俺が雷門の守備陣を突破し勝利を宣言すると、俺の元に円堂をはじめとした雷門イレブンが駆け寄ってくる。
「外裂、お前凄いな!
皇帝ペンギン2号を止めるやつなんてなかなかいないぞ!」
「ああ、しかも俺からあんなに簡単にボールを奪って見せた、完敗だな。
エイリア学園のやつら以外では初めてだぞ」
「あの軽やかなドリブルもすごかったよ!
MFとして必要なものをすべて兼ね備えてるね君は」
俺は「ほめていただき光栄だ」と返すと、瞳子姉さんが近寄ってくるのが見えた。
「…外裂君、あなたの実力は分かったわ。
イナズマキャラバンに参加してもらえないかしら?
あなたほどの実力を持ってるなら、エイリア学園に対する大きな切り札になりえるわ」
「ああ!外裂、俺たちと一緒にエイリア学園を倒そうぜ!」
瞳子姉さんはまっすぐな目で俺を見てくる。
円堂も熱い視線を俺に向けてくる。
…円堂たちと一緒にサッカーをする、この世界での俺の夢だ。
いまここで首を縦に振ればその夢がかなう。
…ただ、まだエイリア学園編の物語は序盤だ。
俺が入ることでストーリーのバランスを壊すことになりかねない。
そうすればジェネシスのリミッター解除などもせざるを得ないかもしれないし。
まだ円堂たち雷門と俺には大きな差がある。
ここは一先ず…だな。
「…監督、すみませんが答えは『保留』ってことでお願いします」
俺がそう告げると、雷門から不満の声が上がる。
「え、なんでやんすか!?
外裂さんが入ってくれれば百人力でやんすよ!?」
「そうっスよ。
あんだけ凄い守備とドリブルが出来れば、エイリア学園にも対抗できると思うっス…」
「…何かわけがあるんだな?」
鬼道の言葉に俺は「ああ」と続けていく。
「今はこうやって一人で旅をしてるけど、あくまで学校が休みになったからだ。
本来ならウチのチームの面々から許可を貰って伝えるってのが筋ってもんだろ。
…それ以外にも整理しないといけないことが俺には山ほど残ってる。
まだお前らと一緒には行けねえんだよ、俺は」
俺はそう話した後、改めて「だがよ」と続けていく。
「円堂、俺はお前と一緒にサッカーがしたい。
だからまた今度お前らと俺と出会った時、それまでに俺は周りのことを整理しておく。
…そん時にもう一回俺を雷門に誘ってくれないか?
俺は必ずお前らの力になると約束するよ」
「…ああ、もちろんだ!
また会った時、その時にもう一回お前を誘う!
さっきみたいに一緒にサッカーやろうぜ!」
「そうだな、それまで待っておいてくれ」
俺はそう話して瞳子姉さんの顔を見る。
「…監督すみません。
まだ俺は雷門に参加することはできないです。
…次にもし会うことが出来れば、その時までにいろいろと整理しておくので…。
誘ってもらえれば、必ず力になると約束します」
「…分かったわ」
瞳子姉さんはほぼ表情を変えずに俺にそう話してくる。
「…それじゃあな。
俺は旅を続けることにするよ。
また会うことがあれば、そん時はよろしく。
…白恋のみんなも、校舎の中入れてくれてありがとうな」
「…なんてことないべ。
久々に内地の人と話せて楽しかったし…。
すごいもんを見せてもらったから、それで十分お釣りが来てるべ」
真都路は俺にそう返してくる。
「…そう言ってもらえると嬉しいよ」
俺はそう言葉を返した後、白恋中を後にした。
◇ ◇ ◇
『…なるほど、その場の雰囲気もあり雷門と一緒にプレーした…と』
吉良財閥のホテルで休みながら、画面越しに俺が今日北海道であったことを話すと、父さんはそう話してくる。
「…すみません、父さんからああは言われてましたが…。
自分自身の興味もあったので…」
俺がそう話すと『…あなたならそうするとは思っていました』と父さんは話してくる。
『私はあなたにそう指示しましたが、楽しいことを止める権利など誰にもありません。
あなたがしたいと思ったのであれば、あなたの指示を尊重します』
「…ありがとうございます」
俺は父さんに向けてそう頭を下げる。
『…それで、視察結果はどうだったんですか?
そっちの方が重要でしょう』
そんな俺に偉そうな顔で話してくるのは研崎だ。
俺は「言われなくても今から言いますよ」と続けていく。
「…吹雪士郎、アイツは俺から見てもすごいです。
アイツ単体でもジェミニストームの面々だと歯が立たないかもです。
それに、雷門自体の能力もぐんぐん伸びています。
イプシロンの調整、それとマスターランクの3チームに準備を進めるように伝えておいてください」
『…分かりました。あの子たちにはそう伝えておきます。
頼徒、今日はもうゆっくり休みなさい。
疲れているのに、報告ありがとうございます』
「…俺の使命ですから。
これぐらいなら俺に任せてください」
俺と父さんの通話はそう話して途切れた。
「…さてと、これからは雷門に会うことがねえ様にしないとな」
「次会うときには雷門に入る」、そう約束した。
…となれば、この姿で会うことはできない。
「…まあ、これまで通りのんびり陰から見ておくこと以外にすることはねえか…」
俺はベッドに横たわりながら、そう呟いた。