BLUE ARCHIVE -1.0   作:あたー

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第2話です。


始まりの島

 その日、空井サキは普段の生活から離れ、漁船に揺られながら大海原を進んでいた。

 今日はとある理由から親しくなった漁村の方々が、離島まで漁に出向くということで同行させてもらったのである。

 サキの目的はダイビング、そして今回はシャーレの先生にも同行してもらっていた。シャーレとは、この学園都市キヴォトスの行政機関である連邦生徒会内に設置された超法的機関であり、先生はその代表者である。普段は膨大な事務仕事と他校の生徒からの協力要請に対応しており、常に多忙な生活を送っている。

 今日はそんな先生が、自分とのお出掛けとして予定を組んでくれていた日だった。そのため、今日のサキは他人から見ても非常にわかりやすくウキウキしていた。

 そしてそんな元気一杯のサキに対して先生はというと…

 

「″ぅぅ…″」

「…先生、大丈夫か?」

 

 普段慣れない漁船に乗ったことですっかり船酔いをおこしていた。

 

「″さっきよりはマシになった…かも。″」

「辛いと思うけど目的地の島までもう少しだそうだからもう暫く我慢してくれ。」

「″う、うん…大戸島、っていう島だっけ?″」

「ああそうだ。今は無人島だから島の特色まではわからないけどな。昔は住人がいたそうだが今は漁業組合の道具置き場にしている建物があるだけだそうだ。」

「″そうかぁ…それなら他の人に迷惑はかからなそうだしサキとのダイビングを思いっきり楽しまないとね。サキとまた海にくるの楽しみだったから。″」

「///っ…そ、そうだな!」

 

 そんな話をしながら、彼らは大戸島へと向かっていった。

 だがこの時既に起きていた海中の異変にこの時気付いた者は一人もいなかった。

 

 

 

 

 目的地の大戸島に到着し、外海の定置網回収に向かった漁師の人達と別れ、早速海岸から海を見ると異様な光景が発生していた。

 海には一目でわかる程の数の魚が浮かんでおり、その全てが胃袋の飛び出た姿をして浮いていた。

 

「これ…全部深海魚だ…。」

 

 サキはそう言うと海中の様子を見に海に入っていった。

 

「先生、海が深海魚の死骸だらけだ。これは普通じゃないぞ。」

 

 この異常事態を前に、ダイビングどころではなくなってしまい、独自に調査を始めることになった。

 

「あ~、今のところ海底火山の噴火情報はゼロだよ。」

「そうか…」

「どうする?みんなでそっちいったほうがいい?」

「いや、こっちもまだ手掛かりすらつかめてない状態だから今はそっちで待機していてくれ。」

「了解~。折角先生とのデートだもんね~邪魔しちゃ悪いよね~。」

「なっ!何言ってるんだよモエ!そういうのじゃない!」

「くひひ、まあ情報が入ったらすぐ知らせるからさ。怒んないでよ。」

「うぅ…わかった、よろしく頼む。RABBIT2通信終わり。」

 

 一方先生の方でも、

 

「″アロナ、今キヴォトスの海辺で深海魚が大量に浮上しているっていうニュースが挙がってたりしてないかな?″」

『海辺で、深海魚、ですか?少し待ってください…いえ、現在深海魚が浮き上がっているといったニュースは無いですね。海に関する事件報告等は今のところまったくありません。』

「″そっか…ありがとうね、アロナ。″」

『いえいえ!お安いご用です!』

 

 二人でそれぞれ情報収集を行うも、有益な情報を得ることはできなかった。

 

「先生、そっちはなにか収穫あったか?」

「″ううん、なにも。″」

「そうか…となるとこの現象は一体…?」

 

 そんな考えに耽っていると…

 

「あっ、みんな帰ってきたな。」

 

 漁に出ていた漁船が帰ってきた。今回使っている漁船は2隻、それぞれに海賊対策として船首に20mm機関砲が搭載されているため遠目に見てもすぐにわかるシルエットをしている。

 

「″お疲れ様でした。どうでした?獲れましたか?″」

 

先生はそう尋ねるが帰ってきた漁師は顔をしかめて、「いいや、今日はまるで駄目だ。雑魚一匹掛からない。こんなことは初めてだ。」と言う。

 

「おい、お前さんたち、それどうしたんだい?深海魚じゃないか。」

 

 漁師達は二人が回収していた深海魚の山を見て目を丸くした。

 

「この島の周りに大量に浮いていたんだ。でも海底火山の噴火みたいな海中の異常は報告されていないそうだし…」

「″キヴォトスの他の海辺で深海魚が浮上しているという報告は一切無いそうです。この島の近海だけでこの現象が発生しているようなんです。″」

 

 二人のこの報告に漁師達も皆顔を見見合わせて話を始めるも、情報が少なすぎてなにも進展しない。

 

「とにかく、今日はもう終いだ。もうすぐ日がおちる。予定通り組合の建物で宿泊だ。準備しよう。」

 

 漁師たちのリーダーがそう声を上げると、皆頭を切り替えて準備を始める。

 

「先生、私達も手伝おう。」

「″うん、そうだね。″」

 

 頭がすっきりしないまま、船から荷物を次々と降ろしていく。宿泊の道具に加えて銃とその弾薬など様々だ。そうして周りが真っ暗になる頃には建物には明かりが灯り始めた。

 

 

 

 

 荷物を全て降ろし終わり、サキと先生が各々の部屋で休んでいると、夕食ができたので集まってくれと声がかかった。そして二人も広間に集まってみると、部屋の真ん中で大きな鍋に魚の鍋物が出来上がっていた。

 

「″なんですか?これは?″」

「今日は二人が深海魚を沢山獲ってくれたからな。大戸島名物の深海魚鍋だ。」

 

 先生の質問に漁師の一人がそう答える。しかしサキはその大戸島名物という表現に疑問をぶつけた。

 

「大戸島は無人島だろう?名物なんてあるのか?」

「この島が無人島になったのは70年くらい前のことでな、今日の鍋を作った新吉の親父さんが大戸島の生まれだったんだ。それでこの鍋の作り方も教わってたってわけさ。」

 

 そう言って新吉と呼ばれた漁師を指差す。新吉は鍋をお椀に取り分けながらこう言った。

 

「うちの親父は、大戸島の連中はみんなこの鍋を作れるって言ってたよ。深海魚が頻繁に獲れたからこうして残さないように食べてたんだと。」

 

 その言葉に、先生は今日の光景を重ねて思考する。

 

(″昔から深海魚が獲れた?ということは今日の現象も突発的なものではなく周期的なものだということ…?″)

 

 新吉はさらに話を続ける。

 

「それとこの島には深海魚に纏わる古い伝承が残ってるって言ってたな、『呉爾羅(ゴジラ)』っていう名前の。」

「呉爾羅?」

「そう。海に棲む怪物だと。深海魚が浮いた日は呉爾羅が上がってくるから外に出てはいけない。家の中でじっとしてれば呉爾羅は悪さをせずに帰っていくってさ。」

 

 今日の現象と嫌なところで合致する話が出てきてしまう。

 

「でもそんなの只の伝承だろう?そんな怪物普通いるわけないじゃないか。」

 

 サキがその場にいた全員の気持ちを代弁する。それに対して新吉は、

 

「そりゃあ当然、うちの親父も実際にそんな怪物を見たわけじゃないし、もう伝承なんかに振り回されたりするもんか。俺たち少し前まで昔の伝承を真に受けてえらい目にあったばっかりだからね。もう惑わされないよ。」

「そうそう、あんた達がいなかったらあのままずっと犯罪の片棒を担がされてたんだからな。さあ、今日の魚は二人に獲ってもらったんだ。沢山食ってくれ。」

 

 そうして皆で一つの鍋を囲む晩御飯が始まった。

 

 

 

 

 鍋がすっかり空っぽになった頃、漁師が二人、「ちょっくら明日の準備してくるわ。」と言い外へ出ていった。

 しばらくして皆が寝る支度のために解散しようとしていたときだった。

 突然、雷のような音、続いて猛獣の鳴き声のような轟音が鳴り響き、窓からオレンジ色の光が射し込む。

 

 炎だ。

 

『何かに襲撃されている』

 そう判断してからの動きは早かった。各自が自分の銃を持ち外へ飛び出し、燃え盛る炎を見る。

 皆の目に入ってきたのは陸に打ち上げられ炎上する船とそれを踏み潰している見たことのない巨大生物だった。

 それは巨大な背鰭を幾つも生やした、太古の恐竜にも似た姿の怪物だった。体高は15メートル程はあるように見える。

 すると怪物のいる方向から、先程外へ行っていた二人がこちらへ走ってきた。

 

「大丈夫か!?」

「ああ!俺達は平気だ!だが…」

 

 そう言うと怪物へ視線を向ける。

 

「海から轟音がしたからライトを向けたんだ。そしたらアレが突然襲いかかって来て…」

 

 どうやらあの怪物が船を陸まで投げ飛ばしたようだ。

 

「ありゃ一体何だ!?」

「まさか…呉爾羅?」

「そんな馬鹿な…」

 

 突然の事態に全員が呆然となる。そんなことはお構いなしにその怪物は今度は辺りを見回し始める。

 

「″隠れて!!早く!!″」

 

 立ちすくしていた皆は先生のその言葉で我に帰り、慌てて遮蔽を取るように建物の影へ隠れる。

 

「それで、一体どうする?」

 

 漁師の一人が怯えた声で周りに訪ねる。咄嗟に隠れたはいいが、これからどうするべきか。

 

「"このまま隠れてやり過ごしましょう。あれが伝承の呉爾羅なら、なにもしなければそのまま海に帰ると思われます。"」

「先生、私はその意見には反対だな。」

「"…やっぱり難しいかな?"」

 

 目の前にいるのは光を浴びせられただけでいきなり襲いかかってくるような凶暴な相手である。もし失敗して見つかればどうなるかは明らかだ。

 

「あれが呉爾羅かどうかは私にはわからない。もしかしたらここでやり過ごすだけならできるかもしれないが、仮に今やり過ごせても、あんな危ない生き物を野放しにするのはあまりにも危険だ。SRTの隊員として放置は許容できない。」

 

 サキは治安部隊の一隊員として自分の主張を伝える。確かにあれほど気性の荒い巨大生物が海に放たれれば次どこで被害を出すかわからない。

 今まで実害がなかったというのは明日決して被害が起きないという証明にはならないのだ。もしかしたら明確な報告が無かっただけで過去にも被害は出ていたかもしれない。

 

「先生。」

 

 サキが先生へ自分の案を伝える。

 

「私があそこへ行って20mmを撃ち込む。」

 

 そう言って指をさしたのは別の漁船に搭載された機関砲だった。

 

「"待ってサキ、あれを撃ち込むって勝算はあるの?"」

「20mm弾ならあの生き物を確実に射殺できる筈だ。」

 

 サキはそう答えるが先生はその意見に疑問を持った。

 

「"射殺できるって…みんなは戦車砲が当たっても怪我だけで済むのにあれは倒せるの?"」

 

 先生はキヴォトスに来てから火器攻撃で生き物を殺害するところを一度も見ていない。故に射殺できるという返答には疑問が残っていた。

 

「いいか先生、私たちヘイロー持ちの生徒や漁師の皆さんみたいな住民は銃弾でも平気だが、キヴォトスにも食材として屠殺される動物や魚が普通にいる。アイツは普通の動物のほうだ。20mmを食らって生きていられる筈が無い!」

 

「”……”」

(“そういえば前にサキは爆薬で魚を釣ろうとして粉々にしてたことがあったっけ。”)

 

 先生は以前自分が目撃したことを今この瞬間まで忘れてしまっていた。キヴォトスに来てそれなりに経つがその辺りの事情には未だに詳しくないままだ。帰ったら改めてしっかり勉強しようと心に決める。

 

「”わかったよサキ。よし、じゃあ私もそれを手伝うよ。”」

 

 先生の返事にサキは目を見開いて抗議する。

 

「なに言ってるんだ先生!!先生は私たちと違って銃弾一発で致命傷になるんだろ!私なら戦闘に馴れてるから大丈…」

「”サキ。”」

「っ…」

「”生徒を危険な目に逢わせて自分だけ安全なところにいるなんて選択、私はできないよ。”」

 

 先生はいつもこうだった。生徒のことをいつも一番に考えて、自分のことは二の次。こちらがどう思っているかも知らないで。だがそれこそが先生が持つ人望に繋がり、様々な生徒から好意を寄せられるきっかけになっている。

 

「”それにあの機関砲、本来複数人で使うものでしょ?私でも給弾くらいはできるよ。”」

 

 そう事実を述べられるといよいよ断るという選択肢が無くなってしまう。

 

「…わかった。いこう先生。」

「”うん。…皆さんはここで待機していてください。”」

 

 先生は漁師達の方へ振り向き、そう伝える。

 

「…頼む。もし危なくなったら俺達もすぐ行くからな。」

「”…危なくならないようにします。”」

「それと即応弾が砲塔の付け根にある。四角い箱のやつだ。見ればすぐわかるだろう。」

「”ありがとうございます。”」

 

 そして二人で見つからないことを祈りながら船へ向かう。途中怪物と度々目が合ったように見えて肝を冷やしたが、どうやら杞憂だったようだ。

 そうして二人で船に乗り込み、サキが照準を調整する座席へ座り、先生は後方から20発入りの箱形弾倉を装填した。

 

「”サキ、準備できたよ。撃つタイミングは任せた。”」

「了解。」

 

 狙うは怪物の頭部。脳や目といった重要な部位が集中している、あらゆる生物で急所といえる場所だ。

 先制攻撃、相手は巨体。波は穏やかで揺れはほとんど無い。SRTで訓練を積んだサキが今の条件で外すことは無い。

 

(今!!)

 

 引き金を引き、轟音と共に弾丸が次々と撃ち出される。発射された弾丸は全て怪物に命中した。

 

「やった!!」

 

 サキは手応えを感じて叫んだ。しかしその直後、想定外の結果が待っていた。

 

 怪物は顔面が血まみれになるほどの傷を負ったにも関わらず、息絶えることなく咆哮を挙げながらこちらへ突進してきたのである。

 

「っ!!」

 

 思考が止まってしまう。教本通りの行動は完璧に行える一方で咄嗟の機転を効かせるのが苦手、というのがサキの弱点だった。

 

「”サキ!!”」

 

 とっさに先生に腕を掴まれ、そのまま水中へ飛び込む。

 直後、先程まで乗っていた船が怪物によって叩き壊された。

 海中へ飛び込んだものの、怪物は相当な勢いで破壊活動を行ったようで、水中で衝撃波が発生し、それに巻き込まれた先生は一気に肺の空気を吐き出してしまい、海面へ浮上してしまう。

 

(先生!今いっちゃ駄目だ!!)

 

 思わず手を伸ばすものの、その手は空を切り、先生は浮かび上がると同時に猛烈な勢いで海上へ引き上げられた。

 サキは最悪の結果を想像してしまう。

 

(嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ)

 

 先生を追いかけて浮上してみると、そこには先生の上半身を咥えた怪物の顔があった。口からこぼれている下半身は一切動くことなくだらんと垂れ下がっている。

 

「ぅ、ぁ、ぁぁ…」

 

 絶望的な光景を目の当たりにし、動けなくなる。しかしその直後、突然怪物に銃撃が浴びせられた。

 

「この!!化け物め!!」

 

 隠れていた漁師達が攻撃の失敗を悟り、二人から注意を引こうと射撃を加えたのである。

 怪物は新たな敵を補足すると咥えていた先生を放り投げ、再び咆哮を挙げて攻撃を開始した。

 

 

 

 

 

「”う…”」

 

 放り投げられた先生は直ぐに腹部への鈍い痛みを感じて意識を覚醒させた。

 

(“…ありがとう二人とも。”)

 

 起き上がった先生は自分の体を確認すると、攻撃から守ってくれた二人のOSに心の中でお礼を述べる。

 しかし、先程の噛みつきからの防御を強引に行った結果、先生の防御の要といえるオーパーツ『シッテムの箱』のバッテリーは既に尽きてしまっていた。先生を守るものは、もうなにも無い。

 

「先生!!大丈夫か!!」

 

 漁師の一人がこちらを案じて走り寄ってくる。しかし次の瞬間、怪物が漁師に噛みつき、そのまま遠くへ放り投げた。

 

「”っ!!!”」

 

 目の前で起きる惨劇に一瞬怯んでしまうも、続いて起きた爆発攻撃とそれを仕掛けた人物の姿を見て自分を奮い立たせる。

 

「サキ!!」

 

 視線の先ではサキが手榴弾による攻撃を行っていた。怪物の表皮で爆発するよう調節して投げているのは流石といえる。

 だがこのままでは怪物の次のターゲットは彼女で間違いなかった。このことが先生にある決断を下させる。

 

“大人のカードを使う”

 

 自身の切り札を取り出し、使おうとする。しかしサキに注意を向けていた先生は自分の頭上に振り下ろされようとしている巨大な尻尾に気づいていなかった。

 

 

 

 

 

(先生!先生!先生!)

 

 サキは怪物の注意が他へ逸れた隙に陸へと上がった。頭の中は先生の安否で一杯になっていた。

 戻ってみると、怪物は漁師たちへ襲いかかっている最中であり、それはほぼ一方的な蹂躙だった。

 

(クソっ!クソっ!)

 

 市民を守る立場でありながらその役目を全く果たせていない事実に思わず悪態をつく。すると怪物の後方で地面から起き上がる見慣れた姿が見えた。

 

「先生!!」

 

 先生が生きている。それがわかっただけで全身の重荷がとれたような錯覚すら覚える。しかし現状は依然として絶望的だった。

 

(考えろ!考えろ!今使える武器は…)

 

 持っていた銃は海に飛び込んだ時に紛失してしまった。今持っている装備は…

 

(これで…!)

 

 今ある最大火力の武器である手榴弾で攻撃を行う。倒せるとは思えないが注意を逸らせるだけでも充分だった。

 

「くらえ!!!」

 

 爆発のタイミングを調整し、投擲する。予測通り怪物の体表で爆発。最も高い効果が期待できる筈だ。

 だが予想通り、怪物は全く倒れる様子は無く、衝撃を受けてこちらへ向き直った。怪物と目が合う。よく見ると先程受けた顔面の傷は殆ど止血が始まっているようだった。

 

「くっ!」

 

 狙いは私。そう察知したサキは後ずさって距離を取ろうとする。すると視界の端で先生がなにかをしようとしているのが目に入ったが、次の瞬間

 

 

 先生が巨大な尻尾に叩き潰された。

 

 

(……えっ?)

 

 一度ならず二度までも。

 いずれも先生なら即死するような攻撃に晒されるのを目撃してしまい、怪物を気にも留めずそちらへ注意が向いてしまう。怪物は先生を潰した尻尾をそのまま振り回し周囲の漁師たちと建物を吹き飛ばした。

 

「ぁぁぁぁああああああッッ!!!」

 

 大事な人を、大切な人たちを傷つけた化け物に一矢報いる。

 その一心で半ば錯乱状態になりながら最後の手榴弾を投げる。今度は調整を一切しなかった為に表皮に跳ね返され、足元で爆発した。

 攻撃を跳ね返した怪物はついにサキの眼前まで到達する。抵抗する術のなくなった彼女に怪物の攻撃から逃れる手段は残されていなかった。

 




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