BLUE ARCHIVE -1.0   作:あたー

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4話です。

来週からブルアカでエビイベントが復刻されますね。
まだプレイしてない方はゴジラ-1.0を見てからやってみると「これなんとなく似てない?」となる場面があるかもしれませんよ。


混乱の始発点

~小ウサギ公園 テント内~

 

「サキとの連絡はまだ取れませんか?」

「うん、無線機もスマホも反応無し。一体どうしたんだか。」

「サキちゃん、普段から定時連絡を忘れたことなんてなかったのに…」

「サキもそうですが、同行している先生とも連絡が取れないなんて…」

 

 そう話をしているのはこの公園でキャンプ生活を送っているRABBIT小隊、ミヤコ、モエ、ミユの3人である。今朝から同じ部隊員であるサキに加えて先生とも連絡が取れない状況に不安を感じていたのだった。

 

「モエ、ここから大戸島まではヘリでどの位かかりますか?」

「…現地に行くの?」

「先生の携帯電話がずっと不通になっています。電源が入っていない状態だと。」

「まあ、あの先生がずーっと音信不通なのは気になるよね。というか前も連絡着かなくなったと思ったら実は誘拐されてたってことがあるし。」

 

 思い出すのは以前先生がカイザーPMCに誘拐された時のことだ。あの時先生の救出に大きく貢献したのが他ならぬ彼女達RABBIT小隊だったのだから警戒感を強めるのも仕方のないことだった。

 

 その最中、「ごめんくださーい!」と外から声が聞こえてくる。

 ミヤコがテントの外へ出てみると、見知った顔が目に入った。

 

「はーい…あっキリノさん、お久しぶりです。」

「お久しぶりですミヤコさん!本日は公安局長から皆さんへのお手紙を預かってきました!」

「公安局長から?」

 

 公安局長のカンナは最早知らない間柄ではないが、このように手紙を送ってくるというのは初めてだった。

 

「はい!局長からは皆さんへ直ちに届けるようにと言われております。…中身は絶対に見るなとも言われましたが。」

 

 話を聞くに、何やら緊急かつ秘匿性の高い要件のようである。わざわざ手紙で、それも郵便ではなくキリノに直接行かせたところからもそれが伺えた。

 

「ありがとうございました。お手紙、確かにお受け取りしました。」

「はい!確かにお届け致しました!それでは本官はこれにて失礼致します!」

 

 そう言うと二人は敬礼を交わして別れる。テントに戻ったミヤコは公安局長から手紙が届いたと二人にも伝えた。

 

「公安局長から私達に手紙?」

「もしかして公園からの退去命令とかなんじゃ…」

 

 普段あまりない出来事に不安半分期待半分で手紙を開く。

 記入は全て手書き、封も簡易的ものでこれが大急ぎで作成された物だということが察せられた。

 

 

 

 

 

『この手紙は作成した当日に読まれているものとして書かせてもらう。

 RABBIT小隊の面々には重要な点のみを伝える。

 昨日未明、大戸島にて未確認巨大生物が出現し、空井サキ、及びシャーレの先生が襲撃を受けた。結果、空井サキは負傷、シャーレの先生は死亡。現在両名はD.Uの中央病院へ移送されている。

 本件はまだ極秘事項だがお前達にだけは早急に事実を報告させてもらう。空井サキへの面会許可は私の方から出しておく。病院の窓口で尾刃カンナの名前を伝えてもらえば良い。

 最後にこのような事になってしまいとても残念に思う。気を落とすな、とは言わない。ただ先生の後を追うようなことだけは絶対にしないで欲しい。これは私の、ヴァルキューレ警察学校の先輩としての精一杯のお願いだ。            

                

                                      尾刃カンナ』

 

 

 

 

「・・・え?」

 

 手紙を読み終えたミヤコは、その内容の荒唐無稽さに思わず唖然としてしまう。

 未確認巨大生物とは一体何だ?サキが負傷?彼女の実力は誰よりもよく知っている。故に信じられない。そして何より、

 

 

「先生が、『死亡』?」

 

 

 死亡。

 言葉の意味はよく知っているが、到底受け入れることができるものではなかった。

 

「ねえ、どういうこと、これ?」

「サキちゃんが、先生が・・・?」

 

 モエとミユの二人も動揺を隠しきれないようだ。その様子を見て、ミヤコは自分を奮い立たせる。隊長として自分は何をするべきか。自分が立ち止まって、茫然としていてどうする。と。

 

「とにかく、この病院へ行きましょう!まずはサキに合って、無事を確認することが優先です!」

 

「「っ!!りょ、了解!!」」

 

 現状、優先すべきはサキの安否確認だ。

 今は自分達にできることをするしかない。

 

(サキ、先生…一体何があったんですか…?)

 

 ミヤコは自分が今他の誰よりもパニックになっていることをひた隠しにしながら病院へ向かうべく準備を始めた。

 

 

 

 

 

 

 同じ頃、連邦生徒会役員室では、普段では見られないような組み合わせのメンバーが二人、テーブルを挟んで向かい合っていた。

 

「・・・」

「以上が報告書になります。そしてこれが先生が所持していた遺留品です。」

 

 そう話すのは公安局長、尾刃カンナ。話す相手は首席行政官、七神リンである。

 報告書の内容とはずばり、昨日の大戸島での襲撃事件、そして先生の死亡に関してである。

 そしてカンナは報告書とは別に先生が所持していたという、ボロボロになったシッテムの箱をリンに渡した。

 

「遺体の検死は既に完了しています。直接の死因は圧死。巨大な質量で上から押し潰されたことによるものです。」

「…わかりました。」

 

 シッテムの箱を受け取り、リンは答える。

 

「…早急な報告、感謝します。」

「いえ…」

「貴女が私に直接連絡をしてきた理由がよくわかりました。」

 

 いくら公安局長とはいえ、現在の連邦生徒会の事実上のトップに直接報告を行うというのは相当異例の事態である。だが先生の死亡という報告を聞いてリンはカンナの下した判断に深く感謝した。他の局員を信用していない訳ではないが、仲介人を増やしたことによる情報漏洩の可能性は極力排除するに越したことはない。

 

「この件の情報公開はどうしますか?」

「…ひとまず、連邦生徒会内にて最高機密として扱います。」

 

「あまり長期間隠しておくことはできないと思われますが。」

「わかっています。」

 

 この情報を隠し続けることは不可能。であればどのようにすれば一番混乱を抑えつつ事を進められるか。

 幸いだったのは、今回の事件への対応として取るべき選択がとてもシンプルなことだった。

 

「直ちに各自治区の生徒会代表者へ緊急召集を行います。」

 

 リンはここで言葉を区切る。

 

「この緊急集会にて、巨大生物の発見と駆除を目的とした非常対策委員会を発足し、各学園へ協力を要請。その後キヴォトス全体への情報公開を行うこととします。」

 

 先生を失ったことで、大勢の生徒達が絶望し、殺害した者への怒りに燃えるだろう。そして先生という『希望』を失った彼女らは、自ら命を絶つことも、あるいは暴走して破壊行動に出ることも大いに考えられた。

 その悲しみや怒り、負の感情の矛先を全て巨大生物へと向けさせ、そこへ「駆除」という大きな目標を発表することでキヴォトスの生徒全体に「復讐」という新たな『生きる指標』を提示する。

 こうすることで彼女達、特に各自治区の首脳陣らが正気を失ってしまう前に、通常通りの生活と治安を維持するように務めさせる。

 それが混乱を抑え込む為にリンが考えた策だった。

 

「各学園がそう上手く協力してくれますでしょうか。」

「ご心配はわかります。ですがこの後すぐに発生するであろう大混乱を早急に抑えるには各々の感情を利用したこの方法が最も効果的です。それに皆『先生の為に』という名目であれば、学園の垣根を超えて団結できる方々であるということはよく知っていますから。」

 

 あの色彩との決戦の日以降、共に世界を救った仲間達に対して、リンは『先生の為なら何でもする』という一点においては強い信頼を寄せていた。

 まさかこのような理由でその信頼を利用する日が来るとは思いたくもなかったし、本心ではこんな非情な方法を取りたくはなかったのだが。

 

「…わかりました。それでは我々も最大限の協力をさせていただきます。」

 

 そう言うとカンナは立ち上がる。

 

「海洋警備局へは、対潜捜索用の装備をした上で出動可能な状態にて待機するよう連絡しておきました。連邦生徒会からの正式な出動命令が発令され次第、直ちに公海上での捜索活動を開始する予定です。」

「わかりました。ありがとうございます。」

 

 情報伝達を終わらせたカンナはリンに向けて敬礼をすると部屋の出口へ向かっていく。退出の直前、彼女はリンに向けて一言、一個人としての感情を吐露した。

 

「このようなことになり、非常に残念です。」

 

 そう言い残しカンナは去っていった。

 

 

 

 

 

 

 部屋に残されたのはリン一人だけ。

 

(先生…)

 

 思い浮かぶのは、あの姿。

 

 先生は不思議な人だった。

 普段は仕事も真面目にやらないような有り様で、書類は記載ミスだらけ。

 修正をしてもらう為にシャーレから出向してもらった事も数えきれない程ある。

 何やら良くない噂…生徒の脚を舐めていただの、水着の生徒を連れ回していただのといったものが非常に多く、初対面で警戒される要素も盛り沢山だったのは決して否定できない。

 だが先生は生徒達が抱える問題に常に真っ直ぐぶつかっていき、困っている相手を決して見捨てることはない、そんな人だった。

 そして自分達生徒ではできないような策を講じ、事態を解決へ導いていく。

 そんな先生の日々の積み重ねによって勝ち取ってきた信頼関係、それによって成し遂げた事こそ、先日起きた色彩の教導者との戦いでの勝利だったのだろう。

 

 だが、そんな先生はもう…いない。

 もう…会えない。

 

 

 『“わぁい!ありがとうリンちゃん!!”』

 『誰が「リンちゃん」ですか。』

 

 

 昨日まで当たり前だったやり取りも、もうできない。

 

 カンナから渡されたシッテムの箱を見る。

 連邦生徒会長から先生へ託されたオーパーツ。

 先生はとても大事にしており、実際これが何度も先生を救っていることはリンもよく知っていた。

 あの時、先生が宇宙から帰ってきた時もこのオーパーツが守ってくれたのだと言う。

 

 だが今回の件では先生を守ることができなかった。

 それどころか先生と一緒に潰されたことで画面は全体が粉々に割れており、フレームはひしゃげている。

 そしてその光景が、先生を失ったという事実をより強調しているように見えてしまった。

 

 

 ひび割れたその画面に、水滴が落ちる。

 水滴はその数を次々と増やしていく。

 

 

(おかしいですね、室内で雨が降るだなんて。)

 

 

 シッテムの箱の残骸を持ったリンはただ一人呆然と立ち竦し続けていた。

 

 

 

 

 

 

 

連邦生徒会より各自治区の生徒会代表へ緊急召集

 

『先生の生命に関する重大な報告』

 

『本会議へは各学園からの代表者最大3名までの参加を許可する』

 

『本案件は最大級の機密事項であり、許可が降りるまで外部への情報開示の一切を禁止とする』

 

 

 




ゴジラはまだ当分出てこないと思います。
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