BLUE ARCHIVE -1.0   作:あたー

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お久しぶりです。14話です。
ゴジラ生誕70周年、ゴジラ-1.0公開1周年おめでとうございます!
本当は11月3日に投稿したかったけど間に合わなかった…
今回久しぶりに呉爾羅さん出てくるから許して…
誕生日というと百鬼夜行のフィーナも同じ誕生日デシタ!勿論ボイスは聞いたよ!








最悪の■■

 眠りに付いていたサキは、どこからか聞こえてきた地鳴りのような音と悲鳴で目を覚ました。

 体を起こして周りを見てみると、視界に入ったのは草の生い茂った地面に薄暗い夜空、それを煌々と照らす炎の海だった。

 すると、炎の中からあの時の漁師達がこちらへ向かって必死の形相で逃げてきた。

 

「なんてことをしてくれたんだよ!!」

「お前のせいでこんなことになったんだぞ!!」

「逃げろ!逃げろ!」

 

 こちらに罵詈雑言を浴びせながら周囲を走り去っていく漁師達を呆然と眺めていると、最後にとても見覚えのある人物が姿を現した。

 

「”サキ。”」

「先…生?」

 

 炎の中から現れた先生は、いつもと同じ優しげな表情のまま話し掛けてくる。

 

「先生!!私…私が失敗したせいで…ごめん…!あの時、最初から先生の言うことを聞いていれば…。ごめんなさい…。」

 

 サキは思わず立ち上がると必死の思いで先生に向かって謝罪を述べる。

 相手がもうこの世にいない人間だということなど分かっている。

 だが謝らずにはいられなかった。先生が目の前にいるなら、例えそれが幽霊でも幻でも関係なかった。

 しかし。

 

「”いまさら謝っただけで許して貰えると思ってるの?”」

「え…。」

 

 先生の言葉を聞いたサキは頭が真っ白になった。

 そんな彼女を気にも留めず先生は話続ける。

 

「”私は最初に言ったよね?何もしなければこのまま帰るから見逃そうって。なのにわざわざ攻撃しようって言ったのはサキだよ?”」

 

「”君の自分勝手な考えを優先したせいで取り返しのつかないことになってるんだよ?わかってる?”」

 

 先生の言葉がサキの精神を抉る。

 そして次に発した言葉は彼女を絶望のドン底に突き落とした。

 

「”サキ、君のせいで私は死んだんだよ。”」

 

 それを聞いたサキは全身の力が一気に抜け落ち、膝から地面に崩れ落ちる。

 やっぱり先生は自分を許してなどいないのだということを突きつけられ、思わず俯いて先生から顔を背けてしまった。

 そんな彼女に向けて先生の口撃は続く。

 

「”私、今でも納得できていないよ?私だけが死んで、人殺しが図々しく生き残ってるだなんて。”」

「”お前(・・)みたいなヤツを生徒に持ったばっかりにこんなことになっちゃってさ。”」

「”しかも今、みんなにも嘘をつき続けてるでしょ?お前が本当の原因なのに、周りからは悲劇のヒロイン扱いされてさ。どこまで意地汚いの?”」

「”私はもう、オマエを自分の生徒だなんて思わないから。”」

 

 先生の発言が次々とサキに突き刺さる。

 彼女にとっては総じて事実を突き付けられているだけに他ならなかった。

 放心状態のまま再び顔を上げ、先生の顔を見る。

 だがその顔は先程までと違いぐちゃぐちゃに潰れたものになっていた。

 それは、大戸島で見た先生の死体の顔そのものだった。

 サキのトラウマがフラッシュバックする。

  

(全部、全部私のせい…)

 

 サキの心は今にもへし折れそうになっていた。

 そして、最後に最悪の絶望が現れた。

 

 ズシンという轟音と共に先生が巨大な黒い物体に踏み潰される。

 それの正体が何かなど、忘れる筈が無い。

 恐る恐る見上げると、唸り声を上げながらこちらを見下ろす呉爾羅と目が合った。

 その顔面には無数の傷痕と血が固まった痕が残っている。

 あの日の攻撃によって負った傷だ。

 

「あぁ…うわああぁぁぁッ!!」

 

 それを見たサキは恐怖と絶望に打ちひしがれながら悲鳴を上げることしかできなかった。

 

 

 

 

「はッ!…はぁ、はぁ…。」

 

 目を開けると、そこは見慣れたテントの中だった。

 心臓が激しく脈打っているのが分かる。

 思わず周りを見回した。既に目は覚めている筈なのに、夢で会った先生の気配がこのテントの中にも充満しているような気がした。

 

「サキ?大丈夫ですか?魘されていましたよ。」

 

 横から声を掛けられる。

 視線を向けると小隊の3人が心配そうな表情でこちらを見ていた。

 

「魘されてた…?私、またみんなに迷惑を?」

「そんなことはどうでもいいです。一体どうしたんです?何か悪い夢でも見ましたか?」

「ゆ、夢?…あれが、夢?…只の夢…本当に…?」

 

 あれは只の夢。自分にそう言い聞かせるが、あれは夢と言うには余りにもリアルで、あの生々しい先生の気配が、呉爾羅の存在感が今もまったく自分の中から消えていない。まるで今見ているミヤコ達が都合のいい平和な夢で、逆に夢で見た大戸島の惨劇が現実なのではないかと思えてしまう程だった。

 

(…いや、あれは夢じゃない。)

 

 夢ではない。

 考えてみれば、宇宙から生身で落下してきたのに奇跡のように帰ってきたのが先生である。

 きっとまだここに『居る』。

 先生はまだ消えずにこの世に残り続けている。大切な生徒達への未練と自分を死なせた犯人(サキ)への恨みを残して。

 そして自分が接触できる場所に彼女が戻ってくる時を虎視眈々と待っているのだ。

 そう考えると、余計に今いるこの場所の実在感が酷く薄れていく気がした。今見ているこの景色もまだ夢の中で、またここにも先生が、呉爾羅が現れてこの場所も破壊されるのではないか?と。

 

「それとも、ここが夢か?」

「…何を言ってるんですか?」

「なあ、ここはいつもの公園だよな?周りに海は無いよな?みんなは本当に生きてるんだよな?なあ!?」

「え、え!?ど、どうしたんです!?」

 

 目の前にいる仲間達が実在するものであることを確かめたい一心でサキはミヤコに抱きつく。

 予想だにしない行動、しかし怯えた様子のサキに乱暴する訳にもいかずにミヤコはそのままされるがままになっていた。

 

 

 

 

「お水、飲める?」

「…ありがとう。」

 

 しばらくして落ち着きを取り戻したサキにミユが水を渡す。

 

「落ち着きました?」

「ああ。ごめん、また迷惑を掛けて…。」

「いいんです。それよりも私達はサキのメンタルのほうが心配です。」

 

 ミヤコにそう言われてサキは黙り混む。

 みんなは心配してくれているが、今の自分にそんな権利など無いとサキは思っていた。

 結局、あの時の選択がもたらした結果など、呉爾羅が怪我を負って自衛戦闘に迫られ、先生が命を落とし、キヴォトス全体に深い悲しみと喪失をもたらしただけだった。

 そんな自分が他人から気遣われる権利などある筈がない。

 先日のワカモと今日のカズサから言われたことはキヴォトス中の生徒全員の総意を代弁したものに他ならない。

 SRT隊員という御大層な肩書きを持っていながら実戦では何も成せなかった役立たず。

 そしてたった今先生から言われた言葉。

 罪の原因を全て呉爾羅に押し付けて今も被害者ぶっている卑怯者。

 そんな奴に居場所などない。どこにも。

 それなら、私がすべきことは。

 

(ああ、そうか。)

 

 心配する皆を他所にサキは保管している武器からサバイバルナイフを取り出す。

 そして自分の首につき立てようとして…。

 

「何してるんですか!!」

 

 突然横からミヤコに手を掴まれる。

 

「離せ!!」

 

 それでも尚自傷を止めようとしないサキを見たミユ達もミヤコに加勢する。

 3対1という状況ではサキに勝ち目は無かった。

 ナイフを取り上げられ、取り押さえられる。

 

「サキ…一体何を考えてるんですか?」

「うぅ…」

「自分に刃物を突き立てるなんて何を考えてるのかと聞いてるんです!!」

 

 今まで見たことが無い程に怒りを剥き出しにしたミヤコが叫ぶ。

 怒鳴られたサキは何かに怯えているかのように震えながら答えた。

 

「私は生きてちゃいけない奴なんだ。」

「どうしてですか?」

「私が、私が先生を殺したから…。」

 

 ミヤコはそれを聞いて思わず辟易する。退院した日から何も変わっていないどころかより酷くなっていることに。

 それでも、ミヤコはサキのことを諦めたくなかった。

 

「サキ、何が貴女をそんなに苦しめているんですか?」

「…」

「貴女はずっと自分が先生を殺したと言っていますが、私達は貴女自身の口から何があったかをまだ聞いていません。少しだけでも、話してもらえませんか?」

 

 ミヤコはサキにずっと考えていたことを尋ねる。だがそれに対するサキの返事は、以前と変わらなかった。

 

「……」

「…やはり私達には話してもらえませんか?」

 

 やはりサキは自分からは話そうとしてくれない。

 だがミヤコ自身、そうなってしまった理由には思い当たるものがあった。

 最初に病院で再会した時、ミヤコはサキの言葉を聞いて彼女に掴み掛かって怒鳴ってしまった。

 それ以降、サキは小隊の皆に本心を隠して一人で抱え込むようになってしまったのだとミヤコは思っていた。

 ミヤコ自身こうなってしまったのは自分のせいだ、という後悔の念で一杯だった。しかし今の自分達だけでは何も解決できないのもまた事実だ。

 故にミヤコはある決心をする。

 

「サキ、明日貴女を病院に連れていきます。これは隊長命令です。」

「え?」

「貴女は当初時間を掛けて気持ちを落ち着かせれば大丈夫になると、そう言っていました。ですが貴女の状態は日々悪化するばかりです。今日に至っては自傷行為まで…。もうこのままにはしておけません。」

「…」

「私達が貴女の力になれないなら、然るべき所で診てもらうしかありません。いいですね?拒否は認めませんよ。脱走しようだなんて考えても無駄です。私達も、それに先輩方からも見張ってもらいますからね。」

 

 ミヤコがそう宣言すると、サキを拘束していたミユとモエが取り押さえる力を強める。

 この場に自分の味方はいない。

 そう悟ったサキは抵抗を止めて隊長の命令に大人しく従うのだった。

 

 

 

 

-同じ頃-

~連邦生徒会 非常対策委員会本部~

 

 この委員会本部は先日設置されたばかりであったが既に多くの生徒が行き来していた。

 その生徒達は所属も性格も皆バラバラで個性の強い者ばかり。

 ほんの少し前までであればとても一つに団結するなど考えられないような面子ばかりだが、それらが現在一つ屋根の下で共通の目的を達成せんと励んでいる。

 その中でミレニアムサイエンススクールから出向していたヒマリはある人物へ相談を持ちかけようとしていた。

 車椅子に乗りながら目的の人物がいる個室を目指す。普段通りならこの時間であれば彼女はまだ起きている筈だ。

 

「えっと…この部屋ですね。」

 

 部屋についてみると、扉の隙間から光が漏れ出ている。やはりまだ起きているようだ。

扉をノックして声を掛ける。

 

「夜遅くにすみません、ミレニアムサイエンススクールの明星ヒマリです。ワカモさん、少しお話を聞いてくれませんか?」

 

 そう話し掛けると、扉の向こうからワカモが返事をした。かなり不機嫌そうな声で。

 

「なんですか。こんな夜中に私に何の用です?」

 

 返事こそするが、扉は開けようとしない。案の定というべきか、話をまともに聞く気は無いようだ。

 だがヒマリも諦めず食い下がる。

 

「すみません、実は怪物1号の攻撃に使用する新兵器を製作しまして、それに関してご相談したいことがあるんです。」

「新兵器?そんな情報は聞いておりませんが。」

「当然です。まだ誰にも言ってませんから。」

「そうでしたか。ですが、そんなものは必要ありませんよ。今ある武器だけで充分事足ります。」

 

 ワカモの疑問にあっけらかんと答えるヒマリ。

 一方のワカモは相変わらずまともに話を聞こうとしない。

 だがヒマリもこの情報だけで相手が話に乗るとは初めから考えておらず、更にこう続ける。

 

「ワカモさんもわかっているのでしょう?怪物1号を攻撃する場合、どのみち最初は水中で攻撃を行わなければならない。そして現在広く配備されている対潜兵器の破壊力であれば、通常の生物なら一撃で海の藻屑にすることができるということも。」

「私達戦闘要員の出る幕は無いと言いたいのですか?」

「いえ、私が言ったのは通常の生物の話です。今回の敵は既に既知の生物の範疇を超えた生命力を見せています。だからこそ、この生物は怪物と呼ばれているのです。そして私は、対潜兵器では倒せず、貴女方の放つ攻撃では普通に倒せる、などと都合の良い戦況になるとは考えていません。」

「つまり何が言いたいのですか?」

「私が今回製作したのは、この怪物をいつ、どのような環境下、例え海底であろうとも確実に抹殺…いえ、滅却することができる兵器です。それを使用するにあたって、私は協力者を探しています。誰でもいいわけではありません。貴女に協力してほしいのです。」

 

 そう言うと、ワカモはようやく話に興味を持ったのか扉を開けてヒマリと対面した。

 

「何故私を?」

「この先は部屋に入れていただいてからにさせてください。あまり表で堂々と話せる内容ではありませんので。」

 

 そう言われてワカモはヒマリを部屋へ迎え入れる。ある意味この時点でワカモはヒマリに協力すると半分表明したようなものだった。

 

「それで、何故私を協力者に選んだのですか?ミレニアムにも協力者なら沢山いるでしょうに。」

「それなのですが、この新兵器は使用すれば最後、間違いなくキヴォトス全体のパワーバランスを一変させる威力を持っています。故にこの存在が明るみになれば、開発者である私も只では済まないはずです。私の身一つが政治的に強い影響力を持つことも充分有り得ます。もしくは、大量破壊兵器の開発者として矯正局送りか。なので私はこの新兵器を使用した後、少なくともほとぼりが覚めるまでは身の安全を確保する為に姿を隠そうと考えています。誰からも見つからないように。ですが私はセミナーの会長と違って自分だけの極秘の隠れ家などは持っていません。なので雲隠れのプロに協力をお願いしたいというのが私からの『個人的な』相談です。」

「なるほど。それで私ですか。それで、パワーバランスを一変させる程の威力とはどのようなもので?」

「カタログスペックをそのまま鵜呑みにするなら、発射した光波熱線によって着弾点で爆発を引き起こし、それによって発生する衝撃波と、それに伴う超高熱であらゆる物体を破壊、燃焼する性能を持っています。発生する熱量はおよそ数万度から数十万度。爆心地から半径2キロメートルの範囲に壊滅的な被害を与えることが可能です。」

「それは本当ですか?」

「まだ使用したことはありませんので私も実際どうなるか確証はありませんが。」

「…にわかには信じられませんね…。」

 

 ワカモはヒマリの話をすぐには信じられなかった。何しろ数十万度の高温となればヘイローを持った生徒であろうとも耐えきれずに死亡する、というより完全に蒸発して跡形も残らないような温度である。

 それほどの物を『私作ったんです』と言われてもすぐには信じられないのは当然だ。

 そんな半信半疑なワカモにヒマリは説明を続ける。

 

「今回製作したのは一種の古代兵器の類いです。私達もその全てを把握している訳ではありませんが、これまでに発見された古代兵器達はそのどれもが規格外の性能を持っていました。これに示されている性能も、決して誇張などでは無いと思われます。」

「それだけの代物をわざわざ用意するなんて、貴女も何を考えているかわかりませんね。それだけ危険な物を使えば最後、貴女は今の輝かしいキャリアを全て失って私達(お尋ね者)と同じ立場に堕ちることになるのですよ?」

「敵は先生を殺した相手なのですから、使用する理由として充分だと思いませんか?それに、生き方なんてあとからいくらでも選べますから。」

 

 ヒマリにそう言われてワカモはハッとする。そう、相手は先生を殺した、どうしようもなく憎い相手だった筈だ。ならば絶対に抹殺できる手段を使用するのは当然ではないか。今の新兵器の話を聞いて無意識の内に自分は怖じ気づいていたのだろうか、とワカモは気合いを入れ直す。

 

「貴女、見た目よりも遥かに逞しいのですね。それで、私がそちらに協力して何か利益があるのですか?」

「協力してくだされば、この兵器の発射ボタンを押す権利をワカモさんに譲ります。先生の仇討ちを、貴女の手で直接果たすことができるのです。どうですか?」

「…確認なのですが、その新兵器は間違いなく怪物1号を殺せるんですよね?」

「あら?まだ信用できませんか?」

「今の荒唐無稽な話を真面目に聞こうとしただけでも誉めてほしいものですよ。」

「そうですか。ではこうしましょう。もし仮にこの新兵器による攻撃を受けて尚怪物1号が生存していた場合、この協力関係は即座に破棄する。これでどうですか?」

「…わかりました。その条件で貴女に協力しましょう。ですが、もし使用するまでもなく駆逐された場合はどうするのですか?」

「そうなればこのままこの兵器を完全に破壊して闇に葬ります。もう2度と誰にも見つからないように。使わずに済めばそれまで、今までと変わらない生活に戻ります。」

「承知しました。」

「では、交渉成立ですね。」

 

 そう言うとヒマリは手袋を外して手を差し出す。ワカモもそれに握手で応じた。

 

「よろしくお願いしますね。ワカモさん。」

「ええ、こちらこそよろしくお願い致します。ミレニアムの天才さん。」

「ミレニアム最高の天才清楚系病弱美少女、ですよ。」

 

 ワカモからの返事に対してヒマリはいつも通り自信満々な態度でそう返すのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ところで、貴女が作った新兵器とは何という名前なんですか?いつまでも『あの新兵器』では呼び辛いです。」

「名前、ですか?そうですね…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『放射熱線』、とでも呼びましょうか。」

 




呉爾羅さん「前書きであんなこと言ったくせに出番これだけ?ねえ本格的に登場するのいつになるの…?」
あたー「うーん、たぶん20話くらい?」
呉爾羅さん「(怒)」
あたー「あっ、やめて噛まないで…」


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