラン“赤鷹の爪”の正規団員の証。私達のクランは強くて有名だから。あと、お姉ちゃんがそこそこ有名人。だからみんな気を使って道を開けてくれる。」

 

「そ、そうなんだ。」

 

 

どんな世界でも強い奴が優先なんだな。世知辛い。

 

てか、サラってそんな有名人なんだ。あんまり気取った態度をしないから意外だ。

 

 

その後、衛兵に盗賊を引き渡して俺達は街の門を潜る。舗装された石畳の大通りと、賑やかな声と商店街。そして沢山の人。

 

先を歩くサラとリアがこちらを振り返る。

 

 

「ようこそ、王都フィリーアへ‼」

 

 

そんな眩しい2人の笑顔が俺を向かい入れる。

…しっかり写真は撮った。若干、ウィンクで応えたみたいで嫌だったけど。

 

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