異世界転移した男性Vtuberが、現実の有名女性V達からモテる話。   作:梯子田カハシ

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第20話 サラリアハルシーナでリベンジ配信‼

 

 

「つ、疲れた…」

 

俺は息も絶え絶えに中心街を歩く。

喉が痛くなるくらいには、視聴者とのプロレスを楽しんだ。

 

 

【ヘロヘロで草しか生えんwww】

 

【ダンジョン探索前にクッソ体力使ってて笑う】

 

【そりゃ1時間もコメントの煽りに全力でツッコんでたらそうなるやろ】

 

【流石に1時間も擦るとネタが切れてくるな】

 

【大丈夫。明日にはまた煽ってるから】

 

【本人的には全然良くなくて草】

 

 

ようやくダンジョンの麓が見えてくる。

やっと、やっと視聴者の煽りから解放される…

 

 

「ダンジョンに入ったら煽りコメントは無しな。正直、俺も反応してあげられないから。別に、コメントに反応するのが疲れたとか、そう言うんじゃないけど、そう言うことで、よろしく」

 

 

【そうか。ならあと数分、全力で煽るのみ】

 

【( •̀ .̫ •́ )✧“元気出せよ、夢空。気分が落ち込んだときは、上を向いて歩こうぜ”】

 

【そう言えば、夢空くん地味に歌ヘタだよね】

 

【分かる。声が良いだけに、中途半端に下手に聞こえる】

 

【音痴って程でもないのが夢空らしいよねw】

 

 

…おおっと、ここにきて音痴イジリがあったとは。びっくりだぜ。

 

ちょっと歩く速度を落そうかな。これは割と言われ慣れてるからノーダメだぜ。

 

 

「あ、着いちゃった」

 

 

視聴者達との悪戦苦闘の末、俺はようやくダンジョン前広場に辿り着く。待ち合わせの11時から30分も早いが、既にサラとリアの姿があった。

 

 

「おーす、サラとリア。2人とも、今日も早いな」

 

「…なんでアンタはそんな疲れた表情してるの?」

 

 

げ、表情に出てたか。思いの外、本当に疲れたのかもしれない。それでも偉いもんで、今は煽りコメントがパタッと減っている。

 

 

「お願いだから…聞かないでくれ…」

 

「えっ? ホントにどうしたの?」

 

「…」

 

「わかったわよ。聞かないから‼ それで、あの後ちゃんとシーナ様を送ったんでしょうね?」

 

「それはもちろん」

 

「そう。ならいいわ」

 

 

サラはそう言うと自分の装備の確認を始める。

スポーツウェアのような服の上に胸当や肘当が付いたサラとリアの装備は意外と露出度が高い。いわゆるシーフ装備ってヤツだ。

 

 

「…なにジロジロ見てるの」

 

「…エッチ」

 

「リアさぁん!! ジロジロなんて見てないからね!!」

 

「見てたことは否定しないんだ」

 

「ふーん…」

 

 

このケモミミ姉妹…怖いです。

そしてサラさん。わざわざ胸を隠してこちらを睨んでいますけど、そもそもアナタは隠すほどのサイズをお持ちではないはずですよ。これには貧乳好き(ミニマリスト)としてニッコリしてしまう。

 

 

「なんか今すっごく失礼なこと思われてる気がする!!」

 

「ソンナコトナイヨー」

 

「ハ〜ル〜? アンタ頭だしなさい。とりあえずぶっ叩いてあげるから。それとも蹴られる方が良いかしら?」

 

「できれば痛くない方で…」

 

「テイッ!!」

 

「いったぁ!!」

 

 

サラのやつ、マジで蹴りやがった。普通に痛え。

いや、そもそも見られたくないならそんな装備にするな、というのは野暮なのだろうか。

 

…そしてコメント欄では何人かのドM視聴者が盛り上がっていた。

 

 

 

「ハルとサラ様は仲が良いのですね。」

 

 

 

その時、背後からシーナの声がする。

振り向くとニッコリと笑顔を浮かべたシーナの姿がある。

 

…あれ? なんか怒ってる?

 

 

【シーナちゃんキタ‼】

 

【これは…嫉妬してる?】

 

【嫉妬とか…ハル×シーナてえてえ】

 

【友達が友達の友達と仲良くしてるの見てヤキモチ焼く感じ】

 

【↑友達がゲシュタルト崩壊するわ笑】

 

【俺はハル×サラを貫くぞ‼】

 

 

…うん、今日もコメント欄は無視でいいかな。

何はともあれ、4人が揃った。さあ、一昨日のリベンジ配信と行こうじゃないか。

 

 

「それじゃ、ダンジョンに入るか。とりあえずは前回中断した7層からでいい?」

 

 

俺の問いかけに3人とも頷く。

同接も今のところ過去最高の3万人台をキープしている。

 

 

「よっしゃ、頑張っていこう‼」

 

 

初見さんにも楽しんでもらえるよう、頑張らなくては。

そんな意気込みを胸に、俺達4人はダンジョン7層へと向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

ダンジョン7層ボス部屋。

俺達は大きめのミノタウロスジェネラルと対峙している。

 

 

「シーナ、スイッチ‼」

 

「はい‼」

 

俺の合図でシーナと立ち位置を交替する。

入れ替わりざまに大剣を振り抜いて、そのまま敵を横一文字に切り払う。

 

 

≪Gyaaaaaaaaaaa!!≫

 

 

ミノタウロスジェネラルの悲痛な叫び声が響き渡る。

そのまま敵は消滅し、宝箱が出現する。

 

 

【全然余裕で草】

 

【早くもっと上の層行って欲しい】

 

【ボス戦はサラリア見てるだけで笑った】

 

【サラリアとハルシーナの各コンビの連携がホント安定してる】

 

【今日なら8層のボス部屋行けるよ‼】

 

【戦闘シーンだけでも全然見てられるな】

 

 

コメント欄の反応も上々だ。

流石に毎日一緒にダンジョンへ来ていただけあってシーナとの連携もうまくいっている。サラ&リア姉妹も上手い具合に俺達に合わせて戦ってくれているおかげで4人での戦闘の練習にもなっている。

 

 

「ここまでは良い感じだな」

 

「そうね。シーナ様もナイスファイトです」

 

「ありがとうございます、サラ様」

 

 

ボス戦は観戦に徹していたサラとリアが近づいてくる。

サラは俺に目を合わせると、ちらっとシーナに目を向ける。

 

 

「シーナ、このまま8層に行って大丈夫?」

 

「…はい、大丈夫です‼」

 

 

サラの視線の意味を何となく察して、俺がシーナに声を掛ける。

恐らく未だにあの日の恐怖はあるだろう。サラの気遣いも頷ける。でも、今日のシーナは一味違った。

 

 

「行きましょう。今日こそ、9層に。」

 

 

そう言ってのけるシーナの表情に恐れはない。

ならば俺達がすべきことは1つだけ。一緒に8層を駆け抜けるのみだ。

 

 

【シーナちゃん、カッコイイ‼】

 

【推しの成長にこそ配信の醍醐味があるよね】

 

【↑わかる】

 

【いよいよ8層のボス部屋か…】

 

【シーナちゃん、頑張って】@夢空ハル

 

【スタッフ君、シーナちゃんにデレデレで草】

 

【ハルくんもがんばれ‼】@Asari

 

【Asariママって、ほんとブレないよねw】

 

【みんな頑張れ。】

 

 

 

8層に移動して十数分、俺達は8層のボス部屋の前にいる。

ここまで最短ルートで突っ切ってきため、ほとんど時間を使わずにここまでこれた。

 

 

「あらかじめマッピングしておいて良かった。こういう時に役に立つからマッピングは怠らないに尽きるぜ。別に、全部を把握しないと気が済まないとか、全然そんなんじゃないからな?」

 

 

【いや、アンタは絶対そうでしょww】

 

【あんだけ隅々まで調べてたヤツが何を言ってるんだよ笑】

 

【片親がA型とはいえ、これでO型とか意外でしかないわ】

 

【この子は仕事になると急にA型の血が騒ぎ出すタイプなんです】@夢空ハル

 

【たまに仕事中は性格変わる人いるよね】

 

【おっ、ついに8層のボス部屋に入るのか…】

 

 

コメント欄を尻目に俺は8層ボス部屋の扉に手を掛ける。

 

嫌な緊張感が胸を撫でる。これまで俺とシーナがここに挑まなかったのは、シーナに気を遣っていたこと以上に、実は俺がこの感覚を恐れていたからだった。

 

 

「行くぞ」

 

 

自分に言い聞かせる様に呟いて、腕に力を込める。

 

ギシギシと音を立てて扉が開かれる。一瞬、扉上部が赤く光る点が見えたような気がした。

 

 

【こっちも緊張してきた】

 

【がんばって】@東雲マリア

 

【マリアちゃん‼】

 

【やば、マリアちゃんも見てるのか】

 

【夢空、漢の見せどころだぞ‼】

 

【ドキドキ】@Asari

 

【応援してるぞ‼】

 

 

…志真も見てるのか。ますますカッコ悪い所を見せられないな。

 

嫌な予感なんて、とっくに感じ取っている。それでも、俺達は、今、進まなきゃいけないんだ。

 

 

≪Gyaaaaaaaaaaaaaooooooooooooo‼≫

 

 

目の前には3体のコボルドキング。

ああ、何となくそんな気はしていた。思わず口角が上がる。

 

 

「サラ、リア、シーナ。ちゃっちゃと片付けよう。」

 

「はい。」

 

「もちろん」

 

「…わかってる。ハル、気付いてるよね?」

 

 

リアが俺を覗き込んでくる。流石、この子は勘が鋭い。

 

ああ、笑いが止まらない。そんな俺を見てリアも覚悟を決めたようだ。

 

 

「さあ、行こう。」

 

 

血が滾る。

俺は対峙する3体のモンスターの遥か奥でこちらを見ている赤い瞳を睨み返す。

 

 

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