死を告げるらしい鳥がいる 作:エリュシオン
うちのお嬢様はお変わりになった。
私、
私は年が近い、という理由でこの御三方のお世話係を務めさせていただいている。とはいえ全員を過不足なく見守ることは難しいので私は一番手のかかる織姫様のお傍に基本的にはいることになっていた。
愛華様は人の目を集める術に長けた方。どこへ行っても、何をやっても目立つ容姿、言動で一度見れば忘れられないような方だ。
昴様はあらゆる面において優れている方で、かのような後継者がいれば今から小夜啼家の発展は約束されているようなものと名高い方だ。特に人心掌握に長けていらっしゃり、愛華様とは違った意味で一度見れば忘れられないだろう。
その間の織姫様はというと、愛華様の美しさを動の美しさとするなら静の美しさ。精巧なビスクドールのような少女だ。ただ、甘やかされるあまりわがまま放題な面があった。────あの日までは。
織姫様はカップラーメンを食べられた日からわがままを言わなくなった。そして、どこか大人びた姿勢を見せるようになった。今まで適当にこなしていた習い事にも熱心に取り組むようになり、特に歌に関してはプロレベルの才能を発揮している。
そして最近、高校生になってから。あんなに避けるようにしていた烏帽子野武彦様とお付き合いをなさることになった。
うちのお嬢様は最近、お変わりになった。
◆
俺の彼女は最近、特に可愛い。
俺────烏帽子野武彦は何不自由なく育てられてきた。そんな中でも、困った経験もある。
あれは
「やーい、俺の勝ち〜」
「次はかくれんぼしましょ」
「タンマ、タンマ」
そしてあ然とした。どうにも、どういう遊びを皆がしているかがさっぱりわからなかったのだ。さりとて、聞きに行くにはプライドが邪魔をしたし、そんな勇気も出なかった。
その時だった。
「ねえ、そこの子。一緒に遊ぶ?」
彼女に出会ったのは。
彼女はこちらが不慣れなことを察するとすぐに色々な遊びを教えてくれた。そしてその輪に飛び込むことが出来たのだ。
今思えば、あれは得難い経験だったように思う。
そして、同じく護衛付きだった少女の名は、こちらの護衛に聞けばあっさりとわかった。小夜啼織姫。
同じ学校に入っても、彼女はあの時のことを忘れているのか無反応だった。いや、むしろ俺のことを避けているようだと気づいた時には多大なるショックを受けた。
それでも彼女はやはり変わらず、優しかった。
同学年でいじめ問題が起きたら、解決に動いたり。頼まれれば断れず、生徒会と関わることになるのに学級委員を引き受けたり。外部生と内部生の軋轢を減らすよう努力したり。
告白して、受け入れてもらえるなんて思ってもみなかった。何らかの思惑もあるのだろう。
それでも俺は彼女に誠実であり続けるし、どこまでも守り続けることに変わりない。
「おはよう」といったときに「ごきげんよう」と毎朝返す君の笑顔にどれだけやられているか。
君は、知らないだろう。
俺の彼女は最近、特に可愛い。