異世界転移した男性Vtuberが、現実の有名女性V達からモテる話。   作:梯子田カハシ

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第25話 東雲マリア、開戦の時

 

「さあさあ、盛り上がってまいりました!!」

 

 

【反撃じゃー!!】

 

【リンリンいったれ〜】

 

【参加中のマリアファン、お嬢を頼む……!!】

 

【今度はリンリンとマリアちゃんの戦いか】

 

【それぞれの箱の再推し同士が戦っとる……】

 

【ミディアックスの底力を見せるとき!!】

 

【がんばれ!!】

 

 

コメント欄の反応に満足しつつ、私、赤城カナタは今回のコラボ用ディスコルームにメッセージを打ち込む。そして、配信者ルームのミュートを解除してから……再び声を発する。

 

 

「北の拠点へと移動中の東雲マリアさん率いる600人のスパルタ船団を真琴リンちゃん率いる1400人のアテナイ船団が追いかけています。このまま進めば第2の戦場はスパルタ拠点Ⅲでの攻防戦になりそうです!! ………それでは、そんなお2人にインタビューをしたいと思います!!」

 

 

《はい、真琴リンです》

 

《東雲マリアです。リンさん、対戦よろしくお願いします》

 

《ふふふっ…東雲さん、追われている立場なのに余裕そうね?》

 

《当然です。負けるつもりはないですから》

 

《……そう。ただ、こちらも負けないわ。末妹の仇は取らせてもらうわ》

 

《望むところです。受けて立ちましょう》

 

《……貴女のそういう性格、嫌いじゃないわ。戦争が終わったら、またコラボしましょう?》

 

《その前に、まずは……ぶっ倒します!!》

 

《ええ。……それでは、またあとで》

 

《はい。それでは》

 

 

2人がミュートにして会話が終了する。

 

私も配信者ルームのマイクをミュートに変更して、改めて実況モードに移る。まずは全体概況の説明と……その後は北の攻防戦へのフォーカス、かな。

 

 

「それでは、あらためて状況を整理しましょう。現在、スパルタ拠点Ⅲに向かう東雲マリアさん率いる600人のスパルタ兵を真琴リンちゃん率いる1,400人のアテナイ兵が追いかけております!!」

 

 

アナウンサー風の実況で視聴者さんを煽る。案外こういうのもいけるもんだな〜なんて思いつつも、私は配信画面には映らないゲーム画面の地図上での一宮リリアさんの動きを確認して……あえてそれを無視する。

 

リンちゃんには申し訳ないけど……カグヤの戦略に水を差すのはMCとして本意ではない。

 

 

「一方、南側ではアテナイ側の織音ベルちゃんが自身の拠点で1400人の兵士を備えて待機、出撃中の真琴リンちゃんの拠点でも織音ベルちゃんの部隊を加えた1,400人の兵士が控えています。そして……同じく出撃中の東雲マリアさんの拠点には500人の兵士で防衛を固めて、そして最南のスパルタ拠点には星織カグヤさんが1,100人の兵士とともに控えています。両軍の大将である織音ベルちゃん、星織カグヤさん、ともに未だ動かず!! 拠点数はアテナイ側が2つ、スパルタ側が4つ。さあ、ここから戦局はどのように動くでしょうか!?」

 

 

【いよいよだ……!!】

 

【マリアちゃん頑張れ】

 

【戦力差的にここはリンリンが勝てそうだね】

 

【とりあえずマリアちゃんは拠点まで逃げ切りたいな】

 

【やば、ドキドキしてきたわ】

 

【両軍のトップが動いていないのか……これは最終決戦あるか?】

 

【動いてない星織カグヤが不穏すぎる】

 

【あかん、寒気がしてきたわ……】

 

 

いよいよ第2戦目が始まる。

 

今のところ序盤のサプライズがあり、その後の各陣営の動きがあって、その流れで第2の戦闘と、途中で配信が停滞するようなことはなく進行できている。あとはアテナイ、ことミディアックス側が勝てれば良いのだけど……現状ではカグヤの作戦に乗っかる形になってしまっている。

 

普通に考えればアリアリ側は4つの拠点を守りきれれば良いわけだけど……配信の出来を気にするのは私もカグヤも、まあ配信者であれば同じ。だとすれば、ここまで一切動いていないカグヤが動き出してもおかしくない。

 

……ベルにチャット入れとこうかな。

 

 

▼ △ ▼

 

 

「よし、追いつかれずに済んだ」

 

 

リリアちゃんの拠点に到着した私、東雲マリアは安堵感とともに城門の中へと入っていく視聴者さん、ことスパルタ兵達を眺める。海側を見れば真琴リンさん率いるアテナイ船団も迫ってきている。

 

まだリリアちゃんは到着してないけど……先に戦闘が始まっちゃいそうだなあ。そんなことを思いながら、私は最後のスパルタ兵が城門を潜ったのを確認して、小さく息を吸い込む。

 

 

「城門を閉めますよ~。ここからは私達の出番です!!」

 

 

櫓に登って上陸して拠点へと迫ってくるアテナイ兵士を見下ろす。

 

敵兵は1,400人で味方側は600人。拠点防衛バフがあっても普通に戦えば苦しい戦闘だけど、そこまでの緊張感はない。それは、練り上げられた作戦と、リリアちゃん、そして視聴者さん達への信頼から来るものなんだと、そう思う。

 

 

「みんな、いつもありがとう。絶対に勝とう」

 

 

思わず零れたのは感謝の気持ち。

 

視聴者さん、特に今回の戦闘に参加しているメンバーシップに登録してくれている視聴者さん達は、自分に自信を持てなかった私を支えてくれた人達。お兄ちゃんの件で炎上した時も、その後も、私が地に足を付けて活動できるのも、今一緒に戦っている人達が背中を押してくれたから。だから期待には応えたいし、絶対に負けたくない。

 

 

 

「弓兵(アーチャー)、構えてください……」

 

 

ヘッドホンから聴こえる押し寄せてくる敵兵の足音が大きくなる。

敵兵の先陣が弓の射程圏内に入って……まだ、あともう少し…………

 

 

「ファイアー!!」

 

 

私の号令とともに一斉に放たれた矢が雨のように降り注いで、敵兵のHPメーターが削られるのを確認して少しだけ口角が上がる。先制攻撃は成功。後は城門を死守して、それからは白兵戦。いよいよ、待ちに待った戦闘タイム。

 

配信者としては正しいんだろうけど、女の子としては好戦的すぎるかもしれないなあ。そんなことを思いつつも私は自分のアバターを操作して城門に押し寄せる敵兵の中から真琴リンさんのアバターを探す。

 

 

「まあ、流石に射程圏外にいるよね……っ!!」

 

 

敵陣後方に見えたそれらしきアバターに向かって矢を放つ。

射程の外にいる真琴リンさんに弓は届かないけど、意志表示みたいなものだから関係ない。

 

 

「……私もだいぶカグヤさんやリリアちゃんに染まったなあ」

 

 

そんな呟きしつつ、画面に表示される東雲マリア(わたし)は楽しそうに笑っている。

そろそろ城門が破られそうなのを確認した私は地上に移動して武器を剣と盾に持ち替える。

 

こんな時、お兄ちゃんなら「せっかくの大舞台、楽しまなきゃ損」なんて言うだろうなあ。普段はお兄ちゃんのそんな発言を横で聞いて呆れているけど、私も今は同じ気分。……なら、とことん楽しまないとね!!

 

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