死を告げるらしい鳥がいる 作:エリュシオン
ひらひらと舞い散る桜。踊る
「織姫さん、可愛らしいわ!」
「入学おめでとう、織姫」
祝ってくれる両親に私はにっこりと微笑んだ。
入学回避、ならず……! 無念……! ただただ無念……!
さて。
前世の記憶が蘇った私はとりあえずいい子アピールをすることにした。今まで失っていた信頼をものにしようと画策したのである。
そしてある程度成功して一息ついたころ、私は思ったのだ。少女漫画の世界とかまっぴらごめんだなと。
正直に言おう。私はツッコミ体質だ。少女漫画とか読んでると照れもあって怒涛のツッコミを入れていた。「おもしれー女」とか言ってればいやお前、それただの無礼者だろ、結局顔か、ヒロインの顔面偏差値にやられたのかとツッコミ、「お前にしか話せないことなんだ」とヒーローが秘密をヒロインに打ち明けるのを見ればいやお前、人選間違ってるんだろ、もっと信頼できるヤツいるだろとツッコミを入れたものだ。
おそらく私は少女漫画のシーンが目の前で繰り広げられればツッコミたくてたまらなくなる。しかしそんな存在がいたら興ざめだろう。お互いにとってよくないに違いない。
つまり私は漫画の舞台、
そう思った私は親へ直訴した。海外の学校に通わせてほしいな〜と愛らしい笑顔と懇親の上目遣いで頼んだのである。
実はママンのお家はイタリアにあって、我が姉の小学校入学前までは母子で海外暮らしだったのだ。2歳頃までのこととはいえその後もちょくちょく海外へ行ってることもあって、私はかなり海外が身近なおぜうさまでございますの。おほほほほ。
しかし世の中は厳しかった。ああ無情。子ども1人で行かせるなんてできないよ!と猛反発を食らってしまった。すごかった。ええやん、おじじとかおるし、ええやん……という私の意見はつれなく却下。そして五十鈴に丸め込まれおねーたまと弟に泣かれ父にすがりつかれ私は結局少女漫画の舞台に入学する羽目になった。私に味方はいなかった。しくしく。
どうもこの学園というやつはいいとこの子なら当たり前に通ってるよね、って感じのとこらしい。他にも同じようなお嬢様学校はあれどちょっとランクが落ちるとか。
両親の立場もあって別の学校に行くこともできず、私は泣く泣く真面目に勉強して入試を受けて無事に合格した。前世の貯金で勉強はできるのだ。
こうして学園回避はできなかった私でも、1つだけ守り通したものがある。ずばり、髪型だ。
漫画での織姫は真っ赤な縦ロールだったけれど、今の私はふわふわの茶髪のハーフアップ。悪っぽさも大幅ダウンである。
漫画のカラフルな髪は実現不可だったようでこの世界はみんな普通の髪色だ。ちょっと残念かも。
もしかしたら主役のカラーリングだけは変わってないかもと期待して入学式でキョロキョロしてヒーローの真っ青な髪を探したけどいなかった。高等部に入ったら髪を染め出すのかもしれない。まあクォーターの私ですら赤髪は無理だったからね。青髪とか無理だよね。
校歌を晴れ晴れと歌っておじさんたちの眠くなる話を聴いてさあ帰るぞと帰路についたとき、事件は起こった。
髪がボタンに絡まっちゃったのだ。もちろんイケメンの胸のボタンとかでなく普通に自分の服のボタンに、だ。芋けんぴじゃなくてよかったと思いつつ、このふわふわ髪はまた絡まっちゃうかもだからまとめた方がいいなと家に帰って思った。もしかしたらそれで漫画では縦ロールだったのかな。
しかし縦ロールは嫌だ。うぬぬうぬぬと唸っている私に五十鈴はクラウンブレイドを提案した。カードデッキではない。編み込んでぐるっと冠のように頭に巻きつける髪型である。縦ロールじゃなきゃいい私はそれでお願いすることにした。髪結ぶの五十鈴だしね。