BLUE ARCHIVE -1.0   作:あたー

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6話です。

今日のブルアカライブ皆さん見ましたか?
もうハフバガチャもコラボグッズも新商品も、ありったけガチャ回して買いまくるしかないですよねぇ…?

それではどうぞ。


非常対策委員会 前編

~連邦生徒会本庁舎 会議室~

 

「結局、リン先輩の思った通りになったね。」

「はい。やはり先生に関する事となると皆さん動きが早いですね。」

 

 そう会話をするのは連邦生徒会の一員である由良木モモカと岩櫃アユムの二人である。

 二人はいつになく真面目な態度で会議に臨もうとしている各自治区の代表者達を、以前会議を開いた時の態度と比較して感心半分呆れ半分といった感情で眺めていた。

 そして同時に、自分達連邦生徒会だけでは決してここまで彼女達の心を動かすことはできなかっただろうという無力感を感じていた。

 やはり先生の影響力は余りにも大きい。そしてこれから説明する内容の事を思うと胃が痛くなる思いだった。

 

(まさか本当に召集から2時間も経たずにこれだけ集まるだなんてね。)

 

 リンが発令した非常対策委員会発足の命令は、各自治区だけでなく連邦生徒会そのものにも大きな負担をかけるものだった。

 なにしろ「2時間後に会議するから各自治区に召集かけて資料と会議室用意しろ」という内容である。

 勿論最初は猛反発を受けたが、その会議の内容が【先生が死亡した事への説明】だと明かされた瞬間、その反発は消え去りほぼ全員が一転して協力的に動き始めた。

 当然、「先生が死んだなんて認めない」という者もいたが、公安局長が作成したというお墨付きの報告書と、物的証拠を見せられては認めるしかなかった。

 そこからあっという間に準備が進み2時間も経たないうちに会議の開催までこぎ着けたのである。

 

「おい、まだ始まらないのか?」

「まだ開始の時刻にはなってませんよマコト先輩。」

「何を言う、既に我々だけでなくトリニティにミレニアム、百鬼夜行、山海経、レッドウィンターまでいる。必要な面々は既に揃っているだろう?」

「まだアビドスが来ていませんよ。」

「アビドス?あんな弱小校いてもいなくても変わらないだろうが。」

 

 早々に到着していたゲヘナ学園の代表は、既に各学園の代表達が揃っているにも関わらず、全く会議が始まらない現状に不満を隠さなくなってきていた。

 まだ本来の定刻になってもいないのでその不満も完璧に八つ当たりといえるものだが、それだけ先生の安否を心配していることの現れともいえる。

 そんな最中、部屋の扉が開かれる。

 

「失礼します。」

 

 入ってきたのは先程話題に出たアビドス高等学校の生徒、奥空アヤネだ。彼女に続いて小鳥遊ホシノ、十六夜ノノミが入室する。

 入室した途端「遅いぞコラ」とでも言いたげな視線を一部から浴びるが、そんなの気にしてられないとばかりに空席へと向かう。

 召集をかけたメンバーが揃ったところで、リンが声を上げた。

 

「予定時刻より早いですが、参加者が揃いましたので緊急会議を始めたいと思います。」

 

 リンがそう宣言すると、場の空気が一気に真剣なものへと切り替わる。

 

「すみません、混乱を避けるために皆さんが揃うまで情報の開示を控えさせていただきました。」

 

 リンはここまで、長時間待機していた代表達にも会議の内容に関する一切を伝えていなかった。ここで中途半端に先生が死亡した事実が伝われば、その時点で彼女達が動揺してしまい、会議の進行が不可能になるだろうという考えからだった。

 

「それで、先生の生命に関する重大な報告とは一体何なのでしょうか?」

 

 そう発言したのはトリニティ総合学園の歌住サクラコ。

 トリニティからの代表者は、ティーパーティー、救護騎士団、シスターフッドのそれぞれトップ3名であり、以前のようなティーパーティーのみで政治活動を行うという体制から脱却を図ろうとしている様子が伺える。

 もっとも、皆先生のことが心配だったことが一番の理由ではあるのだが。

 

「では、前置きを省略して、本題を申し上げます。」

 

リンはそこで一呼吸おいてから話を始める。

 

「昨日、キヴォトスの沖合い数百キロに位置する無人島、大戸島に未確認巨大生物が出現。当時島を訪れていた漁船の一団が襲撃を受け、同行していた先生が死亡。民間人数十名と生徒1名が負傷しました。」

 

 会議室が静まり返る。

 暫くすると少しずつ動揺の声が巻き起こる。

 

「先生が、死亡?」

「何かの間違いでじゃないの?」

「連邦生徒会の言うことなんて…」

 

 リンの発言だけでは、まだ完全に信用しきれていない、というより事実だと認めたくない者が大半だった。

 

「これより、皆さんに資料をお配りします。そちらを順次ご確認いただきたいと思います。」

 

 リンの発言を受けて、連邦生徒会の行政官らが資料を配り始める。

 各自治区代表達は奪い取るような勢いで資料を受けとると食い入るように確認を始めた。

 資料の内容は、先程説明された大戸島での巨大生物襲撃の捜査記録を纏めたものだった。破壊された建物の跡等が納められた写真と、事件の推移を報告書として纏めた文書、そして生存者からの聞き取りと現場の状況等から推測された巨大生物の想像図という名前で、背鰭の生えたティラノサウルスの様な生物の絵が載せられていた。

 

「…これが本日皆さんをお呼びした理由です。連邦生徒会ではこの事態に対して…」

「冗談じゃないわよ!!」

 

 皆が静まり返ったところでリンが続きを話し出そうとしたその時、ミレニアムサイエンススクールの早瀬ユウカが突然立ち上がり、叫んだ。

 

「先生が亡くなったって、こんな紙切れだけで認めろって言うの!?そんなことできる訳ないじゃない!!」

 

 ユウカは手に持った資料を握り潰しながらそう訴える。周りの生徒達も同じ考えなのか特に止めようともせず、うんうんと頷く者までいる程だった。

 

「先生が亡くなったなんて言うなら、証拠の一つでも出してみなさいよ代行!!」

 

 ユウカは怒りを顕にしながら問い詰める。しかしリンもそれは想定の範囲内であり、努めて冷静に答える。

 

「証拠であれば、こちらにあります。」

 

 リンが待機している行政官に合図を送ると、台車に乗せられた【ある物】が運ばれ、ユウカの前へと置かれる。

 それはこの場にいる誰もがよく知っている物の成れの果てだった。

 

「先生が所持していた【シッテムの箱】です。」

 

 リンはそう説明するが、眼前にあるシッテムの箱は酷く損傷しており、完全に破壊されていることは明らかだった。

 それを見た参加者達は絶句する。今度は困惑ではく絶望に塗り潰された表情を浮かべて。

 リンは更に話を続ける。

 

「更に証拠が必要とあれば、この場に先生のご遺体の写真をお持ちすることもできますが。」

 

 悲痛な表情を浮かべたリンの説明は、生徒達が抱いていた僅かな希望を吹き消すには十分なものだった。

 

「嘘よ…こんなの偽物よ…そうに決まってる…。」

 

 ユウカは眼の前に置かれた残骸を見て愕然とする。それが先生にとってどんなものなのか、知っていたから。

 偽物だと信じたかったが、近くで見れば見るほど本物に違いないことがわかってしまう。

 ユウカは先程までの勢いを完全に失い、今にも泣き出しそうな顔をしている。元より先生の生命に関する重大な報告という内容を受けて感じ始めた不安に対して「想像しているような悪いことは起きない」と思い込むことで平静を保っていたところに覆せない現実を突き付けられたことで、今にも心が折れそうになっていた。

 

「ユウカちゃん…」

「ユウカ…」

 

 今にも倒れそうなユウカに、同行していた生塩ノアと各務チヒロが寄り添う。

 セミナーとヴェリタスという普段ならばまず見られないような組み合わせだが、本来のリーダーがミレニアムにいない今、重大な会の代表として、この3名の選出は非常に堅実な判断といえた。

 

「…先生は今、D.Uの中央病院におります。本会議終了後に行う会見と同時に、事前申告制で先生との面会を解禁する予定です。」

 

 リンはこの場の皆へ向けてそう伝えた。

 シャーレ所属の生徒の中で一番の古株であるユウカのこの反応はたちまち他の生徒達へ波及していき、会場全体が重苦しい空気に包まれる。

 

「それで、先生を殺した巨大生物というのは何なんだ?どこかの生物兵器か?」

 

 そんな中、ゲヘナ学園の代表、羽沼マコトが発言する。その言葉には、明確な怒りの感情が宿っていた。

 

「現場で採取された血液を調べたところ、遺伝子操作等、人工的に手が加えられた痕跡はありませんでした。もし仮にそういった処置が施されていたとしても、この個体の何世代も前の頃に行われたものでしょう。今回現れた生物は、人工物ではなく自然発生したものと見て間違いありません。」

 

 マコトの質問にリンが答える。

 その答えに対し、今度はトリニティ総合学園の桐藤ナギサが質問した。

 

「では、この想像図を見るに、これは恐竜の生き残りということでしょうか?」

 

 この生物の正体は何かと立て続けに質問がされ、それに対してリンの側も一つずつ答える。

 

「血液の成分は、現在確認されている生物のどれとも一致しませんでした。強いて近いものを挙げるとすれば、海凄哺乳類、クジラやシャチに近いものです。」

「哺乳類?これが?」

 

 リンの回答に対して、どこからともなく驚きの声が飛び出す。

 

「あくまで現生の生物の中では似ているというだけです。厳密に言えばそれらの生物とも全くの別物です。」

 

 リンはそう答えるが、そこから新たな論争が始まる。

 

「この見た目は恐竜の一種としか考えられないのでは?現に背鰭があるものだっていますし…。」

「いえ、恐竜は基本的に陸上での生活に特化した生き物ですので、陸地の殆どない海のど真ん中で棲息しているというのあまり考えられません。恐竜ではなく海凄爬虫類であれば可能性はありそうですが、その場合足がヒレのような形状になっているものですが…。」

「海中に長期間潜行できてかつ、通常の肺呼吸ができるということなら、恐竜よりもクジラ等に近い生物という可能性は高いと思います。それ故にこれ程の巨体に成長できるのかもしれません。このような陸生に適した姿なのは先祖帰りの結果ではないでしょうか?クジラの祖先は陸上の動物だったのですから。」

「現代の海で食物連鎖の頂点にいるのはシャチ、つまり哺乳類だからね。この生き物もそういった生態系ピラミッドの上位に位置する生物種の一つなんじゃないかな?」

 

 生物の正体に関して様々な憶測が紛糾し始める中、とある人物が手を上げる。

 

「代行ー?発言いいー?」

「はい、アビドス高等学校、小鳥遊ホシノさん。」

 

 ホシノの行動で、騒ぎ始めつつあった会議が一気に静まり返る。

 

「あのさ、おじさんは学者じゃないからこれの正体云々の話はさっぱりなんだけどさー」

 

 

()達、結局何の為に呼ばれたの?」

 

 

 そう言うホシノは、いつも通りのふにゃふにゃした態度こそしているが、その目だけはかつての全盛期のようにとてもギラついたものをしていた。

 そして彼女の一言で皆が我に帰る。我々がここに呼ばれた理由は、決して生物の正体を議論する為などではない。

 

「はい、今回皆さんを召集した理由ですが、」

 

 リンは一度言葉を止めて全体を見回した後、続ける。

 

「連邦生徒会は、この巨大生物を公海上における危険要素と判断、非常対策委員会を発足し、駆除を行うことを決定しました。皆さんには、その駆除作戦への協力をお願いしたいのです。」 

 

 この会議にて最も重要な内容、各自治区に対する駆除作戦(復讐)への協力要請。

 その発言は意気消沈しかけていた代表達を奮い立たせるのに十分だった。

 

「それって、具体的に何をすればいいの?」

「現在、ヴァルキューレ警察学校を中心として海中の捜索を行っております。ですが、現在稼働中の装備だけでは広大な海を全てカバーすることができておりません。その為、各自治区の保有する船舶、航空機を使用して捜索活動に協力していただきたいのです。只し、指揮系統の混乱を避けるために参加される方々は作戦終了までの期間、連邦生徒会の指揮下に入っていただくことになりますが…。」

 

 ホシノの更なる質問に対し、リンは各自治区への具体的な協力事項を述べる。

 その要請に、各自治区の代表は次々と食いついた。

 

「わかりました。トリニティ総合学園は、連邦生徒会からの要請を受託し、連邦生徒会指揮下に入ることを承諾します。」

「救護騎士団は、ティーパーティーの下した決定を全面的に支持します。」

「シスターフッドも、ティーパーティーの意向に賛同します。」

 

「ミレニアムサイエンススクールも、正式に連邦生徒会からの要請を受託します。二人もそれでいいわよね?」

「勿論ですよ、ユウカちゃん。」

「私も賛成。この要請を蹴ろうなんて考える生徒はミレニアムにはいないと思うよ。」

 

「ゲヘナ学園、万魔殿議長として、連邦生徒会からの要請を正式に受託する。良いな?イロハ、サツキ?」

「ええ、勿論です。」

「私も賛成よ。」

(サツキ先輩、今日はさすがにちゃんと起きてましたね…。)

 

「アヤネちゃん、前言ってたアレ(・・)って終わってる?」

「はい。先日購入した雨雲号の同型機2機への遠隔操縦用機器の搭載は完了しています。今なら最大3機の同時運用が可能です。」

「よし、じゃあアビドス高等学校も正式に連邦生徒会からの要請を受託するよ。二人もそれでいいよね?」

「「はい!」」

 

「百鬼夜行連合学院も、連邦生徒会からの要請を受託します。カホ、艦艇を提供してくれそうな部活への連絡を頼める?」

「わかりました、ニヤ様。そうですね、在籍している艦艇を全て合わせた場合の数は・・・」

「おっと、計上できるのは書類上在籍している分ではなくて、実際に今稼働している分だけね。予備役として保管だけされている旧型艦は、今だとマニュアル見ながら動かすことになりかねないから。特に古い駆逐艦みたいなボイラー艦とかは、ね。」

「わかりました。」

 

 この会議にて、参加した全ての自治区が連邦生徒会への全面協力を表明した。

 

 ここに、学園同士の垣根を超えた大規模な連合作戦、「巨大生物駆除作戦(先生を殺した者への復讐)」が幕を開けたのだった。

 

 

 

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