異世界転移した男性Vtuberが、現実の有名女性V達からモテる話。   作:梯子田カハシ

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第23話 弔い合戦の是非について(織音ベル視点)

 

《それでは戦闘ハイライトはここまでですっ‼ 現状、拠点数はアリアリが4拠点、ミディアックスが2拠点。兵士数はアテナイの方が多いです‼ まだまだ戦争はここからっ‼ みなさん頑張ってください‼》

 

「……っ!!」

 

 

コラボ配信のMCを務めるカナタちゃんのアナウンスに私、織音ベルは下唇を嚙みしめる。自分の判断ミスで後輩を開始早々に敗退させてしまった。ハイライトを見る限りでは見せ場は作れていたから良かったけど……

 

 

「リンちゃーん」

 

《はい。ベルお姉様》

 

「やり返さないとね」

 

《……そうですね。私も、視聴者さんも、このまま黙っている訳にはいきませんから》

 

 

今回の配信に参加しているもう1人の後輩であるリンちゃんに声を掛ける。

リンちゃんも視聴者さんの戦闘意欲を感じているようで、反撃に前向きな返事が返ってくる。なんせ相手は“ミディアックスの天敵”である星織カグヤ。絶対に負けたくないし、こうなってしまった以上は感情論的にも、エンタメとしても後輩の弔い合戦をしない訳にはいかない。……まずは状況把握から。

 

 

「そうだね~。でも、取られた拠点を攻めるのは対策されてる気がするんだよね~」

 

《現状、兵士数は私達の方が多いはずですし…どこかの拠点は取り返さないと…》

 

 

カナタちゃんも言っていたけど拠点は取られているけど兵士数はミディアックスの方が多い。だから、どこかの拠点さえ取り戻せれば勝負に勝てる。問題はどの拠点なら兵士数を消耗しないで抑えることが出来るか。そのために、アリアリ側の動きを把握したいところだけど……

 

 

「…そう言えば、出撃していたはずのマリアちゃんの軍隊はどこにいるんだろ」

 

《…確かに。【偵察】で確認しますね》

 

「あれ、リンリン【偵察】使ってなかったっけ?」

 

《…使うのがもったいなくて、目視で見に行ってたんです》

 

「そーだったんだ。リンリン、大胆だねえ」

 

 

リンちゃんの偵察を待っていると、ちょうどスズちゃんの拠点から戻ってきた兵士、もとい視聴者さんが到着して拠点に戻ってきた。これで私とリンちゃんの兵力はそれぞれ2,100人の合計4,200人になる。対するアリアリの方は星織カグヤさんと東雲マリアさんが1,100人ずつ、スズちゃんと戦った一宮リリアさんが500人で、合計2,700人になるはずで……兵力だとウチが圧倒的に有利。

 

ただ、アリアリ側は拠点防衛だと戦闘力が2.25倍になるから純粋な兵士数で比較はできないし……やっぱり手薄な拠点を抑えて守り切る作戦しかない。

 

 

《え?》

 

「どしたの?リンリン」

 

《東雲さんですけど、ちょうど私達の真横の海を北に進んでいます》

 

「兵士の数は分かる?」

 

《……表示は、600人です。東雲さんが直接指揮してますね》

 

「これは、どうしようかな……」

 

 

最初の一宮リリアさんの攻撃がアリアリの作戦通りなのであれば、東雲さんが率いる600人の部隊が向かっているのは……多分だけど一宮さんが出撃して空になっている拠点の防衛が目的なんだと思う。逆に東雲さんの拠点では指揮官不在の500人の兵士が防衛していることになるんけど……その後ろの拠点には、あの“星織カグヤ”が控えている。

 

 

《……お姉様、どうしましょう》

 

「落ち着いて考えたいけど……このまま東雲さんが北の拠点に向かうのを見逃すのも嫌だよね」

 

《そうですね……》

 

「今から追いかけて追いつけるかは分からないけど……海の上で追いつければ私たち(アテナイ)が圧倒的に有利だし、拠点も取り返せる」

 

《海の上なら東雲さんが引き返してきても兵士数の消耗が大きいのはアリアリ側ですね》

 

「とは言っても、東雲さんが拠点に辿り着いても占拠できるだけの兵士数は必要よね……」

 

 

独り言のように呟いて、私はスマホの電卓アプリを叩いて計算をする。

 

北に向かっている東雲さんの兵士数が600人。陸地戦バフと拠点防衛バフが掛かると兵士数×2.25の戦力になるから……東雲さんが600人で守る拠点を占拠するのに必要な戦力は1,350人以上。

 

現状の私たち(アテナイ)の兵士数は私、織音ベルとリンちゃん各々2,100人を合わせた4,200人で、アリアリ側の兵士数は北に向かう東雲さんの600人と東雲さんの拠点に残った500人、スズちゃんの拠点を落とした一宮さんの500人、そして星織カグヤ本隊の1,100人の合計2,700人。

 

 

《お姉様、攻めましょう。スズちゃんの拠点が取られた以上は、取り返すしかないです》

 

「そうだね……だけど、今ある拠点も守らなきゃいけないよ?」

 

《そ、そうですね……》

 

「仮に星織さんが全軍で私たちの拠点を攻めてきたとして、防衛するのに最低で1,100人は必要だから……東雲さんを攻撃できる兵士数は……多くて2,000人」

 

《東雲さんが拠点に入っても十分に取り返せます!!》

 

「うーん……そうなんだけど……」

 

 

そうなんだけど、不安がぬぐい切れない。

 

その理由は明らかで、背後で不気味なほどに全く動かない星織カグヤ軍1,100人がいるから。もし、星織カグヤが東雲さんの拠点防衛軍500人と合流して攻めてきたら、防衛に必要な戦力は1,600人に跳ね上がる。そうすると、東雲さんを攻めるのに割ける兵力が1,000人にまで減ってしまう。

 

かといって、こちらから南側のスパルタ拠点を攻めればバフの影響で兵士を消耗するだけ。東雲さんの拠点に星織カグヤから援軍があった場合には、拠点の占拠すら出来ないかもしれない。

 

 

《お姉様、東雲さんの移動部隊が行ってしまいます!!》

 

「……これ以上は悩んでちゃだめだよね」

 

 

拠点を取り返さなければいけない以上は、確実に占拠できる方を選ぶしかない。だとすると、東雲さんが入城する一宮さんの拠点600人を1,350人以上で攻め切る作戦が拠点奪還の確率が高い……はず。

 

 

「……うん。東雲さんを追いかけよう」

 

《はいっ!! スズちゃんの敵討ちです!!》

 

 

嬉しそうに返事をする事務所の後輩を頼もしく感じつつ、深呼吸をする。

今回こそ星織カグヤを倒す。その意気込みとともに、私はキーボードを叩いて指示を入力するのだった。

 

 

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