イプシロンが漫遊寺にエイリアボールを打ち込み宣戦布告とした後。
「…案外、ここの人たちは気にしてないようだね」
「そうだな、エイリア学園って聞いたら多少はビビるだろうけど。
そんだけ戦うことにはならないって思ってんだろ」
漫遊寺の中を歩きながら、俺はヒロトにそう返していく。
漫遊寺は「スポーツを通して心身を鍛える」という考えのもとスポーツを行っている学校だ。
そのため実力がありながら戦いをすることを嫌っており、フットボールフロンティアには出場していないみたいである。
「…一応聞いておくけど、あのデザームが『戦いは断るのでお帰りください』で『では去ろう』って言うと思う?」
俺はヒロトに「無理だな」と即答する。
「あのデザームがだろ?
無理矢理にでもやるはずだよ。
ここがアイツらに敵う実力持ってるのか持ってねえのかは知らねえがな」
そして俺は「それと、雷門がどうするかだな」と話していく。
「え、雷門ってジェミニにギリギリ勝ったぐらいでしよ?
またイプシロンには敵わないって思うけど…」
ヒロトはそう話すが俺は「そういうんじゃねえよ」と続ける。
「アイツらは通用するかどうか以前にこっちに歯向かって来るんだよ。
それでいて諦めの悪さも非常に高え。
ジェミニはそれを念頭に入れてなかったから負けたって俺は思ってる。」
俺は「まあアイツらを見たら分かるよ」とヒロトに伝えて漫遊寺の校内を歩いて行った。
◇ ◇ ◇
…そして。
予告通りイプシロンはやってきた。
漫遊寺側は「勝負は出来ない、お引き取りを」というスタンスを取ったが、イプシロンはこれを無視。
エイリアボールで近くにあった建物を破壊してみせた。
これには漫遊寺側も黙っておらず、勝負に応じた…のだが。
「いくら強いとはいえ、イプシロンの相手にはならねえよな…」
スコアは15-0。漫遊寺側は試合続行不可能となった。
…で。
「待て!俺たちが相手だ!」
円堂の声がこだました。
…だが、どうやら目金が一時的な怪我で出られない模様。
円堂は10人でもやるみたいだが…。
「いえ、11人目ならいます!」
音無が示したのは小柄な漫遊寺の選手である木暮。
ひとまずは揃ったみたいである。
デザームも雷門と戦うことを了承し、雷門とイプシロンの勝負となった。
雷門が準備をする中、ヒロトが口を開く。
「にしても、ホントにイプシロンに勝つつもりでいるんだね…」
「ああ、どうやら円堂は諦めるって言葉を知らないみたいでな。
それが仲間にも伝わってるみたいだよ」
俺がそう話すと、試合開始のホイッスルが吹かれた。
「…砂木沼さん、初めての雷門との勝負を通して何か感じるものがあると思いますよ」
俺はゴールの前に仁王立ちするデザーム…砂木沼さんに向けてそう呟いた。