光を渇望する巨人の旅路【裏】   作:謎の食通

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更新する予定はなかったのですがメッセージで三次創作じみたファンレターが送られてきたので、そのお礼も兼ねてアップしました。

プロットも殆どガリガリに削れているのでよほどのことがない限り続かないと思います。


神代への移ろい

超古代文明の滅び、それは人々の生活だけでなく地球そのものにも影響を及ぼしていた。アルズラットを消し去りサハラを生み出した次元力の暴走は、地球の環境という現象に意思を与えた。

その意思を得た存在は自然現象を思いのままに動かし、強大な力の塊だった。

 

その存在に一夜にして文明を失い困窮していた人類は、縋りついた。そして、しばらくして、その存在は、彼らは、こう呼ばれるようになった。

 

神々と。

 

 

 

***

 

 

 

かつての高度の文明から想像できないお粗末な家屋で出来た街中をユーゼスは歩いていた。

 

「ふん、ここも神の支配下か。やむを得ないとは、いえな」

 

超古代文明にて目的の技術を手に入れた彼は、神々というものに自身の野望とは関係なく単なる学術的興味を持った。それ故、文明崩壊からそこまで離れていない時代で観察していた。だが、その時代は彼にとっては不愉快な事ばかりだ。

 

「・・・これでは単なる神々の奴隷・・・いや、玩具では無いか。あの勇気と希望を持った地球人の祖先がこれとは、本当に嘆かわしい

 

ユーゼスは溜息を吐く。超古代文明から神代に移行して人類の立場は劇的に変わった。神々の気まぐれで祝福を受け、気が変わったら災いを授ける。まさに天災が具現化した存在が起こすに相応しい事ばかりだ。

 

自身より美しい人間が居たら蜘蛛の怪物にする。美しい人間が居たら旦那が居ようと娶る。自由と発展を求め既存の法から脱却しようとした存在を悪と貶める。

 

無論、それが全てでは無い。人間と穏やかな付き合いをしている神々が居る。人間を愛した神が居る。慈愛を持つモノが。正義の心を持つモノが。

 

だが、ウルトラマンという神が如き力を持ったヒトを、スーパーヒーロー達を知るユーゼスにとっては、不満でしかなかったが。

 

 

「そもそも、だ。一つの惑星にこれほどの文化が発生するのは、おかしい。これでは一つの星に幾つもの惑星国家が存在しているようなものだ」

 

彼は、地球人の少年でありユーゼス・ゴッツォでもありダークザギでもある。そこで彼は地球人の常識ではおかしいと思わなかった事柄の異常に今気づいたのだ。

 

「この星で統一国家が再び誕生するには、それこそ複数の惑星からなる星間連合を結成するのと同程度の苦難が発生するのは当然だな。ましてや、同じ星の住人にもかかわらず争うのも必然、か」

 

ユーゼスの知る星間国家は、大抵が単一、もしくは2つの文明を持った星々が殆どだ。それに比べ地球に存在する文明は大きく分けれて4っつある。だが神話体系も含めるとその数は倍以上に膨れ上がる。

 

だからこそ、地球侵略に来た異星人が宇宙にある程度進出できる地球人を見下すのは100以上の国家に分かれて惑星統一出来ていないから侮られているのだ。

もっとも、地球人同士争っていた事により地球人は高度な文明を生み出すことを可能としていながら戦闘民族の性質を得てしまったので、侵略を跳ね返す力とはなったが一部の宇宙人から警戒されることになる。

 

「そこのお兄さん!」

「ん?私の事か」

 

声の方向に振り向く。そこには露店を開いている青年がにこやかに笑いながら座っていた。

 

「そうそう。これ、今日取れたばかりの果実さ。お兄さん、旅の人だろ。一つどうだい?」

「ふむ・・・」

 

青年から受け取った果実は瑞々しかった。少し喉が渇いていたのでなおさら食欲をそそる。

 

「頂こう。・・・そうだな、これで良いか?」

「どれどれ?・・・スゲエ、おい、お兄さん、こいつはいったい何なんだい!?まるで太陽みたいにピカピカ光ってるじゃないか!貝よりも奇麗だぞ!!」

 

ユーゼスが果物を買うために差し出した金貨を見て青年は興奮したように騒ぐ。

 

「金を知らず、貝か。・・・文明の後退著しいな」

 

貨幣が貝殻から始まったのは知っていたが、かつての高度な文明からの落差に哀愁を隠せなかった。

 

「へえ、これが金って言うものか!爺様の話では諏訪様ですらそんなに持ってない超貴重なモノだよな!初めて見たぜ」

 

もっとも目の前の青年のご機嫌さを見るとどうでも良くなってきたが。

 

「諏訪様・・・この国の王を兼ねた神・・・様だったな」

「おうミシャグジさまの諏訪様だぜ。怒らせたら怖いが俺達には優しい母親のような神様よ」

 

ユーゼスは青年に謝辞し、その場を離れた。あたりに広がるのは、人々が笑顔で暮らしている姿だ。あの文明が崩壊し彷徨うしかない絶望溢れる姿に比べればまさに天と地ほどの差がある。

 

(なるほど、信仰心は高いようだな。だが、それでも)

 

民は神を崇拝し、神は民を庇護する。この国はそう回っていた。

 

「生贄なぞ望む神など邪神だ」

 

もっとも、この時代の神らしく供物を所望しているのは、ユーゼスには気に喰わなかった。

 

「へえ、結構な言い方じゃないか、お客人」

「っ!?」

 

突然、後ろから聞こえた声に振り向く。そこには、金色の髪をした童女が、童女の姿をした神が居た。

 

(いつの間に!?いや、違う!奴とって、この国自体が自分の体なのだ。そう目の前の)

 

自身のセンサーのログを漁り、どうやって目の前でにこやかに微笑んでいるように見えるこの神が現れたのか察する。

 

「この国で私を悪し様に言う、祟りが恐ろしくないかな?それじゃあお前の旅はここで終わってしまうよ」

 

この国は彼女の支配領域だ。だからこそ、そこで起きている事柄は知りえるし、自身の領地なら瞬時に移動することも可能なのだと解析した。

 

(洩矢諏訪子にとって!)

 

先ほどまで顔に映っていた笑顔は瞬時に消え、鋭いまなざしとプレッシャー・・・神威をユーゼスにぶつけてきた。

 

「それでお前はいったいどこから来たんだい?」

「・・・ムー帝国だ」

 

現在、ユーゼスが拠点にしている国の名前を答える。

 

「ああ、あの罪人どもの国か」

「罪人だと?」

「そうさ。自らの力を驕り世界を滅ぼしかけた罪人たちの生き残りが作った哀れな空飛ぶ箱庭。違うかい?」

 

ムー帝国。かつて、学術都市アルズラットの崩壊から奇跡的に文明を保持したまま生き残った者たちによって作り上げられた国だ。国土は、未完成のまま放置されていた外宇宙移民船を利用して作られた空中大陸だ。

 

「・・・ムー帝国が前文明の遺産の継承者であるのは否定はしないし、その評価も受け入れよう」

「ほう。罪人にしては物分かりが良いじゃないか。言いぐさは不敬極まりないけどね」

 

ムー帝国は、滅びを巻き起こした文明を継承している故に数多の神話勢力から敵視されていた。大規模な戦争こそは起きていないが散発的な紛争は今も起きていた。

まあ、当然だろう。方や地球を滅ぼしかけたモノ、方や地球の支配権を奪い取ったモノなのだから。

 

「それでお前はどうした我が王国へと来た。疾く答えよ」

「見分を広めるための旅だ。厄災により変わった世界、それを自分の目で見たいと思ったからだ」

「なるほど、で?その欲に曇った眼で何が見えた?」

「人の営みだな」

 

ユーゼスは改めて諏訪王国の人々に視線を向ける。

 

「かつてと比べると赤ん坊レベルへと退化しているが、人々はそこで生きていた。保護者同伴とは言え、生きているのだな」

「そうさ。子供たちは私たちが責任を持って育てているのさ。だから、君の居場所はここには無いんだよ」

「そう、らしいな」

 

いかに文明が低くてもいかに神の暴威があろうと、そこで人は生きていたのだ。それでうまく回っているのだ。なら、そこに手を出すのは、余計なお世話、だとユーゼスは思った。

 

「それじゃあ・・・」

 

諏訪子はユーゼスに手を差し出す。

 

「・・・その手は?」

「神様には供物を捧げるものだよ?さっき私の子らに上げたもの私にもちょうだい」

 

ユーゼスは頭痛を感じたが、ここで断るとややこしい事になるというか、確実に命に係わる物騒になる事が明々白々だったためおとなしく持ち金の半分を差し出した。

 

「・・・」

 

金貨の山を諏訪子の両手にジャラジャラと落すが、小さそうなその手から金貨が零れ落ちる事は無かった。

 

「ども~、じゃあ一泊ぐらいは許してあげよう。ただし日が明けたら沈む前に国を出るんだよ」

 

目の前で諏訪子は霞むように消えた。恐らく先ほどの金貨を自分の倉に入れるか、アクセサリーに改造するなりでもするのだろう。

 

 

それを見届けたユーゼスは、歩みを進める。

地球を、美しい星を見るために。

 

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